ブログトップ | ログイン

心の時空

yansue.exblog.jp

a day in my life

<   2015年 12月 ( 16 )   > この月の画像一覧

2015年、今年も多くの方が、拙ブログをご覧くださいました。
心からお礼申しあげます。
a0212807_1114169.jpg
私は、元日も一年365日の一日でしかなく、いつものように‘金継ぎ’をして‘映画’を見ていることでしょう。
皆様方におかれましては、好い新年をお迎えください。
a0212807_11193964.jpg
さて、私の住まう柏原にユーズド・ショップ(オールモスト・ニュー)があり、ときどき‘掘り出し物’を探しに(ほとんど冷やかしながら)行きます。
a0212807_11204166.jpg
まあ、掘り出し物を見つけることは、なかなかできませんが、梨子地漆の似合いそうな‘割山椒向付’と「拭き漆」にしたらおもしろいかなと思って‘屋久杉白木猪口’を購入しました。
a0212807_11213795.jpg
割山椒向付’は、ベンガラ漆仕上げで一旦ご紹介しましたが、やはり気に入らず梨子地漆にしました。
‘屋久杉白木猪口’は、きれいな木目なのでしばらく眺めていましたが、やはり漆芸の徒として「拭き漆」に挑戦a0212807_11224130.jpgすることにしました。
杉の木目は、他の木材より柔らかいので木地を錆漆で塗り固め研いだあと拭き始めるべきところをいきなり拭き始めましたので杉の木目に漆が、沁み込んで少しダークなトーンになりました。
「拭き漆」には、やはり才質の堅い‘桜・欅・栃’などが、木目と漆の調和(ハーモニー)に優れています。
by blues_rock | 2015-12-30 00:03 | 金継ぎ/古美術/漆芸 | Comments(0)
確固たる執念(思想)をもった多才な作家野坂昭如(1930~2015)が、12月9日に亡くなりました。
a0212807_1122384.jpg享年85歳、1963年に小説「エロ事師たち」で作家としてデビューし、1968年小説「火垂るの墓」・「アメリカひじき」で直木賞を受賞、1972年当時編集長を務めていた雑誌「面白半分」に掲載した「四畳半襖(ふすま)の下張」(発禁、春画を文字にしたようなもの、永井荷風著)が、ワイセツ文書図画の頒布・陳列規定(刑法175条)違反で起訴されました。
野坂昭如の多岐にわたる才能は、作家活動のみならず放送作家・歌手(「黒の舟歌」がヒット)・作詞家(童謡「おもちゃのチャチャチャ」はa0212807_11244319.jpg有名)・タレント・政治家と広範囲に及びます。
私は、直木賞受賞小説「火垂るの墓」で初めて作家野坂昭如を知りました。
当時大学生であった私は、買ったばかりの新刊本を持ってキャンパス近くの百道(ももち)海岸へ行き、ポロポロ涙を流しながら一気に読みました。
a0212807_11251223.jpg今夜は、野坂昭如著「火垂るの墓」をもとに世界最高のアニメーション映画監督高畑勲(1935~ 「かぐや姫の物語」はアニメーション映画の最高傑作)が、脚本を書き監督した1988年のアニメーション映画「火垂るの墓」(スタジオ・ジブリ製作)をご紹介します。
アニメーション映画の傑作「火垂るの墓」は、いま拙ブログをお読みのほとんどの方が、すでに一度ならずご覧a0212807_11283161.jpgになっていることと推察いたします。
私は、この映画を見るたびに母親を神戸大空襲で失くし連合艦隊軍人の父親も戦死、後に遺された14歳の清太と4歳の幼い妹節子の兄妹が、哀れで仕方なく胸張り裂けるような切ない思いで本を読んだときと同じように悲しくて泣いてしまいます。
a0212807_11311435.jpg映画は、駅構内で野垂れ死んだ清太(衰弱死した清太の亡霊)のナレーションで始まり物語が、カットバックして展開して行きます。
両親を失くし孤児となった14歳の清太と4歳の幼い節子は、無惨な戦争を始めた大人たちの隣組が、仕切る戦時下の食料配給を受けられず、栄養失調で次第に衰弱していく妹節子を兄清太は、農家の田畑から農産物を盗み、空襲で人のいない家へ空き巣に入るなどして死に物狂いで守りました。
a0212807_1131451.pngアメリカ軍のB29で家を焼かれ憔悴した大人たちは、路頭に迷い痩せ衰えた兄妹にわずかな食料すら分け与えようとはしませんでした。
