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心の時空

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a day in my life

<   2016年 07月 ( 17 )   > この月の画像一覧

映画のタイトル「プレデスティネーション(Predestination)」とは、予め定められた運命(つまり宿命)という意味で2015年に公開されたオーストリアのSFサスペンス・ミステリー映画です。
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脚本と監督は、ドイツのマイケルとピーター・スピエリッグ兄弟(一卵性双生児 1976~)で、連続テロ爆弾魔の犯行を阻止するため時標変換装置(タイム・マシン)を使い過去へ何度もタイムスリップした時空警察官が、自分と自分a0212807_1753778.jpgに関わる人たちに起きる時間の歪みによるタイムパラドックス(時空の逆説)を映画は、描いています。
バーテンダーに身を偽りバイオリンのケースに似た時標変換装置を使いタイムスリップを繰り返す時空警察官をイーサン・ホーク(1970~)が演じ、バーテンダーの時空警察官を管理する上司をノア・テイラー(1969~ 「シャイン」で主人公デイヴィッド・ヘルフゴットの青年時代を好演)、この映画で秀逸な名演技を見せたのが、オーストラリアの新進気鋭女優サラ・スa0212807_17262863.jpgヌーク(1987~)で、映画の冒頭、サラ・スヌーク演じるジョンと名乗る男は、ふらりとバーに現れ初対面のバーテンダーに自分の身の上話をします。
ジョンは、昔、街で偶然出遭い恋に落ちた若い女性ジェーンの話をしました。
サラ・スヌークは、ジョンとジェーンの二役を名演しています。
a0212807_17273856.jpg一つだけネタバレを紹介するとジョン=ジェーンは、同一人物(二人の自分がいる)、えっ!? 何? どう云う意味?と訊ねられても、それは、映画を見てのお楽しみです。
時空警察官のバーテンダーは、上司に自分の後任として連続テロ爆弾魔フィズル・ボマーの追跡逮捕の時空警察官にバーで遭ったジョンを指名、そのジョンが、昔街で出遭って恋をし結婚する相手のジェーン、a0212807_17291011.jpgそして二人の間に生また子供、この映画の狂言回しである連続テロ爆弾魔フィズル・ボマー、ポイントは、この4人の関係です。
これ以上は、ナイショにします。
タイムパラドックス(時空の逆説)とは、例えて云えば、自分の生まれる前に時間を遡り(タイムトラベルし)自分の親を殺したとしたら、親を殺した自分は、何者なのか?(理解できますか?)
1984年映画「ターミネーター」でAIコンピューターが、支配するデストピア社会に反旗を翻し、人類救済と解放a0212807_17312097.jpgのために革命指導者となるジョン・コナー、その未来の革命指導者ジョンをやがて身ごもり母となるサラの命を狙う殺人マシンのターミネーター、革命指導者ジョン・コナーからサラの護衛に任ぜられ過去に送られたジョンの部下カイル‥不死の殺人マシン、ターミネーターからサラを必死で護るうちに愛し合うようになり身ごa0212807_17334029.jpgもったのは、後の革命指導者ジョン・コナーです。
1985年からの「バック・トゥ・ザ・フューチャー」三部作にも、過去にタイムスリップした主人公が、若くチャーミングな自分の母親に恋をするなどタイムパラドックス(時空の逆説)のシーンが、登場します。
拙ブログで紹介した「インターステラー」、「インセプション」、「12モンキーズ」などもタイムトラベルとタイムパラa0212807_1735467.jpgドックスのシーンが多く登場します。
マッツ・ミケルセン主演のSF映画「ザ・ドア 交差する世界」のプロット(物語)は、パラレルワールド(別の次元=時空に並行して存在する同じ世界)をプロットにタイムパラドックス(時空の逆説)を映画の道具立てにして描いた秀作です。
今夜ご紹介した映画は、頭に刺激が、欲しい方にうってつけの好い映画と思います。
by blues_rock | 2016-07-31 00:01 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
日本では、情熱の画家‘ゴッホ’の名前を知らない人を探すほうが、難しいくらいオランダの画家ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ(1853年3月30日~1890年7月29日自死または事故致死、享年37歳)の名前は、知られています。
a0212807_1575565.jpgこれほど日本人に人気のあるゴッホですが、戦前のわが国にゴッホを知る人は、ほとんどなく、その中で「わたば、ゴッホになる」とゴッホに強い影響を受けて世界的な版画家となった棟方志功だけが、私の印象に残ります。
