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心の時空

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a day in my life

オーストラリアの新鋭ガース・デイビス監督、初めての長編映画が、現在KBCシネマで公開中の「ライオン 25年目のただいま」です。
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長編映画にデビュー(初監督)し、いきなりこの「ライオン 25年目のただいま」のような‘質の良い作品’を撮れる才能ある若手監督は、そう多くないと思います。
a0212807_821387.jpg映画の原作は、サルー・ブライアリー(1981~、右写真)が、自分の実体験を綴ったノンフィクション自伝「25年目のただいま~5歳で迷子になったぼくと家族の物語」で、この実話をリアルに再現した映画です。
1986年、5歳のサルウ(子供時代、サニー・パワール 2009~、成人になりデブ・パテル 1990~)は、西インド、ヒンディー地方の炭鉱がある田舎町カンドワで文盲のa0212807_833663.jpg母親と兄妹3人、貧しいながらも幸せに暮らしていました。
ある日、兄と出かけたサルウは、駅のベンチで待つよう云われていたものの帰らない兄を待つうちに止まっていた回送列車の中で眠ってしまいました。
無人の回送列車は、2日2晩山岳地帯の見知らぬところを走り続け1,600㌔離れた東インド(ベンガル地方)の港湾都市コルカタ(カルカッタ)に着きました。
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道行く人たちに5歳の幼いサルウは、‘迷子’であることを必死になって訴えるもののヒンディー語しか話せないサルウの言っていることが、ベンガル語のコルカタ市民には、理解できませんでした。
a0212807_891144.jpg映画の前半は、幼いサルウのサバイバルが、描かれ、5歳の幼いサルウに降りかかる波乱万丈のエピソード(自伝にある実話)を挿入しながら展開していきます。
後半は、コルカタで路上生活している(ストリートチルドレンの)5歳のサルウが、孤児院に保護されタスマニアに住むオーストラリア人夫婦の養子になり、大切に育てられメルボルンの大学に進学しました。
a0212807_8112629.jpgサルウは、成長するにつれインドのどこかで自分のことを想い暮らしている実の母と兄妹のことが、気になるようになり、きっと ‘迷子’ になった自分を捜しているに違いないと思い始めていました。
ある日、パーティに招かれた家で幼いころ好きだったインドの揚げ菓子を見て微かな記憶が、よみがえり兄と別れたおぼろげな駅の名前と近くの給水塔を思い出しました。
a0212807_8125739.jpgサルウと同じ大学のインド人留学生が、記憶の断片を「Google Earth」で検索し辿(たど)っていけば、分かるかもしれないとサルウにアドバイスしました。
その日からサルウは、憑かれたように「Google Earth」を駆使しコルカタまでの列車の推定スピードや乗っていた日数(時間)から距離を割り出しながら、おぼろげな自分の記憶にある駅名とその近くの給水塔を捜しました。
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映画は、サルウに残る幼いころの記憶の断片をフラッシュバックさせながら、養子になった時から自分を大事に育て愛してくれた養母スー(ニコール・キッドマン 1967~)の心情やサルウを支える恋人ルーシー(ルーニー・
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マーラ 1985~ 「ドラゴン・タトゥーの女」、「キャロル」)の愛情も丁寧に描かれています。
突然いなくなった幼い息子が、帰って来ることを信じ、どこへも行かず25年間待ち続けた実母カムラ(プリヤン
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カ・ボセの母親役も秀逸 下段写真)、何よりこの映画で特筆すべきは、5歳の幼いサルウを演じた当時5歳のサニー・パワールが、映画の前半に見せる圧倒的な存在感(リアリズム)で必見です。
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オーストラリアの撮影監督グリーグ・フレイザー(1975~ 「ゼロ・ダーク・サーティ」)が、「Google Earth」 の検索機能をドラマの道具立てにして見せる衛星画像や俯瞰ショット(ズームアウト、ロング)のカメラワークも秀逸です。
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ちなみに映画のタイトル「ライオン 25年目のただいま」のライオンは、ヒンディー語で「シェルゥ」と言うのだとか、幼いサルウが、人から名前を訊ねられたとき自分の名前「シェルゥ(ライオン)」を正しく発音できず、「サルウ」と