兄清太の必死の努力も虚しく栄養失調の妹節子は、清太に自分の食べ物をあげる仕草をしながら衰弱死しました。
清太は、節子の亡きがらを荼毘に付し、小さな遺骨をドロップ缶に入れ肌身離さず持ち歩き、自分も最期に駅構内で衰弱死しました。
駅員が、野原に投げ捨てたドロップ缶からこぼれ落ちた節子の骨は、ホタルとなり辺り一面に飛び交うシーンの切ないこと、カットバックする前の導a0212807_1134131.jpg入部にこのシーンがあります。
アニメーション映画「火垂るの墓」の原作となる小説は、野坂昭如氏の少年時代、戦時下の実体験が、ベースとなっているので野原を飛び交うホタルの群れは、野坂昭如氏の永遠(とわ)に鎮まらない魂の浮遊を高畑監督が、その象徴として表現したのだろうと思います。a0212807_11355812.jpg




野坂昭如氏のご冥福を心中より
お祈り申しあげます。
by blues_rock | 2015-12-28 00:08 | 映画(シネマの世界) | Comments(5)
この映画の監督スラエル・ホロヴィッツ(1939~)は、劇作家・脚本家として知られていますが、現在公開中の映画「パリ3区の遺産相続人」(原題「The Old Lady」~めずらしく日本語タイトルのほうが的確な表現で好い)で初めて監督に挑戦しました。
a0212807_1424517.jpg
舞台脚本(戯曲)を70本以上手がけているので出演者たちの台詞(せりふ)も洗練されて‘粋’なこと、映画は、パリ3区の歴史的な地域マリにある高級アパルトマンを舞台にフランスのエスプリというよりイギリス人特有のユーモアときにシリアスなブラックユーモアも交えながらのウイットに富んだ大人たちの愛を巡る会話が、粋で
a0212807_152560.jpg
辛辣かつシャレており、ホロヴィッツ監督の冴えた演出と併せ舞台脚本家の面目躍如と云ったところです。
これを名撮影監督ミシェル・アマテュー(1955~、最近の作品では「パリよ、永遠に」)が、パリのしっとりとした情景を背景に主人公たちの人生(愛)の苦悩をやさしく受けとめ、慈愛に満ちた眼差しで撮っています。
a0212807_15385.jpg物語は、不仲だった亡き父親が、遺したパリの高級アパルトマンを遺産相続し売却するためニューヨークからやってきた57歳になるマティアス(ケヴィン・クライン 1947~)は、アパルトマンの元所有者である90歳の老婦人マティルド(マギー・スミス 1934~)と娘のクロエ(クリスティン・スコット・トーマス 1960~)が、そこに住んでいることを知りませんでした。
父親から愛された記憶が、ないマティアスは、大学生のとき母の自殺を目撃したことが、生涯トラウマとなりアルa0212807_15337100.jpgコール依存症となり、結婚にも3度失敗、借金も重なり身動きのとれない惨めな人生をやり直す資金にするため父親唯一の遺産であるパリの高級アパルトマンを売却するつもりでした。
ところが‥マティアスの前にフランス独特の厄介な不動産売買制度「ヴィアジェ(viager)」の壁が、立ち塞がりました。
アパルトマンの元所有者である売主のマティルドは、フランスの法律「ヴィアジェ」により終身居住権が、保証さa0212807_1543071.jpgれており、さらに買主(父親の遺産相続した)マティアスには、売主のマティルドが、亡くなるまで毎月一定額の年金を彼女に支払わなければならないという法的義務を負わされました。
マティアスの父親は、なぜマティルドからこの高級アパルトマンを買い取ったのか?‥マティアス、マティルド、クロエという大人の男女3人の愛憎と喜怒哀楽が、交錯した感情‥それをユーモア・ウイット・シニカル・センチメンタルなど心の機微を交えた会話(セa0212807_159094.jpgリフのかけ合い)は、お見事です。
マティアスと街の不動産屋ルフェーヴル(ドミニク・ピノン 1955~)とのエスブリの利いた会話もなかなか粋です。
私が、普段映画を見るとき、その判断基準にしている“監督・脚本・俳優”の3つを文句なしでクリアした映画であり、この3本柱のセンスで映画を愉しませながら最後までグイグイ引っ張って行きます。
a0212807_205199.jpg若いマティルドとマティアスの父親の二人が写る古い写真に記された「あなたに愛されないなら誰の愛もいらない」という情熱的な愛の告白は、何を意味するのか?
