クレイジー・ハート シネマの世界<第31話>
映画のストーリーは、アメリカ南西部の田舎を舞台に、落ちぶれて酒と女とその日の暮らしのために、町から町へのドサ回りを続ける初老のカントリー歌手と子連れの地方紙ジャーナリスト(マギー・ギレンホール)との出会いと別れ‥と、まるでアメリカ版演歌のような陳腐な内容ですが、夏の終わりの夕やけ空を眺めているようなメランコリックな雰囲気のある映画でした。
ジェフ・ブリッジスは、初老の男をボサボサの髪と無精ヒゲ面に、太り弛んだ体と合わせ自然な演技で熱演しています。
監督・脚本のスコット・クーパー(1970~)は「クレイジー・ハート」が初作品だとか、それにしては長編映画初監督らしからぬ冴えた演出で還暦過ぎの俳優ジェフ・ブリッジスを主人公のその日暮らしの老カントリー歌手にし‥ジェフ・ブリッジスは、才能ありながらも過去にすがり、破滅的に暮らす老カントリー歌手を地味で渋く見事に演じています。