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心の時空

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a day in my life

a0212807_20252459.jpgフランス近代画家の映画を続けますが、良い映画なのでお付き合いくださると光栄です。
今年(2017年)公開されたフランス映画「セザンヌと過ごした時間」のセザンヌは、いまでこそ‘近代絵画の父’と称賛されるポール・セザンヌ(1839~1906)その人ですが、画家としての人生は、不遇で銀行家の父親と中学校以来の親友であったフランスの文豪エミール・ゾラ(1840~1902)からの支援を受けて画家として生活していました。
「セザンヌと過ごした時間」は、タイトルから分かるとおりゾラの視点からセザンヌと過ごした人生の時間が、描かれています。
セザンヌは、フランス‘印象派’の画家たち、エドゥアール・マネ(1832~1883)、クロード・モネ(1840~1926)、a0212807_2027022.jpgオーギュスト・ルノワール(1941-1919)などと一緒に(反芸術アカデミー=サロン落選展グループの)‘印象派’運動を推進しますが、サロン展への出品を認めない反サロンのエドガー・ドガ(1834~1917)たちと対立、それ以降印象派展への出品を止めパリを去り故郷のエクス=アン=プロヴァンスに隠遁、そして生涯をそこで過ごしました。
a0212807_20302877.jpgちなみにセザンヌは、ゴッホに繋がる「ガッシュ博士」や「ダンギー爺さん」と親しかったようで劇中に画材店主だったダンギー爺さん(こと ジュリアン・フランソワ・タンギー 1825~1894)が、登場します。
パリ・コミューンにも参加した画材店主兼画商のダンギー爺さんは、当時すでに少しずつ売れ始めていた印象派の画家たちとまたa0212807_2031115.jpg違った強烈な個性(オリジナリティ=芸術の本質)をもつセザンヌやゴッホ、ゴーギャンなど売れない貧しい画家たち(とくに後年「後期印象派」と呼ばれた画家たち)の絵を買い上げ(というより画材提供の代わり絵を引き取っていた)経済的に彼らの制作と生活を支援していました。
a0212807_20314820.jpgゴッホやゴーギャンは、ダンギー爺さんの店でセザンヌが、置いて行った作品を見て絵の(とくに構図の)勉強していたとの言い伝えも残っています。
当時ほとんど絵の売れなかった極貧の画家たちの作品をどんどん購入したダンギー爺さんの目利きぶりは、現在彼らの絵が、1枚100億円単位で売り買い(オークションされている)ことをa0212807_20322892.jpg考えるとジャンケン後出しのコレクター(投資家)の多さに呆れ果てます。
ダンギー爺さんのような役割こそ真の美術コレクター(数寄者=資産家)なのですが、金あまりの現代においてもお目にかかれず残念至極 ‥ 貧乏人の歯軋りながら今は貧しくとも才能のある若き芸術家の作品を目利きし彼らのパトロンになることこそ美術コレクター究極の喜悦(よろこび)だろうと思います。
a0212807_2032588.jpgこの「セザンヌと過ごした時間」は、モナコ出身のダニエル・トンプソン監督(1942~)の演出とフランスの名撮影監督ジャン=マリー・ドルージュ(1959~、1999年「クリクリのいた夏」、2000年「フェリックスとローラ」、2007年「画家と庭師とカンパーニュ」など多数)のカメラが、コラボレーションした見事な映画で、当時のエクス=アン=プロヴァンスにタイムスリップしたような美しい映像は、映画を見る私たちもそこにいるような感動を与えてくれます。
a0212807_20332396.jpgエミール・ゾラ役が、ギョーム・カネ(1973~)、ポール・セザンヌ役は、ギョーム・ガリエンヌ(1972~)と二人のギョームが、演じる友情と対立の物語は、当時のフランスの歴史(フランス近代史=日本の幕末から明治中期)的背景を知る良い機会と思います。
# by blues_rock | 2017-12-30 00:03 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
高砂2丁目にあった私お気に入りのチャンポン店「ちゃんぽん かい乃」が、休店して早や半年、福岡市街に‘チャンポン’の看板を見て入っては、みるもののなかなか私好みのチャンポンに出遭えませんでした。
