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心の時空

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a day in my life

<   2017年 05月 ( 19 )   > この月の画像一覧

三年半前、私の最年少の友だちで、ロンドンに住まう瑞希ちゃん(4歳9か月 ハナ=ミズキ・タナカ・ラムナラインちゃん)、一歳の誕生日にオリーブの木 2本を記念植樹しました。
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今年、そのオリーブの木に花が、咲きました。
植樹したとき30㌢にも満たない小さなオリーブの苗木もいまや大人の背丈くらいに育ちました。
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園芸店の話では、オリーブが、実をつけるのは、定植し10年くらい経ってからとのことでしたが、‘森の家’の庭に植樹したオリーブの木は、すくすく成長、早くも花が、咲くようになりました。 
by blues_rock | 2017-05-31 00:01 | 柏原生活/博多叙景 | Comments(0)
【 トラ・トラ・トラ】(1970)は、20世紀フォックスによる日本とアメリカ合作映画で、日本版とインターナショナル版 (アメリカ版) の二つが、あります。
a0212807_2028343.jpg私は、‘インターナショナル版(アメリカ版)’が、断然おもしろいと思います。
監督は、アメリカのシーンをリチャード・フライシャー監督(1919~2006)が担当、日本のシーンを舛田利雄監督(1927~)と深作欣二監督(1930~2003)が担当し共同監督としてクレジットされています。
a0212807_20351620.jpg当初、黒澤明監督のもと撮影は、始まりましたが、航空母艦6隻とゼロ戦(戦闘機)300機を要求され製作会社の20世紀フォックスは、巨額の制作費オーバーに激怒し「黒澤は、病気だ!」と監督を解雇していました。
a0212807_20354799.jpgそれにしても当時のアメリカ映画製作会社(20世紀フォックス)は、良い映画製作にかける情熱と気持ちが、太っ腹でどう考えても、アメリカ人の喜ぶような企画ではないのに、巨額を投じ戦争映画の超大作「トラ・トラ・トラ」を製作するとは‥この映画は、謎のハリウッド超大作映画と語りa0212807_20382347.jpg継がれています。
とにかくフライシャー監督ほかアメリカの製作陣が、撮ったシークエンスは、スゴイ!の一言です。
「ワレ奇襲ニ成功セリ」と突然始まった日本海軍のハワイ(オアフ島)真珠湾(パールハーバー)奇襲攻撃は、ド迫力! ‥ ゼロ式艦上戦闘機・九九式艦上爆撃機・九七式艦上攻撃機に改造された160機の旧式軍用機が、ハワイの空を飛びまわり、真珠湾(パールハーバー)a0212807_20384751.jpgに停泊している戦艦や駆逐艦、巡洋艦さらにハワイ オアフ島のアメリカ軍基地を爆撃する様子、迎え撃つアメリカ軍の高射砲など本物の実写映像に度肝を抜かれました。
映画は、太平洋戦争(第2次世界大戦)開戦前夜の日本とアメリカ国内の模様が、交互に淡々と描かれて展開していきます。
a0212807_20405011.jpg映画前半は、日本海軍の連合艦隊が、アメリカ太平洋艦隊の母港(海軍基地)ハワイ真珠湾(パールハーバー)を奇襲攻撃するまでの日本側とアメリカ側それぞれ双方の思惑(政治家と官僚の意見不統一)ならびに軍部の対立(日本側の陸軍と海軍の対立、アメリカ側のワシントンと軍の齟齬)など両国内の虚々実々の舞台裏を描いています。
a0212807_20412216.jpg映画後半は、日本連合艦隊の真珠湾(パールハーバー)奇襲攻撃とそれを迎え撃つアメリカ軍との‘リアリティ’あふれる圧倒的な戦闘シーンです。
とにかく、真珠湾(パールハーバー)のアメリカの戦艦や駆逐艦が、日本の戦闘機により破壊されていくシーン、ハワイ上空での戦闘機による空中戦のシーン、地上のアメリカ軍施設への爆撃シーンなどすべて実写で撮影しており、その迫力には、度肝(どぎも)を抜かれます。
