インセプション シネマの世界<第63話>
映画「インセプション」は、‘現実と夢’‥‘夢の中の夢’‥‘夢の中の夢の夢’、仮想現実をテーマとした「マトリックス」(1999)を彷彿とさせる技巧的な映像構成で、映画ならではのストーリー展開です。
現実と夢‥夢の中の夢‥夢の中の夢の夢と続く境界が、難解で哲学的‥と思えば、深層心理によるシンブルな夢のようでもあるし、何とも不思議な映画でした。
映画は、2時間半の長編ですが、ストーリーの映像と展開をしっかり見ていないと、ストーリーが分からなくなり、見る側の意識の集中が必要です。
レオナルド・デカプリオが、「インセプション」を仕かける側のリーダー、渡辺謙はターゲットに「インセプション(意識植え付け)」を依頼する顧客、キリアン・マーフィー(2006年「麦の穂をゆらす風」主演)は、ターゲット役を演じています。
レオナルド・デカプリオは、「ギルバート・グレイプ」(1993)で、ジョニー・ディップ演じるギルバート・グレイプの弟役として、知的障害をもつ自閉症の少年アーニーの演技が、あまりにすばらしかったので、どうしても比較してしまいます。
映画の中でインセプション・チームが、夢の中から脱出し、現実に戻る合図の音楽としてエディット・ピアフの「水に流して(Non, je ne regrette rien)」を使っていますが、映画の映像と相俟ってなかなか凝っています。