a0212807_14233826.jpgそんな時、六本松1丁目節魚すし宗の前にある「大島ラーメンあづまや」のチャンポンに出遭いました。
本店は、長崎県西海市の大島にあり、島の人たちに半世紀余り親しまれてきたラーメン店で六本松に「大島ラーメンあづまや福岡店」として今年6月オープン、あっさりとした鶏ガラスープに本物のチャンポン麺とシャキシャキした野菜の食感が、相俟って私のお気に入りであった「ちゃんぽん かい乃」のチャンポンを懐い出しました。
拙ブログでご紹介しようと写真を撮っていたらどこからともなく私の名前を呼ぶ女性の声 ‥ 姿が、見えないのでキョロキョロ辺りを見回していたら道路の車中より博多漆芸研究所の先生の声でした。
年明け早々、六本松で新生博多漆芸研究所が、装いも新たにスタートしますのでこの年末年始、その準備に大忙しのご様子でした。
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旧くからの住宅街である六本松1丁目界隈を‘裏六本松’と呼ぶそうな ‥ 昭和レトロな街並みに新旧いろいろなジャンルのお店や施設が、並び昼夜を問わず面白い街(エリア)になりそうです。
# by blues_rock | 2017-12-28 23:28 | 柏原生活/博多叙景 | Comments(0)
a0212807_2165131.jpg言わずと知れたフランスの画家オーギュスト・ルノワール(1841~1919)が、最晩年(1915年)に過ごしたプロヴァンス地方カーニュ=シュル=メールでの制作の様子を描いた映画です。
脚本と監督のジル・ブルドス(1963~)は、リューマチの悪化により、動かなくなった手に絵筆をしばり付けて最晩年の有名な絵「水浴びする女たち」などを描く画家ルノワールの日々をリアルに表現しています。
台湾の名撮影監督 李屏賓(リー・ピンビン 1954~)のカメラが、すばらしくリューマチによる満身創痍の体を奮い立たせて制作(美の創造)に執着する最晩年の画家ルノワールの姿をルノワール・カラーの美しい映像で撮っています。
a0212807_2203832.jpg映画には、登場しませんが、カーニュ=シュル=メールのルノワールのアトリエ(別荘)には、若き日のマチスやピカソ、ボナールなどベル・エポック時代のパリで活躍する絵描きたちが、集っていました。
余談ながら私の好きなルノワールの絵は、スイス、ウィンタートゥールのオスカーワインハルト美術館にある「眠る裸婦」ですが、門外不出なので日本では、見ること叶わずスイスのウィンタートゥールに行かなければ、見ることができません。
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映画は、病気のルノワール夫人が、亡くなる前に夫オーギュスト・ルノワール(ミシェル・ブーケ 1926~)のためにモデルの依頼をしていた美しい女性デデ(クリスタ・テレ 1991~)が、現われるところから始まります。
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ルノワール本人も彼の世話をする家政婦のガブリエル(ロマーヌ・ボーランジェ 1973~)の誰も知りませんでしたが、ルノワールは、デデの奔放な若さと美しさに惹かれ創作意欲を駆り立てられました。
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戦争に出征していた次男のジャン(ヴァンサン・ロティエ 1986~、2015年秀作映画「ディーパンの闘い」に出演)が、負傷し療養のために帰郷、リューマチで手足の不自由な父ルノワールの制作助手をするようになりジャンも
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またデデの美しさに惹かれ、二人は、愛し合うようになりました。
この映画に登場する次男のジャンは、後に有名な映画監督となるジャン・ルノワール(1894~1979)で、ルノワー
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ルのモデルとなったデデが、ジャンと結婚しジャン・ルノワール監督作品の主演女優を務めたカトリーヌ・エスラン(1900~1979)です。