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答えたことに由来し「サルウ(シェルゥ=ライオン) 25年目のただいま」となりました。
# by blues_rock | 2017-04-22 00:02 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
長年、私淑していた玄洋窯主人の冨永さんに、この春から押しかけ入門し、陶芸を学んでいます。
初日、工房に入るなり陶土(つち)の塊をどんと目の前に置かれ「ロクロ?手びねり?」と冨永さんから訊ねられ
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ましたので「手びねりで‥」と神妙にお願いしました。
東京から福岡に帰り、念願の金継ぎをするようになると ‘呼継ぎ’や‘共継ぎ’ はおろか、高台のある古陶片に
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は、刻苧(こくそ)で成形して金継ぎするようになり、やがて自分の好き勝手に作陶した茶碗や器にも金継ぎ(陶漆)したくなりました。
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安土桃山時代から江戸初期の博多の豪商にして有名な茶人であった神谷宗湛(1551~1635)は、利休の後継者であった茶人古田織部(1543~1615)好みの茶碗を「ヘウゲモノ也」と呼び宗湛日記に書き残していますが、
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そんな織部風の沓(くつ)茶碗や畏敬する本阿弥光悦川喜多半泥子の作陶した茶碗の写真を持参し、私は、とにかく「歪(いびつ)な形の茶碗」や「窯疵(かまきず)のある器」を焼成したいとロクロ名人の陶工 冨永さんにa0212807_7274657.jpg無礼な戯言(たわごと)と承知のうえでご指導をお願いしたところ、快く引き受けていただきました。
陶土(つち)を練り、塊を叩き、成形したかたちを歪ませ、削り、引っ掻き、釉を生がけし‥と、まだ窯に入れて焼成は、していないものの、少しずつ棚にならんでいく未完の傑作を眺めていると次第に妄想だけが、ビックバンのようにとめどなく広がっていきます。
そんなことを私が、働く高齢者介護施設で同僚の皆なに話していていると私の話を聞いていたケアマネージャーから「介護認定を申請したらどうですか? 介護度2は、いくと思いますよ。」と、真顔でアドバイスされました。
# by blues_rock | 2017-04-20 00:02 | 金継ぎ/古美術/漆芸 | Comments(0)
a0212807_19403592.jpg映画監督デビューから半世紀(50年)、真にリベラルにして社会派の映画監督であるイギリスの名匠ケン・ローチ監督(1936~)の最新作「わたしは、ダニエル・ブレイク(I, Daniel Blake)」でもローチ監督は、90歳になった今も筋金入りの強靭な、鋼(はがね)のような精神力を見せ敬服いたします。
製作のレベッカ・オブライエン(1957)、脚本のポール・ラバーティ(1957)、撮影のロビー・ライアンなどケン・ローチ監督あうんの常連組なのでローチ監督の演出は、年齢を感じず生き生きとしています。
「わたしは、ダニエル・ブレイク」は、「麦の穂をゆらす風」に続きローチ監督にとってカンヌ国際映画祭2度目の最高賞パルムドールを受賞となりました。
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映画のプロットは、イギリスの失業者や移民などの貧民層を取り巻く劣悪な社会環境やイギリス保守党政府が、強行する反福祉政策の現実を実話に基づいたストーリーで構成しつつもドキュメンタリーのようなカメラワーa0212807_19524646.jpgクにより映画は、リアリティに徹しています。
だからと云って映画は、金切り声をあげて声高に叫ぶのではなく、静かな視線で社会の底辺であえぐ弱者が、生きていくのに最低眼必要な食料やライフラインなど経済的なこと、持病を抱えた人たちの健康のことなど人間としての権利を奪われ追い詰められていくイギリスはおろか世界共通の貧困の現状を描いています。
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ローチ監督は、2014年の秀作映画「ジミー、野を駆ける伝説」を最後の作品と引退宣言していましたが、冒頭でもご紹介したとおり、鋼(はがね)のような筋金入りの正義感の強いローチ監督は、いまイギリスやEU始め世界a0212807_19544681.jpg中に蔓延している差別や階級格差、貧困にあえぐ人々の窮状を見過ごすことが、できず弱者同士の助け合いで‘何かが変わる’という普遍的なメッセージを伝えるためまるで遺言のような新作「わたしは、ダニエル・ブレイク」を撮ったのだろうと私は、推察いたします。
