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心の時空

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a day in my life

SF映画の大御所にして巨匠リドリー・スコット監督(1937~)が、俊英ドレイク・ドレマス監督(1983~)を起用、自らは、製作総指揮にまわり撮ったのが、2015年のSFサスペンス映画「ロスト・エモーション」(原題 Equals)です。
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「ロスト・エモーション」のプロットは、近未来、地球で人類史上最大最悪の世界大戦(核戦争)が、勃発、地球上の陸地は、壊滅的に環境破壊され、生存適地にわずかに生き残った生存者のデストピア・ストーリーです。
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人類を滅亡させた原因は、“感情”にあったとして、人間が、“感情”をもつことを厳禁 ‥ 遺伝子を操作し感情のない人類の共同体「イコールズ」を創りました。
a0212807_647279.pngそこに暮らすすべての人間は、国家に徹底的に管理され、保健安全局から監視され愛情や欲望など少しでも感情の発症兆候が、見られたものは、「欠陥人間」として強制隔離され収容施設で安楽死させられていました。
SFデストピア映画は、ざっと指を折るだけでも1971年「時計じかけのオレンジ」、1982年「ブレードランナー」、1985年「未来世紀ブa0212807_647362.jpgラジル」、1995年「12モンキーズ」、1997年「ガダカ」、1999年「マトリックス」、2006年「トゥモロー・ワールド」、2015年「ロブスター」と傑作・秀作が、発表され「ロスト・エモーション」もその伝統的な名作SFデストピア映画の系譜に含まれると思います。
主演は、若き名女a0212807_6481551.jpg優 クリステン・スチュワート(1990~ 後日、名女優 クリステン・スチュワートの特集をします)と新鋭気鋭の俳優 ニコラス・ホルト(1989~、2016年「アウトバーン」主演)で、これにイギリスの名優ガイ・ピアース(1967~)とオーストラリアの名舞台女優 ジャッキー・ウィーヴァー(1947~)が、外の世界へ脱走する二人を助ける反体制秘密組織の一員を演じています。
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規律ある秩序維持ために、個のいかなる感情も徹底的に排除する近未来社会「イコールズ」で平和に暮らすニア(クリステン・スチュワート)が、ある日「イコールズ」の定期検診で‘人間のもつ感情’を発症していると診断さa0212807_6541418.jpgれ、強制収容所に隔離されました。
ニアを愛するも感情に表わさなかったサイラス(ニコラス・ホルト)でしたが、検診結果に感情発症の予兆は、顕われ始めていました。
「イコールズ」で服従を装い暮らしていたサイラスは、ニアを強制収容所から脱走させ外の世界へ逃亡することを決意しました。
a0212807_6551742.jpg近未来の共同体「イコールズ」は、SFながら思想統制、情報支配、自由抑圧、強制執行など72年前のナチスドイツ、28年前のソヴィエト連邦、現在の中国、北朝鮮、イスラム原理主義諸国を想定させ、世界にいま誕生しつつある軍靴の足音高いポヒュリズム国家と併せリアリティが、あり、正しく明日のデストピア世界を予感させます。
a0212807_6554690.jpgほとんどのシーンが、日本で撮影され、劇中のシーンに登場する近未来都市「イコールズ」の建物は、日本全国にある世界的な建築家 安藤忠雄氏の建築物が、使用され各地でロケーション撮影されました。
安藤忠雄氏設計のシャープで、機能的な建築物は、どれも正に近未来都市の壮観です。 (下写真 : 新潟県 長岡造形大学キャンパスでの ロケーション撮影風景)
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撮影監督 ジョン・ガリセリアン(1976~、2013年「アバウト・タイム 愛おしい時間について」の撮影監督)が、撮ったライトブルーの色調映像は、ひんやりしていて「ロスト・エモーション」の雰囲気にぴったりでした。
