ブログトップ | ログイン

心の時空

yansue.exblog.jp

a day in my life

<   2011年 08月 ( 32 )   > この月の画像一覧

今年も夏の強い日差しが、出穂(しゅつすい)した田んぼを照らし、トンボの群れが飛び交い森からはカナカナの鳴き声が聴こえています。
昨年の春、私の働くデイサービス施設の「絵の時間」に軽度の認知症ながら、いつも感動する絵を描かれる女性の高齢者の方がおられました。
a0212807_1501368.jpg
一人暮らしの自宅で転倒し、腰を打ち亀裂骨折で入院され治療とリハビリのために、半年余り施設の利用を休まれました。
その間の日常生活の変化で、アルツハイマー認知症の症状が、かなり進行してしまいました。
本来なら日常生活すべてに介助が必要になると特別養護老人ホームに入所することになります。
しかし、家族の強い希望で、いままでとおり自宅介護を続けたいと昼間はデイサービス施設に復帰され、ほとんど毎日通所されていました。
認知症になると雪原にたった一人でいるような孤独と恐怖を覚えるのだとか、自分が何者なのか?ここはどこなのか?どこで何をしてきたのか?回りにいる人たちは、どこのダレなのか?「思い出せない記憶」への不安で苛立ち、情緒不安定になるのだそうです。
a0212807_1505372.jpg
この方は認知症を発症されるまで著名な書道家でした。
彼女のケアマネージャーに同行して、この方の自宅を訪ねたことがあります。
彼女の友人である建築家の方が、ぜひ設計させてほしいと希望されてできた家なので機能的で快適な住居でした。
壁に彼女の見事な「書」が掛かり、部屋は趣味のよい調度品や骨董の陶器類が整然と置かれていました。
退院された昨年の夏に施設に復帰され、久しぶりにお会いしました。
介護員が両手を引いてあげると自立歩行されますが、表情も硬くうつろな目で辺りを眺めておられました。
私が「○○さん、おはようございます。お久しぶりです。お元気そうですね。」と挨拶すると、じっと私の顔を見られ「‥ごめんね、顔は憶えているのだけれど、お名前が‥ごめんね。」と俯かれました。a0212807_1515223.jpg
その日の「絵の時間」に、この方が好きなゴッホの絵を大型TV画面に映し、ゴッホの絵の話をしました。
ゴッホの絵を食い入るようにじっと見入っておられました。
私に伝えたいことがあるのか「ワタシ‥アタマが‥もやもやして、言いたいことが憶い出せないの。」とお詫びされるので背中をゆっくり撫でながら「憶い出したら聞かせてください。」と応えました。
この方が何かに感動したときに見せられる笑顔や表情は、初めてお会いした頃のままでアルツハイマー認知症にあっても、この方の人柄や品性を感じました。
昨年秋ついに入院され、今年の初めに亡くなられました。
認知症という病気の症状は千差万別ながら、晩年にアルツハイマー認知症を患われたこの女性から、ご自分の人生で培われた品性と高齢者の尊厳とは何かをしっかり教えていただきました。
by blues_rock | 2011-08-31 01:51 | 高齢者介護(認知症) | Comments(0)
毎週火曜日の午後は、デイサービス介護施設のプログラムで恒例の絵画教室です。
大正・昭和の激動の時代を経て、齢(よわい)八十・九十の高齢者となって初めて絵を描く方も多く、自由な気持ちで「自分の絵」を描かれる方が、ほとんどです。
鉛筆・木炭・水彩・クレヨン・クレパスなどでA4サイズの画用紙に、無我夢中でゴシゴシ・サラサラ‥独り言をなにやらブツブツと言いながら、一心不乱に静物・四季の花・風景(窓から見える庭や田んぼ)などを描いたり、時にカガミを見て‥大笑い・テレ笑いしながら自画像を描いたり、と子供のように無邪気な“火曜画家たち”です。
a0212807_17303139.jpg
私も絵が好きで、子供のころから現在(いま)に至るまで国内外の美術館で泰西名画・日本画の傑作を見てきましたが、なかなかどうして‥ゴッホ・マチスのようだとは、申しませんが、高齢者の皆様方の描かれた絵に、私は素直に感動しています。
a0212807_1731181.jpg
皆様方の絵を見ていたら、人間はいつまでも伸びていく才能があるということを発見しました。
このところくたびれ果て、怠惰な暮らしに慣れグータラしていた私の心の刺激となりました。
下の絵は、今年93歳になられた女性の方の絵です。
みずみずしい感性のいい絵です。
a0212807_17312920.jpg
火曜日の絵画教室の後は、3時のお茶の時間とあわせ“みんなで合評会”を開催します。
皆様方どなたも素直に耳を傾けられます。
お名前を呼んで「いい絵が描けましたねえ」「いいなぁ、すばらしい」と褒めても「ふうん、これ私の絵!?」とか「私が描いたの?ほんと?!」と切り返され、全員でワハハハッと大笑いです。
個性ある老アーチストたちの次の絵が、楽しみです。
by blues_rock | 2011-08-30 21:04 | 高齢者介護(認知症) | Comments(0)
先日、さる地銀支店の融資担当氏が、私を訪ねて来ました。
お茶を飲みながら歓談していると、融資担当氏がポツリと「こんな片田舎にも今の‘円高ドル安’の影響があります。お客様から‥アメリカから里帰り中の娘さんが、アメリカに戻るので当支店にあるドルを全部買いたいとの注文がありました。アメリカでは、こんなドル安円高が続くはずはないと思われているらしく、昨今の歴史的な円高に迷わず購入希望されたようです。」と笑いながら話していました。
