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心の時空

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a day in my life

<   2015年 02月 ( 15 )   > この月の画像一覧

a0212807_1915515.jpg「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」は、18年前のドイツ映画(1997)ながら、いま見ても、その斬新なユーモア感覚、派手なアクション演出、さらにキレのあるカットが、抜群に冴えたトーマス・ヤーン監督(1965~)の映画センスを感じる作品で、ドイツでは、公開当時から話題になりました。
当時32才のトーマス・ヤーン監督は、「ドイツのタランティーノ」と評判になり、ドイツ映画界に彗星のごとく現われた新鋭監督として一躍有名なりました。
ヤーン監督の才気あふれる映画センスは、音楽(サウンド・トラック)にも現われおり、冒頭と劇中、グロリア・ゲイナー(Gloria Gaynor)のディスコ音楽「恋のサバイバル(I'll Survive)」を挿入するなど映画のプロットが、暗くなりがちな‥末期腫瘍を宣告され死期の迫る若者二人のアナーキーにして破滅的なロードムービーを明るく盛りあげ、映画を見ている者の気持ちをワクワクさせる効果は、抜群でした。
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映画ラストのエンドロールは、ドイツのロックバンド‘ゼーリッヒ’が、切々と歌う映画のタイトルとなったボブ・ディランの名曲「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」のパフォーマンスで閉めるところもなかなかです。
こ映画でデビューした監督トーマス・ヤーンは、タクシーの運転手で生計を立てていたころ若手俳優のティル・a0212807_20133351.jpgシュヴァイガー(1963~)が、偶然お客として彼のタクシーに乗りました。
映画の話をしているうちに意気投合、トーマスは、今まで書き溜めた脚本を見てもらうとティルに送りました。
その中でトーマスが、ボブ・ディランの名曲「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」(1973年リリース・サウンドトラック・アルバム「ビリー・ザ・キッド」収録))にインスパイアーされて書いた同名の脚本をいたく気に入ったティルは、自分の製作で映画化することを提案しました。
a0212807_20141913.jpgトーマスとティルは、共同して脚本に手を入れ、寓話(男のロマン)のようなシリアスにしてブラック・ユーモア満載のアクション・コメディ映画にしました。
終末ケア病棟で同室となった余命数日の悪性脳腫瘍を患う主人公マーチンを演じるティル・シュヴァイガー(製作・脚本)と、やがて相棒となる悪性骨髄腫患者ルディを演じるヤン・ヨーゼフ・リーファース(1964~ 東ドイツ出身)、この二人‘マーチンとルディ’は、深刻な病気を抱えていながらとにかく明るく愉快です。
a0212807_20211738.jpg二人は、次々に破天荒な事件を引き起こしますが、その後始末は、ダンディでクールです。
二人が、関わるいろいろな職業の登場人物たちもまた愛すべき人たちです。
ドジでマヌケなギャングの二人、アラブ人のアブドゥル(モーリッツ・ブライプトロイ 1971~ いまやドイツを代表する俳優となったモーリッツ・ブライプトロイも当時26才で無名俳優)、ベルギー人のヘンク(ティエリー・ファン・ヴェルフェーケ)、この二人が車で轢いた生意気な少年、マーチンとルディにすぐダマされる警官や刑事a0212807_20214598.jpgたち、マーチンとルディの銀行襲撃にすぐお金を差し出す銀行員、二人から高額のチップをもらった途端すぐに辞めるホテルのボーイ、いい加減な中古車ディラー、ギャングに雇われた殺し屋など吹き出したり大笑いしたり‥とにかく面白いのです。
ルトガー・ハウアー(1944~)が、ギャングのボス、カーチス役で映画の終盤に出演しています。
盗んだ車のトランクにあったギャングの金100万㌦を持ち逃げし使い切ってしまったマーチンとルディをカーチスは、見逃しますが、そのセリフのキザでカッコ良いこと、余談ながらプロデュースを担うa0212807_20235100.jpgティル・シュヴァイガーが、ルトガー・ハウアーに出演のオッファーをしたところ所属するマネジメント会社から1日10万㌦(1,200万円)との条件提示がありビックリ仰天(ルトガー・ハウアーが「ブレード・ランナー」で既に有名俳優)、諦めかけたとき、ルトガー・ハウアー本人から「マネジメント会社の言うことは気にするな。出ると決めている。」と連絡があったそうです。
この映画の主人公マーチンを演じたティル・シュヴァイガーは、モスクワ国際映画祭で最優秀主演男優賞を受賞しました。a0212807_2024622.jpg