a0212807_20432962.jpgアメリカ政府(ワシントン)は、当時日本の怪しい動きを察知するも表向き外交による和平交渉を続けつつ、すでに日本海軍の暗号を解読しており日本連合艦隊が、真珠湾(パールハーバー)を攻撃することを予知していました。
連合艦隊司令長官 山本五十六(アメリカ留学経験者)は、アメリカに勝つには、唯一短期決戦でアメリカの戦意a0212807_20441100.jpgを喪失させるしかないと判断、自論である真珠湾(パールハーバー)にいるアメリカ太平洋艦隊壊滅のための奇襲攻撃を提案しました。
ワシントンの日本大使館は、東京からの暗号解読に手間取りアメリカへの ‘宣戦布告’ が、間に合わず、日本海軍連合艦隊の真珠湾(パールハーバー)a0212807_20445440.jpg攻撃は、‘宣戦布告なし’で行われたため、当時のルーズベルト大統領演説「卑怯な国 日本」が、アメリカ国民の愛国心に火をつけました。
アメリカは、日本側の暗号をすでに解読、その動きを察知していながらワシントンの大統領府(ホワイトハウス)と軍統合参謀本部a0212807_212989.jpg(情報の隠匿体質と楽観論)、さらにワシントンから現地ハワイへの連絡が、遅く日本の戦闘機編隊は、警戒のないハワイに容易(たやす)く侵入しました。
アメリカは、アメリカで官僚的な政府高官が、軍事情報を共有しておらず(隠ぺいし合い)次々に、作戦ミスを犯すシーンや日本軍に先制攻撃させて開戦の口実を作ろうとするところなど今につながる普遍的なストーリーとリアルな演出にいたく感心しました。
a0212807_213780.png映画は、前半「アメリカに勝てないことが 解っていても戦争せざるを得ない独裁国家の軍国日本」と「日本から攻撃されることが 解っていながら楽観して現場に情報を伝えない民主的官僚国家のアメリカ」という当時の両国内事情を公平に描き、後半の戦争シーンでは、実物の戦闘機を多数用いて空中戦や爆撃の実戦シーンを撮影、CG(SFX・VFX)のない時代に、アメリカの軍人経験者から絶賛されるほどのリアルな戦闘シーンやスペクタクルなアクションシーンを ‘実写’ で撮影した そのド迫力の映像が、見る者を圧倒いたします。  (上写真 2枚 : アメリカ軍が撮影した真珠湾攻撃の記録写真)
by blues_rock | 2017-05-30 00:03 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
アメリカ(ハリウッド)製作の超大作戦争映画にして不朽の名作を2作品、二夜連続でご紹介したいと思います。
a0212807_1950263.jpg「西部戦線異状なし」が、1930年製作、「トラ・トラ・トラ」は、1970年とそれぞれ今から87年前、47年前とかなり旧い映画ながら、アメリカ(ハリウッド)が、第一次大戦(ヨーロッパ戦線)の敗戦国 ドイツの若い兵士たちを主人公にその悲劇を描いた「西部戦線異状なし」ならびに第二次世界大戦(太平洋戦争)の敗戦国でアメリカの敵国であった日本の視点も入れてハワイ真珠湾奇襲攻撃を描いた「トラ・トラ・トラ!」は、ハリウッド製作が、製作したゴマンとある戦争映画の中でも画期的な超大作戦争映画の異色作です。
映画のプロットもアメリカ国民受けするポピュラーな戦争ヒーロー物語ではなく、前述のとおり仇敵‘ドイツ’と‘日本’から本質にアプローチしています。
それもハリウッドのメジャー映画会社が、巨額の資金をつぎ込んで製作した戦争スペクタクル超大作映画にして不朽の名作であることは、特筆すべきことです。
【 西部戦線異状なし 】は、 戦争映画の古典にして映画芸術としても傑作です。
a0212807_1952756.jpg現在(いま)に至る映画100年史の中で原点となる ‘トーキー(音声映画)’ が、1927年に誕生し、その3年後ユニバーサル映画は、戦争映画の超大作「西部戦線異状なし」を製作しました。
原作は、ドイツの作家レマルク(1898~1970)が、1929年に発表した小説「西部戦線異状なし」で 1930年にこの映画を製作、監督したルイス・マイルストン(1895~1980)は、アカデミー賞監督賞(と作品賞)を受賞しています。