# by blues_rock | 2017-07-29 00:09 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
a0212807_0133067.jpg7月の IF九州シネマクラブは、短編特集で ‘暴力’ をテーマに製作された 3作品が、上映されました。
この短編3作品の上映を企画したのが、IF九州映画担当の、フランスから 6か月研修で派遣された政治学を専攻する青年でした。
7月の映画を最後に、フランスに帰国するそうですが、博多山笠の追い山に閉め込み姿で参加したことをたいへん喜んでいました。
さて、世界は、いま‘暴力’に満ち溢れ、悲しく哀れな事件が、絶えません。
私は、ヴァイオレンス映画の秀作を好んで見ますが、私の見るヴァイオレンス映画のほとんどは、“勧善懲悪”をプロットにしており、卑怯卑劣な巨悪や権力が、跋扈(ばっこ)し、勝利して終わる映画(プロバガンダ映画)を見ることは、ありません。
1作目の「ぼくたちのジュネーブ条約」は、ブノワ・マルタン監督による2016年の短編映画(15分)です。
放課後バスで帰宅しようとしていた少年が、彼ら少年グループの争いに巻き込まれます。
争いの原因は、同級生に20ユーロ(2、500円くらい)を貸したと云う生徒が、借金を返さない生徒に暴力で返済を
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迫り 決着つけるという話を聞いた少年少女たちは、森に集まり当事者の少年二人をはさみ、それぞれのグループに分かれ対立しました
a0212807_0182244.jpg暴力沙汰のケンカは、避けたいが、借金をした少年にお金は、ありませんでした。
移民の子供も入れた多民族の、多種多様な意見をもつ少年少女が、対立しながらケンカになる前に何とか解決しようとする姿を映したこの短編映画は、世界の好戦的で愚かな大統領や首相たちに見せたい作品です。
2作目の「グループ・ヴァイオレンス」は、2015年にカリム・プケルシャー監督が、発表した15分の短編映画です。
15分の短編映画に 何とフランスの名優ヴァンサン・カッセル(1966~)が、主演、自分の精神疾患である暴力依存症の衝動に必死で打ち克とうとする男の姿をリアリティ溢れる演技で表現しています。
黒いブルカ(イスラム女性の着衣)をまとったナゾの女たちの出現に、取り締まりを強化した警察に対し若者たちは、怒りを爆発させ暴力事件を起こしていました。
若いころ暴力の絶えなかった元チンピラのヴィンス(ヴァンサン・カッセル)は、日々の生活に疲れ果て、昔のよう
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に、憂さをヴァイオレンスで発散する自分に引き戻されそうになる誘惑と戦っていました。
苦悩し葛藤するヴァンサン・カッセルの表情が、秀逸です。
a0212807_020617.png3作目の「すべてを失う前に」が、一番長く(それでも30分)グザヴィエ・ルグラン監督2012年発表の短編映画です。
グザヴィエ・ルグラン監督は、「すべてを失う前に」を 30分という尺(上映時間)の中で家庭内暴力という主題をあからさまに見せる演出ではなく、フランスにとどまらず世界中どこにでもある社会問題としてスリa0212807_0214048.jpgラー仕立てで撮っています。
映画は、暴力夫(父親)から逃げる妻(母親)と子供(思春期の娘と幼い息子)の3人中心にスリラーのようなタッチでテンポよく描いています。
学校に行かず橋の下に隠れている少年、居場所を先刻承知で迎えに来る母親、恋人との別れが、切なく涙にくれている少年の姉、そんな子供たちを順番に車に乗せながら3人は、急いで母の務めるスーパーマーケットに行きました。
夫の暴力から逃れるため子供たちと遠くに移住することを決めた彼女は、会社に給料の精算を頼みに行ったのでした。
事情を知る上司や同僚(中にはトンチンカンな同僚もいてハラハラさせます)の応援を得て、どうにか給料未払い分の一部を手に外に出ようとしますが、後を追ってきた夫は、すでにスーパーの店内に入り、家族を捜し出てくるのを待っていました。
この家庭内暴力の短編プロットを起承転結のある長編映画として撮れば、かなりおもしろいサイコサスペンス
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タッチのスリラー映画になるでしょう。
今回、フランスの短編映画特集を見てフランス映画界の懐の深さを感じました。
# by blues_rock | 2017-07-27 00:07 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
いま私のお気に入り茶碗が、この唐津‘自然坊茶碗’(径10㌢、高さ7㌢)です。
