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心の時空

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a day in my life

<   2014年 01月 ( 32 )   > この月の画像一覧

私が、子供のころの筑後平野は、夜ともなると辺り一面真っ暗闇で、道と田圃(たんぼ)の区別付かず運動靴のまま田植えの終わった水田に足を踏み入れたものでした。
夏の盛りも過ぎ夏休みが終わるころになると、農道と畑の境に埋められた大甕(おおがめ、‘肥溜め’のこと)のまわりには夏草が、背高く生い茂り、遊びに夢中の子供たちにとって‘肥溜め’は、いつも死角でした。
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チャンバラやトンボ捕りに夢中な子供の私は、畑の有機肥料として農家の厠(かわや、汲み取り式便所のこと)から汲み出された屎尿(しにょう)が、発酵熟成した大甕(おおがめ、肥溜めのこと)に一度ならず落ちました。
肥溜めに胸まで浸かり、熟成した屎尿の匂いが鼻を突く中、やっとのことで這い上がり家に帰ると母親が、「キャー!」と悲鳴をあげ、近くの堀(クリーク こちら)まで野良犬を追うように、シッシッと言いながら私を連れて行き
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まるで汚物を洗うかのように(確かに‘汚物まみれ’でしたが)ゴシゴシと全身を洗ってくれました。
私は、発酵熟成した肥溜めの中が、温泉のようにとても温かったことと母親に連れて行かれた堀(クリーク)の水が、やけに冷たかったことを憶えています。
by blues_rock | 2014-01-31 23:50 | 人生/愛(Love) | Comments(0)
私は、2年間の東京転勤を挟み、二度通算7年勤務した当時西宮市鳴尾浜にあった私の職場のすぐ近くに「リゾ鳴尾浜」というスパ&温水プール施設がありましたので、平日会員になり仕事の帰りに良く利用しました。
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「リゾ鳴尾浜」の前が、灘の海(瀬戸内海)なので露天スパに浸かり、あるいはデッキチェアに寝そべりながら、瀬戸内海に沈む夕日をぼんやり眺めていました。 (下写真2枚:灘の海に面した「リゾ鳴尾浜」と神戸の遠望)
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私は、1995年1月17日に発生した阪神淡路大震災を被災し、その時の記憶が鳴尾浜の夕日に重なります。
尼崎市稲葉荘の社宅から鳴尾浜の職場まで阪神甲子園球場前を経由してバスで30分くらい、春夏の高校野球
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全国大会や阪神タイガースの試合が、甲子園球場で開催される時の混雑と喧騒には、少し閉口しましたが、それも今では、懐かしい思い出となりました。
by blues_rock | 2014-01-30 01:40 | 人生/愛(Love) | Comments(0)
夕日と云えば、石川県羽昨(はくい)市の千里浜(ちりはま)なぎさドライブウェイから眺めた日本海に沈む美しい夕日も忘れることができません。
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仕事で能登半島(こちら)に行く時、金沢駅から財団法人日本きのこセンター職員の方の車で能登有料道路(現在無料化され‘のと里山海道’と名称変更)を通りました。
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四季折々、千里浜(ちりはま)海岸から眺める日本海の景色には、春夏秋冬の情感がありました。
千里浜なぎさドライブウェイは、千里浜海岸の砂浜を8㌔あまり走行できる粋な車道(道路標識設置)です。
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千里浜を過ぎるとそこはもう能登半島、私にとって懐かしい思い出の多い半島です。
財団法人日本きのこセンター金沢事務所の皆さん、その節は、たいへんお世話になりました。
by blues_rock | 2014-01-29 23:29 | 人生/愛(Love) | Comments(0)