戦後になり、1953年のわが国初のゴッホ展以来、ほぼ5年置きくらいに特別企画のゴッホ展が、開催されており全国巡回する規模の大きなゴッホ展への入場者総数は、50万人を上回っています。
オランダ、アムステルダムの中心地、アムステルダム国立美術館とアムステルダム市立近代美術館の間にあるゴッホ美術館は、2014年世界の美術館a0212807_15134720.jpgにおける1年間の入場者数ランキングで第34位=161万人と(1位のルーブル美術館=1千万人は別格にしても)個人画家の美術館(2位ピカソ美術館64位=92万人)としては、群を抜いて人気のある美術館ながら、それを以ってしても、わが国でのゴッホ展への入場者総数50万人を考えるとゴッホ人気の凄さが、分かります。
a0212807_15142232.jpgオランダには、アムステルダム郊外のクレラー・ミュラー美術館に270点のゴッホ・コレクションがありますので、アムステルダムに行けば、ゴッホ美術館と併せるとゴッホの主な作品とゴッホ兄弟の浮世絵コレクション(5百点)を見ることができます。
画家ヴィンセント・ヴァン・ゴッホや弟のテオについては、多くの著書がありますので、改めて書く必要はないものの「ゴッホの自死と耳切り事件」は、a0212807_15151732.jpg敢えて事件の周辺にある事実について触れておきたいと思います。
その真相は、これを読んだ方の推理と推察に委ねたいと思います。
ゴッホの自死(自殺)については、諸説ふんぷんありますが、なぜピストルによる自死(自殺)なのか、死因は、胸腹部(心臓の下)を撃ったことによる出血多量死ですが、自殺行為ならなぜ頭ではないのか(急所ではない腹部なのか)、プロヴァa0212807_15243262.jpgンス(サン=レミ 1889年5月~1890年5月)の精神療養院にいたゴッホが、どうしてピストルを持っていたのか、当時ゴッホには、アブサン(極めてアルコール度の高い酒)依存症や癲癇(テンカン)の発作、うつ病、せん妄(幻覚・錯覚・妄想)など精神の情動障害が見られ、制作中に毒性の絵の具を食べたり部屋にあるランプの油を飲むなどの異常行為もあったとされています。
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ゴッホは、精神が安定し小康状態のときイーゼル・キャンバス・絵具箱など画材類をもち野外に出て絵を描いていました。   (上の絵:ゴッホの絶筆 / 下写真:左 ゴーギャン、右 ゴッホ)
a0212807_15271037.jpgそんな時、サン=レミの人たちから‘赤毛の狂人’と呼ばれていたゴッホが、麦畑で絵を描いているとき(上の絵)地元の悪童少年たちにからかわれゴッホは、少年らの持っていたピストルでふざけているうち暴発、弾がゴッホの胸腹部に当たりました。
ゴッホは、大事になると思わず警察の調べにも少年らをかばい何も言わなかった(だがゴッホは3日後出血多量で死亡)のではないかと推測する専門家もいます。(後編に続く)
by blues_rock | 2016-07-29 00:09 | 美術/絵画/彫刻 | Comments(0)
ロシア映画の鬼才映画監督アレクサンドル・ソクーロフ(1951~)は、国立映画大学の卒業製作に撮った「孤独な声」(1978年長編映画初監督作品、大学から廃棄命令、上映禁止)が、希代の映画監督名匠アンドレイ・タルコフスキー監督から高く評価され、とくにドキュメンタリーの秀作を多く発表しています。
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今夜紹介するのは、ソクーロフ監督が、撮った20世紀の「権力者」4部作のうち日本の昭和天皇を描いた2006年の「太陽」と実在の人物ではありませんが、4部作最後の2011年「ファウスト」の2作品です。
権力者4部作は、他に独裁者ヒトラーを描いた1999年作品「モレク神」、ソ連の指導者レーニンを描いた2001年a0212807_7162038.jpg作品「牡牛座 レーニンの肖像」もありますが、私は、この2作品を見ていないので今回触れないでおきます。
さて、昭和天皇を描いた「太陽」ですが、ロシア・イタリア・フランス・スイスの合作映画で製作に日本は、入っていません。(菊の紋章をブロットにした日本映画は駄作が多く残念です。)
ソクーロフ監督は、監督と撮影を一人で担い太平洋戦争末期、日本帝国が滅亡するころの現人神天皇に苦悩する昭和天皇の姿を日本贔屓のロシア人監督の目で奇を衒(てら)わず丁寧に描いています。
タイトル「太陽」の原題も「Солнце=The Sun」と同じ太陽を意味し昭和天皇に会ったGHQのマッカーサー最高司令官が、‘子供のようだ、子供のように純真無邪気だ’と称したように昭和天皇を演じる名優イッセー尾形a0212807_7174885.jpg(1952~)の傑出した演技は、コミカルにしてシリアスそしてペーソスにあふれています。