人生に大切な男女の愛‥そのロマンスの本質を「パリ3区の遺産相続人」でシリアスかつエキセントリックに描きながら‘C'est la vie’(セ・ラ・ヴィ)とつぶやくホロヴィッツ監督は、粋な才人です。
by blues_rock | 2015-12-26 01:26 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
唐津で焼成された割と新しい向付か何かの陶片と推測します。
切り立った山脈のようなカタチに魅かれました。
a0212807_1265726.jpg
片身掛け釉薬の掛け残しが、景色となって好いアクセントになっています。
陶片の縁をルーターで整え、サビ漆で均(なら)し「梨子地銀」を尾根に降る雪のようにパラパラと蒔き、生正味
a0212807_12101670.jpg
漆の乾燥を待って磨(みが)きあげると出来上がりです。
下の古絵唐津陶片の2枚は、拙ブログ「古唐津陶片と錆漆(サビウルシ)」の続きとしてお読みください。
a0212807_1212194.jpg
古唐津陶片とくに「絵唐津」は、そのままを棚飾り(オブジェ)にしても趣きがあります。
ヘソマガリの私は、古絵唐津の陶片の縁回りをベンガラ漆で飾りましたが、今一つ気に入りませんでした。
a0212807_12142410.jpg
そこで一つに「梨子地銀」を蒔き、もう一つの方には「青貝」を蒔いて、一応でき上がりにしました。
しかし、まだ漆特有の神秘的な輝きが、不足しています。
a0212807_12154834.jpg
時間(年月)は、金継ぎの大切な道具、この道具のチカラを借りてもっと美しいものにして行こうと思います。
古陶の欠片(かけら)、疵(きず)のある漆器、路傍の小石と美しいものは、案外身のまわりにあるものです。
a0212807_12332112.jpg

by blues_rock | 2015-12-24 00:04 | 金継ぎ/古美術/漆芸 | Comments(0)
私にとって‘007(ダブルオセブン)のジェームス・ボンド’は、ショーン・コネリー(1930~ 6作に出演)ただ一人なので他の俳優が、演じる‘007ジェームス・ボンド’は、ウソっぽくて長い間見る気になりませんでした。
a0212807_9301198.jpg
私の好きなイギリスの俳優ダニエル・クレイグ(1968~「ミュンヘン」・「ドリームハウス」・「ドラゴン・タトゥーの女」)が、2006年「007カジノ・ロワイヤル」で、6代目の007ジェームス・ボンドになると少し興味もわいてショーン・コネa0212807_9305953.jpgリーの演じたダンディな007とどう違うのか見てみたくなりました。
ダニエル・クレイグが、6代目ジェームス・ボンドになってから9年、2006年「007カジノ・ロワイヤル」、2009年「007慰めの報酬」、2012年「007スカイフォール」、そして現在公開中の「007スペクター」で4作目になります。
さて‘007ジェームス・ボンド’シリーズの24作目となる最新作「007スペクター」は、サム・メンデス監督(1965~a0212807_9333841.jpg1999年映画「アメリカン・ビューティ」で監督デビュー、秀逸な映画でした)の第2作目007作品でオランダの名撮影監督ホイテ・ヴァン・ホイテマ(1970~)が、撮影しています。
ボンドガールにフランスの若手名女優レア・セドゥ(1985~、私は「美しき棘」以来のファン)とイタリアの美人女優モニカ・ベルッチ(1964~)、映画の骨子は、イギリス国防省2つの諜報機関MI6(エムアイシックス)とa0212807_9512862.jpgMI5(エムアイファィブ)の権力争い(内部抗争と陰謀)、その権謀術数に絡み世界の裏社会を牛耳ろうとするジェームス・ボンドの宿敵スペクター(クリストフ・ヴァルツ 1956~)との最終決着です。
