イントゥ・ザ・ワイルド シネマの世界<第64話>
「イントゥ・ザ・ワイルド」の映画評は、見た人の人生観によって分かれると思います。
ショーン・ペン監督は、クリスが自分の人生と真っ正直に向き合い行動する真摯な態度を敬意に満ちて撮影しています。 (下写真 : 17才のクリステン・スチュワートと主人公のクリスを演じた22才のエミール・ハーシュ)
1992年4月、一人の青年が、アラスカ山脈の奥地、住む者もいない原野へ歩いて入って行きました。
4か月後に、彼は荒野の中で朽ち果てた古いバスの中で餓死した姿で発見されました。
青年の名は、クリス・マッカンドレス、ヴァージニアの裕福な家庭に育ち、2年前に大学を優秀な成績で卒業した若者でした。
大学院進学への期待と洋々たる将来を嘱望されながら、自分の身分証明書(IDカード)にハサミを入れ、有り金を寄付し、残った紙幣を燃やし、全財産を捨てて遠いアラスカへの旅に出ました。
旅の途中での過酷な労働やヒッチハイクを繰り返しながら、多くの善意の人たちと出会いや美しい少女の恋も拒否し、放浪の旅を続けて、憑かれたようにアラスカへ向かうクリス‥なぜ彼は、経済的にも家族にも恵まれた人生を捨て、悲惨な最期を遂げることになるアラスカを目指したのか?‥彼が、ひたすら向かうアラスカに、何を求めたのか?とショーン・ペン監督は、クリスを偲び「I miss you」と呟いているのが聞こえます。
良い映画です、ぜひDVDでご覧ください。
俳優ショーン・ペンについては、2012年4月19日「シネマの世界 ‥ ミルク」(こちら)で書きましたので読んでいただけたら光栄です。