映画のシーンは、ほとんど皇居の地下に設けられた防空壕の中ですが、プロダクションデザインを担った美術監督エレナ・ズーコワの手腕も秀逸で当時の時代考察ならびに調度類の考証も良く研究していました。
イッセー尾形演じる昭和天皇に絡むのが、侍従長役の佐野史郎(1955~)と皇后役の桃井かおり(1951~)で、ソクーロフ監督の演出に丁寧に応えた二人の演技も見どころです。
a0212807_7181764.jpgとくに皇后役の桃井かおりが、侍従長役の佐野史郎から天皇の人間宣言を録音した技師の自殺を聞いたとき、悲痛とも怒りとも付かぬ表情で、天皇と侍従長二人を見て夫である天皇の手を取り疎開から帰った子供たちの待つ部屋に連れ出すまでのシークエンスは、ソクーロフ監督が、こだわったシーンだったようです。
撮影監督としてのソクーロフ監督も秀逸でした。
a0212807_7193595.jpgとくにアメリカ軍のB29爆撃機が、東京を空襲するシーンでは、VFX技術を駆使してB29の大編隊を燃え上がる東京上空の火の海を泳ぐ魚の大群に見立てた映像が、悪魔の襲撃のようにも見え地獄絵図さながらでした。
「太陽」は、サンクトペテルブルク国際映画祭でグランプリを受賞しました。
      *
ドイツの文豪ゲーテ作「ファウスト」をソクーロフ監督は、映画の冒頭‘ゲーテの原作を自由に翻訳’ とクレジットして少し難解で哲学的なプロットをシンプルに描いています。
墓に埋葬された死体を買い取り、魂の在り処を探すファウスト博士(ドイツの俳優ヨハネス・ツァイラー 1970~)が、魂を売る悪魔は、メフィストでなく高利貸マウリツィウス(ロシアの俳優アントン・アダシンスキー 1959~)です。
悪魔の高利貸マウリツィウスは、猫背で外見からして生理的に嫌な雰囲気の老人で、彼の登場するシーンになa0212807_7263363.jpgると画面が、グロテスクに歪み、悪魔から連れて来られた森の中でファウストは、美女マルガレーテ(ドイツの女優イゾルデ・ディシャウク 1993~)に魂を奪われますが、このシーンは、ロマンティックで美しくなります。
ソクーロフ監督の演出は、至ってシンプルながら作品にソクーロフ監督独自の美意識が、貫かれており、映像は、時として歪んだり、色調が、セピアやブルーに変化したり、醜(悪、グロテスク)と美(善、ロマン)を変幻自在に錯綜させて構成して行きます。
ドキュメンタリー映像作家として稀有な才能をもつソクーロフ監督だけに映像へのこだわりも相当なもので、悪魔a0212807_7273012.png(悪)は、金(マネー=金融資本)という辛辣なテーマをVFX技術の駆使によりシュールにしてファンタジーな映画に撮りました。
19世紀当時の町並みや建物は、ドイツ美術を参考にリアルなオープンセットを組み衣装なども正しく当時のままにプロダクションデザインした美術監督のエレナ・ズーコワ(「太陽」も担当)の手腕も見事です。
映画にタルコフスキー監督の影響を感じるのは、弟子であったソクーロフ監督の師匠へのオマージュでしょう。
「ファウスト」は、ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞(グランプリ)を受賞しています。
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マルガレーテを演じたドイツの女優イゾルデ・ディシャウク (1993~)が、美しく印象に残りました。
by blues_rock | 2016-07-27 00:07 | 映画(シネマの世界) | Comments(2)
新進気鋭して俊英の映画監督ジョシュア(兄 1984~、脚本)&ベニー(弟 1986~、編集)・サフディー兄弟監督は、実話をもとにニューヨークのマンハッタンで路上生活するヘロイン中毒者の少女が、たどる破滅的な‘ローレンツの刷り込み’のような恋(生まれて初めてやさしく接してくれたヘロイン売人の少年への一途な恋)を斬新な
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映像(トラッキングとフォロー、シーンによってはズームアウトのカメラワークが抜群)で描いています。
「神さまなんかくそくらえ」の原題は、「Heaven Knows What(神は何も知らない)」で、主人公であるジャンキーでホームレスの少女ハーリー(アリエル・ホームズ 1993~)が、「あなた以外は、全部ゴミ!」と言う恋人への想いa0212807_1942059.jpgもヘロインとアルコールでいつもラリっている恋人イリヤ(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ 1989~)は、冷淡で薄情そのもの、いつも自分の都合で彼女を利用するだけでハーリーに暴言を吐き思いやりのカケラもありません。