a0212807_19553996.jpg映画の主人公ダニエル・ブレイクは、イギリス北東部のニューカッスルで精神疾患のある妻を看病しながら40年間大工として働きうち妻も亡くなり、自分の心臓病が、悪化すると主治医のドクターストップで大工として働けなくなりました。
そのためダニエルは、失業保険の申請に職安へ行くと官僚的なスタッフから仕事を捜すよう冷たく言われました。
a0212807_1956936.jpg長年、大工として働いてきた誇りと自信をもつダニエルは、爆発しそうな怒りを抑え静かに「大工として40年働き税金も納めてきた。 これからも大工として働きたいが、心臓病のため働けないので失業保険の申請に来た。」と伝えました。
それなら福祉センターへ行き、国の生活支援制度の申請をするようたらい回しされました。
ダニエルが、福祉センターに行くと今度は、「あなたは、働けるはずです。 就労活動をした証拠書類の提出と(パソコンのできないダニエルに)PCサイトの様式により生活支援の申請をしてください。 こちらから後日連絡します。」とけんもほろろの回答で門前払いされました。
a0212807_19574831.jpgここでも冷静に行政スタッフとの交渉に臨んでいたダニエルでしたが、若いシングルマザー ケイティ(ヘイレイ・スクワイアズ 1988~)と2人の子供の移民家族への官僚的な態度を見たダニエルは、ついに堪忍袋の緒が、切れました。
妻を亡くし 一人暮らしのダニエルと移民のケイティ家族は、隣人として助け合ううちに親しくなりますが、ダニエルもケイティの家族もともに厳しい社会のa0212807_19595087.jpg現実に追い詰められていきました。
ダニエル・ブレイクを演じるコメディアンのデイブ・ジョーンズが、長編映画初出演ながらリアリティある秀逸な演技を披露、社会の底辺で、貧しくとも誇り(=自尊心)を失わず真面目に働き生活しようとするダニエル・ブレイクの姿をコミカルな不条理劇であるかのように演じ俳優としてのその優れた才能を私たちに披露してくれました。
 (右上写真 : 演出の確認をするケン・ローチ監督)
# by blues_rock | 2017-04-18 00:08 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
「ある天文学者の恋文」(原題「La corrispondenza」通信)は、イタリア屈指の名監督ジュゼッペ・トルナトーレ(1956~、何と云っても「ニューシネマ・パラダイス」は、映画史に残る傑作)が、2016年に撮った新作映画です。
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トルナトーレ監督は、2000年作品「マレーナ」で当時30代半ばであったイタリアの美人女優 モニカ・ベルッチ(1964~ )を素材(ミューズ)に‘美女礼讃’の映画を撮りましたが、2016年の新作「ある天文学者の恋文」では、a0212807_6173997.jpgウクライナ出身の、30代半ばでいま女性として最も美しい年ごろの美人女優 オルガ・キュリレンコ(1979~)を‘美女礼讃’の素材(ミューズ)に選び、今回‘天文学’という知的な遊び(ミステリー)も取り入れ、粋なロマンス映画にしました。
ボッティチェリやラファエロなど ルネッサンス期の天才画家たちは、目の前のヴィーナス(ミューズ)を見て、芸術家としての本能a0212807_6181430.jpg(衝動)が、作動し絵画に昇華させたようにトルナトーレ監督とて同じ芸術家本能に衝き動かされ映画という媒体に昇華させたのだろうと推察します。
映画は、オルガ・キュリレンコの一人舞台のようなもの‥初老の天文学者エド(ジェレミー・アイアンズ 1948~)と教え子である若い恋人エイミー(オルガ・キュリレンコ)とのロマンスを‘天文a0212807_6221815.jpg学’になぞらえ展開していきます。
トルナトーレ監督の演出が、撮影監督のファビオ・ザマリオン(1961~、2013年「鑑定士と顔のない依頼人」)の映像とトルナトーレ監督作品の不動の作曲家エンニオ・モリコーネ(1928~)の音楽と見事にコラボレーションし名ジャズメンのセッションのように融合しています。
a0212807_6233916.jpg若い天文学者のエイミーは、ある日突然、師であり恋人でもある天文学者エドの死をテレビのニュースで知り驚きました。
慌ててエドの携帯に電話しますが、彼の電話からは、いま電話に出れませんのメッセージが、あるだけでした。
悲嘆にくれているエイミーのもとにエドからのメールやスカイプ、さらに手紙やメッセージ付きの花束、宅配便によるプレゼントなどが、日付を更新しながら次々に届きます。
a0212807_625048.jpgこれは、一体どういうことなのか?
