年賀状考
私が、虚礼の年賀状を書かなくなってから久しくなります。
私の暮らしの中で正月元旦も三が日も普通の一日であり、毎日の生活のリズムが、非日常を求めなくなったからでしょうか。
慌ただしい師走の暮れに「新年明けましておめでとうございます、旧年中たいへんお世話になりました」と私の気持ちが、新年お正月モードに切り替えられないからでした。
元旦に、パソコンのソフトで干支(えと)の絵と住所を一括プリントした年賀状が、たくさん届きます。
多くの方から年賀状をいただきながら、返事も差しあげない無礼が心苦しく、いつも心の中で「申しわけありません」とお詫びしています。
いただいた年賀状の中には、無礼者でもさすがに返事を差しあげないと落ち着かない心のこもったものもあります。
そんな年賀状には、手もちの絵はがきから相手の好みを想像して選び、私の近況などを書いて返事しています。
いつからか手紙やはがきを書かなくなりました。
携帯電話やメールの発達で、その便利さに慣れ、便箋の手紙や絵はがきを準備する手間の煩わしさと手書きによる自分の拙い文章・乱筆に、がっかりするからです。
40代くらいまでは、美術館の喫茶室や旅先のコーヒー・ショップで友人・知人を想いながら、自分の近況を絵はがきに書いて投函していました。
顧みれば、相当ひどい乱文・乱筆の絵ハガキではなかったかと大いに反省、恥ずかしいかぎりです。
最近の年賀状で印象に残ったのは、何も書かずに(自分の住所・氏名もなく)映画「ザ・ローリングストーンズ・シャイン・ア・ライト」のモギリ(半券)を普通のはがきに貼りつけた一枚で、住所・氏名がなくても誰かはすぐに分かりました。 (上写真:年賀状に貼られていたローリング・ストーンズ映画の半券、これと同じもの)
メッセージも良く伝わりました。
少し気の早いことですが、年賀のご挨拶は、元旦に皆様を想いながらメッセージしたいと思います。
今年2012年元日は「倚(よ)りかからず」を掲載、新春のご挨拶にいたしました。