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心の時空

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a day in my life

<   2017年 05月 ( 19 )   > この月の画像一覧

a0212807_104472.jpg1180年の平安時代末期、歴代朝廷にあって稀代の政治家にして最高権力者であった後白河法皇は、当時の流行り歌であった今様(いまよう、現代の歌謡曲)の大ファンで 「梁塵秘抄」(りょうじんひしょう)という歌謡集を編纂しています。
その代表的な歌の一つで最も有名なのが、「遊びをせんとや生れけむ 戯れせんとや生れけん 遊ぶ子供の声きけば 我が身さえこそ動がるれ」です。
私の場合、「遊びせんとや生れけむ」のところが、‘漆’と「遊びせんとや 生れけむ」になります。
さらに、これも「梁塵秘抄」にある有名な歌で「仏は 常にいませども 現(うつつ)ならぬぞあわれなる 人の音せぬ暁に ほのかに夢に見え給ふ」の‘夢’の部分が、私の場合‘刻苧(こくそ)’に変わります。
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私の戯言をこれ以上書くと友人のケアマネージャーから「介護申請してください」とまた言われそうなので ここまでにします。
by blues_rock | 2017-05-15 00:05 | 金継ぎ/古美術/漆芸 | Comments(0)
ジョージア(旧ソ連時代クルジア)のギオルギ・オバシュビリ監督(1963~)の2014年長編2作目の作品「とうもろこしの島」(監督・脚本)は、たおやかにして何という張りつめた空気感のある普遍的な映画でしょう。
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製作は、ジョージアを始めドイツ、フランス、チェコ、カザフスタン、ハンガリーなどスタッフ陣も入れると14か国の合作映画です。
a0212807_1251757.jpgオバシュビリ監督の静謐な演出と相俟ってハンガリーの名撮影監督エレメル・ラガリ(1939~)のカメラワークも抜群です。
ストーリーの骨子は、後ほど述べますが、映画には、ほとんどセリフがなく、ラガリ撮影監督の撮った美しい映像が、ラストまで緩まない緊張感と併せ映画を見る者の心を捉えて離しません。
a0212807_125492.jpg映画の舞台は、ジョージア(グルジア)とジョージアから分離独立しようとするアブハジア自治共和国との間を流れる紛争地帯のエングリ川の真ん中に毎年春に出現する猫の額のような中州(0.5㌃くらいか)、登場する人物もほとんど老人と孫娘(少女)だけで二人が、中州を耕し、そしてとうもろこしを植え育て秋に収穫a0212807_121001.jpgするまでを描いたそれだけの素朴でシンプルなストーリーながらもちろんドラマは、あります。
主人公の寡黙な老農民を演じるのは、ジョージアのベテラン俳優イリアス・サルマン(1954~ 勝新太郎と三船敏郎をダブらせたような雰囲気で秀逸)で、子供から思春期の少女に移ろっていく(劇中に初潮を迎える)純朴な孫娘を演じたマリアム・ブトゥリシュビリの清楚な美しさも必見a0212807_12102978.jpgです。
映画の中で老人と少女の会話は、ほとんどありませんが、時おり老人は、慈愛に満ちた穏やかな眼(まな)ざしで孫娘を見つめ、それを見つめ返す少女の瞳の何とすばらしいことか‥一方、時おり川の対岸から聞こえる銃声と両軍の哨戒ボートの出現で老人と少女二人の暮らす中州が、不穏な空気に包まれ二人は、紛争地帯にいることが、分かります。
a0212807_12114647.jpg映画の後半、負傷した若いジョージア兵(イラクリ・サムシア)が、中州に逃げ込んで来たことで映画は、大きく変調していきます。
思春期の孫娘が、言葉の通じない若い兵士に興味を覚えたことに気づいた老人は、少女を中州から普段住む村に帰しました。
a0212807_12121727.jpgアブハジア軍の哨戒ボートが、中州に上陸、負傷した若いジョージア兵士を捜していることを老人に伝えました。
コーカサス山脈の南に位置するグルジア共和国は、1991年のソ連解体で独立、ジョージア共和国となりました。
1992年ジョージアの黒海沿岸に暮らす歴史・文化・宗教・言語など独自の民族アイデンティティを持つアブハジa0212807_1212529.jpgア人たちは、アブハジア自治共和国として独立、こうしてジョージア内戦が、始まり人びとの暮らしを破壊し多くの難民を生みました。
大自然の悠久な流れの中でそこに暮らすちっぽけな人間たちが、些細な相違だけをことさら強調し、いがみ合い殺し合う戦争の愚かさをオバシュビリ監督は、寓話的表現ながらドキュメンタリーのようなリアリティ(写実映像)で撮っています。
a0212807_12152423.jpg「とうもろこしの島」を見ていて、戸内海の水もない瀬無人島で段々畑を耕しながらサツマイモや米を育てる日本映画の「裸の島」、黙々と働く老人と少女二人の姿にドイツ映画の「ニーチェの馬」、さらに主演した少女は、カザフスタン映画の「草原の実験」を思い起こさせます。
どの作品も映画史にのこる傑作なので “お見逃しなく!”