エドの死が、どうしても信じられないエイミーは、その真相を探るためにエドが、暮らしていたエディンバラを訪ねました。
天文学にたずさわる二人の恋愛(ロマンス)なので‘天文学’に関わる知識が、必要です。
a0212807_6252797.jpg1光年は、地球から9.5兆㎞離れたところから発せられた1年前の光のこと(私にはピンと来ませんが)、正に天文学的数字ながら 1 光年の星をいま地球で見ている私たちは、その星の一年前を見ていることになります。
今の瞬間、その星が、突然消滅しても地球にいる私たちは、1年間(365日の間)、その星が、宇宙に存在しているように“見える”のです。
a0212807_6261322.jpg私たちは、普段太陽から届く光を‘8分前の光’であると意識しませんが、リアルタイムでいうと確かに8分の誤差は、あるのです。
40年前の1977年にアメリカ(NASA)から飛び立った宇宙探査機ボイジャー1号が、1光年の距離(9.5兆㎞)まで行くには、私たちの地球時間でなんと 18, 000年!かかります。
a0212807_6265957.jpg銀河系(天の川、上写真)の直系は、10万光年だとか、私たちが、肉眼で見ることのできる最も遠いアンドロメダ銀河(1兆個の太陽=恒星が有ると推察される天体、左写真)は、地球から 250万光年‥だそうです。
ともあれビックバンし続ける宇宙にあって物質の最小単位である素粒子の大きさにも届かない “しがない人間”が、抱える愛や人生なんてすべて ‘この時間のズレ’のようなもの‥ならば、アインシュタイン博士やホーキンス博士のような頭脳を持ち合わせていない“ズレた私たちa0212807_6274896.jpg凡人”は、ありのままを受け入れて、私たちの瞬時(瞬きのような人生)にめぐり遭った愛や美など心が、感動(官能)する幸せを享受し、その人生に感謝して生きていくだけのように私は、思います。

(右写真 : ジュゼッペ・トルナトーレ監督と女優オルガ・キュリレンコ)
# by blues_rock | 2017-04-16 00:16 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
私は、今年の 金継ぎ工芸会作品展 に古唐津「山盃」(梨子地銀青貝蒔絵こちら下段の浅葱梨子地銀 ならびに共継ぎと呼継ぎの山盃) 4点を根来塗の敷板(こちら の下段参照)に置いて出品することにいたしました。
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大木を輪切りにした素朴な木目のある置き台にも置き、どちらにしようかと迷いましたが、艶やかな梨子地銀拭漆(浅葱梨子地と青貝蒔絵)との相性を比べてみて根来塗の敷板にしました。
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拙ブログにお立ち寄りいただいた皆様方には、両方ご覧いただきたいと思います。
山盃は、安土桃山から江戸初期にかけて焼成された酒杯(盃・ぐい呑み)のルーツです。
a0212807_135579.jpg当時、肥前(佐賀・長崎)に数多あった古唐津窯の陶工たちが、山盃を普段使う自家用の酒杯として焼成しました。
その素朴な作為のない味わいが、今でも山盃ファンの心を惹きつけています。
この初期伊万里の猪口は、ピルケース代わりに私が、食前食後、服薬しなければならない薬をまとめて入れて、愛用しているお気に入りの逸品です。

「金継ぎ工芸会作品展2017」の会期・会場などの詳細につきましては、こちら をご覧ください。
# by blues_rock | 2017-04-14 00:14 | 金継ぎ/古美術/漆芸 | Comments(0)
子供のころ日本のアニメ映画やTVゲームに熱中して育ったとしか思えないアメリカンオタク世代のジョーダン・ヴォート=ロバーツ監督(1984~)が、「キングコング」をゴジラのような怪獣に設(しつら)えて撮ると‘なるほど、
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こうなるのか’と妙に納得する痛快B級 怪獣SFパニック映画ながら、映像のすばらしくは、‘さすが、映像オタク世代監督’と感心させられる映像で 最新VFX技術を駆使した映像だけで云うと‘A級’の映画でした。