この映画の原作者は、ハーリーを演じたアリエル・ホームズ自身で演技経験ゼロ、映画初出演ながらすばらしく、サフディー兄弟監督の演出による演技なのか自然な演技しているのか‘ジャンキーでホームレス’のリアリa0212807_1945067.jpgティ(現実感)は、ドキュメンタリーのようでした。
原作・主演のアリエル・ホームズの半生は、12歳のときジャンキーの母親の影響でコカイン中毒になり、さらに祖母や親戚からネグレクト(児童虐待)を受け家出、ニューヨークでストレート・チルドレン(路上生活者)になりました。
そのころ知り合ったストレート・チルドレン仲間の少年イリヤ(実在するもヘロイン摂取過多で死亡)からハーリーa0212807_1962542.jpgは、生まれて初めて人として‘やさしく’してもらいました。
それ以来ハーリーは、「あなた以外は全部ゴミ」とイリヤに付きまとい、彼をただ愛することだけが、彼女の生きる理由でした。
イリヤは、「あなたのためなら死ねる」と言うハーリーを疎ましく思い邪険に扱い、自分の前で「死んでみろ、いま死ね」と言い捨てました。
イリヤの愛が欲しいハーリーは、カミソリで手首を切りました。
a0212807_1994168.jpg映画は、このシークエンスから始まり登場する人物たちが、皆ジャンキーでアルコール中毒のホームレスばかりなので気持ちを暗くさせますが、絶望とどん底の暮らしをした実体験からハーリーを演じるアリエル・ホームズの実在感とイリヤを演じる若手俳優のケイレブ・ランドリー・ジョーンズ(演技経験がある俳優は彼だけ)の虚無と孤独感は、すばらしく特筆すべき表現力(演技力)です。
a0212807_19104368.jpg撮影監督ショーン・プライス・ウィリアムズ(1977~)のカメラワークも必見、カメラは、遠景でホームレスたちの生態をズームアウト(どん引き)撮影する一方でハーリーやイリヤたちジャンキー・ホームレスをトラッキングさらにロングショット、ミディアム・ロングショット、ミデイアムショット、クローズアップ、ビッグ・クローズアップなど、ドキュメンタリー映像で撮影技術のキャリアを積んだウィリアムズ監督ならではのカメラショットが、いまを刹那に生きる少女a0212807_19134542.jpgの瞬間を鮮明に捉えています。
サウンドトラックにシンセサイザー音楽の祖にして作曲家富田勲の1974年デビューアルバム「月の光」が、使われています。
「神さまなんかくそくらえ」は、東京国際映画祭で最高賞(東京グランプリ)を受賞、同時にサフディー兄弟監督が、最優秀監督賞を受賞しました。
by blues_rock | 2016-07-25 00:05 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
a0212807_17361935.jpg「初期伊万里の金継ぎ挑戦」を以前紹介(こちら)しましたが、その初期伊万里皿のうち一つを「青梨子地銀」で直しました。
3箇所のキズ(左写真の10時方向に2箇所、3時に1箇所)を当初、金直しする予定でしたが、途中変更し浅葱漆をベースに梨子地銀を蒔きました。
もうひとつが、下の変形した初期伊万里茶碗です。
この初期伊万里茶碗もどうしようか迷いながら「♯」の切れたところに銀を蒔き、梨子地回りを金で縁どり(高台はそのまま)しました。
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a0212807_17382635.jpg見込み(内側の縁)にもう少し蒔絵しようかな‥いやいや、うるさくなるといまでも迷っています。
梨子地に青(浅葱)漆地のブルーが、もっと映えれば良かったと反省、次作の課題にしたいと思います。
金継ぎの長所は、迷いがふっきれなければ放っておいて、たとえ3年後、5年後であっても、やる気になったら取り出して納得するまで、とことんやれば良いこと(金継ぎ依頼品だとそうはいかないでしょうが‥)です。
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by blues_rock | 2016-07-23 00:03 | 金継ぎ/古美術/漆芸 | Comments(2)
世界各地域で民族間の対立と憎悪よる紛争が、多発、排他的宗教の自爆テロ、失業者・貧困層を中心とした悪しきナショナリズムらよる右翼勢力の台頭など世界大戦への不穏な空気に包まれています。
a0212807_13149100.jpgなんだか‘いつか来た道’をまた歩き始めたような‥1930年代ヨーロッパやアジアに暗雲立ちこめた(そして1939年 第2次世界大戦勃発の)世界情勢に似て来ました。
人類が、幾度となく通った戦争への道、どの道もその先にあるのは、国家の破滅と国民の不幸だけと云うのに人は、何度同じ道を歩けば、気が済むのでしょうか?