映画のストーリーは、末期腫瘍で死期が、近いことを知ったマーチンとルディの二人は、天国で海の話ができないと相手にしてもらえないという話を信じ、終末ケア病棟を脱走、病院の駐車場にあった(100万ドルのお金を積んだギャングの車と知らず)車を盗み、海へ向かう道中、パジャマ姿でお金もないマーチンとルディは、手当たり次第強盗に入り警察とギャング双方から追われる身となりました。
映画のラストシーンは、爽快ながらも何だか胸に迫る哀切なショットです。
by blues_rock | 2015-02-28 00:08 | 映画(シネマの世界) | Comments(2)
信仰は、人の心を安らかにする祈りです。
宗教は、人を幸せにする道具です。
a0212807_112245.jpg無宗教の私でも容易に分かるのは、神を信仰する者や神の僕(しもべ)たる宗教の徒らがお互い殺し合う愚劣さは、信仰と宗教の対極にいる悪魔が、愚者たちに憑依し、魂を乗っ取った証左としか思えません。
祈るのに言葉は、要りません。
祈りは、人の心にあります。
宗教に武器は、不要です。
真の宗教ならお金(喜捨・お布施)も無用です。
真の宗教には、権威や権力など世俗の欲望に関わるものは、ありません。
まして徒党を組んで行なう暴力と殺戮は、宗教と無縁の犯罪です。
もし宗教に神がいるなら、その神は、決して暴力と殺人で血に塗れた信徒を許さず厳しく罰することでしょう。
by blues_rock | 2015-02-26 00:06 | 人生/愛(Love) | Comments(0)
名優にして名監督クリント・イーストウッド(1930~ 1954年映画デビュー、現在84才)の最新作「アメリカン・スナイパー」(2015年2月21日福岡エリア公開)は、監督35作目(うち主演作品は22)の映画です。
a0212807_19511411.jpg前作の2014年映画「ジャージー・ボーイズ」は、1960年代に活躍したポップ・コーラス・グループ‘フォー・シーズンズ’をモデルにした伝記映画でイーストウッド監督の音楽趣味で撮ったような映画でしたが、監督35作目の最新作「アメリカン・スナイパー」のイーストウッド監督は、名監督ぶりを大いに発揮、共和党党員ながら「イラク戦争を極めて重大な過ちを犯した(クリント・イーストウッドはアメリカ軍が外国で戦争することに常に反対)」と批判、そのイラク戦争を舞台に、射撃能力に長けていたことから‘伝説の狙撃兵’となった一市民クリス・カイル(1974~2013没)38年間の人生ドラマが、この映画のプロットです。
主人公クリスは、イラク戦争に4回従軍しその活躍で‘伝説の狙撃兵’と呼ばれるようになりますが、映画は、
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アメリカン・ヒーローの物語ではなく、クリス自身の戦争と平和を丁寧に描いていきます。
映画のタイトルから想像するような愛国プロパガンダ好戦映画でもなければ、平和キャンペーン反戦映画のどちらでもa0212807_19533096.pngなく、生々しい戦争現場(最前線)のリアリズムをイーストウッド監督の巧みな演出で鮮やかに描き、名優ブラッドリー・クーパーが、抑えた演技で最後まで見る者に緊迫感を与えています。
4回目の従軍は、砂嵐の吹き荒れる中、大勢の敵に四方から囲まれ、少数の仲間とともに建物の中に立てこもったクリスは、視界不良にも拘わらず遠くから敵の狙撃兵「ムスタファ」が、仲間を次々に狙撃していきます。
これまで沈着冷静であったクリスも絶体絶命の不安に怯え、夫クリスのイラク従軍に反対してきた妻タヤに最前線から「もうイヤだ、帰国する、軍を辞める」と電話しますが、タヤに届くのは、戦場の生々しい銃撃音と爆発音ばかりでした。
経緯を遡るとカウボーイになりたかった青年クリス・カイル(ブラッドリー・クーパー 1975~)は、テレビで見た1998年のアメリカ大使館爆破テロに義憤を覚え海軍
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に志願、射撃能力が、高いことから特殊部隊ネイビーシールズの狙撃兵として配属されました。
タヤ(シエナ・ミラー 1981~)という恋人もでき結婚、新婚間もなく9.11同時多発テロの発生でイラク戦争が、始まa0212807_1956854.jpgりました。
ネイビーシールズの狙撃兵クリスは、4回イラク戦争の最前線に従軍します。
映画は、クリス4回の従軍が、彼の心身を少しずつ蝕んでいく様子を家庭にいるクリスと戦場のクリスと対比させながら描いていきます。
映画の冒頭、イラク戦争に従軍した狙撃兵のクリスが、敵地ファルージャに進軍した海兵隊を援護するため屋上から監視しているとき、母と息子と思われる少年が、ビルから突然現われ海兵隊の戦車に向かって歩き出しa0212807_1959525.jpgました。
母が、息子に対戦車手榴弾を密かに渡す瞬間を狙撃銃の望遠スコープで見たクリスは、引き鉄を弾き、その瞬間スクリーンは、クリス少年が、猟銃(ライフル)で鹿を仕留めたシーンに変わります。
a0212807_2010565.jpgクリスは、4回の従軍で160人(非公式255人)の敵を狙撃し味方から「伝説(史上最高)の狙撃兵」と称えられ、敵からは「悪魔」と恐れられました。