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傷の癒えたジャンが、戦友を戦地に残して来た後ろめたさから空軍に志願し再度戦地に赴く決意をするとデデは、ジャンが、自分と映画を撮る約束したのに裏切られたと思い、ルノワールのモデルを辞めて出て行ってしまa0212807_2314618.jpgいました。
父ルノワールには、デデが、必要と考えたジャンは、彼女を説得、再びモデルとして呼び戻すと父ルノワールとデデをカーニュ=シュル=メールに残し戦地に赴き映画は、終わります。

(右絵 : ガブリエルとジャン)
# by blues_rock | 2017-12-26 00:06 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
スペインの俳優にして脚本家ラウール・アレバロ(1979~)の初監督作品「静かなる復讐」(2013年スペイン映画原題「Tarde para la ira」 激怒するには遅すぎる)は、2014年のスペイン映画「マジカル・ガール」と同じタイプの
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ダークでノワールなサスペンス・スリラー映画です。 (下写真 : 撮影中のラウール・アレバロ監督)
「静かなる復讐」は、スペイン映画賞(ゴヤ賞)において、作品賞・脚本賞・助演男優賞・新人監督賞を受賞してa0212807_15441019.jpgいます。
映画で主人公のホセを演じた名優アントニオ・デ・ラ・トーレ(1968~、2013年秀作映画「カニバル」の演技もすばらしい)の怨念を心に秘め寡黙にして顔の表情ひとつ変えずに復讐していく演技は、見事でゴヤ賞の主演男優賞を受賞していないのが、不思議なくらいです。
a0212807_15525257.jpgストーリーは、章立てで展開、ホセの妊娠中の妻が、宝石店にいる時、眼出し帽をかぶった数人組の強盗と遭遇し犯人の一人が、理不尽に彼女を射殺しました。
主犯格の男は、捕ったものの共犯者が、逃亡し妻を射殺した犯人は、分からないままでした。
a0212807_155573.jpg愛する妻を失ったホセは、その日から犯人に復讐を誓うと同時に絶望感に苦悩する歳月を過ごしていました。
ある日、とある町の小さなバーを寡黙なホセが、訪ねそれ以来、ホセは、時おりそのバーに行き、バーを切り盛りする女性アナ(ルス・ディアス 1975~)を静かに見つめていました。
a0212807_160978.jpgアナもそれに気付き無視していましたが、寡黙なホセに興味をもち二人は、次第に親しくなり関係を持ちました。
やがて、アナの夫が、刑務所から出所するとホセは、バーでアナの夫に近付きました。
アレバロ監督は、ホセの怨念(復讐心)を渋いリベンジ・スリラーとして描きロード・ムービー風な筋立てで見ている者を惹き込んでいきます
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ホセを演じるアントニオ・デ・ラ・トーレの感情を押し殺しながら次第に怒りが、こみあげ爆発しそうになる目の表情(被害者遺族の物言わぬ‘怒り’の演技)は、リアリティ抜群です。
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アントニオ・デ・ラ・トーレは、無表情なホセの感情をすべて“目”で表現、スペインを代表する名優の真骨頂を見せています。
# by blues_rock | 2017-12-24 00:04 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
ふと思い立って今月の週末二週続けて‘三瀬街道’を探訪してみました。
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強いて目的が、あったとすれば、三瀬峠を越えて(三瀬トンネルを抜けて)500㍍くらいのところにある「風羅坊」の十割そばを食べること、「アンティークモール」と「ヴィレッジアンティーク」で、‘呼び継ぎ’用の磁器陶片を探a0212807_11332255.jpgすためでした。
アンティークモールとヴィレッジアンティークは、同じ方が、オーナーながらアンティークモールは、和洋折衷の日用雑貨やアジアン雑貨のアンティークショップのような趣で、ヴィレッジアンティークのほうが、骨董店というより中古洋食器やガラス器ほかアンティークモールより一段上の瀟洒な器の並ぶアンティークショップでした。
