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心の時空

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a day in my life

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12月31日大晦日、今年2014年最後のシネマの世界です。
今年は、241本の映画(うち外国映画217本・日本映画24本)を見ました。
a0212807_3483265.png今日ご紹介するのは、アメリカの名優ロバート・デ・ニーロが主演し、初監督・製作した1993年映画「ブロンクス物語/愛につつまれた街」(A Bronx Tale)です。
原作は、この映画でブロンクスを縄張りにしているマフィアのボスを演じているチャズ・パルミンテリ(1952~「狼たちの街出演」)が、書いた一人芝居の脚本でした。
チャズ・パルミンテリの一人芝居(1人18役の舞台)に惚れ込んだロバート・デ・ニーロは、チャズに戯曲の映画化を提案、その映画の脚本と出演を依頼しました。
同時に初めて自らメガホンを取ること(監督デビューすること)、さらに製作ならびに主演も自分が担当することを伝えました。
映画のプロダクション・デザインもすばらしく1960年代ブロンクスの時代考証~街の風景や街を往く人たちの風俗、劇中の音楽に至るまでディテールにこだわっています。
主人公の一人カロジェロ少年の父ロレンツォ(ロバート・デ・ニーロ)は、貧しい生活ながらも堅気のバス運転手
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として仕事にプライドをもち、いつも毅然としてブロンクスを仕切るマフィアのボス、ソニー(チャズ・パルミンテリ)にも接していました。
ロレンツォの心配事は、幼い息子のカロジェロが、ギャングに憧れボスのソニーを慕い、バーに屯(たむろ)する
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人相の悪いギャングたちのところへ出入りすることでした。
ソニーもカロジェロ少年を息子のように可愛がり、サイコロ賭博の手伝いをさせ小遣いを与えていました。
息子を愛する父ロレンツォは、ギャングの屯するバーに近づくことをカロジェロに禁じ、ボスのソニーにも「この子a0212807_353579.pngは、オレの息子だ、息子に近づくな。」と詰め寄りました。
映画は、カロジェロ(青年期をリロ・ブランカート・JR 1976~)と父ロレンツォそしてマフィアのボス、ソニーの三人を軸に展開します。
映画の中に暴力や乱闘シーンもありますが、デ・ニーロ監督の主眼は、愛の物語にあり映画の中で三者三様それぞれのエピソードを上手く配置、メリハリのあるストーリー構成にしています。
a0212807_3554272.png成長したカロジェロは、黒人の少女に一目惚れの恋をして、ブロンクスの人種差別という現実に直面、人種の壁を乗り越える難しさをやさしく諭す父ロレンツォ、恋するカロジェロに「一生のうち出会う女は3人だけだ」とアドバイスし彼のデートに自分の高級車を提供するソニー、二人それぞれの愛情が、ジワリ伝わる好いシーンです。
黒人の少女ジェーン役のタラル・ヒックス(1974~)も清楚でチャーミング、出番は、少ないのですが、デ・ニーロa0212807_358373.jpg監督の友人、怪優ジョー・ペシ(1943~)の存在感やブロンスクのバーに屯するギャング役の俳優たちも本物と見紛うくらいの風貌です。
この映画で最も重要な役割を演じるのは、ギャング(マフィア)のボス、ソニーを演じたチャズ・パルミンテリで、まわりの誰一人信用しない孤独な男の姿と自分を慕うカロジェロに「オレのまねをするな。これは、オレの人生だ。お前は、お前の人生を生きろ。」と厳しく諭す父親のような姿を味わい深く演じています。
a0212807_3591394.jpg主演のロバート・デ・ニーロは、押さえた演技でソニー役のチャズ・パルミンテリ、カロジェロ役のリロ・ブランカート・JRのワキに回り、実直に暮らす普通の人を地味に演じています。
映画に、流れるビートルズの‘カム・トゥゲザー’(1969年アルバム「アビイ・ロード」に収録)が、情景にマッチしてグッと来ました。  (上写真:カロジェロ役のリロ・ブランカート・JR に演技指導するロバート・デ・ニーロ監督)
by blues_rock | 2014-12-31 04:04 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