by blues_rock | 2017-05-13 00:03 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
フランスの女性監督パスカル・プザドゥー(1966~ 女優)は、フランスのジョスパン元首相の母ミレイユ・ジョスパン(「尊厳をもって死ぬ権利協会」活動家)の人生を娘で作家のノエル・シャトレ(1944~ ジョスパン元首相の妹)a0212807_22133033.jpgが、書いた伝記小説「La Dernière Leçon(最期のレッスン)」をもとに「尊厳死(自死)」をテーマ(プロット)に映画化しました。
同じフランスのステファヌ・ブリゼ監督(1966~)は、2013年に「母の身終(みじま)い」で「尊厳死(安楽死)」を取りあげ、末期ガン(悪性の脳腫瘍)の老女が、終末期医療(ターミナル・ケア)を拒否し自分の意思で尊厳死(安楽死)するまでを描いています。
ほとんどの国が、そうであるようにフランスもまた‘尊厳死(安楽死)’は、法律で認められておらず他者が、どのようなカタチでも尊厳死を手伝うと‘自殺幇助罪(犯罪)’に問われます。
脚本と監督のプザドゥー監督は、自分の意思を貫き92歳で尊厳自死したミレイユ・ジョスパン(1910~2002)a0212807_2214024.jpgの‘自分で死を選ぶ権利’を弁護するように映画の主人公である「92歳のマドモアゼル」マドレーヌ(マルト・ヴィラロンガ 1932~)が、自分の老いていく姿に真摯に向き合いながら自らの人生を全うするため強固な意思(哲学)で尊厳自死するまでをワンシーン=ワンカットで丁寧に撮っています。
a0212807_2215935.jpg劇中に流れるジルベール・ベコーのシャンソン「そして今は(Et maintenant 1962リリース)」が、この映画のために歌われているようで新鮮です。
「 今となってはどうしたらいいんだ / この先ぼくの長い人生を / まわりのどうでもいい人たちを / 君が去った今となっては / 日々訪れる夜は / 何のため誰のためなんだ? / a0212807_22202479.jpgそして再び朝が訳もなくやってくる / この心は誰のため / 何のために鼓動しているんだ? あまりも激しく / 激しく動いている 」 ミレイユ・ジョスパンの娘である原作者のノエル・シャトレは、映画では、ディアーヌ(サンドリーヌ・ボネール1967~ 1989年「仕立屋の恋」、2004年「灯台守の恋」と同2004年「親密すぎるうちあけ話」のファムファルが秀逸でした)として登場します。
a0212807_22244541.jpgマドレーヌは、92歳の誕生祝いの席で突然、娘のディアーヌ夫婦や息子のピエール(ノエル・シャトレの兄であるリオネル・ジョスパン元首相1937~、演じるのはパスカル・プザドゥー監督の夫 アントワン・デュラリー 1959~)夫婦そして孫もいる家族の前で、2か月後に尊厳自死する決意を皆なに伝えました。
a0212807_22271232.jpg驚くディアーヌ、唖然として猛反発するピエールに 助産婦として長年働き、人権運動の活動家だったマドレーヌは、「30年前から私は、自分のことを自分で出来なくなったら自殺すると伝えている」と冷静に語るのでした。
脚本を書いたプザドゥー監督は、原作者のノエル・シャトレと綿密な打ち合わせをしながらマドレーヌのモデルであるミレイユ・ジョスパンが、生前そうa0212807_22274787.jpgであったように、人生に前向きで明るくユーモアのある女性として描くと決め暗く陰鬱な作品にしないようにしていたとか、劇中でも母マドレーヌと娘ディアーヌの笑顔や笑い声は、愛にあふれています。
自立して92歳の今日まで生きて来た母マドレーヌの人生を娘ディアーヌが、少しずつ理解しつつも、それでも同意できない気持ちa0212807_22285691.jpgと葛藤しながら母の強い意思である尊厳自死に協力していく姿が、胸を打ちます。
92歳のマドレーヌは、老衰していても認知症の発症が、ありません。
‘尊厳自死’は、私自身の命題ながら認知症になると脳機能が、低下(劣化)し尊厳死という人生の最も大切な自己判断は、もはや不能となり‘尊厳自死’不可能となることが、私は、怖いのです。
by blues_rock | 2017-05-11 00:01 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