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その前、三瀬峠に向かう途中の早良区石釜に「クラフトの店 梅屋」(下写真)が、あるので立ち寄り、御主人と工芸談議するもイヤな顔一つされず収蔵品をたくさん見せてくださいました。
a0212807_11342415.jpgその後、三瀬トンネル(2.4 km)を抜けてすぐのアンティークモールとヴィレッジアンティークに立ち寄りました。
一週目は、「西国御領 風羅坊」で‘自然坊’陶の器を見ながら十割そばを、二週目が、「三瀬そば」に行く予定を突然変更、街道途中に‘シシリアンライス’と掲示したレストランに興味を覚えとっさに飛び込みました。
‘シシリアンライス’とは、三瀬野菜をふんだんに盛ったサラダにジビエの一つシシ肉(イノシシ)とブルーベリー
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をトッピングしたライスと云った風情のランチ(yami-Yami! ネーミングが面白い)でした。
三瀬トンネルから古湯温泉、佐賀市内へ向かう三瀬街道は、「三瀬そば街道」としても有名で美味しいそば処が、数
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多く並んでいます。
冬の季節、三瀬街道は、雪や道路凍結で通行止めになることも多く、春になったら三瀬そば街道の全そば店を
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食破したいと思っています。
感想は、拙ブログ(カテゴリ「柏原生活 /博多叙景」)にて随時掲載したいと思いますので蕎麦が、お好きの方
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は、ご期待ください。
# by blues_rock | 2017-12-22 00:02 | 柏原生活/博多叙景 | Comments(0)
ハリウッド(ワーナー・ブラザース)製作の新作韓国映画「密偵」(原題「The Age of Shadows」)を見てから2か月ばかり‥映画の見どころをどこに力点を置いて書こうか ‥ 日本と韓国の哀しい歴史か、日本警察と韓国独立組
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織義烈団とのスパイ・サスペンスかと迷っているうちに月日が、過ぎてしまいました。
「密偵(スパイ)」は、この夏見た「お嬢さん」と同じ旧帝国主義軍事国家の日本が、1910年朝鮮半島を領有(日a0212807_7405153.jpg韓併合=植民地)し、朝鮮総督府の統治のもと1945年の日本敗戦までの35年間、朝鮮半島を支配していた時代の歴史映画です。
現在も従軍慰安婦問題が、韓国と日本の外交問題として根深く刺さった瑕疵(トゲ)として残るのは、正しくこの時代の出来事です。
韓国では、今でも韓国併合の元凶(チンイルパ=国族、売国奴)として李完用(りかんよう 1856~1926、チンイa0212807_744178.jpgルパの代名詞、大韓帝国最後の内閣総理大臣)のほか親日反民族行為者として李氏朝鮮王族、閣僚、国会議員、朝鮮総督府官吏、日本軍将兵など1、000人余りの韓国人が、チンイルパ(国族、売国奴)として怨念と憎悪の対象になっています。
ともあれ、終戦時10歳だった方たちもいまや82歳、まして戦後(1945年)生まれの人も72歳、軍人や徴兵兵としてあの忌まわしい戦a0212807_7444849.jpg争に駆り出された人たちもほとんどが、鬼籍に入り従軍慰安婦問題も韓国と日本の‘戦争を知らない世代’間の不幸な対立(マスコミが煽るので余計深い溝)となっています。
誰が、誰に謝罪するのか ‥ この歴史の瑕疵を乗り越えなければ、永遠に両国間の友誼は、得られません。
a0212807_7453562.jpg対立と紛争に与するのは、戦争を煽る連中に加担することで好都合、良識ある韓国と日本の国民が、望んでいる未来の国の姿とは、思えません。
さて、前置きは、これくらいにして映画の紹介をしますと監督が、韓国映画を代表する巨匠キム・ジウン監督(1964~ 2010年「悪魔を見た」)、製作スタッフも撮影監督キム・ジヨンほか精鋭揃い(公式サイト こちら)です。a0212807_749912.jpg