a0212807_20435549.jpg「キングコング」といえば、1933年当時、無声(サイレント)映画の全盛期に、巨大類人猿のキングコングが、美女(フェイ・レイ 1907~2004)を片手に抱え超高層のエンパイアーステート・ビルディングによじ登り、複葉飛行機を叩き落とすという画期的な特殊撮影により、ハラハラドキドキのエンタメサービス精神タップリの原始パニック映画を懐い出します。
a0212807_20472978.jpgその後、「キングコング」は、何度もリメイクされ、キングコングとからむ美女たちも1976年 ジェシカ・ラング(1949~)、1986年 リンダ・ハミルトン(1956~)、2005年 ナオミ・ワッツ(1968~)と変わり、2017年の最新作「キングコング 髑髏島の巨神」(Kong Skull Island)では、ブリー・ラーソン(1989~ 「ルーム」アカデミー賞主演女優賞受賞)が、演じています。
a0212807_20475515.jpg最新作のキングコングは、髑髏島で巨神と崇められている身長30㍍、体重300㌧のクリーチャー(怪物)です。
髑髏島では、得体のしれないサイキックな原住民や探検隊を襲う巨大なトカゲのような怪獣(キングコングの天敵)、怪鳥、巨大水牛、巨大タコなど数多のクリーチャーが、共棲していました。
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「キングコング 髑髏島の巨神」の時代設定は、1973年でランドサット人工衛星の捉えた髑髏島が、気象環境の険しい人を寄せ付けない南海の孤島になっています。
a0212807_211817.jpg映画は、日本アニメ映画やゲーム映像の影響を受けたジョーダン・ヴォート=ロバーツ監督が、スピルバーグ監督の「ジュラシック・パーク」やコッポラ監督の「地獄の黙示録」への個人的なオマージュと併せ、自分の好きな映画からお気に入りのシーンを取り出して構成しているので空想SFの漫画チックなリアリティを感じない怪獣パニッa0212807_2114968.jpgク映画(ヴォート=ロバーツ監督はワクワクしながら撮っていたと推察)になっています。
まあ、クリーチャー(怪物や化け物)の登場するSFパニック映画にリアリティなど能書きを求めるほうが、野暮と云うものでしょう。
映画のエンディング・クレジットに入ると帰る観客も大勢いましたが、映画制作会社もイジワルなことするもの‥a0212807_2131043.jpgクレジットの終わりに、この映画「キングコング 髑髏島の巨神」の続編らしき 最新VFX映像によるSF怪獣パニック映画の次回作「コジラ」(Godzilla)を、さらにその続編として2020年には、日本映画版「キングコングとゴジラ」を最新VFX撮影技術でリメイクするとしいうウルトラSF怪獣パニック映画の製作を予告していました。
# by blues_rock | 2017-04-12 00:02 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
「自分が、何なのか? 自分は、何になるのか? すべて自分で決めるのだ。 絶対他人に決めさせるな!」とシャロン少年を励ます麻薬ディーラーのフアン(マハーシャラ・アリ 1974~ アカデミー賞最優秀助演男優賞受賞)、a0212807_21163337.jpgシャロンにいつもやさしいフアンの妻テレサ(ジャネール・モネイ 1985~)、シャロンを愛しつつもネグレクト(育児放棄)し麻薬常習者ゆえに感情のまま虐待する母親のポーラ(ナオミ・ハリス 1976~)などシャロンの成長に関わる出演者たちも演技力抜群の俳優ならびに女優ばかりです。
a0212807_21165575.jpgそして、映画のもう一つの見どころは、映像の美しさです。
撮影監督ジェイムズ・ラクストンが、撮った映像をポストプロダクションでカラーリストのアレックス・ビッケル(1982~)は、「月の光の下で黒人の少年が、青く光って見える」トーンに色彩加工、そのため登場人物(全員黒人)の肌が、ブロンズ彫刻のように美しく
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輝いて見えます。
音楽(サウンドトラック)もまた秀逸です。