唐津特有の鉄分の多い陶土(つち)をロクロで荒挽きして創りあげ、焼き絞めただけのような正しく自然そのまま
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の野趣豊かな茶碗です。
私の手にピッタリ収まり、私は、これでお茶やコーヒーを飲んでいます。
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中川自然坊氏(じねんぼう、1953~2011 享年58才)の作品(器)を初めて手にとって見たのは、六本松の「すし宗」でした。
a0212807_1323436.jpgすし宗 のご主人が、自然坊の陶器好きで、ご自慢の器類の逸品を飽かずゆっくり手にとって眺めさせていただきました。
金継ぎをしているせいか、唐津=古唐津で、今様の唐津に、さして興味なく、ほとんどスルーしていました。
作家モノと称する小賢しい陶器が、市中に氾濫する昨今、中川自然坊氏のバサラな陶器は、異彩を放ちます。

まあ、ともあれ、私の個人的な趣味(好み)ですが‥。
# by blues_rock | 2017-07-25 00:05 | 金継ぎ/古美術/漆芸 | Comments(0)
ドイツの女性監督マーレン・アーデ(1976~)が、製作・脚本・監督したコメディ映画「ありがとう、トニ・エルドマン」を天神のKBCシネマで見ました。
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この映画の脚本を書くときマーレン・アーデ監督は、子供のころ父親が、自分にしていた悪ふざけを憶い出し、それと重ね合わせて主人公の初老の音楽教師ヴィンフリートで悪ふざけするとき名のる ‘トニ・エルドマン’ のイa0212807_1341527.jpgメージを膨らませていったそうです。
ドイツとオーストリア合作の「ありがとう、トニ・エルドマン」は、摩訶不思議なコメディ映画で‘初老の父親とアラフォー前の独身娘’の物語ながらコメディなのに笑えないシーンが、多く、撮影監督パトリック・オルト(1968~)のカメラは、父トニ・エルドマンと娘イネス親子のお互いギクシャクした愛情のズレをa0212807_137448.jpg丁寧に追い、二人の心の襞(ひだ)を緻密に掬いとっています。
父親のヴィンフリート=トニ・エルドマンをオーストリアの名優 ペーター・シモニスチェク(1946~)が、娘イネスをドイツの女優 サンドラ・ヒュラー(1978~)が、二人ともに秀逸な演技で親子のズレた愛情を見事に表現しています。
a0212807_13918100.jpg「ありがとう、トニ・エルドマン」は、ヨーロッパ映画賞において作品賞(女性監督初受賞作品)、監督賞、主演男優賞、主演女優賞、脚本賞と5部門で受賞し高い評価を受けました。
悪ふざけが、大好きな父 ヴィンフリート(ペーター・シモニスチェク)とドイツの大手経営コンサルタント会社で働くエリート社員の娘イネスは、性格も人生観も正反対の二人ながら親子が、たまに会っても娘のイネス(サンドラ・ヒュa0212807_1405218.jpgラー)は、仕事の電話に追いかけられ父親の話を聞こうともしませんでした。
ヴィンフリートは、仕事に追われるイネスが、心配のあまり「おまえ、本当にそれでも人間なのか?」と親子であっても‘それを言っちゃオシマイよ’というようなキツイ言葉で彼女の人生を皮肉りました。
a0212807_1425824.jpg娘のイネスは、イネスで、離婚した母親と暮らす自分に会いたがり、会えば会ったで、自分にくだらないジョークやダジャレ、オヤジギャグばかりの父ヴィンフリートにうんざりし、疎ましく思っていました。
ヴィンフリートは、愛犬の老衰死をきっかけに娘のイネスが、仕事で駐在するルーマニアの首都ブカレストを訪ねました。
a0212807_1433999.jpg突然の父親の訪問にイネスは、びっくり仰天しますが、追い帰すこともできず仕方なく自宅マンションに泊め、ルーマニアで石油会社のM&A(企業買収)案件に忙殺されながら、どうにか数日間を一緒に過ごしてあげました。
a0212807_1444065.pngドイツに帰る父親を見送り、ホッとしていると野暮ったいスーツを着た出っ歯で長髪の「トニ・エルドマン」と名のる別人が、イネスの前に出現しました。