彼は、伝説の狙撃兵と称えられても喜ばず、仲間を傷つけようとする者を容赦なく撃っただけと素っ気なく答えるだけで、むしろ敵の攻撃で仲間を戦死させ、仲間を護ってやれなかったという記憶が、次第にクリスの心を蝕み始a0212807_20104555.jpgめ、愛する妻タヤと向き合うことさえできなくなりました。
帰国し家族と居ても常に彼の意識の中には、敵の狙撃手で多くの仲間を射殺した通称「ムスタファ」の存在がありました。
4回の従軍で多くの仲間を失いながら「虐殺者」と恐れられたイスラム原理主義過激派組織のナンバー2を排除し「ムスタファ」の狙撃に成功したクリスは、海軍(ネイビーシールズ)を除隊しますa0212807_2013633.jpgが、家庭にも社会にも馴染めずPTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しみました。
クリスは、家族や仲間から心のケアを受けながら退役軍人の会に入り、少しずつ社会復帰、同じ心の病に悩む帰還兵たちの力になろうとしていた矢先、有ろうことか、クリスが、力になろうとしたPTSDを患う元兵士に射殺されてしまいました。
a0212807_20145033.jpg外出するクリスを玄関で心配そうに見送るタヤの表情を大写しにして映画は、終わりました。
エンドロールは、無音のまま映画製作に関わった人たちや団体の名前がクレジットされ、故クリス・カイル氏を表敬し追悼しています。


(上写真① : 右 クリス・カイル本人、左 クリス・カイル役のブラッドリー・クーパー / 上写真② : 撮影の合間に談笑するイーストウッド監督とブラッドリー・クーパー)
by blues_rock | 2015-02-24 00:04 | 映画(シネマの世界) | Comments(2)
カナダの名監督ドゥニ・ヴィルヌーヴの新作で2014年夏に日本公開されたミステリー映画「複製された男」(原題 Enemy)は、冒頭「カオスとは未解読の秩序である」と字幕スーパーで表示されます。
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映画を見る者は、この言葉が、‘どういう意味だろう’と訝(いぶか)りながらここからヴィルヌーヴ監督(1967~「灼熱の魂」・「プリズナーズ」)の見事な演出によって心理ミステリーの迷宮に否応なく引きこまれていきます。
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‘神は細部に宿る’と言いますが、ヴィルヌーヴ監督は、カットのディテール(ショット)にミステリーの重要なキーをいくつも隠しています。                    (下彫刻: ルイーズ・ブルジョア作 ママン)
a0212807_11241132.jpg最初見た時には、いきなり冒頭の怪しげな雰囲気からラストまでミステリーの緊張感が、解けず‘複製された男’二人とそれぞれ女性パートナー(一人は妻、一人が恋人)との関係を追うのが、精一杯でラストシーンの強烈なインパクトに幻惑するばかりでした。
高層ビルの立ち並ぶトロント市街の空(大気)は、黄色く霞み、そこにルイーズ・ブルジョア(1911~2010 フランスの女性彫刻家)のクモをイメージした彫刻「ママン」が異星人の宇宙船のように現われる映像は、なかなかシュールです。
映画の冒頭‘複製された男’(二役のジェイク・ジレンホールが実に上手い!)が、登場しパラフィリア(性的倒錯)の怪しげな秘密クラブに入っていくシーン(映画の入口)からヴィルヌーヴ監督は、見る者を映画「複製された男」のラビリンス(迷宮)に引きこんでいきます。
映画の原作は、ポルトガルの作家でノーベル文学賞受賞者ジョゼ・サラマーゴ(1922~2010) が、2002年に発a0212807_11285437.jpg表した小説「複製された男(原題The Double)」です。
この「複製された男」は、すばらしいミステリー映画なので‘筋立て(ネタバレ)’を書かずにおきますが、登場する人物4人の虚実をじっと目を凝らして見て欲しいと思います。
‘複製された男’は、二人(Double)、一人は、大学で歴史を教える講師のアダム、もう一人が、三流俳優のアンソニーで、この何から何まで(顔、声、生a0212807_11485072.jpg年月日、後天的な傷痕まですべて)一致する二人をジェイク・ジレンホール(1980~)が、二役で見事に演じ分けています。
アダムの恋人メアリーをフランスの女優メラニー・ロラン(1983~)が、アンソニーの妻ヘレンをカナダの女優サラ・ガドン(1987~)が、それぞれ体当たりで好演しています。
a0212807_11302935.jpgもう一人、‘複製された男’の母親キャロライン役でイザベラ・ロッセリーニ(1952~ ロベルト・ロッセリーニ監督と大女優イングリッド・バーグマンの娘)が、映画の重要な役どころで出演しています。
‘複製された男’の本物(オリジナル)が、どちらで、複製(コピー)は、どちらなのか、映画の冒頭に登場する男は、アダムなのか、アンソニーなのか‥主人公の潜在意識をa0212807_1131297.jpg通して男女の愛を描く複雑怪奇なストーリーです。
撮影監督ニコラ・ボルデュク(1973~)が、撮ったイエロー・トーンの乾いた空気感のある映像も秀逸でラビリンス(迷宮)の雰囲気を良く醸し出しています。