a0212807_2223575.jpg画家にして映画監督のジュリアン・シュナーベル(1951~ 2007年作品「潜水服は蝶の夢を見る」は秀作)が、キューバを代表する詩人であり作家のレイナルド・アレナス(1943~1990 ゲイで後にエイズを発病、ニューヨークで自殺)の自伝「夜になるまえに」を映画化(脚本・監督・製作総指揮)、ヴェネツィア国際映画祭で審査員特別賞を受賞しました。
幼少年時代を極貧のなかで育ち1953年のキューバ革命に参加、革命の英雄カストロを熱狂的に支持したレイナルド・アレナスでしたが、社会主義国家を樹立した独裁者カストロは、ゲイ(同性愛者)を反社会的な反革命分子として弾圧、自由な精神を謳うアレナスの詩や小説は、反革命的で反政府主義であると難クセを付けられ投獄されました。
1980年キューバ政府は、反体制活動家・犯罪者・精神障害者・売春婦・ゲイなど12.5万人を‘うじ虫’と呼び捨て国外追放(治安維持と財政軽減のため)、レイナルド・アレナスもこの時アメリカに亡命しました。
a0212807_2231350.pngスペインの名優ハビエル・バルデム(1969~)が、ゲイの詩人作家レイナルド・アレナスその人のように熱演‥写真を見ると二人良く似ているのが分かります。
映画の後半には、ジョニー・デップ(1963~)が、刑務所に出入りする派手に女装したゲイの役と、その真逆の役、ゲイのアレナスを厳しく取り調べる治安担当の軍人という二役で出演しています。
a0212807_2255960.jpg映画の前半、ショーン・ペン(1960~)もワン・シーン出演、荷車に乗る垢にまみれたキューバ農民の端(チョイ)役ながらメークと衣装でショーン・ペンと分からず、ふとした瞬間表われるショーン・ペン独自の演技を見逃さなければ、それで彼と分かるくらいの怪演です。
1943年に生まれたアレナス(ハヴィエル・バルデム)は、14才のときカストロ率いる革命暴動に参加しました。
a0212807_2263371.jpg学生のとき作家になることを決意、ゲイに目覚めました。
彼の処女作は、知的水準の高いキューバ市民に高く評価されるも自由主義を唱える作家やゲイは、カストロ政権から厳しく取り締まられました。
危険な状況の中で書いた二作目となる小説の原稿を密かに知合いのフランス人画家に託し、パリで出版してもらうやベストセラーとなり、レイナルド・アレナスの名は、世a0212807_2281436.jpg界的に知れ渡りました。
この行為でキューバにいるアレナスは、逮捕され国家反逆罪として容赦ない迫害と弾圧を受けました。
アレナスは、刑務所から一旦脱獄、逃亡しますが、再び逮捕され極悪な刑務所へ送られました。
服役中、酷い仕打ちを受け、ようやく出所したアレナスは、生涯の友となるラサロ(オリヴィエ・マルティネス 1966~)に出遭いました。
1980年アレナスは、アメリカへ亡命するもエイズを発病、ラサロの献身的な支援により作家活動を続けますが、1990年12月、鎮痛剤を大量に服薬a0212807_229911.jpgし自殺しました。
この映画の魅力は、ハンディ・カメラを使いレイナルド・アレナスその人を撮り続けたシュナーベル監督独特の映像才能とレイナルド・アレナスその人に成りきり熱演した名優ハヴィエル・バルデムの演技力にあると思います。
by blues_rock | 2014-12-29 00:09 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
平安時代1019年、満州族の女真が、対馬・壱岐・松浦・大宰府を襲った「刀伊の入寇」は、後の‘元寇’ほど歴史的に知られていませんが、紛れもなく古代中国の日本侵略でした。
a0212807_015054.jpg鎌倉時代になり1274年と1281年の二度に亘り、元朝の中国が、日本を征服するため侵略(後に‘元寇’と呼ぶ元の襲来です こちら)しましたが、失敗しました。
14世紀、南北朝から室町時代は、明朝中国と「朱印船貿易」による交易で賑わい日中の交流も盛んになりました。
幕府が、認めた「朱印船貿易」以外、勝手に密貿易を行なう倭寇(わこう、日本人の海賊)が、東シナ海を自由に往来し中国沿海州、高麗朝鮮に侵入、村々を破壊して略奪行為の蛮行に及んだのもこの時代です。
当時元朝中国の支配下(元の朝貢国)にあった高麗朝鮮を元の武官(高麗駐在武官)李成桂(1335~1408 満州女真族 上絵図)が、高麗朝鮮王朝をa0212807_0224831.jpg滅ぼし1392年、500年余の長きに亘る李氏朝鮮王朝を朝鮮半島で樹立しました。
その支配は、日本が、1910年に韓国併合するまで518年続きました。
その間、豊臣秀吉が、明朝征服(唐入り)を目論んだ二度の(1952年と1958年)朝鮮出兵もありましたが、この時代以降の中国、朝鮮と日本との三国間の出来事は、多くの歴史書に記述されていますので割愛したいと思います。