a0212807_21534650.jpgハンナ・アーレントは、アイヒマン裁判の傍聴レポートにナチスのユダヤ人大量虐殺に関して「ユダヤ人指導者の中にもアイヒマンに協力した者がいた。それによってユダヤ人の犠牲が増えた。」と記述しました。
この記事が、ユダヤ人社会と反ナチスの人たちの逆鱗に触れ、イスラエルやアメリカ、ヨーロッパのユダヤの人たち‘ナチスの犬、裏切り者’など、口汚く罵られ、ハンナ・アーレントは、酷(ひど)い中傷に曝(さら)されました。
電話や手紙による脅迫や嫌がらせを受け社会的に孤立したハンナは、孤独の中で苦悩しますが、彼女の思考と信念は、些(いささ)かも揺るぎませんでした。
ハンナは、部屋に籠もり夫や数の友人に支えられながら「悪の本質」を考え続けました。
アルゼンチン政府は、イスラエルに対し自国領土内で諜報機関モサドが、アイヒマンを拉致し強制連行したの
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は、国際法違反であると猛烈に抗議、国際社会に訴えました。
これについてハンナ・アーレントは、ナチスドイツ滅亡後、身を隠しアルゼンチンに逃亡、不法滞在していたアイヒマンを拉致しイスラエルで裁判することの正当性に疑問は残るが、公平な裁判ではないからと言ってアイヒマン裁判の結果が、無効であると述べていないし映画の中でもアイヒマンの死刑は、妥当であると述べています。
ハンナは、ユダヤ社会と反ナチスの人たちの誹謗中傷に当初「私の裁判傍聴レポートを最後まで読めば、一方
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的に非難され中傷されるような内容ではないことは分かります。私のレポートを読んでいない人たちが、ナチスへの単純な憎悪とアイヒマンに対する嫌悪で感情的になり私を非難しています。」と反論も説明もしないで沈黙していましたが、収まらない騒ぎに、ついに意を決しアイヒマン裁判の傍聴レポートを非難する意見への反論を毅然と行ないました。
映画ラストの8分間、ハンナ・アーレントが、大学の教室に集まった学生や聴衆を前に冷静に自論を述べるシー
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ンは、彼女の聡明な思考と明晰な言葉のパワーに圧倒され迫力がありました。
ハンナは、「私にアイヒマンを罰するという選択肢も許す選択肢もありません。彼は‘自分は自発的にユダヤ人の虐殺を行ったことはない、善悪を問わず将校の自分に意志は介在しない。ヒトラーの命令に従っただけなのだ’と検察に主張しました。世界最大の悪は、平凡な人間が行う悪なのです。そんな人間には、悪への動機もなく信念も邪推も悪魔的な意図もありません。(アイヒマンのような犯罪者は)人間であることを拒絶した者なので
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す。」と語りました。
さらに、彼女は「アイヒマンは、人間の大切な質を放棄しました。思考する能力です。その結果、モラルまで判断不能となったのです。思考ができなくなると平凡な人間が、極めて残虐行為に走るのです。‘思考の嵐’が、齎(もたら)すのは、善と悪を区別する能力であり、美と醜を見分ける力です。私が望むのは、考えることで人間が強くなることです。危機的状況にあっても考え抜くことで破滅に至らぬように。」と続けて話を終わりました。
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ハンナの目にアイヒマンの姿は、組織の規律を乱さず命じられるまま言われたとおりにしか動かない小役人にしか映りませんでした。
映画「ハンナ・アーレント」を見て、彼女の言葉を自分の心に収め感銘された方も多いと思います。
アイヒマンのような小心な人間は、思考を停止し上官(上司)の命令に従うだけの凡庸な小役人にすぎないとハンナ・アーレントは‘凡庸の悪’を喝破しました。
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「思考する能力の欠如」こそが、未曽有のホロコースト(大量虐殺)を引き起こした元凶とするハンナ・アーレントの指摘は、この映画のシーンに何度も引用された裁判記録の映像に映る凡庸なアイヒマンの虚ろな表情を見ていると良く理解できます。
この映画が、中高年層に好評なのは‘アイヒマンのような人間がどこにでもいる’からではないでしょうか?