‘ジェームス・ボンド’の製作会社イーオン・プロダクションズ(007シリーズ全作品を製作)は、「007スペクター」製作に巨費を投じ大がかりな仕かけ(プロダクション・デザイン)をした割にインパクトが、少し不足しており、プロデューサーのやや強引な構成と配役に(ボンド・レディは、レア・セドゥひとりで十分、悪役のスペクターにアクがなく毒気不足など)難がありました。
a0212807_952248.jpg私の余談ながら、ダニエル・クレイグに‘女好き(プレイボーイ)の007ジェームス・ボンド’は、似合いません。
ニュータイプのMI6諜報員007ジェームス・ボンドは、ジェイソン・ボーン(こちら)のように徹底してアクション中心の活劇にしたほうが、ダニエル・クレイグの俳優としての個性と肉体美を生かせると思います。
a0212807_9542622.jpgメンデス監督の「007ジェームス・ボンド」でテーマソングを歌ったイギリス新進気鋭の若手ヴォーカリスト2人、「007スカイフォール」のアデル(1988~)と「007スペクター」のサム・スミス(1992~)を起用したメンデス監督の音楽センスは、なかなか秀逸と思います。
by blues_rock | 2015-12-22 00:02 | 映画(シネマの世界) | Comments(2)
a0212807_11272320.jpgアイルランドの名匠ジム・シェリダン監督(1949~)が、2011年に撮ったアメリカ映画「ドリームハウス」(2012年秋日本公開)は、ホラーのような恐怖感とファンタジーのような寓話性に加え、サスペンス&ミステリー仕立て(映画の導入部にチラッと登場する人物や何気ないセリフの布石に注意)にしたシェリダン監督の演出が、冴えサイコホラー映画の傑作「シックス・センス」(1999)を彷彿とさせる良い映画でした。
「ドリームハウス」のプロット(構想)と少し似ているのが、スペイン・メキシコ合作のサイコホラー映画「永遠のこどもたち」(2007)です。
私は、ホラー系の映画をほとんど見ません(粗悪だから)が、「永遠のこどもたち」は、少しサイキック(非科学的な心霊現象)過ぎるものの丁寧なホラー映画なので「ドリームハウス」と併せて見る(比較する)のもおもしろいかa0212807_11282834.jpgもしれません。
ジム・シェリダン監督作品で私の頭にすぐ浮かぶのは、1989年作品「マイ・レフトフット」、1993年作品「父の祈りを」、2009年作品「マイ・ブラザー」です。
とくにシェリダン監督が、イギリス(現在アイルランドに市民権)の怪優ダニエル・デイ=ルイス(1957~ アカデミー賞主演男優賞3回受賞は ダニエル・デイ=ルイス だけ)と組んだ作品は、すべて秀作です。
a0212807_1130412.jpgさて、「ドリームハウス」について云えば、サイコスリラー映画である「ドリームハウス」について、あまり余計なことを書かないほうが、良いと思いますので見どころ(見るポイント)だけ紹介します。
有能な編集者のウィル(ダニエル・クレイグ1968~)は、忙しい毎日から解放され作家になり家族とともに第二の人生を送ろうと出版社GPH(劇中に登場するグリーンヘブンa0212807_1140556.jpg精神医療施設とイニシャルが同じ)を退社、妻リビー(レイチェル・ワイズ 1970~)、二人の娘トリッシュ(テイラー・ギァー 2001~)とディディ(クレア・ギァー 2006~)を連れて郊外の家に転居しました。
だが、転居早々、不気味な出来事が、家のまわりで発生し不審者の影に二人の娘(幼いギァー実姉妹の演技が自然ですばらしい)は、怯えました。
a0212807_11403571.jpgやがてウィルは、5年前にこの家で起きた一家惨殺事件を耳にしました。