a0212807_19554330.png「西部戦線異状なし」は、1917、18年ごろのエーヌ川沿いに掘られた塹壕の最前線を舞台にドイツ軍とフランス軍が、向い合う中で両軍兵士たち死屍累々の塹壕戦を描いています。
映画は、ドイツの一兵士ポール・バウマー(演じるのは、リュー・エアーズ 1908~1996、生涯独身であった伝説の大女優グレタ・ガルボ、お気に入りの俳優)が、大学の老教授から愛国心を煽られて志願兵になり、熾烈な戦闘を繰り返す西部戦線へ送られるところから始まります。
a0212807_19565292.jpgポールは、すぐに悲惨な戦場で 身近な人の死と肉体の痛み、不安、恐怖、不条理や理不尽への怒り、そして殺戮の虚しさに やがて精神を破壊され、人の死や人生に無感覚になり 負傷による帰省故郷にも平安はなく、休暇を切り上げて前線へ戻りました。
a0212807_19574359.jpgそして、塹壕戦の最中、目の前にいる 一匹の蝶 に気を奪われた途端、敵狙撃兵の銃弾に倒れ戦死しました。
映画は、CGのない時代なので すべて実写、塹壕戦など砲弾が、飛び交う激しい戦闘場面は、リアルで凄絶です。
その中での撮影なので 出演している俳優たちの緊張した息遣い(テンション)が、見る方にも伝わり、血だらけになって塹壕や泥沼のなかを這いまわa0212807_19582794.pngる 敵味方入り乱れた兵士たちの迫撃戦の実相(リアリティ)を撮ったカメラワークは、見事の一言です。
どこからともなく聴こえるハーモニカの音の中、ポールが、戦闘中であることも忘れ 目の前の蝶に心奪われ身を乗り出したとたん銃弾に倒れるラストシーンは、見る者の心も打ち砕きます。
ポールが、戦死したその日の司令部への報告書には、「西部戦線異状なし、報告すべき件なし」と記載されていました。
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後編に続く)
by blues_rock | 2017-05-29 00:09 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
園芸店で売られていたガジュマルの木を欲しいわけでもないのに、何気に買い、これまた何気に作った陶漆の器にあれこれ入れみました。
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何気なく思いついた「ガジュマルミニ盆栽」ながら‥また持病の誇大妄想に火が、点き、次のミニ盆栽は、どんな
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植物をどのような陶漆器にいれようかとアイデア空想に耽っています。
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これ(下)は、山瀬の半焼成皿と思っていましたが、違うと分かりすっきり、二転三転してできた作品です。
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なんだか皿のオブジェみたいになってしまいましたが、‘まっ、いいか’ と これ以上深追いしないことにしました。
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by blues_rock | 2017-05-27 00:07 | 金継ぎ/古美術/漆芸 | Comments(0)
近年ほぼ一年間隔で個展をしている画家島村安一氏(略歴はこちら)が、現在福岡市天神のひよ子ギャラリー天神(福岡市中央区天神2丁目10−15 HIYOKOビル3階)で新作展を開催しています。
モチーフは、終始一貫、女性の人物画(25点)です。
今回の展覧会では、ミニ・コンサートも併催企画されていますので夕方行かれると音楽も楽しめると思います。
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23(火) フルート : 金子崇史 氏