マルガレーテ・フォン・トロッタ監督は、思考停止して唯々諾々とヒトの考えに追従する人たちに対し「現在と過去
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そして未来のことをもっと自分の頭で考えたら? ヒトの言うままを鵜呑みでは、あまりに程度低いわよ。」と辛辣に言っているようです。
暴力に支配された状態では、考えることより従順に行動するほうが、はるかに簡単である(ハンナ・アーレント)
by blues_rock | 2014-01-29 00:29 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
映画「ハンナ・アーレント」が、中高年層に好評です。
私は、先週末福岡市天神のKBCシネマで見ましたが、精神を強靭(きょうじん)にしてくれる秀作映画ですので、ぜひ一人でも多くの人にご覧いただきたいと思います。
ハンナ・アーレント(1906~1975没、享年69才)は、ドイツ生まれのユダヤ人でナチスの迫害でドイツを脱出、アメリカに亡命しアメリカを代表する哲学者・社会思想家となった女性です。
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「ハンナ・アーレント」は、ドイツ・ルクセンブルグ・フランス共同製作の映画で、主人公ハンナ・アーレントを演じたバルバラ・スコヴァ(1950~)は言うに及ばず、監督・脚本のマルガレーテ・フォン・トロッタ(1942~)さらに脚本・プロデューサー・撮影監督・編集とこの映画製作の主要な役割のほとんどを女性が行なっています。
ドイツの女優バルバラ・スコヴァが、演じるハンナ・アーレントの存在感は、正にハンナ・アーレントその人ではないかと思えるくらいレアリティがあり、マルガレーテ・フォン・トロッタ監督の演出も、ニュー・ジャーマン・シネマの
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旗手として培ったキレの良いクールな演出で見事なものでした。
映画は、ナチスの将校で600万人ともいわれるユダヤ人虐殺を指揮した戦争犯罪人アイヒマンが、逃亡先のアルゼンチンでイスラエルの諜報機関モサドに逮捕、拉致されるところから始まります。
ハンナ・アーレント自身もドイツ系ユダヤ人でありナチスから迫害を受け、ユダヤ人強制収容所での虐殺を逃れ、辛うじてドイツを脱出、アメリカに亡命しました。
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アメリカの大学で哲学・思想を学び、アメリカを代表する哲学者・社会思想家であるハンナは、‘ザ・ニューヨーカー誌’から要請され、イスラエルで開かれるアイヒマンの戦争犯罪裁判を傍聴、そのレポート記事を書くことになりました。
彼女自身もユダヤ人強制収容所での悲惨な過去を経験しているので、夫や友人たちは、皆反対しますが、ハンナは、哲学者として悪魔の仕業としか思えないホロコースト(大量虐殺)を行なったアイヒマンの生の姿を観察し
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たいと考えました。
私が、映画を見て感じたハンナ・アーレントの頭脳の明晰さ、聡明さは、「人間のリアリティを‘大量虐殺を犯したナチスの将校もまた私たち自身のように人間’であったということだ。つまり悪夢は、人間が‘何をなすことができるか’ということを彼ら(ナチス)が、疑いなく証明したということである。言いかえれば“悪の問題”は、ナチスの犯罪を体験した戦後ヨーロッパの知的生活の根本問題となるだろう。」と明解に指摘したことにあります。
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哲学者、思想家としてのハンナ・アーレントは、「なぜ人間に、あのような行為が、可能であったのか?」という深刻な衝撃と問題意識から彼女は生涯、「政治現象としての全体主義」の分析と‘その巨悪を多くの人びとが、積極的に担った’原因について考え続けました。
ユダヤ人虐殺を行なったナチス将校アイヒマンを絶対権力者(ヒトラー)の言われるまま思考停止して行なった‘凡庸な悪’と定義、そして何も考えずに実行する‘悪の凡庸さ’こそ【究極の悪】であると定義づけました。