20年余り前、当時住んでいた船橋の骨董店で、2箇所に燻(いぶし)銀色した銀直し痕のある得体の知れない熊川茶碗(こもがいちゃわん、朝鮮から渡来した高麗茶碗のひとつ)を衝動買いしました。
その時、どことなく薄汚なく見えたのは、焼成不足(生焼け)による出来損ないのだからだろうとと勝手に考えて
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長い間放置していました。
福岡に移り住み、金継ぎで出会った目利きの方々に、正体不明の茶碗を見ていただき、焼成窯元を尋ねてみましたが、どなたも一様に「分からない」のとのことでした。
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玄洋窯(こちら)陶工の冨永さんにお願いして生焼け茶碗を再度焼成してもらったところ、薄汚れた灰被り茶碗の生焼け釉が、白く発色しました。
2箇所のキズ痕のうち、口縁の外にあるキズに金箔粉(消粉)を、口縁内側のキズは、白い雲の間に現われた
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月に見立て、銀を蒔き「銀の月」と風流に洒落てみました。
by blues_rock | 2017-05-09 00:09 | 金継ぎ/古美術/漆芸 | Comments(0)
a0212807_915173.jpg地味なクライム・サスペンス映画ながら、この2016年アメリカ映画「デンジャラス・プラン 裏切りの国境線」は、意外とオモシロイ映画(劇場未公開でWOWOWのみ放映)でした。
原題の「Mercury Plains」(水銀平原)のほうが、この映画のプロットを一言で言い表しており、アメリカ(テキサス)とメキシコの国境線に広がる赤土の砂漠地帯、つまり真っ赤な辰砂(Mercury 水銀鉱物)の平原(Plains)を舞台に退役軍人のキャプテン(=大尉)と自称する男が、麻薬取引の横行する国境の無法地帯でみなし子や精神に欠陥のある10代の若者たちを集め私設部隊を編成し彼らに軍事訓練していました。
主人公のアメリカ人青年ミッチは、メキシコとの国境にあるテキサスの寂れた町で職もなく母親のもとで無為な日々を過ごしていました。
ミッチが、友人に誘われメキシコへ遊びに行きバーで飲んでいるとトラブルに巻き込まれ身ぐるみ剥がれて外にa0212807_9205362.jpg放り出されました。
途方に暮れていると得体のしれない怪しげなアメリカ人の退役軍人(自称 キャプテン)が、彼の前に現われ言葉巧みにミッチをスカウトし自分の軍事訓練に参加させました。
寡黙なミッチは、閉塞的な生活への焦燥感と抑圧への抑えきれない衝動で暴力をふるいますが、瞬く間にソルa0212807_923126.jpgジャー(傭兵)としての才覚を発揮するようになりキャプテンや仲間の傭兵たちに一目置かれるようになりました。
キャプテンが、彼らに軍事訓練をさせていたのは、メキシコ国境地帯の麻薬取引を独占するためでした。
ミッチたちは、次第にメキシコの麻薬カルテルと抗争に巻き込まれていきます。
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アメリカ(テキサス)とメキシコの国境に広がる荒涼とした「Mercury Plains」(辰砂色した砂漠地帯)の情景や寂れた町の不穏な空気感が、主人公であるミッチの内面と重なりハードボイルドな雰囲気を漂わせ、今まさに深刻なアメリカの社会問題を浮き彫りにしていました。
a0212807_93345.pngアメリカ人のモラトリアム青年ミッチというこの映画の重要な役割を演じたのが、期待の若手俳優スコット・イーストウッド(1986~)です。
父親が、名優にして名監督のクリント・イーストウッド1930~)で、若いころの父親ゆずりの端正なマスクが、印象的です。
クリント・イーストウッドの長男カイル・イーストウッド(1968~)も俳優で2008年のフランス映画「夏時間の庭」にa0212807_9335117.jpg出演しています。
私は、チャールズ・バーマイスター監督(プロファィル不詳)の作品を初めて見ましたが、B級のストーリーながら、結構凝った演出(見ている者をウンザリさせる登場人物たちのキャラクター)に、結構上手い映画作りをする監督だなと感心しました。
映画に登場する若い俳優たちも私の知らない俳優ばかりで、大人(社会)から見捨てられた孤独な少年や精神a0212807_9504486.jpg疾患のありそうなアブナイ若者など彼らが、演じたどの人物もリアリティに溢れていました。