主演は、朝鮮総督府の日本警察イ警部を名優ソン・ガンホ(1967~、1999年「シュリ」、2000年「JSA」、2002年「復讐者に憐れみを」、2009年「渇き」など韓国を代表する名監督作品に出演)、イ警部と対立するも心を通わせていく義烈団リーダーのキムにコン・ユ(1979 2013年「サスペクト 哀しき容疑者」)、そして二人に関わるのが、義烈団メンバーの女をハン・ジミン(1982~)、
a0212807_7501737.jpg義烈団を徹底して取り締まる日本警察の警務局部長ヒガシに鶴見辰吾(1964~)、ヒガシの部下で同僚のイ警部を密通者として疑うハシモト警部をオム・テグ(1983~)、義烈団の団長チョンに名優イ・ビョンホン(1970~)と見応えがあります。
ジウン監督は、大日本帝国の大韓帝国併合から10年経った1920年の京城(現ソウル)を舞台に大韓民族独立の地下組織義烈団とa0212807_7505919.jpg日本警察との熾烈なエスピオナージ(諜報活動)攻防を描き、日本警察イ警部(ソン・ガンホ)の祖国の支配に協力しなければならない哀しみと辛さそして怒りを義烈団リーダーのキム(コン・ユ)に向けていく様は、胸を打ちジウン監督が、演出するアクションは、スタイリッシュで美しくジヨン撮影監督のカメラワークが、秀逸です。
a0212807_7581536.jpg義烈団と日本警察の諜報活動が、活発になる中、義烈団は、日本の主要施設を破壊するための爆弾を上海から京城(現ソウル)へ向かう汽車に積み込みました。
それを察知した日本警察、内部情報が、漏れていることに気づいた義烈団も日本警察のイ警部へ接触するようになりました。
a0212807_7515255.jpg密偵(スパイ)は、一体誰なのか、互いの組織が、疑心暗鬼となり裏切り者を捜しながら大量の爆弾を積んだ汽車が、中国の国境を越えて京城へ向かっていました。
# by blues_rock | 2017-12-20 07:30 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
映画としての質(脚本・演出・キャスト・映像ほか)と云い、心を和ませてくる娯楽性と云い、今年公開の秀作映画「Gifted(ギフティッド)」と比較して映画の質(脚本・演出・キャスト・映像ほか)では、互角の2013年の秀作映画
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「ショート・ターム 12」(大野城マイカルで朝一回上演)が、表現するプロット(主題)は、‘わが子への親の虐待’と「Gifted(ギフティッド)」の真逆の映画ながら虐待の被害者である子供の心の闇に鋭く迫る脚本を書き監督したa0212807_1352379.jpgデスティン・ダニエル・クレットン(1978~、「ショート・ターム 12」は2作目の長編映画)の演出が、秀逸で感動的です。
タイトルの「ショート・ターム12」とは、親から虐待された思春期(ティーンエイジャー)の子供たちを救済するためにある短期保護施設(ショート・ターム)の名前です。
a0212807_136227.jpg主人公は、グループホーム「ショート・ターム12」の若き女性ケアマネージャーのグレイス(ブリー・ラーソン 1989~、2015年映画「ルーム」でアカデミー賞主演女優賞受賞)を中心に、同僚でグレイスの恋人(パートナー)のメイソン(ジョン・ギャラガー・Jr. 1984~)、新人スタッフのネイト(ラミ・マレック 1981~)、そして、父親のa0212807_138185.jpg暴力による虐待を誰にも言わず、グレイスや他のスタッフの声かけも無視し自傷する少女ジェイデン(ケイトリン・ディーヴァー 1996~)、親からネグレクトされた自閉症の少年サミー(アレックス・キャロウェイ)、母親からの酷い虐待で心に深い傷を負い18歳というショート・ターム保護期限を前にして情緒不安定となり自殺しようとするマーカス(ラキース・スタンフィールド a0212807_1395038.jpg1991~)などほとんどの子供たちが、演技経験の浅いあるいは未経験のオーディションによる素人ながら本当に深い心の傷を抱えた少年少女のようなリアリティを漂わせそれぞれの役柄を見事に演じています。