主演した名優ジェイク・ジレンホールの秀でた演技才能とヴィルヌーヴ監督の演出(カット)のコラボレーションが、作りあげた冴えたa0212807_11521674.jpgミステリー映画の秀作です。
この映画をウィスキーに例えるなら一杯目は、スピリッツ(酒精)の不思議な味に困惑するも飲み直した‘二杯目’からスピリッツ(プロット)の喉ごしといい、辛口の味わいといい、芳醇な‘ドゥニ・ヴィルヌーヴ’モルトの銘酒と言えるでしょう。
by blues_rock | 2015-02-22 00:02 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
イングマール・ベルイマン監督・脚本の1957年映画「野いちご」は、ベルイマン監督の演出と脚色(現在と回想の構成)が、素晴らしく、また撮影監督グンナール・フィッシェルによるモノクロ映像の絶妙なトーン、さらに主人公
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の老医師イサク役のヴィクトル・シェストレム(1879~1960、上写真、スウェーデン映画の父と称される映画監督)が、孤高に生きる76才老人の孤独をリアルに演じていました。
a0212807_7583033.jpgベルイマン監督映画の撮影に欠かせないのが「処女の泉」で紹介しましたスヴェン・ニクヴィスト撮影監督ともう一人グンナール・フィッシェル撮影監督(1910~2011 右写真)で、フィッシェル撮影監督は、8本のベルイマン作品を撮影しています。
映画のプロットは、普遍的な人間の老いや死、家族などを下敷きに老医師イサクの悪夢や空想、追憶の心象風景をカットバックで交a0212807_7594610.jpgえ、イサクの避けようのない現実世界を描いています。
イサクの息子の妻マリアンヌにイングリッド・チューリン(1926~2004 1969年「地獄に堕ちた勇者ども」でのヘルムート・バーガーの母親役は良かった)、青年イサクのフィアンセとヒッチハイクの少女二役でビビ・アンデルソン(1935~)、家政婦アグダをジュリアン・キンダール、イサクの妻にグンネル・リンドブロム、登場するシーンは、わずかながらイサクを尊敬するガソリンスタンドの主にマックス・フォン・シドーが、出演しています。
a0212807_804549.jpg映画は、老医師イサクと息子の妻マリアンヌ、途中からヒッチハイクの若者3人を交えたロード・ムービーを軸にして年老いたイサクの見る悪夢、空想や追憶に登場する子供時代のイサク、青年イサクの過去が、重なって展開していきます。
医師イサク(ヴィクトル・シェーストレム)は、76才になり50年に亘る医学への献身で名誉博士の称号が授与されることになりました。
その式典に出席するため息子の妻マリアンヌ(イングリッド・チューリン)が、車で送ってくれることになりました。
a0212807_825274.jpgその途中、子供時代、青年時代を過ごした今では廃屋となった生家に寄ることにしました。
廃屋のまわりには、野いちごが、たくさん実っていました。
イサクの前に、野いちごを摘む美しいフィアンセのサラ(ビビ・アンデルセン)が、現われました。
ベルイマン監督は、自らの「人生観(老いと死)」、「結婚観(女性との恋愛観)」「家族観(夫婦愛)」、「宗教観(神の存在)」などを映画の登場人物たちに、時に辛辣に、時に冷徹に、明晰なa0212807_865182.jpg言葉で言わせ、哲学者イングマール・ベルイマンの面目躍如です。
映画のラストで、ヒッチハイクの少女(ビビ・アンデルセン)が、イサクと別れる時「イサク、私はあなたが好きよ。今日も、明日も、ずっと。」と言うシーン、主人イサクの身のまわりを介助するとき、いつも口うるさく言う家政婦のアグダが、夜半悪夢にうなされ眠れずにいるイサクを知っているので「鍵はかけないでおきます」と言って自室に下がるシーンは、胸を打ちます。 (下カット: 象徴的に登場する針のない時計)
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「野いちご」は、名匠イングマール・ベルイマン監督作品の中で指折りの傑作映画と思います。
by blues_rock | 2015-02-20 05:20 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
a0212807_23344747.jpg日本にも‘真っ当なジャーナリスト’がいたと私をうれしくさせてくれるのが、フリーランス・ジャーナリストの池上彰さん(1950~)です。
私が、池上彰さんを初めて知ったのは、NHK総合TVの子供向けニュース番組「週刊こどもニュース」(1994年~)のお父さん役で、その週一週間の主なニュースを子供に分かるよう話す役割でした。
今に思えば、ニュース(事件や話題)の重要なポイントやニュースの背景を分かりやすく解説(コメント)する“ジャーナリスト池上彰スタイル”は、この時すでに確立されていたように思います。
「週刊こどもニュース」は、その分かりやすい解説(コメント)から意外や意外、中高年以上の高齢者層にも人気がありました。