神出鬼没のトニ・エルドマンが、イネスに付きまとい彼女の会社に奇妙な肩書きのコンサルタントで現れたり、彼女のいる高級レストランや顧客を招いたホテルのパーティ会場にドイツ大使とa0212807_1454773.jpg称して登場したり、トニ・エルドマンの奇怪な行動にイネスのイライラは、募って行きました。
とにかく劇中のいろいろなエピソードが、おもしろく ユニークです。
とくに女性のアーデ監督が、演出したイネスの同僚で愛人(セフレ)とのセックスシーンも滑稽かつ秀逸でした。
a0212807_1462856.jpgポルノ顔負けのアッケラカンとした過激なもので ‥ トニ・エルドマンに付きまとわれてセックスに集中できないイネスが、欲情して彼女に迫る愛人に自分の性器を見せ自慰させて、ルームサービスのケーキに射精させ、それをイネスは、美味しそうに口にしますが、イネスの虚無的な精神と投げやりで刹那な暮らしぶりを見事に表わしていて秀逸です。
a0212807_1465967.pngアーデ監督は、会社の利益追求だけを目的とした仕事に疲れ果てたイネスが、無味乾燥な暮らしの一部である虚無的なセックスを描くことで人生を見失っている愛娘のイネスに父ヴィンフリートの言った「おまえ、本当にそれでも人間なのか?」のセリフが、重なるように演出、父と娘の普遍的な関係を絶妙のユーモア感覚でクールかつヒューマンに描いています。
a0212807_1482491.jpg音楽教師の父ヴィンフリートのピアノ演奏でイネスが、ホイットニー・ヒューストンの「Greatest Love of All」を歌うエピソードは、感動します。
イネスが、会社の上司や同僚、友人を招いたホームパーティ誕生会で突如癇癪を起こし(ストレスを爆発させ)出席者全員をヌードにさせるエピソードやそのヌードパーティに突然毛むくじゃa0212807_1531417.jpgらのクケリ(幸せを呼ぶ精霊)の格好をしたトニ・エルドマンが、現われ室内を一巡すると何も言わず出て行くシークエンス、そのクケリの後をイネスは、追いかけ公園で振り向いた毛むくじゃらのクケリに無言で抱きつくシーンが、感動的です。
「ありがとう、トニ・エルドマン」は、早くもハリウッドでジャック・ニコルソン(1937~)とクリスティン・ウィグ(1973~)a0212807_233510.jpgの主演でリメイクが、決定、怪優ジャック・ニコルソンのトニ・エルドマンも強烈でしょうね、とても楽しみです。

(右写真:左からペーター・シモニスチェク、マーレン・アーデ監督、サンドラ・ヒュラー)
# by blues_rock | 2017-07-23 01:03 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
名優 アル・パチーノの大ファンである私が、アル・パチーノ(1940~、詳細 こちら)の最新作公開を‘何で見逃したのだろう?’と訝(いぶ)っていたら何と!日本では、劇場未公開、希代の名優の老いて演じるこれほどの名演
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技を劇場公開しないとは、まったくもって信じられない! 嘆かわしい日本映画業界のレベルの低さです。
2014年の製作から3年経ちDVDスルーされた日本版のタイトルが、これまたダサく、原題の「マングルホーン」
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(主人公の老人の名前)は、「ブロークン 過去に囚われた男」に変わり、ミステリアスな映画かなと勘違いさせるミスタイトルです。
a0212807_1044337.jpg私専用の‘お一人様シネマ劇場’勧進元のTSUTAYAからさっそく借りて来て見たら前述したとおり希代の名優 アル・パチーノ“燻銀の名演技”を心行くまで堪能することが、できました。
俊英デビッド・ゴードン・グリーン監督(1975~、2013年「グランド・ジョー」、2015年「選挙の勝ち方教えます」)は、「マングルホーン」(主人公である偏屈で孤独な老人の名前)その人であa0212807_1052942.jpgるかのような圧倒的存在感のあるアル・パチーノに最大の敬意をもって演出しているのが、映画を見ているとよく分かります。
鍵の修理屋を営みながら孤独に暮らす老人マングルホーンは、若いころ愛した女性クララ(色褪せた若い女性の写真だけで映画には登場しない)へ今でもラブレターを書いていました。
a0212807_108531.jpgそんな彼の心を癒やすのは、ペットの猫と毎週行く銀行の窓口係ドーン(ホリー・ハンター 1958~、1993年「ピアノ・レッスン」でアカデミー賞主演女優賞、1996年「コピー・キャット」、同年「クラッシュ」)との他愛ない会話でした。