ボス(キャプテン)の若い情婦を演じていたアルメニア出身の女優アンジェラ・サラフィアン(1983~ 2014年映画「エヴァの告白」に出演)が、殺風景な背景に紅一点の花を添えていました。
by blues_rock | 2017-05-07 00:07 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
近未来、地球上のどこかの秘密研究施設において受精卵(遺伝子)操作で誕生したプロトタイプ(完成した試作品) L-9の型番をもつ人工生命体「モーガン」は、完成から5年が、経ち、成長する(人類に推定して20歳くらい)
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につれ人間の感情をもち始めました。
プロトタイプL-9の研究施設でモーガンは、人工生命体L-9開発チームの科学者たちに愛され丁寧に扱われて
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いました。
ある日、モーガンは、彼女を誰より愛し、モーガンもまた信頼する女性科学者に、突然襲いかかり重傷を負わせa0212807_1911858.jpgました。
映画は、監視カメラに映るこの襲撃シーンから始まります。
先日、ご紹介した「エクスマキナ」は、AIの知能進化と反乱を描いたSFミステリー・サスペンス映画でしたが、この「モーガン プロトタイプ L-9」では、原因不明で突然制御不能になった(暴走した)人工生命体の脅威を描いたデストピアSFスリラー映画です。
a0212807_19121211.png監督は、巨匠リドリー・スコット監督の息子(次男)ルーク・スコットで長編初監督作品です。
リドリー・スコット監督は、製作に回り、息子の監督デビューをサポートしています。
主人公の危機管理アナリスト(リスクマネージメント分析専門家)リー・ウェザーズを演じるのが、ケイト・マーラ(1983~ 名女優ルーニー・マーラの姉)
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で、彼女の持ち味である知的な美貌を生かした危機管理アナリスト、リーのクールな才媛ぶりは、秀逸です。
人工生命体L-9モーガンを演じた若手女優アニヤ・テイラー=ジョイ(1996~)も熱演していますが、「エクスマキa0212807_19151246.jpgナ」で、AIのエヴァを演じたアリシア・ヴィキャンデル(1988~)に比べると深層心理の表現にまだ迫力不足の感が、ありました。
ラストのシークエンスも暴力事件を起こした人工生命体プロトタイプ L-9 モーガンと危機管理アナリスト リーの二人が、最初に出会うシーンで、隔離室のガラスに映る二人の影を見て‘そういうことか’と予感させa0212807_19174194.jpgるショットは、私の深読みし過ぎかもしれませんが、もしルーク・スコット監督の見る者に対する暗示(演出)ならば、私は、ミステイクと思います。
劇中で、モーガンを創造した科学者の一人が、「最も残酷な行為は、自分の意思で外に出られない者に、窓の外を見せることだ」とリーにプロトタイプ(試作品)モーガンの混乱による偶発的な事件だと語り、投資ファンドa0212807_19181355.jpg本社が、製造しようとした人工生命体の真の開発目的(軍事用兵士の製造)とプロトタイプ L-9モーガンのもつ‘遺伝的アルゴリズムの歪み(進化の中で発生する不具合)’を指摘していました。
地味な映画ながら、なかなかおもしろい映画でした。
(左写真 : ケイト&ルーニーのマーラ姉妹)
by blues_rock | 2017-05-05 00:05 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
自己流で‘金継ぎ’をしている方、これから‘金継ぎ’を始める方にお薦めしたい本(ハンドブック 15㌢正方形)が、「金継ぎをする(うめる、まく、みがく、つける)」です。
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書かれたのは、蒔絵の専門家にして金継ぎ師の小松知子さん(なおす、つくる。Kiatsugi & Maki-e)です。
4、5年前、「骨董じじばば」で小松さんが、金直しされた古唐津茶碗の金継ぎを拝見しその仕上がりの見事さに
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私は、一目ぼれ、それ以来、私の金継ぎのお手本として密かに私淑して来ました。