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ハンナの胸にわだかまる悲嘆と不可避の現実認識は、起こってはならないことが、起こってしまった現実と正しく対峙し考え抜くことでした。(公式サイトこちら 後編に続く)
by blues_rock | 2014-01-28 00:28 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
a0212807_20352486.jpgアンナ・アーレント(こちらに掲載)は、悪を「根源的な悪と凡庸な悪」と明確に区別し‘凡庸な悪’こそ【究極の悪】であると定義づけました。
その‘凡庸な悪’の一つ中国の裁判所が、厳戒態勢のもと中国の良心ともいえる法学者の許志永氏(40)に懲役4年の実刑判決を言い渡しました。
法学者許志永氏は、中国憲法を認め、平和的な手段で普通の民主活動を行ない、少しずつ現在の社会を変革していこうという「新公民運動」を2009年から主導していました。
許志永氏は、中国共産党とその指導下にある共産党の一党独裁政権(中国政府)を否定せず、集会もレストランに集まり食事をするだけ、言論活動もメール交換するわけでもなく現在の法律に従い、普通の人権(市民の権利)を求めただけでした。
それも出稼ぎ労働者子弟が、教育を受ける権利を守る「教育の機会均等」、中国共産党トップと政府首脳ほか高級官僚たちが所有する「資産公開」を求める‘横断幕を掲げたデモ’を行なったことが、公共秩序騒乱罪に当たると(‥ならば、あの反日デモで発生した建物破壊・器物破損・略奪行為を公安警察が、公共秩序騒乱罪で取り締まらなかったのは、なぜ? やはり共産党中央a0212807_20393814.jpg政治局の命令でしたね)新公民運動グループ10数人を2013年7月に逮捕しました。
同グループの一人企業家王功権氏は、罪を認め反省しましたので保釈されましたが、法学者の許志永氏は、裁判の手続き自体公正でないと6時間の法廷で黙秘、裁判の最後に中国憲法に基づき法律の専門家として新公民運動の‘自由と公益’を説明しようとしましたが、‘凡庸な悪’である裁判官は、即時閉廷にしました。
中国の歴史は、どの王朝(政権)も‘内部の汚職’と‘外部の侵入’で滅亡したと教えています。
その歴史の教える‘内部の汚職’がすでに蔓延し、昔異民族の侵入で滅びた中国もいまやインターネットによるa0212807_20432762.jpg情報の侵入で滅亡する予兆を見せています。
中国14億の一般人民が、経済と賃金格差と住環境悪化と水汚染など共産党一党支配(独裁特権で恩恵を受けるのは1~2割程度)に不満を募らせています。
そんな中、何かあるといつものことながら、中国人民解放軍の将軍が、日本を火の海にするなどトンチンカンな勇ましいことを叫んでいます。
日本では、昔から臆病者を「幽霊を怖いと思う枯れ尾花(すすきの穂のこと)」とか、水鳥の羽音に驚いて自滅した平家の軍勢に例えますが、私はどうやら中華人民共和国も終わりが始まったように思えてなりません。(私の意見 こちら
1月24日の日経新聞朝刊国際面にイギリス・フィナンシャル・タイムズ記事の紹介として中国共産党による政府幹部・高級官僚の汚職追放運動パフォーマンスが、掲載されていました。
職権乱用による汚職の氾濫に手を焼く中国共産党は、一罰百戎の見せしめとして政府幹部数十名と官僚18万人を逮捕しましたが、共産党首脳や政府要職幹部、高級官僚の資産公開を拒否しています。
すでに主要政治家と軍人の12家族が、イギリス領バーシン諸島に資産を移している事実や中国2万1千世帯がa0212807_20442377.jpgカリブ海にあるケイマン島など税金回避地に口座を設定していることを伝えていました。
‘内部の汚職’につくづく嫌気が差している‘中国人民の堪忍袋の緒’もそう遠くないうちにプツリと切れることでしょう。
(右写真:中国の良心~許志永北京大学院法学博士を審問する裁判所の前で厳戒態勢をとる中国公安警察)
by blues_rock | 2014-01-27 00:27 | 経済/政治/世界 | Comments(0)
オーストラリア映画の「シャイン」は、同国の舞台俳優ジェフリー・ラッシュ(1951~)を一躍有名にした1996年映画で、ドキュメンタリーなど短編映画を撮っていたスコット・ヒックス監督(1953~)の長編デビュー作品です。