そんなある日、マングルホーンは、よく行くカフェでドーンの姿を見つけました。
a0212807_1081686.jpgドーンに好意をもつマングルホーンは、彼女に声をかけドーンもまた偏屈ながらユーモアのあるマングルホーンに好意をもち始め二人の仲が、急接近するかと思われました。
しかし、マングルホーンは、昔愛した女性クララへの未練を今も引きずっていました。
撮影監督ティム・オアー(1968~、2013年「グランド・ジョー」、2015年「選挙の勝ち方教えます」など デビッド・a0212807_10113762.jpgゴードン・グリーン監督作品の常連撮影監督)の、「アル・パチーノ = マングルホーン」 の姿を奇を衒わずゆっくりと追うカメラワークも秀逸です。

(右写真 : アル・パチーノと演技の確認をするデビッド・ゴードン・グリーン監督)
# by blues_rock | 2017-07-21 07:21 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
a0212807_15522736.jpg中国 宋(960~1279)時代にあった古窯「建窯」(現在の福建省建陽県)で焼かれた天目茶碗ではないだろうか? と、持ち主 ‥ 3寸くらいの小振りな天目茶碗が、半分に割れ、3分の1は、欠落しています。
しかしながらシャープな形が、捨てがたく、欠損した部分を刻苧(こくそ=地粉・綿粉・米粉を漆で練り合わせ乾燥させたもの、極めて強固)で成形し再生することにしました。
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五重塔ならぬ‘七重の刻苧皿’塔、高台のある古唐津皿の陶片を刻苧でせっせせっせと復元中です。
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古唐津のワレカケ茶碗も高台さえ残っておれば、刻苧で再生できます。
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上は、白い陶土(つち)が、特徴の貴重な「山瀬窯 古唐津茶碗」の高台です。
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高台のある古唐津茶碗を刻苧で復元(成形再生)したところ、まだ道半ばです。
a0212807_15575233.jpgとくにこの3口は、貴重な‘絵唐津’なので、できあがるまでにまだ相当時間が、かかりそうです。
左は、古唐津無地茶碗の陶片を刻苧で復元し「梨子地銀 青貝蒔絵直し」で再生したものです。
詳しくは、こちらをご覧ください。
# by blues_rock | 2017-07-19 00:19 | 金継ぎ/古美術/漆芸 | Comments(1)
2015年ドイツほか5か国合作映画「誰のせいでもない」は、出演している“3人の女優”の名前だけで監督・脚本家始め撮影ならびに音楽監督の名前も知らないまま見た映画ながら、何とドイツの名監督ヴィム・ヴェンダース
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(1945~、1987年「ベルリン・天使の詩」、1999年「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」)の最新作で驚きました。
“3人の女優”とは、フランスからシャルロット・ゲンズブール(1971~、2007年「アイム・ノット・ゼア」、2009年「アンa0212807_2322525.jpgチクライスト」、2011年「メランコリア」、2013年「ニンフォマニアック」など)ならびにマリ=ジョゼ・クローズ(1970~、2003年「みなさん、さようなら」、2005年「ミュンヘン」、2007年「潜水服は蝶の夢を見る」、2010年「海の上のバルコニー」など)、およびカナダからレイチェル・アン・マクアダムス(1978~、2004年「きみに読む物語」、2011年「ミッドナィト・イン・パリ」、2013年「アバウト・タイム」、2014年「誰a0212807_23232448.jpgよりも狙われた男」、2015年「サウスポー」、「スポットライト 世紀のスクープ」)の3人です。
この3人の女優に絡むのが、映画の主人公で作家のトマスを演じるアメリカの俳優ジェームズ・フランコ(1978~、2002年「容疑者」、2008年「ミルク」、2011年「猿の惑星/創世記」)と、トマスが10年前、カナダ、モントリオール郊外の雪道で起こした交通事故の被害者で16歳になった少年クリストファーを演じるカナダの若手俳優ロバート・ネイラー(1996~)の2人の俳優です。