いずれにしても東アジアで中国・朝鮮・日本が、隣国同士であることは、巨大隕石の地球激突による大きな地殻変動がない限りどうにもならないことで、人間のチカラでは、未来永劫決して変えられない現実です。
博多に暮らし、天神界隈をブラ付いていると大勢の中国・韓国の若者たちによく出遭います。(こちら
彼らの明るく屈託のない笑顔を見ていると不幸な戦争が、続く東アジアの歴史にピリオド(終止符)を打つ絶好の機会とつくづく思います。
過って日本には、中国清王朝の専制体制に抑圧された庶民、疲弊した封建社会の底辺で貧困に苦しむ人民をa0212807_0234595.jpg解放しようと蜂起した孫文ほか中国革命のリーダーたちを物心両面で支援した日本人が、少なからずいたことを中国の若い人たちに知ってもらいたいと思います。(こちら
私の夢か、妄想か、私は、ユーラシア大陸東の地、東アジア一帯から愚かな偏見、狭量なナショナリズム、覇権による横暴、領土紛争(最悪なのは戦争)が、永遠になくなることを心から願っています。
(上写真 : 連日中国人始め多くの外国人を乗せ博多港に入港する10万㌧超級の大型クルーズ客船)
by blues_rock | 2014-12-27 00:07 | 社会/歴史/思想 | Comments(0)
相変わらず何かとイザコザの絶えない中国と日本ですが、いつぞや日本経済新聞で中国の国家主席と日本の首相との’イヤイヤ握手’写真を見て二人とも大変だなあ‥と思いました。
a0212807_21592085.jpg日本の首相の笑顔は、強張(こわば)っていて、中国の国家主席たるやソッポ向いて素っ気ない顔していました。
お互い国内メディア向け(ニュース写真用)のポーズとはいえ、その表情から国益のためキライな相手と握手しなければならない日本国首相と東アジアで唯一思うようにならない日本にイラ立つ中国共産党総書記(国家主席)、二人の心中が、透けて見えなかなかおもしろい写真でした。
12月14日総選挙(衆議院議員選挙)の前日、その首相が、党首として率いる自民党政権の圧勝予想に慌てたa0212807_2255456.pnga0212807_22457.pngのか、現中国政権の最高権力者(国家主席)が、12月13日南京市で1937年の南京事件に触れ、これまでの強面(こわもて)ぶりを少しトーンダウンして「中国と日本の両国民は、代々にわたり友好を続けなければならない。少数の軍国主義者が、起こした侵略戦争によって、その民族(日本国民)を敵視すべきでない。」と‘有権者(日本国民)’へ日本政府の中国政策に反対するようメッセージしました。
強面(こわもて)が、ウリの国家主席による懐柔パフォーマンスも時すでに遅く不発、下馬評通り自民党の圧勝に貢献した最大の功労者は、‘棄権した50%の有権者’と皮肉なことに‘歴史の墓を掘り起こし日本攻撃した中国と韓国の両政府’で、今ある日本の平和と安寧をこれからも維持しようとする日本国民の不快感を刺激しました。
a0212807_7125083.jpgいまや朝鮮半島をほぼ手中に収めた覇権国家の中国ですが、その朝鮮半島の向こうにある環太平洋の列島、眼目(がんもく)の日本国が、中国のライバル覇権国アメリカと軍事同盟を結び、中国(共産党)を袖(ソデ)にすることに怒り心頭なのを少し抑える作戦なのかもれません。 (1887年フランス人画家ビゴーの風刺画 : 朝鮮半島を獲ろうとする中国と日本、横どりを狙うロシア)
a0212807_2220795.png朝鮮半島38度線以北の北朝鮮は、歴史に鑑みても古代から今に至る中国の朝貢国ですから三代目に少し手を焼いているようですが、中国には赤子の手を捻るようなものノープロブレムでしょう。
朝鮮戦争休戦ライン(38度線)の南、韓国女性大統領は、半島の歴史をご存じないと見え、やたら親中国なので現中国政権にとっa0212807_7343899.jpgて飛んで火に入る夏の虫のようなものです。
古代中国は、3世紀(280年頃)の「魏志倭人伝」を見ても分かるとおり、倭国(古代日本)を魏の朝貢国(中国を宗主国とする属国)と見下した外交政策をとり、一方7世紀の遣隋使(600~618、5回派遣)、7~9世紀の遣唐使(630~200年続き推定20回派遣)では、大和朝廷の勅書(‘日昇る国’の天皇から‘日沈む国’の帝へ臣下扱いの手紙)を帯同、その時の中国王朝は、この受取りを拒否しています。(へ続く)
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参考1 (上写真2枚) : 決死の覚悟で東シナ海を渡った遣隋使(遣唐使) 船/ 1日数便、博多と釜山を往復する
     JR高速船ビートル(片道2時間55分、往復5,000円)
参考2 : 7世紀(663年)朝鮮半島白村江(はくすきのえ)の戦い⇒こちら