24(水) てんじんリコーダーアンサンブル
25(木) 箏 : 高木真理さん
26(金) オカリナ : 松永里香さん
27(土) 二 胡 : 渡辺利津子さん、蓮尾登志子さん
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私は、友人でもある金子崇史 氏のフルートを聴かせていただきました。
展覧会で音楽を聴きながら私が、絵を見たのは、「アルフォンス・ミュシャ展」で聴いたスメタナの「わが祖国(モルダウ)」以来でした。
美術館ももっと音響を考慮してオーケストラとはいかないまでも室内楽のアンサンブルくらい企画したら(個人美術館・ギャラリーでは、すでに開催されているのかもしれませんが)街の情操が、必ずや良くなると思います。
by blues_rock | 2017-05-26 01:26 | 美術/絵画/彫刻 | Comments(0)
テイト・テイラー監督(1969~)が、2016年に撮った心理サスペンス&スリラー映画「ガール・オン・ザ・トレイン」を紹介します。
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主人公のアルコール依存症で泥酔したらブラックアウト(記憶障害)する女性のレイチェル(エミリー・ブラント1983~ 2015年「ボーダーライン」主演)、ならびに、彼女のアルコール依存症が、原因で離婚した元夫の再婚相
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手の女性アナ(レベッカ・ファーガソン1983~ 2015年「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」出演)、そしてアナの子供のベビーシッター、メガン(ヘイリー・ベネット1987 2016年映画「マグニフィセント・セブン」出演)の a0212807_1831815.jpg3人の女性が、お互いの現在と過去を絡ませつつ(フラッシュバックして)ドラマは、展開していきます。
映画に登場する男たちの役割は、さして重要ではなく、刺身の端(つま)のようなものながら3人の女性それぞれに関わる女癖の悪い男(レイチェルの元夫=アナの現在の夫=メガンの愛人)だけが、ワサビの役割をします。
a0212807_1834464.jpgサスペンスを絡ませたスリラー映画なのでストーリーを述べると安易にネタバレするのでコアとなる3人の女性についてだけ簡単に説明したいと思います。
我が身を守るためなら平然と嘘をつき愛する人を深く傷つけても平気な女や男ばかりが、登場する(もちろん善人もいます)ので見る者の心中は、次第に不穏になるものの、そんなジコa0212807_187486.jpgチューで嘘つきたちの内面と過去が、少しずつサスペンス&スリラー仕立てで、剥ぎ取られていきますので、推理ドラマが、好きな人には、たまらない映画と思います。
まず、主人公のレイチェル(エミリー・ブラント)ですが、元夫の子供を欲しかったのに妊娠せず人工授精するもいつも失敗、いつしか精神のバランスを壊しアルコール中毒a0212807_18912.jpgになり泥酔しては、いつも問題を起こすも一切記憶していない(ブラックアウトしている)自分を自己嫌悪、そして忘れるためにさらに飲むという悪循環を繰り返していました。
レイチェルと離婚した夫は、愛人であったアナ(レベッカ・ファーガソン)とさっさと再婚し二人の間には、子供が、生まれていました。
アナは、ボランティアで留守中、近所に住むメガン(ヘイリー・ベネット)にベビーシッターを依頼していました。
a0212807_18115323.jpgレイチェルは、通勤電車の窓からアナたちが、暮らす家(かって自分の家)とその二軒隣に住まうメガン夫婦の幸せそうな暮らしぶりを眺めながら自分とメガンを重ね合わせ理想の夫婦を妄想していました。
ある日 レイチェルは、メガンが 自宅二階のポーチで他の男と抱き合いキスしている光景を車窓から見て憤怒しa0212807_1814946.jpg電車を降りました。
