藤島武二‥黒扇・チョチャラ・芳恵
その中でもブリジストン美術館(京橋)にある「黒扇」・「チョチャラ」・「芳恵」は、いつ見てもつい見入ってしまう私の好きな絵です。
藤島武二といえば、子供の頃、石橋美術館(久留米市)で見た「天平の面影」(1902年作)に、いつも感動していました。
天平竪琴をもった女性を描いた大作で左手甲の上の画面にキズがあり、それが気になり仕方ありませんでした。
大学を卒業するまで石橋美術館には数え切れないくらい行き藤島武二若い頃の「自画像」に描かれた凛とした表情が、強く印象に残っています。
青木繁(1882~1911、28才没)の大作「海の幸」と「わだつみのいろこの宮」と併せ同美術館の懐かしい思い出になっています。
藤島武二は、20世紀初頭のヨーロッパに留学したので、当時ヨーロッパを席巻していたアールヌーボー様式表現の作品も数多くあります。
ローマに留学していた時、渡欧中制作したほとんどの作品が、盗難に遭い行方不明になりました。
黒扇やチョチャラ級の質の高い絵が、相当あったのではないかと推察されます。
晩年の藤島武二には多くの情感溢れる風景画の名作があり、日本人の到達した油彩表現による風景画の原点であると思います。