by blues_rock | 2014-12-25 00:25 | 社会/歴史/思想 | Comments(0)
カナダ・イギリス・アメリカ共同製作トニー・ジグリオ(1971~)監督・脚本による2006年サスペンス&アクション映画「カオス」は、話(ストーリー)が、二転三転(いや四転五転くらい)しながら混沌と、つまりカオス状態となり展開していくおもしろい映画です。
a0212807_164171.jpg映画「カオス」は、アメリカの気象学者ローレンツ(1917~2008)のカオス理論 (決定論的非周期な流れ‥というさっぱり分からない混沌理論、1960年発表)を参考に構成されたサスペンス&アクション映画と宣伝にありましたが、要するにストーリーの展開は、良く見ていないと分からないのでスクリーンをしっかり見ていてくださいということです。
シアトルの銀行が、開店するとすぐ武装強盗団に襲撃され、強盗団は、緊急通報により市警察やSWATに包囲されるのを待っていたかのように銀行内にいた市民・行員を人質に立て籠もりました。
強盗団のリーダー、ローレンツ(ウェズリー・スナイプス 1962~ カオス理論学者のローレンツと同じ名前にするとは脚本を書いたジグリオ監督もニクイ)は、他の強盗事件で人質を犯人と共に死なせた責任で謹慎休職中のa0212807_1113796.jpgコナーズ刑事(ジェイソン・ステイサム 1967~)を交渉の相手として指名して来ました。
シアトル市警察の上司は、コナーズ刑事に大学を卒業したばかりの新人デッカー刑事(ライアン・フィリップ 1974~)を見張り役に付け、しぶしぶ現場の指揮官として派遣しました。
リーダーのローレンツは、なかなかのキレ者で、コナーズ刑事との交渉にも一切スキを見せず、命令に従わなa0212807_112862.jpgかった人質を一人、見せしめに射殺しました。
現場で指揮を執っていたコナーズ刑事は、これ以上交渉しても人質に犠牲者が、増えるだけと判断、銀行内へ強行突入を指示しました。
だが、突入直前に武装グループのワナと気付いたコナーズ刑事は、強行突入の中止命令を出しましたが、強引a0212807_113361.jpgな事件解決を計るSWATは、コナーズ刑事の中止命令を無視して銀行に突入しました。
SWATの突入と同時に銀行内で大規模な爆発が、起こりました。
コナーズ刑事たちが、爆発の収まった銀行に入ると強盗団は、忽然と消え現金始め銀行から何も盗まれていませんでした。
a0212807_1142624.jpg映画は、ハデな銀行爆破シーン、カーチェイスの迫力あるシーン、コナーズとローレンツとの駆け引きと対決シーン、さらにシアトル市警察内の不穏な人間関係を見せながら映画は、前半ベテラン、コナーズ刑事の活躍を描き、映画の後半、コナーズが、ローレンツに殺される(爆殺される)と彼の相棒であった新人刑事デッカーの予想外の活躍を描いています。
次第に鋭い捜査能力を発揮し始めたデッカー刑事は、この不可解な銀行強盗事件の捜査を引き継ぎ、ナゾにa0212807_1162635.jpg満ちたカオス(どんでん返しのサスペンス)を追い続け、最後に見る者の意表を突き、この不可解な事件に決着を付けました。
映画の後半、コナーズ刑事(ジェイソン・ステイサム)が、爆殺されたあと、この不可解な事件の黒幕(真犯人)を察した方は、相当のミステリー通かサスペンス映画ファンと思います。
女性刑事役のジャスティン・ワデル(1976~ 南アフリカ出身、なかなかの美人女優)が、コナーズ刑事との絡みで色を添えています。
by blues_rock | 2014-12-23 01:05 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
a0212807_19115293.jpg奇才スパイク・ジョーンズ監督は、2014年新作映画「Her/世界でひとつの彼女」でも秀でた映画センス(監督ならびに脚本)を発揮しています。
映画は、最新鋭人工知能OSの女性(登場するのは声だけ)とその声の「彼女(Her)」に一途に恋する男との近未来の恋愛模様を描いています。
「Her/世界でひとつの彼女」は、スパイク・ジョーンズ監督(1969~ 「マルコヴィッチの穴」)の紡ぐ近未来のロスアンゼルスを舞台にした純愛を求める男のセンチメンタルなSF恋愛映画で、オランダの撮影監督ホイテ・ヴァン・ホイテマ(1971~ 2010年「ザ・ファイター」、2011年「裏切りのサーカス」、2014年「インターステラー」など)が、撮った哀感溢れる映像とカナダのオルタナティヴ・ロックバンド「アーケイド・ファイア」の奏でる音楽を聴きながら愉しめるなかなか‘粋な恋愛映画’です。