a0212807_21214641.jpg音楽監督のニコラス・ブリテル(1980~)は、同じメロディをリトルからシャロンそしてブラックと次第に成長するごとに変奏(アレンジ)し、その姿が、変わってもアイデンティティは、変わらないことを音楽でも表現しています。
ピアノとヴァイオリンのアンサンブルもすばらしくシャロンの心が、揺れるときヴァイオリンの音色は、トレモロでa0212807_21221720.jpg震え、彼の心の動きと哀感を見事に表現しています。
「ムーンライト」の脚本に惹かれたブラッド・ピット(1963~)が、製作総指揮を担っています。
ゲイの映画で私の記憶に残るのは、1997年のウォン・カーウァイ監督作品「ブエノスアイレス」、2002年のトッド・ヘインズ監督作品「エデンより彼方に」、2006年のアン・リー監督作品「ブロークバック・マウンテン」、2015年
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のトム・フーパー監督作品「リリーのすべて」とトッド・ヘインズ監督作品「キャロル」で、この5作品とも名作ながらアカデミー賞最優秀作品賞を逃しています。  (下写真 : ジェンキンス監督と撮影のジェイムズ・ラクストン)
a0212807_21251620.jpg「ムーンライト」は、ゲイ(LGBT)を主題とした映画として初めてアカデミー賞最優秀作品賞に選ばれました。
人種と性に対し偏狭な暴言を恥ずかしげもなく繰り返すゲスな大統領のいるアメリカで映画人たち(6、500名のアカデミー会員)は、「ムーンライト」をアカデミー賞の最優秀作品賞に選び全世界の映画ファンとアメリカの有権者に「人の品性とは、何か」という品格あるメッセージを送りました。
# by blues_rock | 2017-04-10 00:10 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
アメリカ映画の新鋭バリー・ジェンキンス監督(1979~ 現在38歳)が、発表した「ムーンライト」は、ジェンキンス監督の長編2作目の作品ですが、いきなり映画史に残る名作映画(アカデミー賞の作品賞・脚色賞・助演男優賞
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の 3部門で最優秀賞を受賞)を撮りました。
映画のプロットは、マイアミのアフリカ系アメリカ人(つまり黒人)の多くが、住まう貧困地域、その中でも麻薬にa0212807_20564036.jpg汚染された危険な地帯で自分の居場所とアイデンティティを捜しながら成長していくゲイ(LGBT)の黒人少年シャロンの物語です。
映画は、三章からなりリトルと呼ばれる少年期(アレックス・ヒバート)、シャロン(渾名ブラック)と呼ばれる青年期(=ティーンエイジャー期 アシュトン・サンダース)、自らブラックと名のる成人期(トレヴァンテ・ローズ)の3つの時代で構成され物語のa0212807_20574785.jpgコア(映画の軸)となる‘主人公のゲイである内面(アイデンティティ)’が、終始一貫ぶれることは、ありません。
アフリカ系アメリカ人(黒人)のジェンキンス監督自身は、ゲイ(LGBT)ではありませんが、主人公シャロンの内面を良く理解しゲイであるシャロンのアイデンティティを丁寧に描いています。
a0212807_20583644.jpg映画に出演しているのは、全員黒人俳優で、シャロンの少年期・青年期・成人期を演じた3人の俳優が、三者三様にすばらしく、シャロンは、ゲイ(LGBT)であることを幼くして自覚していますが、そのアイデンティティを隠しながら自分の居場所を捜し成長していきます。
地域社会に蔓延する‘ホモフォビア(ゲイ嫌悪感情)’というキリスト教の因習やアメリカの伝統的な家族社会のa0212807_2113657.jpg政治的背景からくる人びとの差別や偏見、虐待(いじめ)に苦しめられるシャロンは、いつも孤独で「自分は、いったい何者なのだろう?」と内向する姿が、切なく見る者の胸を打ちます。
ティーンエイジャーになったシャロンは、幼いころからのただ一人の友だちであるケヴィンに次第に友情以上の想いを抱くようになって行きます。