一方、アナは、愛人から妻になり母になったものの元夫へのストーカー行為と泥酔して自宅に現われるレイチェルに怯えていましたが、夫の携帯に頻繁に届くメールや夫の様子から自分に代わる愛人が、いることに気づきました。
a0212807_18172866.jpgさらに、メガンもまた過去に決して忘れることのできないトラウマを抱えており、精神分析医のカウンセリング(心のケア)を受けていました。
そんなある日、メガンの夫から「金曜日の夜から妻が家に帰らない」と警察にメガン失踪を告げる連絡と捜索依頼が、出されました。
a0212807_18175960.jpg警察は、泥酔したレイチェルが、金曜日の夜、メガンと言い争っているところを近所の住人から目撃されていることを告げ、やがて現場近くの森でメガンは、撲殺された遺体で発見されました。
殺人容疑をかけられたレイチェルですが、その時も泥酔しており翌朝、レイチェルは、顔に大ケガをして血まみれのわが姿に驚くものの何一つ記憶していませんでした。
a0212807_18195656.jpgアルコール依存症のレイチェルを演じたエミリー・ブラントの大きな目は、劇中どんよりしていて生気なく、さらに鼻先と頬が、いつも赤く、エミリー・ブラントのアルコール中毒症状の女性は、秀逸でした。
(右写真:撮影中のエミリー・ブラント)
by blues_rock | 2017-05-25 00:05 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
異才ケネス・ロナーガン監督(1962~)の新作「マンチェスター・バイ・ザ・シー」(脚本もロナーガン監督=アカデミー賞 脚本賞受賞、主演のケイシー・アフレックが同賞主演男優賞)は、心を閉ざした人間の深層心理を描いた
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傑作映画なので紹介いたします。
ケネス・ロナーガン監督作品で私の記憶にあるのは、2002年マーティン・スコセッシ監督の作品「ギャング・オブ・a0212807_21413236.jpgニューヨーク」の脚本と2011年のロナーガン監督・脚本作品「マーガレット」(名優マット・デイモンも出演している秀作映画なのに、何と日本では、劇場未公開! 信じられません)でした。
当初、前作の「マーガレット」で、ロナーガン監督とダッグを組んだマット・デイモンが、新作「マンチェスター・バイ・ザ・シー」では、自ら監督・主演・製作を考えていたようですが、スケジュールa0212807_2142544.jpgの都合で製作だけ担い、脚本と併せ監督をケネス・ロナーガン監督に依頼、主演は、親友ベン・アフレックの弟ケイシー・アフレック(1975~)に要請しました。
監督と脚本を担ったケネス・ロナーガン監督は、心に深い傷を負った主人公リー・チャンドラーの喪失感、寂寥感、孤独感という難しい人物描写を俳優ケイシー・アフレックの個性を生かした地味な演出で見事a0212807_215326.jpgに表現しています。
マット・デイモンは、名優ながら‘ジェイソン・ボーン’の印象(ショーン・コネリーの007ジェームス・ボンドと同様)が、極めて強く「マンチェスター・バイ・ザ・シー」の主人公リー・チャンドラー役には、特定人物のイメージが、定着していないケイシー・アフレックのキャストは、大正解!でした。
a0212807_21535537.jpg撮影監督ジョディ・リー・ライプス(1982~)が、撮ったリーのもつ喪失感、寂寥感、孤独感を醸し出す冷んやりとした映像、音楽担当の作曲家レスリー・バーバー(1962~)の抑えた旋律、リーの現在と過去を同時進行形のようにフラッシュ・バックさせる編集のジェニファー・レイムなど、ロナーガン監督を支える製作スタッフ陣の仕事ぶりも秀逸です。
a0212807_21543358.jpg主人公のリーは、生まれ故郷であるマンチェスター・バイ・ザ・シーを離れ、ボストン郊外で地域住民の便利屋として生計を立て孤独に暮らしていました。
ある冬の日、リー(ケイシー・アフレック)は、兄のジョー(カイル・チャンドラー 1965~)が、心臓発作で亡くなったとの訃報を受け、帰りたくなかった故郷マンチェスター・バイ・ザ・シーへ帰省しました。