ジョーンズ監督は、最新鋭にして高性能コンピューターA.I.(人工頭脳)によるOS(オペレーション・システム)機能サマンサ(声‥スカーレット・ヨハンソン 1984~)とコミュニケーションできない不器用な近未来人セオドア(ホアキン・フェニックス 1974~)との人工恋愛をシニカルに(皮肉っぽく)描くのではなく、二人(一つと一人)が、もつ鋭い勘と豊かな感受性による知的でユー
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モラスな人格の交流、さらに疑似恋人セオドアとの交歓(言葉によるセックスも秀悦)で次第に‘喜怒哀楽’を表わすようになる(嫉妬すらする)人間の女性として進化していくA.I.OSサマンサに見る者は、胸キュンとなります。
ジョーンズ監督は、今回初めて単独で脚本を書き、人間性溢れるストーリーと才気あふれる映画センスで「Her
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/世界でひとつの彼女」を撮り、アカデミー賞脚本賞を受賞しました。
人と上手く関われない不器用な近未来人セオドアを演じたホアキン・フェニックスの好演もさることながらA.I.OSサマンサの声を演じたスカーレット・ヨハンソンの演技(知的ながら情感に溢れたセクシーな声)も高く評価され
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ローマ国際映画祭で‘最優秀女優賞’(‥声の演技に最優秀女優賞とはイタリア映画人も粋なことをするもの)を受賞しました。
セオドアが、未練を断ち切れない離婚手続き中の妻キャサリンをルーニー・マーラ(1985~ 不思議な魅力をもつ
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若手女優、「ドラゴン・タトゥーの女」は最高でした)、セオドアの親友エイミーにエイミー・アダムス(1974~)、彼女とセオドアのプラトニックな男女関係もこれまた絶妙です。
高層ビルが、立ち並ぶ近未来のロサンゼルスは、上海で撮影された情景です。
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映画の中で時どき現われセオドアとサマンサの会話をジャマし二人に悪態つくエイリアン・チャイルドの声をスパイク・ジョーンズ監督(アダム・スピーゲルとクレジット)が、演じています。
心で繋がれない(精神のコミュニケーションができない)男と女の間に恋愛はなく‥恋愛でのセックスの役割に
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ついてもコミュニケーション道具の一つであると秀作映画「Her/世界でひとつの彼女」は、きっとあなたに教えてくれるでしょう。
by blues_rock | 2014-12-21 00:30 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
イギリス出身の映画監督ながら現在(いま)ハリウッドで超売れっ子となった新進気鋭の映画監督クリストファー・ノーラン(1970~)最新作、スペクタクルSF映画「インターステラー」(監督・製作・脚本)を見ました。
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脚本は、いつものように弟の脚本家ジョナサン・ノーラン(1976~)と共同執筆で撮影は、オランダの名撮影監督ホイテ・ヴァン・ホイテマ(1971~ 「ザ・ファイター」・「裏切りのサーカス」・「her/世界でひとつの彼女」の撮影監督)が、担っています。
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「インターステラー」は、3時間に及ぶ(2時間49分)長尺映画ながらノーラン監督らしい作家性(難解な宇宙理論の映像化)と娯楽性(父と娘の家族愛)を兼ね備えたなかなか面白いSF超大作映画(製作費170億円)でした。
私の感想として敢えて気になった(画竜点睛を欠く)ところを二点挙げれば、一つは、映画の冒頭からクーパー
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(マシュー・マコノヒー 1969~)が、愛娘マーフ(少女時代マッケンジー・フォイ 2000~、成人ジェシカ・チャステイン 1977~、老年 エレン・バースティン 1932 ~)に「必ず戻ってくる」と言い残し、ブランド博士(マイケル・ケイン 1933~)の娘アメリア(アン・ハサウェイ 1982~)ほか、二人の宇宙飛行士と宇宙船エンデュアランスで、地球を
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出発するまで‥とうもろこし農家のクーパーが、なぜ宇宙飛行士となり宇宙に飛び立つのかまでが、すこし長いと思いました。