池上彰さんが、尊敬する人は、ポーランド生まれのユダヤ人女性社会改革家ローザ・ルクセンブルク(1871~1919暗殺、享年48才)だそうです。
ローザ・ルクセンブルクは、「自由とは常に思想を異にする者のための自由である」と言論の自由を主張し「両側から燃え尽きるロウソクでありたい」という言葉を残しています。
a0212807_2335887.gifちなみに、ローザ・ルクセンブルクは、ロシア革命当初から武力革命と指導者レーニンの主張する中央集権によるボリシェヴィキ(後のソ連共産党)を激しく批判、ボリシェヴィキは、新たな独裁を生むだろうと予言、69年後に終焉を迎えたソ連共産党一党独裁国家を予見しました。(中国共産党も‘時間の問題’ですね‥。)
池上彰さんの秀でたバランス感覚は、長年のジャーナリスト活動で培われた「公平(フェア)」というスタンスにあると思います。
そのためジャーナリストとして‘イヤな仕事は受けない’のだとか、メディア(マスコミ)が「国益」を言い始めたらオシマイという彼の話も頷けます。
池上彰さんの真骨頂は、生中継のインタビューにも顕われ、自らの意見を言わず生中継の最後5秒前くらいに首相や各省大臣・政治家に重要かつデリケートな核心に迫る質問をして相手に一言答えさせる技術にあります。
質問(インタビュー)への回答が、「はい」、「いいえ」でも「…(無言・ノーコメント)」でも良いのです。
カメラの映像は、相手の顔(の表情)をアップでとらえていますので、それを見ている視聴者が、相手の回答を本当か、ウソか‥何を思考しているか、各人自由に理解し想像すれば良いのです。 (下図:かって世界七つの海を支配したイギリス‘大英帝国’の三枚舌外交)
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昨年、池上彰さんは、朝日新聞(8月29日版)が、自分のコラム「新聞ななめ読み」の記事「朝日新聞は、慰安婦問題の捏造記事について謝罪すべきだ」の不掲載を通知してきたことに抗議し朝日新聞の姿勢を糾弾、これ以
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降同紙のコラム執筆を拒否しました。
朝日新聞は、これについて紙面で謝罪、池上彰さんのコラムを掲載しました。
a0212807_23364631.jpgところで、これまで多くの日本人は、‘石油危機’の時だけ関心をもった遠い世界の「アラブとイスラム」の問題が、私たちの身近な存在になってきました。
私は、時おり拙ブログで、たとえば、「映画‘シリアナ’にアラブ世界の今日を見る」(こちら)や「地政学的 シリア(前編・後編)」(こちら)などで「アラブとイスラム」のことについて触れてきました。
これまでいろいろな「アラブとイスラム」の歴史、複雑に絡み合う民族紛争とイスラム宗派の対立、国益のエゴが絡む地政学的リスクについてのコラムやサイト記事を読みましたが、池上彰さんの「池上彰が紐解く、アラブの今と未来」くらい分かりやすく明晰な記事は、他に見当たりませんのでご参考までに紹介いたします。
第1章 まずはアラブ世界とイスラム世界と中東の違いを整理しましょう
第2章 キリスト教は、言わばユダヤ教の改革版
第3章 イスラム教は、ユダヤ教とキリスト教の流れを汲む
第4章 イスラム世界のスンニ派とシーア派が対立する理由
第5章 中東問題とは?
第6章 イギリスの三枚舌外交がアラブ世界をごちゃごちゃにした
第7章 本当にFacebookがジャスミン革命を引き起こしたのか?
第8章 アラブ世界に広まる民主主義のジレンマ
by blues_rock | 2015-02-18 01:08 | 社会/歴史/思想 | Comments(0)
a0212807_1030569.jpgインドの女性監督ミーラー・ナーイル(1957~)のメガホンによる2013年イギリス・アメリカ・カタール合同製作映画で、ナーイル監督の硬派な演出は、女性とは思えず、毅然とした骨太な感性で現代文明を厳しく批判、世界の閉塞的な現状と国際社会の病巣を鋭く切り取ったシニカル(冷笑的)な優れた映画を撮りました。
この映画は、ヴェネチア国際映画祭のオープニング作品ながら情けないことに日本では劇場未公開扱いの作品です。
映画のタイトル「ミッシング・ポイント」の原題は、「The Reluctant Fundamentalist」で、Reluctantの意味が分からないので辞書で調べてみたら「気乗りのしない、いやいやながら、しぶしぶの」と訳されていました。
つまり原題を直訳すると「気乗りのしない(しぶしぶ、いやいやながらの)原理主義者」という意味です。
映画のプロットは、アメリカの9.11同時多発テロを社会的背景に人間の原罪である偏見と暴力、貧困と富裕、民族対立(人種差別)、宗教対立(原理主義)などが、いとも簡単に‘憎悪と復讐’の連鎖地獄に堕ちて行くことを描いています。
a0212807_22423427.jpg映画は、冒頭パキスタンでアメリカ人のレニア大学教授が、路上で拉致されるところから始まります。
CIAは、パキスタン人のチャンゲス教授(リズ・アーメッド‥ プロファィル詳細不明ながら理知的な顔立ちは好感)が、レニア教授と親しく、背後で関与していると睨み、CIA現地工作員ボビー(リーヴ・シュレイバー 1967~)にジャーナリストを装わせ、レニア教授誘拐事件のa0212807_10424235.jpgインタビューと偽ってチャンゲス教授に接近させました。