「シャイン」は、実在するオーストラリアの天才ピアニスト、デイヴィッド・ヘルフゴット(1947~)の伝記的映画で
デイヴィッド・ヘルフゴットを演じたジェフリー・ラッシュは、アカデミー賞主演男優賞を受賞しました。
a0212807_23581572.jpgジェフリー・ラッシュは、ロンドンとパリの演劇学校で演出と演技を学び、オーストラリアの舞台で鍛えた彼の演技は、実に幅広く、コメディからシリアスな役柄まで正に変幻自在に演じ分け、ロバート・デ・ニーノとその徹底した役作りで比較されることがあります。
「パイレーツ・オブ・カリビアン」(2003)シリーズでジェフリー・ラッシュは、海賊ジャック・スパロウに付かず離れずの片脚義足の海賊船長ヘクター・バルボッサを演じ彼しかできない海賊バルボッサ船長にしました。
2010年「英国王のスピーチ」(こちら)、2013年「鑑定士と顔のない依頼人」(こちら)のどちらも名優ジェフリー・ラッシュの存在があってこそ成り立つ映画でした。
映画「シャイン」の主人公デイヴィッドは、実在の天才ピアニスト、デイヴィッド・ヘルフゴットがモデルです。
メルボルンのユダヤ人家庭に生まれたデイヴィッドは、音楽を愛する厳格な父親のもとでピアニストになるべくa0212807_053452.jpg英才教育を受けていました。
ピアノの天才少年デイヴィッドの評判を知ったアメリカのユダヤ人福祉団体が、アメリカの高等音楽学校で英才教育を受けさせようと彼に提案しますが、息子を手放したくない父親のピーターは、拒否しました。
デイヴィッドの秀でた才能を惜しみ、その可能性を伸ばそうとピアノの教師ほか回りの人たちは、デイヴィッドをロンドンの王立音楽院への留学させる計画を立てました。
一人息子のデイヴィッドを自分の元で育てたい父ピーターは、息子の留学に猛反対しますが、デイヴィッドは、a0212807_074146.jpg初めて父親に反抗し家出してロンドンに向かいました。
ロンドンの王立音楽院でピアノのレッスンに明け暮れるデイヴィッドの演奏技術は、めきめき上達していきました。
ある日、デイヴィッドは、コンクールに“ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番”を弾きたいと音楽院に提案しますが、彼の教授は、「ラフマニノフを弾く強靭な精神がまだできていない君には危険だ」と止めるよう指導しました。
ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番は、演奏する者に課せられる超絶技巧と同時に高度の音楽的な能力が求められプロの一流演奏家にも難しい曲でした。
a0212807_08154.jpgそれでもデイヴィッドは、ラフマニノフに挑戦、コンクールで見事に弾き終えたもののその場に倒れました。
デイヴィッドは、精神に異常をきたすようになり統合失調症と診断されました。
オーストラリアへ帰りパースの精神病施設で10年余りを暮らしながら、少しずつピアノを弾き始めました。
施設を出たデイヴィッドが、雨の夜、偶然通った街角のパプにピアノを見つけると中に入り、いきなりピアノを弾き始めました。
パブに居合わせた人たちは、彼の演奏テクニックにビックリ仰天しました。
映画「シャイン」は、冒頭このシーンから始まります。
a0212807_09989.pngデイヴィッド・ヘルフゴットは、この後次第にオーストラリアで再評価され演奏活動を行ない、国際的なピアニストとして活躍しました。
息子を愛しながらもユダヤ人への迫害を恐れ息子を手放そうとしない父親を演じたドイツの名優アーミン・ミューラー=スタール(1930~)が、心の複雑な感情を抱えるすばらしい演技でした。
映画の中でデイヴィッドが、ピアノを演奏するシーン‥鍵盤を指が跳ね撫でるように動きまわる手のシーンは、ヘルフゴット自身にピアノを弾いてもらい、彼の躍動する手と指の動きをヒックス監督は撮っています。
by blues_rock | 2014-01-26 00:06 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
クリスチャン・ベール(1974~)は、イギリスを代表する俳優で今年40才になります。
1987年13才の時「太陽の帝国」で長編映画にデビュー、以来27年に及ぶ映画俳優のキャリアで今や世界的な名優になりました。