二つ目は、その何年も前、国家機密のミッションとして人類の生存可能な宇宙探査に飛び立ち、遠い宇宙の果
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てから発見信号を送り続ける天才科学者マン博士(マット・デイモン 1970~)をクーパーたちが、発見した時、未知の惑星で何年も超低温冬眠しているマン博士の毛髪が短く、超低温冬眠カプセルから出てすぐ自由に動ける(低体温と筋肉委縮の回復が早過ぎる)こと、余計なことながらマット・デイモン演じる天才科学者マン博士(映画
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の端役)の登場は、必要ないと思いました。
映画のプロットは、近未来のアメリカを舞台に地球温暖化の環境悪化と食糧難で絶滅の危機に瀕した人類が、生存のため最期の望みを託し、宇宙に新たな居住可能な惑星を探すためワームホール(時空から時空へ抜け
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るトンネル状の超空間~リンゴの虫喰い穴に由来する)を通って宇宙探査に出発したミッション一行と(クーパーたち4人の宇宙飛行士と2体のAIロボットCASEとTARS)地球で帰りを待つ家族の物語です。
ノーラン監督は、グリーン・スクリーン(CG)を使った映像を好まず、未知の惑星に下り探査するシーンは、アイス
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ランドの雪山で撮影、宇宙を航行するシーンや宇宙船内部の撮影には、大がかりなセットを組むなどアナログとローテクを駆使して撮影(IMAXカメラで撮影)、VFXで映像処理しリアリティと臨場感を表現しました。
「インターステラー」は、最新作ながらSF映画の名作、例えば「2001年宇宙の旅」・「惑星ソラリス」・「コンタクト」・
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ゼロ・グラビティ」に登場した宇宙へのノスタルジーを感じますが、今回初めてアインシュタインの一般相対性理論を重力理論物理学者キップ・ソーン博士(1940~ 映画の製作総指揮を担当)の指導により可視化、ブラックホールやワームホールさらに時空の歪みを映像で表現しました。
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映画のタイトル「インターステラー(Interstellar)」とは、“惑星間”という意味です。
SF映画の大作「インターステラー」は、いくつかのストーリーで構成されドラマチックに展開していきますので公式サイトのトレーナー(こちら)でチェックされ面白そうと感じられた方は、映画館の大型スクリーンで3時間ゆっくりお楽しみください。
by blues_rock | 2014-12-19 00:09 | 映画(シネマの世界) | Comments(2)
私の友人が、意気消沈した声で、お気に入りの玄洋窯‘伊羅保ぐい呑み’を取り落としたので金継ぎして欲しいと電話してきました。
私が、破損の状態を問うと「粉々に割れた。」と一言、「それじゃ、また買えば‥」と続けると友人は「これ(伊羅保ぐい飲み)が、好きだから何とかして欲しい。」の一点張りです。
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「分かったから欠片を全部集め、そのまま持って来くること。とりあえず見てみるから‥、だけど、金継ぎに使う純金は、1㌘9,300円と材料費が高いよ。」と伝え電話を切りました。
翌日、ビニール袋に入った陶片を渡され、取り出して見るとバラバラに割れていました。
私は、修理する手間ひまを想像して「やっぱり、止めよう。玄洋窯で同じものを買ってあげるよ。」となだめてもa0212807_020122.jpg「これが好い。何とかして欲しい。」と粘るので、私もついに根負け、ベンガラ漆継ぎで無償修理することにしました。
それから3か月‥ゆっくり磨ぎ繕いながら先日やっとベンガラ漆継ぎ‘伊羅保ぐい呑み’銘「粗相」が、完成しました。
ベンガラ漆継ぎの工程を簡単にご紹介します。
1.陶片をジグゾーパズルのピースのように繋ぎ合わせ幅1~2㌢のゴム紐で縛ります。
2.割れた部分に生正味漆を丁寧に塗り(流し込み)ます。
3.一週間くらい湿気のある箱に入れ乾燥(一週間が目安)、陶片にすき間(凹箇所)があればサビ漆できれいに補修します。
a0212807_0225451.jpg4.サビ漆をしっかり乾燥させ補修部分を磨き(水砥ぎ)、呂漆を塗り、乾燥という工程を数回繰り返します。