a0212807_21553775.jpgリーには、マンチェスター・バイ・ザ・シーで暮らしていたころの亡き兄ジョーと甥のパトリック(ルーカス・ヘッジズ 1996~)三人で過ごした楽しい思い出とともに記憶から決して消し去ることのできない離婚した元妻のランディ(ミシェル・ウィリアムズ 1980~)と幼い娘三人一緒に暮らしていた時代の悲痛な過去が、ありました。
a0212807_21561531.jpgケイシー・アフレックの演じるリー・チャンドラーの身を切られるような喪失感、寂寥感、孤独感は、実在感(リアリティ)にあふれ近年の映画の中で俳優と登場人物(主人公)が、一体化した映画ファン必見の見事な演技です。
「マンチェスター・バイ・ザ・シー」は、総合芸術‘映画’の醍醐味を感じさせる深層心理ドラマの傑作なのでお薦めいたします。
by blues_rock | 2017-05-23 00:03 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
a0212807_354836.jpg沈金(ちんきん)と読みます。(右写真 : 松葉文様の沈金)
沈金(ちんきん)は、漆器の装飾(加飾)技法のひとつで、蒔絵(まきえ)、螺鈿(らでん)、髹漆(きゅゆしつ、塗り立てのこと)と並ぶ代表的な漆工芸の加飾技法のこと、ほかにも卵殻(らんかく)、彫漆(ちょうしつ)、蒟醤(きんま) など概ね10の装飾技法が、あります。
5月14日 日曜日の午後、アクロス福岡で開催された沈金師 水尻清甫氏による「輪島塗(わじまぬり)沈金教室」を受講しました。
沈金は、塗面にノミ(刀)で意匠の文様を彫り、刻線(点・面)の凹に漆を摺り込み、そこに金箔や金粉を埋めてa0212807_3172181.jpg模様とする輪島塗の技法です。
① 置目(おきめ): 美濃紙に描いた下絵を漆面に写す
② 文様彫り(もようほり): ノミで文様の輪郭線を彫る(ノミ先の角度45度)
③ 仕上げ彫り(しあげぼり): 花心や葉脈などの細かな線を彫る
④ 漆引き(うるしひき): 彫刻した漆面に漆を塗り拭く
⑤ 金箔・金粉入れ(きんぷんいれ): 拭き上げた漆面に金箔あるいは金粉を入れる
a0212807_320294.jpg当日、設えられた実習(ワークショップ)コーナーで、沈金(①~⑤)を行ない、一応修了証をいただきましたが、出来上がった初めての沈金作品は、ノミ先の暴れあまりにひどく、ここで披露するには、とても恥ずかしいので下を向き沈黙することにしました。
沈金を体験して痛感したことは、展覧会場で目の前にある漆工芸の数々の名品を見て、そして指に触れ精緻極まる工(たくみ)の技術(わざ)とその才能に只々脱帽するばかり‥漆工芸は、ジャパンクールの極みと思います。
a0212807_3204369.jpg漆や漆器を英語で Japan(Japanese lacquer)と云うくらいですから古代より日本の漆工芸は、世界に知られていたという何よりの証と思います。
会場におられた蒔絵師の水尻里見さん(沈金師 水尻清甫氏夫人)に「どうしてこんなすばらしい沈金が、できるのですか?」との私の不躾な質問にもイヤな顔されず「ノミが、自分の体と一体になるまで毎日修業するのです。」と微笑みながらクールに答えられました。  (下写真 : 木スプーンの拭き漆 23工程)
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ひとつ漆塗りのスプーンを完成させるためには、最低でも2か月、概ね3か月くらいの時間が、必要です。 
なぜ、そんなに時間が、かかるのかは、 ‘漆の特性’ を理解しなければなりません。
こちらの「漆の話」を参考にしてくださり、一人でも多くの漆器ファンが、増えれば、私は、うれしく思います。
by blues_rock | 2017-05-21 00:01 | 金継ぎ/古美術/漆芸 | Comments(0)
フランスの名女優メラニー・ロラン(1983~ 「イングロリアス・バスターズ」・「オーケストラ!」・「複製された男」・「ミモザの島に消えた母」ほか)の監督 第2作目となる2014年作品「呼吸 ~ 友情と破壊」をアンスティチュ・フラa0212807_1052099.jpg ンセ九州で見ました。