その小松さんが、ご自分の教室の方々のために(初めての人にも)分かりやすく金継ぎのノウハウとマニュアル
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を「金継ぎをする(うめる、まく、みがく、つける)」として本にまとめられました。
この金継ぎマニュアル書「金継ぎをする(うめる、まく、みがく、つける)」(全48ページ/@1、200) を拙ブログに
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(帯封のようなものとして)勝手に紹介いたしました。 (詳細は、こちらをご覧ください。)
金継ぎの手順書(入門書)として無駄がなく、見開きの写真付きで誰にでも分かりやすく、良くここまでa0212807_1134585.jpgコンパクトにまとめられたものと感心しています。
私は、いま金継ぎを学んでいるまわりの人たち、これから始められる方たちに、<この本のとおりを実践し、より数多く取り組めば上達する> と教えてあげたいと思います。
(左写真は、「漆器の直し方」 です。 )
by blues_rock | 2017-05-04 00:04 | 金継ぎ/古美術/漆芸 | Comments(2)
a0212807_93312.jpgインディペンデンス出身のアメリカの俊英監督ジェフ・ニコルズ(1978~)が、2016年に発表した新作「ミッドナイト・スペシャル」も2011年作品「テイク・シェルター」、2012年作品「MUD マッド」と同様、‘父と子にまつわる’物語です。
ニコルズ監督作品の特長は、3作ともニコルズ監督自身が、脚本を書き、製作のサラ・グリーンや製作総指揮のグレン・バスナーなどニコルズ監督の盟友製作陣なので映像作家ジェフ・ニコルズが、監督した‘作家性の強い’映画になっていることです。
この「ミッドナイト・スペシャル」を映画のジャンルで括るのは、難しくSFスリラーなのか、オカルトやホラーなのか、ニコルズ監督が、今まで見てきた映画で、たとえば1977a0212807_9344322.jpg年のSF映画「未知との遭遇」や1997年SF映画「コンタクト」 さらに1999年のホラー映画「シックス・センス」からの影響とオマージュを感じます。
SF映画と云っても「ゼロ・グラビティ」(2013)、「インターステラ―」(2014)や「オデッセイ」(2015)のようなリアルなSF映像によるSF映画ではなく、サイキックな透視能力(千里眼)やテレキネシス(念力)をもつ8歳の少年にカルト教団と国家秘密機関の魔の手が、伸びるSFスリラー映画と私は、思いました。
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ニコルズ監督作品の常連俳優マイケル・シャノン(1974~)が、少年(我が子)を必死に守る父親を熱演、父親に同行し一緒に少年の逃亡を助ける父親の親友にジョエル・エドガートン(1974~)、8歳の息子の身を心配する母a0212807_943387.jpg親をキルステン・ダンスト(1982~ 「ゼロ・ダーク・サーティ」)、秘密機関のテレキネシス(念力)研究員にアダム・ドライバー(1983~ 「沈黙サイレンス」)そして何より得体のしれない(人間の子供なのか異星人なのか)8歳の超能力少年を演じた新人子役のジェイデン・リーバハー(2003~)が、秀逸でした。
映画は、冒頭、真っ暗なスクリーンに8歳の少年の失踪事件を告げるテレビの緊急速報ニュースの音声だけa0212807_94438100.jpgが、流れスタートします。
カルト教団の持っていた数字の羅列は、アメリカ国家の最重要機密で、少年が、どうやってそれを入手にしたのか、国家秘密機関は、少年の行方を懸命に追っていました。
カルト教団は、少年の超常的な力だけが、世界の終わりを予見でき「最後の審判」を乗り越えるためにどうしても少年を必要していました。
a0212807_9452550.jpg少年には、‘行かなければならない場所’が、あり、少年の両親は、8歳の我が子を信じ、父親と父親の親友そして少年は、彼の言う‘行かなければならない場所’へ向かいました。
‘行かなければならない約束の地’に向かう途中少年は、今まで見せなかった超能力パワー ‥ 宇宙(さら)から監視している人工衛星を破壊し、相手の考えていることを察知するなど、その恐るべきパワーを発揮しました。