a0212807_23234973.jpgシャルロット・ゲンズブールは、トマスの運転する自動車事故で幼い息子(4歳の次男)を亡くした母親のケイト役、マリ=ジョゼ・クローズが、出版社の編集者で作家トマスの再婚相手アンの役、レイチェル・アン・マクアダムスは、作家トマスが、不遇の時代 不可抗力の事故とはいえ幼い男の子(4歳の次男)を死なせた罪悪感で心神喪失、自殺未遂した当時の妻サラの役を名演してa0212807_23251456.jpgいます。
「誰のせいでもない」(原題 Every Thing Will Be Fine すべてうまくいく)は、視界の悪い雪道に突然飛び出してきた幼い子供二人の乗ったソリと走行中のトマスの車との不可抗力の「誰のせいでもない」偶発的な交通事故ながら、トマスとその後、彼の人生に深く関わる3人の女性たちならびに雪の坂道から道路にソリで飛び出して幼a0212807_2327383.jpgい弟を死なせてしまった10年後の16歳になったクリストファーの人生を事故から2年後、4年後さらに4年後と時間を区切りながらゆっくりしたテンポで5人の人生を描いていきます。
名匠ヴィム・ヴェンダース監督演出のすばらしさもさることながらヴェンダース監督が、見出したノルウェーの脚本家ビョルン・オラフ・ヨハンセン(1965~)のシナリオもまたすばらしく映画は、登場人物のさまざまな感情 ‥ 罪悪感、怒り、赦し、失望など、彼らの心a0212807_23292478.jpgの襞(ひだ)を丁寧にとらえ、不可抗力とはいえ、加害者と加害者の家族、被害者と被害者の家族それぞれのデリケートな感情の動きを緻密に描いていきます。
ベルギーの撮影監督 ブノワ・デビエ(2010年クリステン・スチュワート主演映画「ランナウェイズ」の撮影監督)のトーンを落とした映像が、秀逸で、寒々としたカナダの雪景色を登場人物5人の心象風景と重ね合わせ、さらに映画音楽の名作曲家 アレクサンドル・デスプラ(1961~ a0212807_2330996.jpg2005年「真夜中のピアニスト」と2014年「グランド・ブダペスト・ホテル」でアカデミー賞作曲賞受賞)の控え目ながら心に沁み入るような音楽(サウンドトラック)は、5人の揺れ動く心情を見事に表現しています
ヴェンダース監督演出の上手さは、シリアスな心理ドラマをミステリーっぽく見せ ‘これから何か事件が起きるのでは’ と見る者に予感させるサスペンス仕立てにして最後
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まで映画に緊張感をもたせていることでしょう。 (上写真 : 主演のジェームズ・フランコとヴェンダース監督)
# by blues_rock | 2017-07-17 00:17 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
2001年のシュールなSFミステリー映画の傑作「ドニー・ダーコ」のプロットは、現在と未来の時間軸が、複雑に交差する摩訶不思議な映画です。
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‘精神情動障害’という心の病を抱える主人公の少年ドニー・ダーコは、彼の未来の象徴である‘銀色のウサギ’と出遭うことで自分の過去(つまり現在)を知り、そして自分の運命が、分かるという‥以下見てのお楽しみ、a0212807_1334362.jpgリチャード・ケリー監督(脚本も、1975~)は、カルト映画の名人と思います。
‘精神情動障害’を抱える 主人公のドニーを演じたのが、今や名優のジェイク・ギレンホール(1980~)で、撮影当時十代の終わりか二十歳くらいながら主人公を絶妙に演じ、インディペンデント系映画の新人俳優として一躍注目を浴びました。
a0212807_13345811.jpgドニーの姉エリザベスの役でジェイク・ギレンホールの姉で名女優 マギー・ギレンホール(1977~)が、出演いまや姉弟共にアメリカ映画を代表する俳優ながら、この映画のほかに 二人の共演(上写真)した作品は、なくギレンホール姉弟ファンにとって 貴重な映画でもあります。
a0212807_13394490.jpgドニーの国語教師カレンの役でドリュー・バリモア(1975~)が、出演し製作総指揮も担っています。