ウィルは、家のまわりで起きた不気味な出来事が、5年前の一家惨殺事件と関連あるのではと警察に捜査を要請しますが、相手にされず自分で調査を始めました。
隣人のアン(ナオミ・ワッツ 1968~)は、ウィルに何かと親切にします。
a0212807_11432020.jpgそして、ウィルのまわりで‘幻覚’に似た不可解な出来事や不思議な現象が、次第に起き始めました。
これ以上は、ネタバレになりますので、ここまでにします。
「ドリームハウス」は、ホラーではなく、サイコスリラーとサスペンス・ミステリーが、程好く融合した映画ですので‘推理小説の謎解き’好きの方にお勧めしたい映画です。
a0212807_11441192.jpg
このスペイン・メキシコ合作のサイコホラー映画「永遠のこどもたち」(2007)もおもしろい映画です。
by blues_rock | 2015-12-20 00:02 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
2014年のアメリカ映画ながら物語は、南フランス山間(やまあい)の小さな町にある老舗のフランス料理レストランと新興のインド料理店、この道路を挟んで向かい合う二つのレストランが、舞台です。
a0212807_18285869.jpg
監督は、スウェーデンの名監督ラッセ・ハルストレム(1946~ 1993年「ギルバート・グレイプ」、2000年「ショコラ」は秀作)、撮影もスウェーデンの撮影監督リヌス・サンドグレン(1972~)、そして製作をアメリカの巨匠スティーa0212807_18303662.jpgヴン・スピルバーグ監督(1946~)が担い、出演者もこれまた多国籍、老舗フランス料理レストラン・オーナーの未亡人マダム・マロリーにイギリスの名女優ヘレン・ミレン(1945~)、新興インド料理レストランのオーナー一家のパパをインドのベテラン俳優オム・プリ(1950~)が、次男の天才料理人ハッサンをインド系アメリカ人俳優マニシュ・ダヤル(1983~ スピルバーグ監督の目に留まりハッサン役に抜擢)、フランス料理レストランの女性スーシェフ マルグリットをカナダa0212807_1831267.jpgの若手女性俳優シャルロット・ルボン(1986~)、両レストランの板挟みになる町長にフランスの名優ミシェル・ブラン(1952~ 「仕立て屋の恋」、「大臣と影の男」の演技は秀悦)とエスニックな配役です。
ハルストレム監督は、タイプの違う新旧二つのレストランの対立(ライバル意識)をユーモラスに描きながら、お互いの文化と価値観a0212807_18324137.jpgの相違からくる社会問題、最近EU諸国でとくにシリアスな社会問題化している移民や難民の受入れ問題という辛口スパイスを利かせ一味違ったヒーマン・コメディ映画に味付けしています。
ストーリーは、地元の人たちに人気のあるミシュラン一つ星の老舗フランス料理レストラン「ル・ソール・プリョルール」と難民同然にヨーロッパに移民したインド人の家族が開店した新興のインa0212807_183417.pngド料理店「メゾン・ムンバイ」の人たちとのテンヤワンヤの交流とトラブルをユーモラスに描きながらハッサンとマルグリットのロマンスが、映画に彩りを添えています。
映画のオチは、マダム・マロリーが、水と油のインド料理店料理人のハッサンを‘料理の天才’と認め、引き抜きシェフに抜擢し念願のミシュラン二つ星を獲得します。
a0212807_18343364.jpg一躍フランス料理界の寵児となったハッサンは、パリの有名レストランから引き抜かれました。
天才シェフ ハッサンの評判は、メディアや雑誌に取りあげられ‘時の人’になりますが、そんな評価も彼には、虚しいものでした。
彼の求める料理の心は、「ル・ソール・プリョルール」と「メゾン・ムンバイ」にありました。