ドキュメンタリーを撮るようなクレットン監督の非情緒的な演出を良く理解した撮影監督ブレット・ポーラックは、a0212807_143208.jpg手持ちカメラを一人ひとりに密着させ、親からネグレクトされ(虐待され)誰にも打ち明けずに、じっと自分の中に閉じ込めている心の闇の表情をカメラが、ビッグ・クローズアップでスクリーンに映し出し見ている者に彼らの絶望を教えていきます。
ケアマネージャーのグレイスを演じるブリー・ラーソンのリアリティが、実にすばらしく、少年少女たち一人ひとりの問題と真正面からa0212807_144859.jpg向き合うグレイスながら恋人のメイソンにも打ち明けられないで苦悩する深い心の傷(少女の頃に父親から受けた性的虐待と妊娠中絶の過去)を抱えていました。
自傷癖のある少女ジェイデンは、自分を決して見捨てないグレイスにだけ次第に心を開いていきます。
ジェイデンは、ある日グレイスに自分の作った絵本「タコのニーナ」の物語を読んで聞かせました。
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いつも一人ぼっちのタコの少女ニーナは、サメの青年と仲良くなり一緒に遊ぶようになりました。
穴から出て広い海(外の世界)を知りニーナは、とても幸せでした。
a0212807_1461616.jpg腹を空かせたサメの青年は、ある日タコの少女ニーナに「足が、8本あるのだから1本食べさせて欲しい。 友だちだろう?」と頼みました。
やさしいニーナは、「まだ7本あるから1本くらいいいな」とサメに与えました。
サメは、腹が、減るとニーナに残りの足を求めました。
8本あったタコのニーナの足も最後の1本になりましたが、サメの青年は、その1本も欲しがりました。
a0212807_1485046.jpgその「タコのニーナ」の物語を聞いていたグレイスは、ジェイデンが、父親から暴力による酷い虐待を受けていると確信しました。
グレイスは、所長へ「ジェイデンは、幼いころより父親の暴力による酷い虐待を受けており、父親に対し強い恐怖心を持ち、本当のことが、言えないのだ。」と報告しジェイデンと父親を引き離a0212807_1502419.jpgすべきだと提言しました。
しかし、ジェイデンの心理療法士(セラピスト)や児童福祉事務所の社会福祉士は、本人が、父親から虐待はないと証言する以上虐待を受けていると認めることはできないとしてグレイス不在の時にジェイデンを迎えに来た父親と共に彼女を自宅へ帰しました。
a0212807_1511066.jpgグレイスは、長年封印していた怒りが、爆発しました。
ここから映画は、佳境(クライマックス)に入り、ジェイデンの決断(虐待被害の告発)にシンクロするグレイス自身の少女期に父親から受けた性的虐待被害とその告発の記憶(父親は刑期10年服役)の苦悩、18歳となって施設を出た青年マーカスの社会生活、グレイスもまた自分の封印していた過去を恋人(パートナー)メイソンに洗いざらい打ち明けてお腹の中にいる子供
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の母となる決断をします。
映画は、それぞれ登場人物の身を切るような切なさの後に訪れる感動を描いてエンディングを迎えます。
# by blues_rock | 2017-12-18 01:18 | 映画(シネマの世界) | Comments(2)
私の通う博多漆芸研究所が、年明け早々天神から六本松に移転します。
そこで一昨日の木曜日の午後、移転先の近所を散策してみました。
a0212807_1174512.jpgまず、車を護国神社鳥居前のパーキング(常時24時間500円が有りがたい)に停めて、そこからすぐの研究所移転先あたり(NHK福岡裏の住宅街)をうろうろ、私が、時々行く博多前鮨処「節魚 すし宗」に近くうれしい限りです。
すし宗へ食事に行くときは、いつも夜(夕方遅い時間)なので昼間この界隈を歩くことはなく、この日の午後、すし宗のご主人とお会いする約束でしたので昼時(すし宗は夜時間の営業)ということもあり博多漆芸研究所ブログに掲載の近距離エリアマップで見た「いし原」で昼ごはんを食べることにしました。
「いし原」は、住宅街(旧いアパート並び)の狭い路地を入ったところにあり、なかなか庶民的な風情の昭和レトロな雰囲気が、漂いほっこりして寛げます。
寒い日でしたので‘肉うどん’をふうふう吹きながらいただきました。(ヤミヤミ!)