さらにドニーの主治医 精神科医 リリアン役で、なんとアメリカン・ニューシネマの代表的な名女優 キャサリン・ロス(1940~ 1967年の名作「卒業」、1970年の傑作「明日に向って撃て!」の主演女優)が登場、こa0212807_133607.jpgれも映画ファンとしては、うれいし限りです。
ドニーが、恋している女子高生 グレッチェンの役で、当時十代半ばの若手女優 ジェナ・マローン(1984~)も出演しています。
映画は、1988年、ヴァージニア州の小さな町 ミドルセックスが、舞台です。
a0212807_13521957.png17歳の高校生 ドニー・ダーコ(ジェイク・ギレンホール)は、両親と大学受験を控える姉 エリザベス(マギー・ギレンホール)、幼い妹の5人家族で暮らしていました。
ドニーは、頭脳明晰ながらも情動障害のあるティーン・エージャーで、精神科医リリアン(キャサリン・ロス)の心理カウンセリングを受けていました。
a0212807_13493387.jpg1988年10月2日の夜、ドニーは、自分を呼ぶ声に気づきベッドを抜け出し家の外に出るとフランクと名のる不気味な ‘銀色のウサギ’ が、彼を待っていました。
銀色のウサギは、彼に「あと28日6時間42分12秒」で世界が、終わるとドニーに告げました。
翌朝、近くのゴルフ場で目を覚ましたドニーが、自宅に帰ると、墜落した飛行機のエンジンが、ドニーの部屋をa0212807_146342.jpg直撃していました。
前夜もしドニーが、自室のベッドで寝ていたら即死していたはずでした。
銀色のウサギ フランクは、ドニーを「未来へ来い」と誘いました。
10月30日に行くとドニーの母親(メリー・マクドネル 1952~)と妹の乗るロスアンジェルス発ヴァージニア行の飛行機のエンジンが、故障し10月2日にタイムスリプしダーコ家に落ちていたのでした。
「あと28日6時間42分12秒」は、それまでに残された時間でした。
a0212807_1464849.jpgそれを知ったドニーは、10月2日の夜、‘銀色のウサギ’の呼ぶ声に耳を貸さず、ベッドの上で楽しそうに笑いながら飛行機のエンジンが、自分の上に落ちてくるのを待つのでした。
傑作(秀作・名作)映画三つの基本要素が、監督・脚本・俳優であることを教えてくれる映画です。  (上写真 : 撮影中のリチャード・ケリー監督)
あとは、映画を見る人のレベル ‥ いや、好みの問題です。
# by blues_rock | 2017-07-15 00:05 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
新作映画(もちろん旧作の名作も)を見ることと金継ぎのことばかり毎日考えています。
a0212807_434475.jpg煩悩まみれのわが人生に‘断捨離’を取り入れて十余年 ‥ 追えどもなかなか去らなかった煩悩の犬の群れが、一匹二匹とわが回りから姿を消し始め、このところ少し静かになり始めたように思います。
私は、テレビを見ない (しつこい NHK こちら)ので、それだけでも以前のようなダラダラ生活(すべて自己責任ながら)をしなくなり自分のために使える時間が、多くなりました。
私の‘断捨離’は、残りの人生できるだけ‘自分のしたいこと’だけするために自分の身のまわりにある不快なこと、不愉快な関係をシャットダウンする(五つの「う」から遠ざかる)ことです。 (上写真 : 私のベッドのうえ)
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幕末から明治期の輪花青磁染付深皿‥カケが、二か所あり、唐紅(からくれない、韓紅とも書く)色と老緑(おいみどり)色で、それぞれ漆繕いしました。
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急須の持ち手が、折れ、そのほか縁まわりにある数か所のカケの直しを依頼されたので淡黄蘗(うすきはだ)色で漆(白漆)繕いし、お返しする前にエアブラントの器に見立て遊んでみました。
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(付 録)
私の働く 高齢者介護施設 の同僚女性の大きなマグカップ(シンガポール・ライオン)にコルクを落とし数種のエラプランツを載せてみました。
そうしたところ、夜な夜な 「ガーォ!」 と唸るそうです。
(な、わけないか)
# by blues_rock | 2017-07-13 00:13 | 柏原生活/博多叙景 | Comments(0)
名優にして名監督のベン・アフレック(1972~ 監督・主演した「ザ・タウン」ならびに「アルゴ」、主演の「カンパーニー・メン」、「ゴーン・ガール」、弟のケーシー・アフレックは、「マンチェスター・バイ・ザ・シー」で、アカデミー賞