a0212807_2131360.jpgリトル・シャロン・ブラックとそれぞれの章を三人の俳優が、ジェンキンス監督の秀逸な演出のもと、いつも俯(うつむ)いているシャロンの雰囲気や彼の目の表情(眼ざし)に自分のアイデンティティを捜し成長していくシャロンを演じ、撮影中、ジェンキンス監督は、シャロン役の俳優3人を会わせないでリアリティある自然な演技を指導しました。
a0212807_21932100.jpg「ムーンライト」(Moonlight)は、非常に地味なヒューマンドラマです。
麻薬汚染されたアメリカの小さな貧困社会で成長していく一人のゲイ(LGBT)の黒人少年が、たった一つの愛を逆境の中で月明かりのように胸に秘めて生きてきたことをジェンキンス監督は、映画を見る者に同期させ、一緒に考えて欲しいとメッセージしているように思いました。 (後編に続く)
# by blues_rock | 2017-04-08 00:08 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
a0212807_19353133.jpg鎹(かすがい、右写真)とは、今のような強力な接着剤のない時代に、木材や石材を繋ぐために利用された金属の接着材です。
陶磁器の食器が、昔まだ庶民にとって貴重な生活用品であった時代、中国(清朝~現代、1999年中国映画「初恋のきた道」の劇中に茶碗を鎹修理するシーンがあります)や日本(江戸時代~昭和初期)では、大事な陶磁器が、割れると ‘鎹(かすがい)直し’で修理し再使用していました。
鎹(かすがい)修理で特に有名なのが、国立東京博物館にある国宝「青磁茶碗 馬蝗絆(ばこうはん)」にまつわる逸話(こちら 記事半ばから終わりまで)です。
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日本では、室町時代に茶の湯が、生まれると陶の茶碗は、茶人に大切に扱われ‘金継ぎ’が、誕生しました。
江戸時代には、生活用の磁器(茶碗・皿・鉢、湯呑や猪口)が、普及し始めるもまだまだ庶民には、高根の花で、a0212807_19501744.jpg大名や武士階級、裕福な商人たちが、日常生活に磁器を使用し始めました。
そして磁器が、割れると「鎹(かすがい)直し」や「焼き継ぎ」で修理し、子から孫へと大事に伝承されてきました。
さて、私の手元にある「古伊万里 花鳥文色絵 八角鉢(径14㌢、高8㌢)」には、4つの鎹が、施されています。
左写真の「古伊万里 胡蝶文 色絵猪口(径6.5、高5.5)」は、小さいながら10の鎹修理が、施されていました。
残念なことに胴が、少し欠けていて、私は、色合いから金継ぎではなく、「銀継ぎ(本銀直し)」にしました。
a0212807_19533333.jpg根来塗敷板(横28㌢、縦20㌢)は、4月17日(~4月23日)から始まる金継ぎ工芸会作品展に私が、出品する ‘山盃’ を並べるために制作しました。
材料は、揖保の糸 素麺の蓋板を布(ガーゼ)と錆漆さらに下地漆で整え、本消呂漆と赤漆を交互に塗り(拭いて)仕上げました。
私たちの周囲には、ポイ捨てするに惜しい道具類や生活財が、結構あり、ホームセンターに行けば、木目の美しい板が、安価な値段(百均ショップなら桐材を推奨)で並んでいます。
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お気に入りの板を買い、Tシャツなど古着の布切れに生漆をつけて拭いて乾かす作業を繰り返すだけ、極薄の使い捨てゴム手袋をつければ、漆かぶれもなく、あなたもまわりを唸らす漆芸家になれること請け合います。
# by blues_rock | 2017-04-06 00:06 | 金継ぎ/古美術/漆芸 | Comments(0)
正にフランス映画の名匠と呼ぶにふさわしい異才ジャック・オーディアール監督(1952~)の映画を私が、初めて見たのは、2009年作品「預言者」(原題 Un prophète)でした。
a0212807_2353842.jpgこの映画「預言者」が、醸し出す特異なテンション(主人公のアナーキーな雰囲気、)に惹き込まれ、2005年の「真夜中のピアニスト」(原題 De battre mon coeur s'est arête)以降の作品 ~ 2012年の「君と歩く世界」(原題 De rouille et d'os)、2015年の「ディーパンの闘い」(原題 Dheepan)とオーディアール監督作品を見ましたが、いずれもお勧めしたい秀作映画です。