ポーランド映画「カチンの森」に続き、2008年デンマーク映画「誰がため」(原題 Flammen & Citronen 炎とレモン)もまた第2次世界大戦下のデンマークで愛国心ゆえにナチスドイツ軍に協力する同胞を暗殺するレジスタンス兵士2人の哀切な物語です。
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デンマークの監督オーレ・クリスチャン・マセン(1966~ 監督・脚本)は、ナチスに支配されたデンマーク(首都コペンハーゲン)を舞台にレジスタンス組織の暗号名で‘フレメン(炎)’と‘レモン’と呼ばれた実在の暗殺者を極めa0212807_1334564.jpgてシリアスにリアルな演出で描いています。
ライン・プロデュースもプロダクション・デザインも当時のデンマークを再現、撮影監督のヨルゲン・ヨハンソン(プロファィル詳細不明)は、マセン監督のシリアスな演出を生かすべくナチスドイツ軍に占領されたコペンハーゲン市街の沈鬱な空気と市民同士お互いを疑心暗鬼の目(スパイと裏切り)で見る不穏な雰囲気をリアリティあふa0212807_1342979.jpgれる映像で撮っています。
1944年、ナチス支配下のデンマーク首都コペンハーゲン、レジスタンス組織の暗号名フラメン(実名ベント、演じるのは、デンマークの俳優トゥーレ・リントハート 1974~)とシトロン(実名ヨーン、演じるのは、デンマークの名優マッツ・ミケルセン 1965~)は、ロンドンの亡命政府の極秘指令でナチス協力するデンマーク人同胞を暗殺するのが、任務でした。
a0212807_1395163.jpg23歳のフラメン(ベント)は、自らの任務を疑わず着実に暗殺を遂行していましたが、愛するレジスタンス女性闘士を二重スパイとして暗殺するよう命令され苦悩していました。
年長のシトロン(ヨーン)は、33歳で家族(妻子)が、あるも顧みることはなく、それでも自分は、家族のために戦っていると固く信じていました。
a0212807_1413781.jpgだが、ある日愛する妻から好きな男が、いるので彼と一緒に暮らすと告げられ愕然としました。
フラメンとシトロンは、それでも暗殺を続けますが、ゲシュタポ司令官ホフマン(クリスティアン・ベルケル 1957~ 「ヒトラー 最期の12日間」ではヒトラーの主治医役、ホフマン役の存在感もなかなか秀逸)は、徹底した包囲作戦で2人を追いつめて行きました。
a0212807_1483775.jpg地下組織に助けられ抗戦するフラメンとシトロンでしたが、やがてレジスタンス組織の中枢にスパイがいると疑い始めました。
次第に2人は、自分たちの戦いが、誰のためなのか、本当の敵は、誰なのか、自問自答するようになりました。
そして、それぞれ2人の逃亡先が、ゲシュタポに発見され2人は、射殺されました。
a0212807_149442.jpg血だらけで死んだ悲壮な2人の遺体が、トラックの荷台に並べられ、遺体を弄んでいた部下に司令官ホフマンが、「何をしておる!丁寧に扱え!」と叱り一括しました
麦の穂を揺らす風」もそうでしたが、祖国を愛し祖国のために全身全霊で戦うもその真摯な愚直さゆえ組織に疎まれ最期に邪魔者として処刑される(「誰がため」では射殺される)主人公の魂は、一体誰か救済するのでしょうか。
by blues_rock | 2016-07-21 00:01 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
ポーランド映画を代表する名匠アンジェイ・ワイダ監督( 1926~)の2007年作品「カチンの森」(原題 Katyń )は、第2次世界大戦中の1939年、ポーランドで実際に起きた独裁者スターリン率いるソ連軍の卑劣極まりない虐殺
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事件(歴史的に実証された事実)を描いた秀作映画です。
ワイダ監督の父親も「カチンの森虐殺事件」の犠牲者の一人であるだけに2時間余の全編をとおしてワイダ監督
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演出の気迫が、緩むことはなく、当時の実写フィルム映像も挿入しながら、目を背けたくなるような虐殺シーンも冷徹な視線でリアルに撮影しています。