アンスティチュ・フランセ(本部 パリ)は、世界中の支部(日本に5都市、九州は福岡にある)と一般劇場で上映しないような作家性の強い個性的な映画や若手で才能ある新進気鋭の監督作品をインターネットで繋ぎ上映しています。
5月の作品は、フランスを代表する美しき名女優メラニー・ロランが、監督した新作「呼吸 ~ 友情と破壊」でした。
ロラン監督は、「自己愛の強い倒錯者(精神疾患のひとつ「自己愛性人格障害」)のことを描きたかった」という映画のプロットを見事に表現したすばらしい作品でした。
メラニー・ロランは、まだ34歳、女優として今までに20作品以上の映画に出演しており早やベテラン女優の風格すらあります。
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監督メラニー・ロランは、この新作「呼吸 ~ 友情と破壊」が、長編映画2作目ながら映画センス抜群の演出を披露しています。
a0212807_1116812.jpg映画づくりのキーとなる演出は、メラニー・ロランが、これまで出演した数多くの作品の名立たる名監督から学んだのか、女優としての演技センスと相俟って映画監督としての才能を一気に開花させました。
メラニー・ロラン監督の演出が、実に冴えています。
映画は、主人公の高校生の少女二人が、青春を謳歌しながらお互い友情を感じていくところから始まりホラーのa0212807_11192851.jpgような不気味な雰囲気を次第に漂わせていきます。
才気あふれるロラン監督の演出とそれを追うハンディ・カメラで撮影した映像が、秀逸です。
主人公は、控えめでおとなしいどこにでもいるような女子高生のシャルリ(ジョゼフィーヌ・ジャピ 1994~ 2011年映画「マンク~破戒僧」の少女役で出演)と美しく個性的な転校生サラ(ルー・ド・a0212807_11285961.jpgラージュ 1990~)の二人です。
シャルリは、サラと友情を深めるうち、彼女の自由奔放な言動と謎めいた生活に興味を覚えて行きました。
サラは、シャルリのそんな心の内を見透かすようにシャルリの家を頻繁に訪ね、控えめなおとなしいシャルリの生活にあれこれ指図し、やがてサラが、内向的なシャルリの悩みである彼女a0212807_11301191.jpgの家庭内問題(両親の諍い)にも口出しするようになるとシャルリは、サラの存在が、疎ましくなりました。
次第にサラの潜在的な精神疾患「自己愛性人格障害」である虚言と妄想、暴力的な加虐性癖(サディズム)が、シャルリを翻弄、彼女の内向的な性格ゆえの被虐性向(マゾヒズム)に容赦なく向けられて行きます
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映画に次第に広がっていく不安や不穏をロラン監督は、ハンディ・カメラを駆使し、動揺を抑え切れなくなっていくシャルリの感情(内に秘めた怒りの感情)ならびにサラの無神経で不躾(ぶしつけ)な態度をハンディ・カメラなa0212807_11335281.jpgらではの トラッキング(追いかけまわし撮影)、フォロー(ぴったり密着し撮影)、時にスピンアラウンド(人物の周りを回りながら撮影)するカメラワークは、見る者の背筋が、寒くなっていくサイコな雰囲気をよく醸し出しており秀逸です。
ロラン監督の演出に応えた若い女優の二人、とくにサラを演じたルー・ド・ラージュの華やかでやさしげな表情からサディスティックa0212807_11344077.jpgな顔に一瞬(ワンカット)にして切り替える演技力、ならびにシャルリを演じたジョゼフィーヌ・ジャピの抑え切れなくなった表情(とくに内に秘めた怒りの表情)と抑圧した感情の衝動が、一瞬にして狂気と化す演技は、ともにすばらしく今後の活躍が、大いに期待されます。
a0212807_11351840.jpgシャルリの母親を演じたイザベル・カレ(1971~ 1999年「クリクリのいた夏」に出演)も地味ながら自己愛の強い倒錯者(自己愛性人格障害)の夫に泣きながら従う被虐性(マゾヒズム)の妻ぶりも見事でした。 (上写真 : 撮影中のメラニー・ロラン監督)