オーディアール監督演出の特長である‘精神の表情’を撮るカメラも抜群で、名撮影監督ステファーヌ・フォンテーヌ(「ディーパンの闘い」は、女性撮影監督エポニーヌ・モマンソー 1985~)は、オーディアール監督の演出を‘どう撮れば良いのか’先刻承知といった感a0212807_20574279.jpg性で演じる俳優(女優)たちの感情の機微(表情のニュアンス)を秀逸な映像で撮影しています。
併せて、どの映画の出演者たちも個性豊かで抜群の演技力をもつ俳優(女優)ばかり‥「映画の質は、監督、脚本、出演者で決まる」は、私の持論ながらカメラもふくめオーディアール監督の作品が、すべて秀作なのは、うなずけます。
a0212807_20582435.jpg2009年作品の「預言者」は、カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞、人種対立の激しい刑務所に入所した新入り受刑者で無学な19歳のアラブ系フランス人青年マリクが、命の危険にさらされながら獄中を生き延び、次第に権力を握っていく過程を描いています。
主人公のアラブ系青年マリクを熱演したのは、当時無名の若手俳優タハール・ラヒム(1981~)で、この映画で一躍有名になりました。
コルシカ系ギャングのボスを演じたのが、オーディアール監督作品に無くてはならないベテラン俳優ニエル・アレストリュプ(1949~)でいつもながらの風格ある渋い演技で存在感を出していました。
a0212807_20585318.jpg「預言者」の前作が、2005年作品の「真夜中のピアニスト」で、この映画(こちらが先ながら)にもニエル・アレストリュプは、出演し怪しげな不動産ブローカー業を営む主人公トム(ロマン・デュリス 1974~ 1997年映画「ドーベルマン」に出演)の父親役で出演、フランスに暗躍するロシア人悪徳資産家の債務に苦しむ父のロベールを好演しています。
a0212807_20593177.jpgトムは、子供のころに挫折したピアニストへの夢が、ふとしたきっかけで目覚め、仕事もそっちのけでのめり込み、狂気と紙一重への精神状態に陥っていく青年トムをロマン・デュリスが、熱演しています。
2012年作品「君と歩く世界」(原題の De rouille et d'os は「錆と骨」という意味)の見どころは、今やフランスを代表する名女優になったマリオン・コティヤール(1975~)と同様にベルギーを代表する名優であるマティアス・スーナールツ(1977~ 「闇を生きる男」主演、「クライム・ヒート」主演、「リリーのすべて」出演)二人の秀逸な演技です。
マリオン・コティヤール演じるシャチの花形調教師であったステファニーは、ショーの最中に事故に遭い両足膝a0212807_212152.jpgから下を切断、精神的な喪失感から生きる気力を失くしていました。
マティアス・スーナールツ演じる失業中のシングルファーザーアリは、人間的な欲望を一切隠さずそして何も考えない粗野な行動が、親戚縁者たちから疎まれていました。
a0212807_2133153.jpgそんな二人が、出遭い、殺伐とした社会と人間関係の中でステファニーとアリは、剥き出しの感情をぶつけ合い、そんな二人を包み込む陽の光の美しい映像が、瑞々しい生命の躍動感を際立たせています。
まわりの人びとは、両足に義足を着け松葉杖が、ないと歩けない失意のステファニーを憐れむような目で見ますが、アリは、彼女に同情することも哀れむこともせず、「両脚がない? それがどうした!?」 とばかりステファニーを口説き、外に連れ出し、セックスし終わると「セックスしたくなったらa0212807_21184657.jpgオレを呼んでくれ」とさっさと帰ります。
ステファニーは、そんなアリに愛想尽かしますが、粗野ながら孤独なアリは、号泣しながら自分の気持ちを剥き出しにして「見捨てないでくれ」とステファニーにすがりつきます。
オーディアール監督の最新作2015年作品「ディーパンの闘い」については、こちら をご覧いただけると光栄です。
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# by blues_rock | 2017-04-04 04:04 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)