チャンゲス教授は、ボビーが、CIA工作員と察知しながら「自分の話を全部聞く」ことを条件に応じました。
ここから映画は、アメリカに留学した当時のパキスタン人学生チャンゲスにカットバックします。
a0212807_10432111.jpgアメリカン・ドリームの野望に燃えるチャンゲスは、優秀な成績で大学を卒業、ニューヨークの投資会社でエリートとして働き、有能な上司クロス(キーファー・サザーランド 1966~)の片腕として出世していきました。
投資会社会長の姪でアート・カメラマンのエリカ(ケイト・ハドソン 1979~ 「あの頃ペニー・レインと」に出演)という恋人もでき、チャンゲスの人生は、順風満帆に見えました。
a0212807_10434989.jpgそんな時、アメリカで 9.11同時多発テロが発生、この日からチャンゲスの人生は、暗転しました。
チャンゲスは、アメリカに住むほかのイスラム教徒同様、偏見によるいわれのない差別、陰湿な嫌がらせ、ニューヨーク市警察やFBIからは、人権無視の不当な迫害を受けました。
チャンゲスは、自分のアメリカン・ドリーム(金融業界での成功)が、貧困にあえぐ人々や社会的弱者を人間と思a0212807_10443467.jpgわない非情な仕事に思え、そして悩み考えた末に投資会社を辞め、恋人のエリカとも別れ、パキスタンに帰り、レニア教授の推薦で大学教授として働き始めました。
教授となったチャンゲスは、大学で祖国パキスタンの未来を担う若い学生たちに自尊心と国を愛する心を教えました。
a0212807_1053451.jpg学生の間で人気の高いチャンゲス教授に目を付けたパキスタンのイスラム原理主義指導者は、彼を利用しようと組織への協力を求めてきました。
だが、チャンゲスは、彼らの‘イスラム’原理主義が、アメリカの‘拝金’資本主義と同じ傲慢なもので、自分の偏狭な主義主張を無理やり他人に押し付ける愚かなものに思え協力を拒否しました。
a0212807_2314954.jpg映画のラスト、チャンゲス教授が、ボビーの銃の暴発で亡くなった教え子サミアの葬式で「報復をしてはならない」とサミアの家族からのメッセージを伝えるシーンは、感動しました。
ボビーもイスラム原理主義の若者に撃たれ搬送された病院でチャンゲス教授のインタビューテープを聞き「見た目と違ってアメリカを愛している」と語る彼の言葉に耳を傾けていました。 (上写真 : 撮影中のミーラー・ナーイル監督)
by blues_rock | 2015-02-16 00:06 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
2014年公開のスコット・クーパー監督・脚本作品「ファーナス 訣別の朝」は、キャスト(配役)が、とにかく豪華でそれぞれの役柄もキャステングされた俳優の持ち味にフィット‥映画は、最後まで重く暗いシリアスなヒューマ
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ン・ドラマでありながらクーパー監督(「クレイジー・ハート」監督・脚本)の‘家族の情愛’を強調した演出と撮影監督マサノブ・タカヤナギ(アメリカで活躍する日本人撮影監督 高柳雅暢、「世界にひとつのプレイブック」撮影)a0212807_21132065.jpgが、撮ったトーンを落とした映像は、‘アンチ’アメリカン・ドリームそのままに、その日暮らしに苦悩する人びと(アメリカ鉄鋼業界の労働者と失業者たち)の悲痛な叫びをリアルに描き、現代アメリカ社会の暗部を見事にとらえたなかなかの秀作映画です。
製作(プロデュース)にリドリー・スコット監督、レオナルド・ディカプリオの名前もクレジットされていました。
主たる登場人物は、製鉄所で働く実直な青年ラッセルにクリスチャン・ベール(主演)、イラク戦争で心的外傷を受けストレス障害に苦しみながら自虐的に生きる弟ロドニーをケイシー・アフレック(1975~ ベン・アフレックの弟)、ラッセルの叔父をサム・シェパード(1943~)、ラッセルの恋人リナにゾーイ・サルダナ(1976~)、弟のロドニーが、憧れるヤミ賭博の元締めペティにウィレム・
a0212807_23571192.jpgデフォー(1955~)、ペティと繋がる麻薬密売人でヤミ拳闘賭博の胴元デグロートをウディ・ハレルソン(1961~)、ラッセルと別れた恋人リナのパートナーバーンズ保安官にフォレスト・ウィテカー(1961~)とそうそうたる顔ぶれが、出演しています。
アメリカ、ペンシルベニア州の田舎町ブラドックは、その昔鉄鋼の町として知られていました。
a0212807_081576.jpg主人公のラッセル(クリスチャン・ベール)は、溶鉱炉の立ち並ぶこの街で生まれ育ち、年老い寝たきりの父を介護しながら製鉄所で働いていました。
失業中の弟ロドニー(ケイシー・アフレック)は、出兵したイラク戦争の悲惨な戦闘で心的外傷を受け、ストレス障害に苦しんでいました。
a0212807_084989.jpgラッセルは、借金を重ねながら賭博に浸りアルコールに依存する弟の面倒も見ていました。