by blues_rock | 2017-05-19 00:19 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
ジェローム・ル・メール監督・脚本のフランス映画「ブルゴーニュで会いましょう」は、ワイン好きの方、ワインを学びたい方に最適の映画です。
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映画のタイトル「ブルゴーニュで会いましょう」は、ブルゴーニュの観光ガイドブックのようながら さにあらん、ワインにどっぷり浸かる映画です。
a0212807_17543392.jpg原題の「Premiers crus」(プルミエ・クリュ)は、ワインを格付するときの専門用語で高品質ワイン原料ブドウ(ピノ・ノワール)を生産する「第一級畑」の土壌格付のこと、ブルゴーニュのワイン畑 11%に与えられている名称だそうです。
ワインについて何も知らない門外漢の私なのでボロを出さないうちに映画「ブルゴーニュで会いましょう」の紹介に移りたいと思います。
a0212807_182471.png映画の冒頭にパリの風景が、チラッと出る以外は、全編‘ブルゴーニュ地方’での撮影なので景色が、すばらしくワインのことは、知らずとも美しい映像を見ているだけでブルゴーニュに行ったような気持ちになります。
主人公のシャルリ(ジャリル・レスペール 1976~ 2014年映画「イヴ・サンローラン」の監督・脚本)は、二十歳のa0212807_185533.jpgときブルゴーニュでワイン造りをしている実家を離れ、パリで著名なワイン評論家として活躍していました。
ある日、シャルリは、実家のワイナリーが、多額の負債と3年分以上の在庫を抱え経営危機に陥り日本の銀行か、隣の名門ワイナリーに買収されようとしていることを耳にしました。
a0212807_1862964.jpg久しぶりに実家に帰りワイナリー主で父親のフランソワ(ジェラール・ランバン 1950~)と再会しますが、家業を捨て出て行った息子のシャルリを許さず、シャルリも疎遠にしていた父親との溝は、埋まらず父親を疎ましく思っていました。
そんな時、シャルリは、ブランシュ(アリス・タグリオーニ 1976~)という美しい女性と出遭いました。
a0212807_1865839.jpgシャルリは、ブランシュが、隣のワイナリーの一人娘で幼馴友だちと知らずに一夜の関係を持ちました。
シャルリには、マリー(ローラ・スメット 1983~、女優ナタリー・バイ 1948~の娘)という気丈な妹がいて父親の仕事を手伝う夫ともども父親の面倒を見ていました。
a0212807_189123.jpg妹のマリーからシャルリは、父親が、数年前の母親との離婚以来仕事への情熱を失っていること、ブランシュは、マリーの親友で隣の名門ワイナリーの一人娘でありシャルリの幼馴染みであること、父親とブランシュの母親である隣のワイナリー主とが、犬猿の仲であることを聞きました。
ワインのテイスティングは、一流のシャルリですが、ブドウ栽培やワイン醸造のことは、何も知りませんでした。
a0212807_18104186.jpgシャルリは、悩みながら妹夫婦やブランシュの協力を得てワイナリー再建を決意しました。
ブランシュを愛するようになったシャルリですが、ブランシュは、すでにアメリカ人の恋人との結婚が、決まっていました。
ブドウ栽培やブドウ畑の管理に試行錯誤しながらも投げ出さずに悪戦苦闘する息子シャルリを見るうちに頑なだった父親の気持ちも次第に変わり始めました。
シャルリが、自分の「第一級畑(Premiers crus)」で大事に育てたブドウの収穫時期を見極め切れず迷っているときブランシュは、電話でシャルリに祖父が、教えてくれたという(一子相伝の)「ブドウの種を噛み砕いたとき後味にリコリスの味がしたら収穫時期である」とアドバイスしました。
アメリカに嫁ぐブランシュにも名門ワイナリーの後継者としてワイン醸造に頑固な母親との確執が、ありました。

by blues_rock | 2017-05-17 00:07 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)