5.途中、水漏れチェックを行ない水が、染み出すようであれば工程に数度30分くらいシリコン液を器の中に入れ水漏れを防ぎます。
6.指先で触って補修部分に凸凹がなくなれば、最後にヘンガラ漆を丁寧に塗り、一週間湿気のある箱の中で乾燥させると完成です。
7.金継ぎは、時間と根気(集中力)があり、漆を苦手にしなければ、どなたにも楽しめる日本の伝統工芸です。
by blues_rock | 2014-12-17 00:07 | 金継ぎ/古美術/漆芸 | Comments(0)
コーエン兄弟(兄ジョエル1954~・弟イーサン1957~)監督の才気ほとばしるナンセンス・コメディの怪作映画「ビッグ・リボウスキ」は、今もなおカルト的なファンをもつユニークな映画です。
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コーエン兄弟は、1987年コメディ映画「赤ちゃん泥棒」(原題:Raising Arizona)」でメジャーデビュー、1991年作品「バートン・フィンク」が、カンヌ国際映画祭パルムドール、1996年作品「ファーゴ」は、アカデミー賞脚本賞、主演したフランシス・マクドーマンド(1957~ 兄ジョエル・コーエン夫人)が、アカデミー賞主演女優賞を受賞したこともa0212807_10491614.pngありコーエン兄弟監督は、一躍有名になりました。
さて、ナンセンス・コメディの「ビッグ・リボウスキ」は、1998年湾岸戦争下のロスアンゼルスを舞台に、同姓同名の大金持ちと間違えられ誘拐事件に巻き込まれたグウタラ不精男の奮戦を描いています。
一つ間違えば、ドタバタ喜劇と言えないこともない「ビッグ・リボウスキ」のコミカルなプロット‥同姓同名で大金持ちビッグ・リボウスキの若い妻バニー(元ポルノ女優)が、誘拐され身代金100万㌦の受渡し役を依頼されたグa0212807_10495290.jpgウタラ不精男デュード・リボウスキ(ジェフ・ブリッジス 1949~)のドタバタ大騒動劇、をコーエン兄弟監督は、ジャズの即興にも似たポップな演出で、個性的な俳優たちを怪演させました。
キャスティング(配役)が、実に見事でグウタラ不精男のデュード・リボウスキをジェフ・ブリッジス、デュードのボーリング仲間で気に入らないとすぐ銃を向ける短気な親友のウォルターにジョン・グッドマン(1952~)、同じくボーリング仲間でウォルターから怒鳴らa0212807_10523059.jpgれる気弱なドニーをスティーヴ・ブシェミ(1957~)、大金持ちビッグ・リボウスキの秘書ブラントにフィリップ・シーモア・ホフマン(こちら)、他にもピーター・ストーメア(1953~)、ジョン・タトゥーロ(1957~)、ジュリアン・ムーア(1960~)たちが、奇怪な人物を演じています。
映画は、二転三転しながら展開‥ウォルターは、妻バニーによる自作自演の狂言誘拐事件と決めつけデュードに身代金100万㌦の横取りを唆(そそのか)し、大金の入ったブリーフケースを車に積んだままトニーも誘いボーa0212807_1053318.jpgリング場で遊んでいました。
ボーリングを終えて車に向かうとデュードの車が、身代金ごと消えていました。
ビッグ・リボウスキの一人娘で前衛芸術家のモード・リボウスキとその怪しげなグループ、ドイツ訛りの英語をしゃべる誘拐犯たち、元ポルノ女優であったバニーを探し回る裏社会の男たちと奇怪な人物たちが、次々登場し身代金100万㌦のビッグ・リボウスキ新妻誘拐事件は、次第に複雑な展開となりサスペンス・コメディの様相を帯びて一気にエンディングに向かいます。
a0212807_10551075.jpgこの映画は、好きと嫌いとが、はっきり分かれ、評価も割れること請け合いなので、因って、あまり人にお薦めできない作品でもあります。
この「ビッグ・リボウスキ」をご覧になって「おもしろい!」と思った方は、同じナンセンス・コメディ映画「未来世紀ブラジル」も怪作なのでご覧になって損はしないと思います。
by blues_rock | 2014-12-15 00:05 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
フランスは、個々人の精神(エスプリ)を尊重する個人主義が、成熟しているからか、女と男の情愛を剥き出しにしたロマンス(本能的な恋愛)映画の秀作が、数多くあります。
a0212807_17432652.jpg先ごろ、パトリス・ルコント監督の恋愛映画(こちら)を紹介しましたが、フィリップ・リオレ監督(1955~)の2004年作品「灯台守の恋」もロマンス映画の秀作なのでお薦めいたします。
一昔前までブルターニュ地方のウエッサン島は、パリから遥か遠くにあり世界の果てと呼ばれた辺境の地でした。