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主演男優賞受賞)は、2017年公開の新作「ザ・コンサルタント」(原題「The Accountant」会計士)で “クリスチャン・ウルフ” という新たなアンチ・ヒーローを創りあげました。
a0212807_12431350.jpg主演ベン・アフレック、監督(製作総指揮)ギャヴィン・オコナー(1964~)、脚本ビル・ドゥビューク(プロファィル不詳)、撮影監督シェイマス・マクガーヴェイ(1967~、2008年「つぐない」、2009年「ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ」の撮影監督)という才能が、コラボレーションして創りあげたなかなか コクのある作品です。
a0212807_12434272.jpg映画は、田舎町でしがない会計事務所を開いているクリスチャン・ウルフ(ベン・アフレック)に最新ロボット医療技術を開発した大企業から財務不正に関する極秘調査の依頼が、ありました。
会社財務(BS/PL)の巧妙な粉飾疑惑に気づいた経理担当のディナ(アナ・ケンドリック 1985~)が、CEO(社長)に直訴、CEOは、会計士クリスチャン・ウルフに財務調査の依頼をしました。
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ウルフは、ディナの指摘したとおり会社の重大な金融不正を見つけCEOに報告しますが、調査は、突然打ち切られてしまいました。
a0212807_12462769.jpgウルフは、その日から何者かに命を狙われるようになり、この粉飾疑惑に関わった人物が、次々に暗殺されました。
ウルフには、精神障害者施設で成長した誰も知らない過去につながる ‘二つの顔’ が、ありました。
ひとつは、世界各地の組織犯罪者や危険人物を顧客とする彼らの裏帳簿を仕切る(顧客からコンサルタントと呼ばれる)会計士のa0212807_12523258.jpg顔と、もうひとつ命中率100%のスナイパー(暗殺者)の顔を持っていました。
このことを極秘で捜査しているアメリカ商務省の犯罪調査局キング局長(J・K・シモンズ 1955~、2014年映画「セッション」でアカデミー賞助演男優賞受賞)と特別捜査官メディナ(シンシア・アダイ=ロビンソン 1985~)は、組織犯罪者や危険人物らと一緒に写真にa0212807_1254680.jpg映る得体の知れない男が、会計士のクリスチャン・ウルフであることを突き止めました。
最初、「ん!?」というシーンもあり主人公の会計士クリスチャン・ウルフの‘野暮ったさ’と相俟って、少しまったりしますが、これは、中盤から後半そしてクライマックス(エンディング)に続く布石です。
a0212807_1255125.jpg脚本(ビル・ドゥビョーク)が、実に緻密に練られ構成されており、内容の精神性も高く、ギャヴィン・オコナー監督(1964~)の演出とウルフを演じたベン・アフレック‘得意技’の無表情な顔(無感情な演技)と強靭な肉体のアンバランスは、すばらしく、意に添わないストレスを受けたときウルフが、過去(子供のころの記憶)にフラッシュバックして、高機能自閉症(アスペルガーa0212807_1259404.jpg症候群)であることを描いていくシーンは、秀逸です。
映画には、重要な見どころが、たくさんあります。
ウルフは、子供のころ精神障害者施設に入所し、それ以来生き別れになっていたウルフ最愛の弟プラクストン(ジョン・バーンサル 1977~、2015年映画「ボーダーライン」に出演)との意外な再会、ウルフが、子供のころからパニックになると呟くお呪(まじ)いのようa0212807_1323672.jpgな「ソロモン・グランディ」(イギリスの伝承民謡)は、兄弟の重要な絆であること、ジャクソン・ポロックやルノワール絵画の役割、さらにウルフからの指示をテキパキこなし同時に適切なアドバイスをする電話の向こうにいる極めてIQの高い優秀な “なぞの女性アシスタント” の存在などいくつかの物語が、最後に一つになる面白いサスペンス・アクション映画の佳作です。
# by blues_rock | 2017-07-11 00:01 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)