詩を描く画家‥山口薫
当時、大学の美術部に所属、学業そっちのけでせっせと油絵を描いていましたので、絵の勉強に良く美術館に行き市内の画廊を回っていました。
山口薫の絵を見てから、自分の描きたいと思う絵がやっと分かりました。
私が、他人(ひと)の描いた絵を欲しいと思ったのは、山口薫の絵が最初でした。
もちろん手に入れることはできませんでしたが、せめてもの願いとして全国の美術館や画廊で多くの山口薫の絵を見てきました。
絵からフォルムは解かれ、自由なカタチが色彩を言葉にして、キャンバスに詩を描いています。
フォルムはあってないような‥色彩と線と塗り残しの不思議なハーモニー、詩人山口薫が、キャンバスに描いている絵は、画家山口薫の詩でした。
「あや子あやとり」(6号、上の写真)や「竹林の少女」(100号)は、いまどこにあるのでしょうか‥もう一度目の前で見たいものです。
山口薫は、デッサン帖やノート、メモ紙の余白などにつぶやくような詩や独り言のような心情を短い言葉で書き残しています。
「残しておきたいものがある/私の手垢である/自分のために」
「山桜/只花は咲いていたぞ/水が流れるように」
「祈りとは」
「みんな忘れてしまった」
「物質に対するはかない精神の抵抗-芸術」
「僕の絵は崩れ出した/とめどもなく」