大西洋に面したブルターニュ地方にある鄙びた島の沖合に、荒波と強風の中に立つジュマン灯台は、航海する船の安全を守る大切な灯台でした。
そのウエッサン島で生まれ成長したカミーユ(アンヌ・コンシニ 1963~ 彼女の凛とした美しさが魅力的です)ですが、大人になるとパリに出て生活していました。 (右下写真:アンヌ・コンシニ、映画の冒頭と最後に登場、知的な表情が、魅力的でした。)
a0212807_17451268.jpg映画は、カミーユが、故郷ウエッサン島の亡き両親の家を売却するため久しぶりに帰って来たところから始まります。
家を開けると多くの郵便物が、届いており、その中にアントワーヌ・カッサンディ著「私の世界の果て」という新刊本を見つけました。
本の表紙に描かれている灯台が、父親イヴォン(フィリップ・トレトン 1965~)の働いていたジュマン灯台に似ているため、年老いた伯母に著者アントワーヌ・カッサンディのことを訊ねました。
伯母の曖昧な返事とアントワーヌという人物について話題にしたくないという態度が、気になったカミーユは、本a0212807_1749125.jpgを読み始めました。
ブルターニュ地方ウエッサン島の住民は、遠い昔イギリスから渡ってきたケルト人の子孫たちで、この地の厳しい自然環境の中、住民同士助け合い固く結束して生活して来ました。
1963年、カミーユの生まれる前、灯台守(ジュマン灯台の予備員)になるため、よそ者でアルジェリア戦争に従軍し負傷した帰還兵アントワーヌ(グレゴリ・デランジェール 1971~ 寡黙で微笑みを絶やさないやさしい眼差しが好印象)という青年が、ウエッサン島にやって来ました。
a0212807_17494661.jpgアントワーヌは、よそ者の自分を追い出そうとする村人の悪意ある行為に耐えながら、ジュマン灯台のリーダー、イヴォンの下で荒海にある灯台の厳しい天候のなか昼夜違わぬ過酷な灯台守の仕事に就きました。
アントワーヌのどんな苦労も厭わない態度は、次第にイヴォン始め村人の中にも彼に好意をもつ人たちが、現われました。
イヴォンの妻マベ(サンドリーヌ・ボネール 1967~ 1989年映画「仕立て屋の恋」主演)もその一人で、アントワーヌが、時おり自分をじっと見つめる視線に気付いていました。
マベは、夫イヴォンを愛し灯台守としての健康を気づかいながら、アントワーヌの孤独な心とやさしく微笑む笑顔の中に浮かぶ翳(かげ)りのある表情に強く惹かれ恋に落ちました。
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村の夏祭りの夜、マベとアントワーヌは、堰を切ったように激しく愛し合いました。
二人の関係を知りながら無骨で寡黙なイヴォンは、妻マベを深く愛していること、自分には子供ができないことをアントワーヌに話しました。
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灯台守イヴォンを演じたフィリップ・トレトンの‘無骨で寡黙な男’役は、さしずめフランス版高倉健(1931~2014)と言ったところですが、妻マベの不貞を知りながら、彼女を深く愛するゆえ未来のない二人の激しい恋(‥マベもアントワーヌも‘どうにもならない恋’であることを知りながら自分の気持ちを抑えられない激情)を責めず怒らず
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沈黙するイヴォン役のフィリップ・トレトンの哀切な表情は、見る者の胸に迫り実に見事です。
村の若い娘ブリジット(エミリー・ドゥケンヌ 1981~ 狂言回しの役柄である若い村娘を上手く演じている)は、婚約者がいるにも関わらずよそ者の青年アントワーヌに熱を上げるので彼は、ブリジットの婚約者始め村の若者
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たちの反感を買います。
アントワーヌが、ウエッサン島に来て2か月、アントワーヌは、マベに次のジュマン灯台守勤務シフトを終えたら、ウエッサン島を去ると告げました。
a0212807_17553323.jpgアントワーヌが去り、イヴォンは、その後生まれた娘カミーユを溺愛し育て、妻マベも変わらず深く愛し続けました。
カミーユは、記念館となったジュマン灯台を訪ね、壁にかけられた父イヴォンとアントワーヌ二人が、並んだ写真を見つけ、じっと見入るのでした。
亡き両親と自分が、長い間暮らしたジュマン灯台の見えるウエッサン島の旧い家をカミーユは、売らないことにしました。
by blues_rock | 2014-12-13 07:27 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)