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アル・パチーノ(こちら)、ロバート・デ・ニーノ(「1900」・「ゴッドファーザー2」・「レイジング・ブル」・「容疑者」)、ダニエル・デイ・ルイス(「存在の耐えられない軽さ」・「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」・「リンカーン」)に並ぶ映画俳優としての才能と実力を持ち次世代を担う俳優の一人は、間違いなくクリスチャン・ベールと私は思います。
a0212807_23382177.jpg私が見たクリスチャン・ベールの映画は、1987年「太陽の帝国」、1998年「ベルベット・ゴールドマイン」、2000年「アメリカン・サイコ」、2004年「マシニスト」、2005年「バットマン ビギンズ」、2007年「アイム・ノット・ゼア」、2007年「3時10分、決断のとき」、2008年「ダークナイト」、2009年「ターミネーター4」、2010年「ザ・ファイター」(アカデミー助演男優賞受賞)、2012年「ダークナイト ライジング」‥2014年1月31日日本公開の「アメリカン・ハッスル」では、クリスチャン・ベールが、でっぷり太った天才詐欺師を演じるとか、大いに楽しみにしています。
右写真:クリスチャン・ベールが‘デ・ニーノ’アプローチを行ない、前髪を薄くし下腹部に脂肪をつけ、でっぷり太った天才詐欺師を演じます。
「マシニスト」でガリガリに痩せ、「アメリカン・ハッスル」でデブデフに肥るクリスチャン・ベールの役者魂に心から敬意を表します。
by blues_rock | 2014-01-25 00:25 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
a0212807_22234644.jpgイギリスの異才トッド・ヘインズ監督(1961~)が、2007年作品「アイム・ノット・ゼア」で6人の俳優に‘ボブ・ディラン’を演じさせるという奇想天外な秀作映画を撮りました。
この映画は、ヴェネツィア国際映画祭で審査員特別賞、ケイト・ブランシェット(1969~)の演じた‘ボブ・ディラン’がなかなか秀悦で、ケイト・ブランシェットも同映画祭で女優賞を受賞(男性を演じて女優賞受賞もおもしろい)しました。
クリスチャン・ベール(1974~)も‘ボブ・ディラン’を演じています。
「ベルベット・ゴールドマイン」は、トッド・ヘインズ監督1998年作品で明らかにグラムロック・ミュージシャン‘デビット・ボウイ’をモデルにした“アートロック系”の映画です。
映画のタイトル「ベルベット・ゴールドマイン」は、1975年にデビット・ボウイが、リリースしたシングル盤「スペース・オディティ」のB面収録曲に由来しています。
「ベルベット・ゴールドマイン」は、タイトルに使用されているだけで、それどころかこの映画にデビット・ボウイの曲は、一曲も使用されていません。
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一説によるとデビット・ボウイは、自分が映画の主人公ブライアン・スレイドのモデルであることを不愉快に思い、映画への一切の協力を拒んだためと伝えられています。
ヘインズ監督自身が、ゲイ(ホモセクシャルを公言)であるため、ゲイのラブ・シーンが、濃厚で長い(長く感じる)のもa0212807_2227622.jpgこの映画の特徴です。
映画の冒頭、アイルランドの詩人で文学者オスカー・ワイルド(1854~1900人生前半はヘテロ、後半はホモのバイセクシャル)の宝石が、映画の象徴として登場、映画のラストにもまた登場します。
デビット・ボウイそっくりのグラムロック・ミュージシャン、ブライアン・スレイドをアイルランドの俳優ジョナサン・リース・マイヤーズ(1977~)、イギー・ポップそっくりのパンクロック・ミュージシャン、カート・ワイルドをイギリスのa0212807_22301910.jpg俳優ユアン・マクレガー(1971~)、ブライアン・スレイドの事件と失踪の真相を追うニューヨーク・ヘラルド紙の記者アーサー・スチュワートをクリスチャン・ベール、ブライアン・スレイドの妻マンディ・スレイドをオーストラリアの女優トニー・コレット(1972~)が演じています。