a0212807_1835278.jpg家族とマルグリッドの元へ帰ったハッサンは、マダム・マロリーから自分の後継者になるよう提案されました。
マルグリットを共同経営者にしたハッサンは、老舗フランス料理レストラン「ル・ソール・プリョルール」のオーナーシェフになりました。
ハートフルなコメディとハッピィエンドが、大好きな映画ファンの方にお勧めしたい佳作映画です。
by blues_rock | 2015-12-18 00:08 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
小鹿田窯は、大分県日田市街から少し北に位置し棚田の美しい皿山にあります。
徳川幕府天領の日田で暮らす武士や庶民の生活陶器を焼成するために1700年初め福岡藩小石原窯から陶工を招き開窯したのが始まりです。
a0212807_14493852.jpg
  ◇ 小鹿田銀継ぎ茶碗‥長期間普段使いしているうちタテに細いヒビが入り、口縁のササクレも気になるよう
    になりましたのでサビ漆と呂漆で整え銀継ぎにしました。
300年後の現在(いま)もなお当時の面影を残し、渓流の水を利用した唐臼(からうす)で陶土を搗き、共同の
a0212807_14561580.jpg
  ◇ 小鹿田銀継ぎ片口茶碗‥口縁部に一箇所カケ傷がありサビ漆と呂漆で整え銀継ぎにしました。
登り窯で甕や壺さらに茶碗・皿・湯呑などの食器類を焼成しています。
小鹿田焼の特徴は、何と云っても飛び鉋(かんな)文と刷毛目で、先祖から長子相伝で受け継いだ技術を10軒
a0212807_14574332.jpg
の窯元が、今も「小鹿田」の統一窯銘(焼成ブランド)で守り続けています。
民芸運動の提唱者柳宗悦(1889~1961)は、小鹿田焼の素朴な美しさに魅かれ小鹿田窯を全国に紹介、イギリスの陶芸家バーナード・リーチ(1887~1979)は、小鹿田に長期滞在し作陶、多くの秀逸な作品を残しています。
a0212807_1543210.jpg
  ◇ 漆小鉢‥縁の回りに散見される小さな漆の剥落をベンガラ漆で補修し生正味漆を塗り磨きました。
    のぞきに牡丹文をあしらった金蒔絵の塩梅が、好く華やかな吉祥漆器の小鉢として旧家か老舗の料亭で
    使われていたもの推察します。
a0212807_1942985.jpg


  
by blues_rock | 2015-12-16 00:06 | 金継ぎ/古美術/漆芸 | Comments(2)
a0212807_12222114.jpgスペイン映画の名匠ビクトル・エリセ監督(1940~)が、1973年に発表した長編デビューの傑作「ミツバチのささやき」から9年、1982年に発表した第2作となる「エル・スール」も紛れもなく傑作映画です。
エリセ監督は、当初3時間の予定でしたが、プロデューサーの判断で1時間半(95分)に短縮して編集されました。
エリセ監督の演出と撮影監督ホセ・ルイス・アルカイネ(1936~)の映像(カメラ・ショットの繋ぎが見事)は、今から80年前スペインを二分し市民同士が、暴力で(銃を持って)骨肉争ったスペイン内戦の深い傷痕をエストレーリャという少女の目で家族の哀しく切ない現実(レアリテ)を寓話のように描きました。
この「エル・スール」もまた「ミツバチのささやき」と同じくエリセ監督の傑作映画なので、どんな解説より‘百聞はa0212807_1229498.jpg一見に如かず’で、本物の映画好きの方にぜひご覧いただきたい作品です。
映画は、スペイン北部の鄙びた村で暮らす少女エストレーリャ(8歳のエストレーリャ=ソンソーレス・アラングレン、15歳のエストレーリャ=イシアル・ボジャイン 1967~)とその家族の哀しく切ない物語です。