a0212807_9455532.jpgニコルズ監督は、「テイク・シェルター」のプロットでもあった神秘的かつ狂信的な主人公の行動は、科学的な根拠のある信念なのか、精神疾患と紙一重の妄想なのか、映画を見ている者が、目の前で起きている摩訶不思議な現象を見て主人公の信念にどう向い合うのか、見ている私たちに‘フィクションの核心’を問いかけています。
ほんの少しだけネタバレしますが、8歳の少年は、「光」として象徴的に描かれています。
a0212807_9471964.jpg「ミッドナイト・スペシャル」は、プロットが、荒唐無稽なSFスリラー(&オカルト・ホラー)であっても、才能ある監督と優秀な製作陣が、タッグを組んで制作すれば、秀作映画になるお手本と私は、思います。
(右写真 : ジェフ・ニコルズ監督)
by blues_rock | 2017-05-03 00:03 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
ガース・ジェニングス脚本・監督(1972~)によるコンピュータ・アニメーション映画「SING/シング」(中洲大洋映画劇場)は、最近公開された映画の中でも出色の作品です。
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映画ファンをして「傑作より好き!」と言わしめる確かに魅力のある映画でした。
アニメーション映画は、あまり見ない私ですが、この映画は、どうしても見たい作品でした。
a0212807_23541217.jpg理由は、主人公のコアラで倒産寸前の劇場主バスター・ムーンをマシュー・マコノヒー(1969~)、家事と25匹の子ブタ育てに追われる毎日ながら歌が、何より好きな母ブタのロジータをリース・ウィザースプーン(1676~)、ヤマアラシのパンク・ロック少女アッシュが、何とスカーレット・ヨハンソン(1984~)、ビッグマウa0212807_23583936.jpgスながら、世界最小のジャズシンガー ハツカネズミのマイクにセス・マクファーレン(1973~ 「テッド」の監督と声)、象の少女ミーナをトリー・ケリー(1992~ レナード・コーエン‘ハレルヤ’のカヴァーは、必聴の価値)、父親は、強盗団のボスでボス見習い中ながら歌手の夢が、捨てきれないゴリラの青年ジョニーにタロン・
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エジャトン(1989~)、コアラのバスターを支える親友ヒツジのエディをジョン・C・ライリー(1965~)など、そうそうたる俳優たちが、その声を担当し劇中全16曲の中で、それぞれそのノド(皆な上手い!字幕版をお薦めします)a0212807_04426.jpgを披露しています。
ジェニングス監督自身も トカゲの老秘書ミス・クローリー(コアラの劇場主バスターに長年仕える)の声を担当、このトカゲの老秘書は、すること、なすこと ‘ドジばかり’ のやらかし屋ながら憎めないそのキャラクターが、映画の展開に重要な役回りを演出、ジェニングス監督の声優の才能もなかなかのa0212807_065430.jpgものでした。
映画は、擬人化された愉快なキャラの動物たちが、演じるるコメディで全16曲の歌は、それぞれが、歌うシーンで歌うだけなのでミュージカルではありません。
歌(=シング)」の魅力で、映画を見る者のハートを高揚させ涙あふれる感動とノリノリのドライブ感を与えてくれるとは、予想外の驚きでした。
a0212807_072930.jpg「シング」のタイトルは、映画の最後のシーンで、抜群の歌声を持ちながら緊張すると極度の上がり症のため声が出ず、何度も失敗したシャイな象の少女ミーナを励ますため、コアラの劇場主バスターが、ミーナに「歌い始めたら怖くなくなる、歌って(Sing)」とステージに送り出すセリフから来ています。
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勇気をもって歌ったミーナの歌は、倒産した伝統あるムーン劇場跡でバスターが、自分たちのために開いた一度限りのコンサート (この様子を地元テレビがライブニュースで報道)に詰めかけた音楽を愛する聴衆の大喝采
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を浴びました。
続編の「シング2」も決定しているとか、私は、今から楽しみにしています。
by blues_rock | 2017-05-01 00:01 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)