a0212807_12365279.jpg撮影監督パヴェル・エデルマン(1958~ 2002年「戦場のピアニスト」カンヌ国際映画祭パルムドール受賞の撮影監督)は、ワイダ監督の鎮魂を静謐なトーンのヒンヤリした映像でワンカット・ワンシーン丁寧に撮っています。
その不条理にして理不尽な虐殺シーンをドキュメンタリーの実写した映像のように次から次へ見せられると見る者の心は、悲痛と激怒で凹み、暗澹a0212807_12465491.jpgたる気持ちになっていきます。
1939年ポーランドは、西から冷血な独裁者ヒトラー率いるナチスドイツ軍、東からこれまた血も涙もない鬼のようなスターリン率いるソ連共産党軍に侵略されました。
その国家存亡の危機に召集されたポーランド軍の予備将校たち(軍属以外の知識人予備兵たち)は、兵役に付きますが、ポーランドを分割支配するナチスドイツ軍とa0212807_12475984.jpgソ連軍に彼らは、邪魔な存在でした。
1939年9月、ポーランド亡命政府は、武装解除された予備将校1万人を含む総勢25万の軍人と民間人が、消息不明であると発表、世界を震撼させました。
1943年、ポーランドを占領していたナチストイツは、ソ連との相互不可侵条約を破棄しソ連に侵攻、ポーランド国境近くソ連領内の‘カチンの森’に22,000のポーランド人将校の死体が、埋めa0212807_1251211.jpgられているのを発見したとポーランド赤十字社を通じて公表しました。
ヒトラーの忠臣であった宣伝相ゲッペルスは、これをナチスドイツの反ソ連のプロバガンダ(政治宣伝)に利用すべく大々的な調査(その時の記録映像が多く現存するのはそのためでこの映画にも挿入されている)を命じました。
a0212807_12521539.jpg映画は、1939年ソ連軍に侵攻されたポーランドでソ連の捕虜となったアンジェイ大尉(アルトゥール・ジミエウスキー)とその家族を通して不条理な戦争に蹂躙され理不尽な非業に呑みこまれた人間の不幸を描いています。
夫アンジェイの行方を必死で探しやっと見つけた妻アンナ(マヤ・オスタシャースカ)でしたが、それもつかの間、自分と幼い娘の目の前でソ連軍に連行されて行きました。
a0212807_12534138.jpgアンナは、娘と夫の両親のもとに行きますが、夫の父は、すでにナチスに逮捕され強制収容所で病死していました。
アンジェイ大尉の残された家族は、彼の帰還をじっと待ち続けました。
カチンの森に大きな穴を掘り、その前にポーランド人将校を並べ一人ひとり彼らの後頭部を撃ち処刑し無表情で穴の中に落として行いくソ連兵たちに戦慄が、走りぞっとします。
a0212807_12543088.jpgワイダ監督入魂の演出は、常に大国に蹂躙され続けてきた祖国ポーランドの不条理な受難および苦悩(抑圧と虐殺)を世界史に残さなければならないという義憤にあふれています。
2010年、ロシアのプーチン大統領(当時首相)は、旧ソ連軍によるカチンの森虐殺事件を「これは、スターリン全体主義の残虐行為で正当化できない犯罪であるが、ロシア国民の罪にするa0212807_125623.jpgのは、間違ってい
る。」と主張し犠牲になったポーランド人将校22,000人とその遺族へ謝罪しませんでした。
戦争を知らない世代が、お互い口角泡を飛ばして罵り合い「謝罪しろ」と喚いても未来への貢献はありません。
悲惨な戦争を引き起こした愚かな過去から人間の究極の不幸を学び、決して同じ愚劣な過ちを繰り返さないように‘粉骨砕身、努力する’ことこそ私たちにできる最良の謝罪であると私は、確信しています。
by blues_rock | 2016-07-19 00:09 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
今年の3月、アクロス福岡のシンフォニーホールで来日10年周年のトリニティ・アイリッシュ・ダンスカンパニーの公演が、7月16日にあると聞きすぐにチケットを予約しました。
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トリニティ・アイリッシュ・ダンスカンパニーは、主宰者のマーク・ハワード(ダンサー・振付師・芸術監督)により1979年にシカゴで創設され現在に至ります。