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七味唐辛子と一緒に「こちらでいただかれても美味しいですよ」と洋胡椒(ホワイト・ペッパー)を供され、初めて七味(または一味)唐辛子以外の香辛料でうどんをたべましたが、たいへんコクのある肉うどんの出汁とマッチして美味しくクセになるかも知れません。
a0212807_1195227.jpg帰るときご主人(女性)から「昨日ここでNHKドラマのロケが、ありましてねえ‥」と声をかけられ、来年春(平成30年3月2日 金曜日、19:30~20:43時)放送の地域ドラマ「シーナ&ロケッツ You may Dream」(NHK福岡制作)撮影のことを話してくれました。
ロックバンド 「シーナ&ロケッツ」のリーダーであり、名ギタリストの鮎川誠(1948~)が、九州大学の学生時代(昔、教養学部は六本松にあった)ここに下宿していたという設定での収録だったそうです。
日本語ペラペラのスウェーデンの好青年が、オーナーのサンドイッチ・ハウス「SOS(Son of a Sandwich)」に立ち寄り‘ザ・西新’とスウェーデン・コーヒーをテイクアウト ‥ 待つ間、彼とスウェーデン映画の話をしました。
“六本松一丁目”は、昼も夜も昭和の面影を遺す面白い街(夜はミニ新宿ゴールデン街のよう)なので、ぜひご自分の五感でお愉しみください。
# by blues_rock | 2017-12-16 00:06 | 柏原生活/博多叙景 | Comments(0)
現在公開中の「Gifted / ギフテッド」の感動が、忘れられず二回目を見に行きました。
最初見たときに見逃していて今回良く分かり映画にさらなる滋味を加えたシーンをネタバレにならないよう見どこ
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ろのポイントを追記したいと思います。 (上写真 : 小学校登校初日、担任教師ボニーを驚かすメアリー)
まず、監督のマーク・ウェブ(1974~、2012年「アメイジング・スパイダーマン」の監督)の繊細にして緻密な演出
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が、さらに良く分かりました。 (上写真 : フランクにメアリーの才能を伝えるボニー先生)
ニュージーランドの名撮影監督スチュアート・ドライバーグ(1952~、1993年名作「ピアノ・レッスン」の撮影監督と
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して有名)のカメラが、映したフロリダのキラキラとした光と透明感のある映像は、利発で屈託のない7歳のメアリー(マッケナ・グレイス)が、生まれながらにもつ数学の才能(Gifted / ギフテッド)とシンクロして爽快です。
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メアリーの育ての親フランク(クリス・エヴァンス)も幼いころは、数学の天才児であったメアリーの母で姉のダイアンと同様に数学の才能を発揮していたものの挫折、自分の進むべき道を哲学に見出しボストン大学の准教授
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になっていました。 (上下写真 : ロバータの前では無邪気なメアリー、メアリーの行く末を心配するロバータ)
メアリーとフランク‘親子’を心から愛し二人と絶大な信頼で結ばれている隣人の黒人女性ロバータ(オクタヴィ
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ア・スペンサー)の立ち位置(存在の意義)も大きく、アメリカの愚かな大統領へのアンチテーゼとしてウェブ監督の演出が、光ります。 (下写真 : メアリーをボストンの天才教育学校に入学させようとする祖母イヴリン)
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メアリーの担任教師ボニー(ジェニー・スレイト)は、メアリーの才能に驚き父親のフランクと会いますが、フランクの過去とメアリーの出生の秘密を知りボニーは、一緒に悩み次第にフランクと親しくなっていきます。