ラッセル唯一つの幸せは、愛する恋人レナ(ゾーイ・サルダナ)と和やかに過ごすひと時でした。
ある夜のこと、ラッセルが、バーで酒を飲んで車で帰る途中、突然道路ワキから出て来た車と衝突、酷い人身事故を起こし彼の人生が、暗転しました。
ラッセルは、刑務所に送られ数年服役、街に戻った時には、すでに老父は亡くなり、恋人のレナは、バーンズ保安官(フォレスト・ウィテカー)と暮らし妊娠していました。
ロドニーは、自虐的な自傷行為を繰り返し、ペティ(ウィレム・デフォー)が止めるのも聞かず、ヤミ賭博の胴元デグロート(ウディ・ハレルソン)の開帳する素手で殴り合う八百長拳闘試合に出場していました。
ラッセルは、弟の荒んだ心と傷だらけの姿を見て自分と一緒に製鉄所で働くよう諭しました。
a0212807_0132881.jpgロドニーは、ラッセルを振り切り、多額の借金を返済するためにペティと最後の八百長拳闘試合に出かけ、借金返済を終え帰る途中二人とも殺されてしまいました。
帰らない弟ロドニーを心配したラッセルは、猟銃を片手にデグロートのもとに向かいました。
クリスチャン・ベールは、役柄の心の襞(ひだ)や抑制した感情の起伏など難しい心理描写を演じるのが、本当a0212807_0143025.jpgに上手い俳優です。
企画段階では、監督リドリー・スコットとラッセル役をレオナルド・ディカプリオの予定でしたが、クリスチャン・ベールのラッセルで正解だったと思います。
映画の冒頭とエンドのクレジット・ロールにグランジ・ロックのパール・ジャム(1991~)の歌をさらりと流したのもクールでした。
by blues_rock | 2015-02-14 00:04 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
16世紀の中世ヨーロッパを舞台に、デンマークの名優マッツ・ミケルセン(1965~ 「偽りなき者」でカンヌ国際映画祭主演男優賞受賞)演じる馬商人「ミヒャエル・コールハース」を主人公にした歴史ドラマです。
a0212807_8564837.jpg日本では、劇場未公開(ビデオスルー)ながら、2013年フランス・ドイツ共同製作映画「ミヒャエル・コールハース(Michael Kohlhaas)」は、希代の俳優マッツ・ミケルセンの魅力が、たっぷり堪能できる映画としてお薦めいたします。
コールハースから馬を買う提督役でスイスの名優ブルーノ・ガンツ(「ヒトラー、最期の12日間」は映画史に残る最高の演技)が、出演しています。
コールハースの旧い友人で提督役のブルーノ・ガンツが、静かながら苦渋に満ちた秀逸な演技で反逆罪人ミヒャエル・コールハース役のマッツ・ミケルセンと共演し最高の演技コラボレーションを見せてくれました。
日本でこの映画「ミヒャエル・コールハース」が、劇場未公開とは‥わが国に良質な映画をきちんと配給する会社は、ないのでしょうか?
日本の映画館は、私たち観客にいったい何を見てもらいたいのでしょうかね。
2014年9月のWOWOWシネマにビデオスルー(DVDスルー)されて上映されたときのタイトルたるや「バトル・オブ・ラa0212807_943884.jpgイジング~コールハースの戦い」とは‥この映画のプロットをまるで理解していない無粋な人が、いい加減に付けた何という不細工なタイトルだろうと思いました。
監督・脚本は、フランスのアルノー・ドゥ・パリエール(1961~)、私が、パリエール監督の演出に最も感心したのは、ラストのシークエンスでした。
提督(ブルーノ・ガンツ)のとりなしによる裁き(判決)を従容し覚悟したミヒャエル・コールハース(マッツ・ミケルセン)は、一人娘リスベット(メリュジーヌ・マヤンヌ)の行く末を親しい伝道士に頼み、4百余の反乱勢力を武装解除して全員を故郷に帰します。
a0212807_953590.pngパリエール監督は、斬首台に向かうミヒャエル・コールハースの表情(マッツ・ミケルセンの演技がすばらしい)を
3分40秒のノーカットで見せました。
コールハースの死を覚悟した静かな感情と不公平で理不尽な裁き(判決)への憤怒の混在した心の襞(ひだ)を映すジャンヌ・ラポワリー撮影監督のこのノーカット映像は、映画のクライマックスで一番の見どころです。
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フランスの女性撮影監督ジャンヌ・ラポワリーが、撮った自然の光と影、風の変化、霧の風景、人のまわりを飛び交う小さな虫など中世の趣きと佇まいをリアルに描いています。
映画の中で庭や野、森や丘を吹き抜ける風の音、飛び交う虫の羽音が、そのシーンの映像に併せて聴こえるの
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で、見る者は、そこに居るような臨場感が、あります。
映画は、馬商人コールハースが、ある日若い領主(男爵)から侯国の新しい法律と称して通行税を要求され黒毛の名馬2頭を没収されました。
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馬の取引相手で旧い友人の提督(ブルーノ・ガンツ)から新しい法律の通行税が、嘘であることを聞いたコールハースは、男爵の不正を許すことができず、抗議の訴状を侯国の裁判所に届けることにしました。