エストレーリャの家族は、父親で内戦に敗けた共和国支持の医者アグスティン(オメロ・アントヌッティ1935~)とa0212807_12294495.jpg同じく教師であった母親フリア(ロラ・カルドナ)、遠くスペイン南部(エル・スール)で暮らすフランコ独裁政権支持の祖父と何かと息子アグスティンの家族を案じる祖母でした。
幼いころのエストレーリャにとって父親のアグスティンは、ナゾめいた人物で、決して自分の故郷‘南(エル・スール)’のことを語らず帰ろうともしませんでした。
エストレーリャは、成長したある日、父親が、イレーネという女性の名前をいくつも綴った封筒を机の中で見つa0212807_12303395.jpgけ、父親に昔の恋人で女優のイレーネ(アウローレ・クレメント 1945~)と云う女性が‘南(エル・スール)’いることに気付き、今も愛していることを知りました。
思春期のエストレーリャは、母親のフリアが、そのことを知りながら沈黙していることも不安で不満でした。
エリセ監督は、心の奥底を詩情豊かに抒情的に描く名匠なので、現在齢(よわい)75歳ながら、せめてもう一作a0212807_12313117.jpgぜひ新作を撮って欲しいと私は、切に願っています。
by blues_rock | 2015-12-14 00:04 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
ロシア映画の鬼才アンドレイ・ズビャギンツェフ監督(1964~ 2003年に秀作映画「父、帰る」で長編映画デビュー、初監督作品にして ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞受賞)の新作映画「裁かれるのは善人のみ」は、完成度の高い“映画史に残る傑作”と思います。
a0212807_0382959.jpg
私は、ズビャギンツェフ監督に世界映画史で燦然と輝くロシア映画数々の名作を撮った歴代の天才、鬼才監督たちの遺伝子(DNA)を感じます。
ズビャギンツェフ監督は、黒澤明監督、溝口健二監督という二人の日本人監督を深く敬愛、さらに俳句に親しむa0212807_0395487.jpgところなどアンドレイ・タルコフスキー監督(こちら)と良く似ています。
ロシア映画の源流にして世界映画史の記念碑(メモリアル・モニュメント)となる1925年サイレント映画の傑作「戦艦ポチョムキン」を撮った巨匠セルゲイ・エイゼンシュテイン監督(1898~1948)もまた映画モンタージュ(編集)理論を確立するうえで若いころ学んだ日本語の漢字構成にヒントを得たことなどロシア歴代の名映画監督を繋ぐ遺伝子リレーに日本文化が、大きく関わっているa0212807_052363.jpgように思います。
映画「裁かれるのは善人のみ」(原題「リヴァイアサン」)のプロットは、17世紀イギリスの哲学者トマス・ホッブスが、1651年に発表した政治哲学書「リヴァイアサン」の思想に基づいています。
ホッブスは、人間の権利(自然状態)は‘万人の万人に対する戦い’とし、人間固々人に共通する善による人工国家(コモンウェルス=共和国)の必要性を提唱、これをモチーフにして「裁かれるのは善人のみ」の脚本が、構成a0212807_053077.jpgされています。
上映時間は、2時間20分と長尺ながら脚本・演出・配役(キャスティング)・撮影(映像)・美術(プロダクションデザイン)・音楽・構成(編集)と、映画のどれをとっても“完璧”としか言いようがなく、冒頭から最期まで私の五感は、ずっとスクリーンに張り付いたままでした。
映画に無駄なカット(ショット)やシーンがなく、ストーリーの起承転結(メリハリ)と云い、緩急自在な展開と云い、ただa0212807_153366.jpgもう感心するばかりでした。