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メアリーの祖母でフランクの母親イヴリン(リンジー・ダンカン)が、映画の中でイジワルなキャラ(プライド高く潔癖で頑固な性格、娘ダイアン、息子フランクを愛するも子供の二人に英才教育を強制)として登場するも、イギ
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リスのケンブリッジ大学で数学を専攻していた彼女も挫折、屈折した人生を送っていました。
メアリーの養育権をめぐる裁判が、メアリーの大好きな叔父のフランクと祖母のイヴリンとの間で始まりました。
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ここから映画後半の見どころが、たくさん始まります。 (上写真 : マーク・ウェブ監督とメイン・キャスト)

# by blues_rock | 2017-12-14 00:04 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
a0212807_2043935.jpg次第にヒットラーは、政治活動にのめり込み国家社会主義ドイツ労働者党(通称 ナチス)を結成、民衆の貧困による苦しみをユダヤ人敵視の演説で民衆を煽り扇動して行きました。
そして1923年、ヒットラー率いるナチス党が、ミュンヘンで武装蜂起しバイエルン州政府の転覆を謀るクーデター(ミュンヘン一揆)を起こすまでを第一部で描いています。
「ヒットラー 第2部:独裁者の台頭」では、ミュンヘン一揆で逮捕投獄されたヒットラーですが、裁判で持ち前の雄弁なアジテーション演説で裁判長以下聴衆を魅了、ヒットラーは、これまでの暴力闘争から政治闘争へ戦術転換するもあらゆる権謀術数を駆使して国民選挙でナチスをドイツ議会の第a0212807_2055980.jpg一党にしました。
ナチス政権で首相(事実上の独裁者)となったヒットラーですが、ドイツの国家元首で老獪なヒンデンブルグ大統領(ピーター・オトゥール)との政治的駆け引きやプライベートでの姪ゲリに対する叔父ヒットラーの異常な性的執着(ゲリは耐えきれずに拳銃自殺)を描いています。
さらに第2部では、原題である「Hitler The Rise of Evil」(悪魔の出現)の象徴として「長いナイフの夜事件」と呼ばれるナチスの同志を騙し討ちa0212807_207441.pngにする“粛清”(集団暗殺)が、描かれています。
ナチスの党軍事組織であった突撃隊の隊長レーム(ピーター・ストーメア)以下主要幹部の粛清やヒットラー独裁とナチスの邪魔になるすべての政治家の暗殺事件です。
全編(第1部、第2部)を通して、「キレたら手に負えない」人物を演じさせたら天下一品の名優 ロバート・カーライa0212807_2085539.jpgルが、まるでヒットラーの悪霊にとり憑かれたような鬼気迫る演技を披露、ただお見事!の一言(映画ファン必見)です。
悪魔の化身のごときヒットラーの蛮行と悪行の数々は、真っ当なドイツ人同胞は、おろかユダヤ人、ロマ民族(ジプシー)、有色人種、民主主義者、自由主義者、社会主義者、障害者たちすべての人類に及びました。
a0212807_2010627.jpgそして、ヒットラーの最期は、スイスの名優ブルーノ・ガンツ(1941~)が、「ヒトラー 最期の12日間」で名演していますのでぜひご覧ください。
併せてご覧になると今からわずか72~90年前の世界で何か起きたのか、世界の凄惨な戦争の歴史が、良く理解できると思います
a0212807_20133451.jpg2017年も間もなく終わろうとしています。
日本では、戦争の時代であった昭和が、遠くなり平成もおわり、新しい元号に変わります。
いま世界を見回すと1910年代から1930年代、世界大恐慌により次第にキナ臭いポピュリズムの蔓延し始めた時代、当時の衆愚な国民(おバカな国民)は、その民度レベルの暴力的で勇ましい大統領や首相を嬉々として選んでいました。
a0212807_20141635.jpg ‘いつか来た道’‥ いま世界は、そんな雰囲気を漂わせながら移ろっていますが、私は、内心「どうか私が、生きているうちは、戦争など勃発しませんように」と無信心ながら天の神様(宇宙)に祈る毎日です。
 
# by blues_rock | 2017-12-13 00:03 | 映画(シネマの世界) | Comments(2)