映画は、人気絶頂のグラムロック・ミュージシャン、ブライアン・スレイドが、偽装殺人事件を非難され突然失踪してから10数年が経った1984年、ニューヨーク・ヘラルド紙の記者アーサーが、ブライアンを知る人びとを訪ねインa0212807_22321045.jpgタビューするうちにアーサー自身ブライアン・スレイドを信奉していた頃の封印していた自らの過去を回想していくというミステリアスな構成になっています。
映画に登場する主人公たちが、皆ゲイなので彼らのゲイ・ファツション(女装)も見どころ‥「ベルベット・ゴールドマイン」は、カンヌ国際映画祭で芸術貢献賞受賞、イギリスのアカデミー賞では、衣装デザイン賞を受賞しています。
オスカー・ワイルドは、「ウワサになるより悪いのは、ウワサされないことである」と言っています。
by blues_rock | 2014-01-24 00:24 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
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スティーヴン・キング(1947~)のスリラー小説「ミザリー」(こちら)が映画化されて5年後の1995年、スティーヴン・キングのミステリー小説「ドロレス・クレイボーン」をテイラー・ハックフォード監督(こちら)・製作、トニー・ギルロイ脚本(1956~、「ボーン・シリーズ」全4作品の脚本、2012年作品「ボーン・レガシー」(こちら)では監督・脚本)の名コンビで、極上のミステリーサスペンス映画「黙秘」(原題:ドロレス・クレイボーン)にしました。
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主演は、過去の一切に口を閉ざす気丈な母親ドロレスにキャシー・ベイツ(1948~)と母ドロレスの深い愛情を知りながら母に反発、家を出てニューヨークで一人暮らす娘セリーナをジェニファー・ジェイソン・リー(1962~、TVドラマ「コンバット」のサンダース軍曹役で有名なビック・モローの次女)の二人、この映画「黙秘」は、トニー・ギルロイの脚本、ハックフォード監督の演出、さらに母と娘お互いの‘心の葛藤’をストレートな感情でぶつけ合う母
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キャシー・ベイツと娘ジェニファー・ジェイソン・リーの名演技も見どころです。
ドロレスをDV虐待する夫ジョー役にデヴィッド・ストラザーン(1949~)、過去に泥酔したジョーが転落死した事件以来、ドロレスに付きまとうマッケイ警部をクリストファー・プラマー(1929~、2011年「ドラゴン・タトゥーの女」出演)など名優たちが、共演し脇を固めています。
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映画のストーリーを大筋で説明すると、アメリカのメイン州にある小さな島が舞台です。
その島で暮らす富豪の老未亡人の館に、偶然郵便配達に来た郵便局員が見たのは、階段の下で血だらけになって横たわる女主人と階段の上で伸し棒を手に呆然と立ち尽くす家政婦ドロレスの姿でした。
無実を主張しながらも事件の詳細には、黙秘を通すドロレスでした。
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ドロレスには20年前、夫殺しの容疑で不起訴になった過去がありました。
事件を知り数年ぶりに帰郷した娘セリーナにもドロレスは、堅く口を閉ざしました。
さすがスティーヴン・キング! 主人公のドロレスとセリーナほか登場する人物の心理描写が深く細やかです。
映画の中で見る者に次第に登場人物たちの謎が解き明かされていきます。
a0212807_14362293.jpg少しずつ浮かび上がってくるドロレスの女主人と夫の転落死の背景と真相が、丁寧に撮られ、そこらの陳腐なミステリーサスペンス映画とは、格段の差を感じました。
主人公ドロレスを演じたキャシー・ベイツは、ミザリーを彷彿とさせる迫真の演技を披露、原作者スティーヴン・キング自身もキャシー・ベイツ=ドロレスを想定して執筆したそうです。
by blues_rock | 2014-01-23 00:20 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)