「裁かれるのは善人のみ」は、カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞、ほかにも世界各国の主要な映画祭で数多く受賞しています
映画の舞台は、ロシア北部のバレンツ海に面する荒涼とした小さな町です。
先祖代々この地に住まう善良な町民のコーリャ(アレクセイ・セレブリャコフ 1964~ ウォッカをカブ飲みし感情を抑える表情のリアリティが秀逸、理不尽な冤罪を背負うことになる)は、ここで小さな自動車修理工場を営みながら先妻亡きあと再婚した若い妻のリリア(エレナ・リャドワ 1980~ アンヌュイな表情が魅力的、彼女もまた悲劇の犠牲a0212807_157272.jpg者)と息子のロマ(セルゲイ・ポホダーエフ 1998~ 十代半ばの多感な少年を好演)の3人で平和に暮らしていました。
コーリャは、腕の良い自動車修理工ながら短気で気が荒く昼間からウォッカをガブ飲みする大酒飲みでした。
映画のカメラは、冒頭バレンツ海に面した北部ロシアの荒涼とした荘厳な風景を見事な構図で映し、そこで起きa0212807_1574840.jpgる理不尽な悲劇の連鎖‥罪もない善人コーリャに降りかかる不幸をリアルに描いています。
コーリャは、自分の家と自動車修理工場のある土地を市長選挙に勝つため行政の権力を振りかざして強制買収しようとする市長(ロマン・マディアノフ 1962~ 欲まみれの悪徳政治家を好演)を裁判所に告訴、モスクワから若いころ軍の同じ部隊にいた友人で弁護士のディーマ(ウラジーミル・ウドビチェンコフ 1971~ 善良ながら権力の暴力に非力な弁護士を好演)に弁護を依頼しました。
a0212807_159314.jpg市長は、国家権力を後ろ盾(市長デスク後ろのプーチン大統領肖像写真がいつも映る)に地元のキリスト教正教会・裁判所・警察と結託し脅迫と暴力で対立するコーリャと弁護士ディーマに不当な買収価格の土地売買契約書にサインするよう迫ります。
コーリャの旧くからの友人で隣人の交通警官パーシャ(アレクセイ・ロージン 1970~)と彼の妻でリリアとは鮮魚加工場の同僚であるアンジェラ(アンナ・ウコロワ 1978~)たち市井の人びとも登場させながら、市民と国家、人と神、善と悪など普遍的なテーマを物語に絡ませて不条理な権力の悪に抗えない善良な人間の悲劇と不幸、ロシa0212807_212148.jpgア現実の非情さを描いていきます。(「裁かれるのは善人のみ」の詳しい情報はこちら
「裁かれるのは善人のみ」のプロットに似た「善人を守るはずの正義が、国家権力による悪の犠牲」となる映画にフランス・ドイツ共同製作の「ミヒャエル・コールハース」と中国映画「罪の手ざわり」があり、ともに秀作なので良い映画をご覧になりたい方にお勧めいたします。
a0212807_21372473.jpg「裁かれるのは善人のみ」の劇中で、主人公のコーリャが、何かにつけウォッカをビンごとまるで水でも飲むようにガブ飲みするシーンが、気になりロシア人男性の平均寿命を調べたところ2013年平均63才、日本人男性の平均寿命80才と比べると如何にも病気疾患、早死にするためにウォッカを飲んでいるようなものです。
交通警官のパーシャもヘベレケなのに‘俺は交通警官だぞ’と言い残し平気で運転して家に帰りますし、野外a0212807_292977.png
バーベキューピクニックでも男たちは、皆ウォッカをカブ飲みし酔ってフラつきながら子供たちの遊ぶところで空き瓶を並べ‘実弾射撃の腕前’を競うのですから平和で安全な国に暮らす日本人の私がロシアの苛酷なリアル(現実)を理解できなくて当然です。
by blues_rock | 2015-12-12 02:45 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)