コールハースは、訴状を侯国の城に知り合いがいるという妻ジュディットに託しました。
a0212807_9124911.jpgしかし、妻ジュディットは、男爵の親族から妨害され、反対に衛兵の手酷い暴行を受け殺されてしまいました。
激怒したコールハースは、武装し7人の使用人と男爵の城を襲撃しました。
逃げた男爵を追ううちに領内の貧しい小作人や餓えた賎民たちが、コールハースに従うようになり4百余となった反乱勢力は、やがて侯国内に恐怖を与えるようになりました。
a0212807_9132515.jpg侯国の王は、コールハースの行動を反逆罪として布告しました。
提督は、王との間をとりなしコールハースが、反乱勢力の武装を解除することを条件に男爵の不正行為を裁判する約束をしました。
馬商人コールハースの訴状は、裁判所に全面的に認められ、男爵にコールハースへの賠償と2年の刑(牢獄)が、言い渡されました。
一方コールハースには、侯国内の領民を率い反乱を起こしたとして重罪(反逆罪=斬首刑)が科せられました。
a0212807_9135798.jpg映画は、悲劇的な歴史ドラマながら、中世ヨーロッパを彷彿とさせる美しい自然を背景にマッツ・ミケルセン演じる寡黙ながら凛として騎士よりも騎士らしい馬商人ミヒャエル・コールハースの半生を叙情的な映像で描いています。
by blues_rock | 2015-02-12 00:02 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
私の印象ながらこの歓迎には、モンサント社の思惑、つまり生活クラブを‘ライフ・クラブ’という名の日本の消費者団体と勘違いし日本の消費者向け遺伝子組換え(GMO)のPRチャンスと捉えたのではないかと推察します。
a0212807_2162577.jpgアメリカでは、生産された大豆のほとんどが、食用油の原料なので遺伝子組換えの表示義務はないこと、遺伝子組換え(ラウンドアップ・レディ)種子は、モンサント社の除草剤「ラウンドアップ(農薬)」にしか除草剤耐性(雑草だけを枯らす効果)がなく、種子と農薬をセットにしてモンサント社から購入しなければならないこと、トウモロコシは、食品(スナック菓子やポップコーンなど)原料とする場合、遺伝子組換え(GMO)有無の表示義務があること、除草剤耐性作物は、大豆・トウモロコシ・綿・ナタネの4種類であることなa0212807_2232784.jpgどを丁寧に話してくれました。
モンサント社のビジネス・モデルは、世界の急激な人口増加を計算に入れた食糧増産プログラムにより自社の除草剤と殺虫剤に耐性をもつ遺伝子組換え作物種子の特許を独占(種子支配)し、莫大な利益確保が永続的に投資戦略に基づいています。 (参考:フランス映画「モンサントの不自然な食べもの」の公式サイト)
遺伝子組替え(GMO)の技術は、2つ、「アグロバクテリュウム法」と「パーティクルガン法」で、前者は、プラスミドa0212807_226696.jpgという運び屋DNAを使う方法、後者は金の微粒子に遺伝子を入れ銃で打ち込む方法があります。
質疑の中で、一行から「パーティクルガンによる遺伝子組換えで入ったDNAの換わりに出たDNAもあると考えるが、DNAを特定できるか?」の質問には、ノーコメント(‥できていないと推察)、さらに続けて「遺伝子組換えした結果、モンスター(‥組換え失敗を意味するこの言い方が最後まで気に入らない様子)もできると思うが、どんなものか?」の質問に、必要な成果だけを残し失敗したデータは、全部捨てるので分からない(よってそんなデータもない)との答えに、a0212807_2264891.jpg質問者から「莫大な予算をかけ研究している遺伝子工学の技術者は、貴重なデータを廃棄したりしない。あるはずだ。」と続けるとモンサント本社の広報官は、顔を紅潮させエキサイト、ニベもなく「ない」と否定しました。
同席し聞いていた私も‥植物(草)が枯れ、虫が死ぬ農作物を食べて大丈夫?アレルギー反応はないの?安全性の証明が不十分では?成果を急ぎ研究データの捏造はないの?など素朴に感じました。
a0212807_2273416.jpg遺伝子の働きは、極めて複雑で繊細、何が起きるか分からない(突然変異する)という未知の領域も多く、世界中の消費者が、いまモルモットになっているのでは?‥という疑心暗鬼(リスク)を考えると表向き‘世界の飢餓を救う’農業ビジネスの裏にあるものの正体も何やら透けて見えるようにも思います。
「食の安心」や「食品の安全」については、今まで私たちの知らないところで数多くの事件が起き、今も外食産業a0212807_2283424.gifや食品業界では、立て続けに事件が発生、これからも私たち消費者を巻きこむ食品事件は、次々とニュースになることでしょう。
食品事件の被害者にならないためには、わが身(と愛する家族)は、自分の手で守るという気概と智恵を日ごろから身につけておかなければならないと思います。
この続きは、長くなりますのでこちらをご参照くださると光栄です。
by blues_rock | 2015-02-10 00:10 | 自然/農耕/食料 | Comments(0)