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アイルランドは、16世紀にイギリスの植民地として支配され、アイルランドの人びと(ケルト民族)が、集まり母国語のゲール語(ケルト語)で話すことやケルト民族の音楽を奏で踊ることも禁止されました。
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抑圧されたアイルランドの人びとは、イギリス兵に窓の外から見られても分からないよう上半身を動かさず下半身でリズムを刻みながら踊るダンス、アイリッシュ・ダンスを生みだしました。
a0212807_104564.jpg1845年、未曾有のジャガイモ大飢饉(アイルランド人の主食ジャガイモに疫病菌蔓延)が、アイルランド全土を襲いました。
アイルランドの人びと(カトリック教徒)は、飢饉に苦しみ、大勢の餓死者をだしましたが、盟主国イギリス(プロテスタント教徒)は、緊急食糧援助で救済するどころかアメリカから救援食料を積みアイルランドへ向かう船をイギリスに向かわせ収奪、a0212807_1091275.jpg過酷な税(小作料)の取り立てでアイルランドの小作農民を苦しめました。
生き延びるために祖国アイルランドを棄てた250万人(当時のアイルランド人口の30%)は、大西洋を渡り新天地の北アメリカに移住しました。
現在、アイルランド系アメリカ人は、4千万人、アメリカの人口が、現在2億6千万人ですから、アメリカ人の6人に1人は、アイルランド系です。
a0212807_10103659.jpg歴代のアメリカ大統領では、ケネディ・レーガン・クリントン・オバマ(母方がアイルランド系)と4人のアイルランド系大統領が、います。
このアイリッシュ・ダンスのスタイルに芸術監督のマーク・ハワードは、世界のさまざまな舞踏(ジャズダンスやブレイクダンス)や音楽を取り入れ、プログレッシヴなアイリッシュ・ダンスを創造しました。
a0212807_1011286.jpg今回の公演には、18歳から26歳の若きダンサーたち、フィドル(ヴァイオリン)・木管・打楽器・ギター・ヴォーカルのミュージシャンたち、舞台スタッフ多数が、来日し感激、感動の2時間を堪能しました。
(左写真:中央が主宰者のマーク・ハワード舞台監督)
by blues_rock | 2016-07-17 10:00 | 柏原生活/博多叙景 | Comments(0)
今年の梅雨が、明けました。
清緑(しんりょく)の色美しい雨の季節から自然は、太陽の輝く深緑の生命(いのち)育む季節に変わります。
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夕方、大気が、あかね色に染まり、梅雨明けを告げる雷と激しい雨は、次第に止み、空の雲間から青い空が、現われました。
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さて皆さま、明日からの夏、暑中お見舞い申しあげます。
by blues_rock | 2016-07-16 20:10 | 柏原生活/博多叙景 | Comments(2)
何焼きか、どこの窯かも分からない、新しくもなければ、そう古くもなさそうな、摩訶不思議な共継ぎの菓子鉢を赤漆で直しました。
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径は、横20㌢、縦18㌢、高さ5㌢で、手に持てば、ズシリと重たくて、柔らかい粘土質の陶土(つち)で焼成されています。
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釉薬も水彩絵の具を流したような自然文様を見せています。
どなたか陶芸(土もの)に詳しい方が、おられましたら、この菓子鉢(重いのでもしかしたら菓子鉢ではないかも
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しれません)の素生を教えてください。
by blues_rock | 2016-07-15 00:05 | 金継ぎ/古美術/漆芸 | Comments(0)