政権を担う民主党内の新首相選出に伴うゴタゴタや財務省と日本銀行の金融政策に対して外国人投機筋が、ドル売り/円買いを仕掛けて、日本経済と金融市場に揺さぶりをかけているように思います。
1971年までの1ドル360円を知る私には、1ドル75円は当時に比べ4.8倍なので相当の円高に感じます。a0212807_12512100.png
円高は、本来国民経済繁栄(国力)の象徴ですが、内需(国内消費)の低迷でデフレ経済が続く日本では、経済のさらなる逆風となり、輸出企業(製造業)を苦しめ、製造企業の海外移転に拍車がかかります。
そして国内の失業者が増加‥消費(内需)の減退‥さらにデフレ経済が深刻化し、負のスパイラルは日本国民を苦しめます。
世界に氾濫するドル紙幣を投げ売って日本円を買う・・ジリジリあがる円の独歩高、ジリジリ売り込まれる日本企業の株(東京証券市場の70%は外国人なので彼らの思うまま)も、ついに8千円台半ばまで下落しました。、
有象無象のサギ証券会社の自称アナリストらを使った売り煽りで、個人投資家に投売りさせ底値で買占め、投機筋(シテ筋)が買い煽り株価高騰したところで売り抜けようとの魂胆見え見えです。
財務省が、数10兆円もの円買い資金を日本銀行から調達し、国内外にバラまきましたがお金は銀行に集められ、赤字国債の購入にあてられ‥国民の実体経済にお金(血)は流れておりません。
日本銀行が、いくら金利を0%にしても、消費者(国民)は日本のデフレ経済=低成長が続くかぎり、フトコロのお金を使おうとはしないでしょう。
今後さらに、物価・株価・地価が下がるのをジッと待ち続けます。
お金は銀行の普通預金か、郵便局の定期貯金あるいはタンスに現金を入れたまま消費しようとは思わないでしょう。
a0212807_1261595.jpg低能な国会議員たちに山里の凡人からのアドバイス・・少しインフレになるくらいの景気刺激経済政策を即時実践することです。
1.スーパーのチラシと一緒です。
今日148円のペットボトルのお茶が、3日後128円になるなら我慢して3日後に買いますが、3日後168円になるかもしれないと思ったら、今日迷わず何本も買うのと同じ心理です。
2.税金(国家予算)の‘バラまき’ はダメです。
衆愚な選挙民を撹乱させるため、利権政治家が思いつくワル知恵です。
お金は経済の血液‥輸血するのに貴重な血液をバラまくアホウな議員たちは、国会から追放いたしましょう。
税金のことを血税と呼ぶのを、鈍感な彼らは知りません。
3.雇用まず雇用・・仕事があり賃金(という現金)が得られれば、消費は必ず拡大されます。
雇用とにかく雇用・・働ける職場があり同僚(仲間)と話す機会が増えれば、犯罪の抑止力にもなります。
失業(無職)・ヒマ・孤独が、犯罪の温床であることは明白です。
a0212807_1211121.jpg4.国会議員・地方議員・公務員を半数に減らし、仕事を民間の雇用対策へ、かつ役所の許認可制度の権益・利権も半分に縮小し「なんでも規制緩和」法を成立させましょう。
規制つまりルールを緩和するとルール違反者が増えると、議員・役人はいつも自己保身の言いわけしますが、「自己責任の原則」を徹底してルール違反した者には、厳しいペナルティを課すような「規制緩和に伴うルール違反罰則強化法」を即刻法制化しましょう。
5.正直者がバカを見るような社会や国に未来はありません。
額に汗してコツコツ働いた人が、高齢者になった時に「和かに・寛いで・安らぎ・穏かな」老後の暮らしができるような地域社会・国にしましょう。
山里での‘円高ドル安’の話が、ワキ道にそれてしまいました。
為替の話に終わりはありませんが、私個人のシロウト意見は・・1ドル=1円(100円をデノミし新1円にする)=1ユーロ=1元あたりが、良いように思います。
その時が来たら、世界の通貨を統一し“アース”(earth=地球)と呼びましょう。
これが本当のグローバル・スタンダード(世界標準)ではないでしょうか。
by blues_rock | 2011-08-29 19:20 | 経済/政治/世界 | Comments(0)
次の日本の首相を決める民主党代表選挙が賑わっています。
自民党末期の日替わり定食のような首相たちもお粗末でしたが、民主党政権になってからの2人の首相もやはりお粗末さに変わりありませんでした。
政府もまるで町内の食堂が居ぬきで変わり、看板だけが新しい大衆食堂のようでした。
隣りのスーパー(国会)から仕入れた材料(国会議員)で、在り来たりのメニュー(内閣)を並べても、料理(政治)のできない大衆食堂のコック長(首相)では、お客(納税者)に食欲の湧く美味しそうな料理を提供できるはずもありません。
不味い定食を食べさせられ、請求金額(税金)を聞いてビックリ!カネ返せ!ドロボー!とテーブルをひっくり返したくなるのが選挙民です。
私が政治に求めるマニュフェストは、次のとおりです。a0212807_103561.jpg
私は、このマニュフェストにもっとも近い候補者に投票し、家族・友人・知人にも投票を呼びかけるようにしています。
まず、分かりやすく「増税の前にやるべきことがあるだろう。国民・市民に負担を求める前に、まず国会議員・県・市議会議員や官僚・公務員が身を切るべきだ。隗(かい)より始めよ。」と主張し一票一揆の投票を呼びかけたいと思います。
          ◇
◆私が政治に求めるマニュフェスト
1. 国会議員の数(722名)を大幅削減し、給与をカットする
 ・衆議院議員は300人(180減)・参議院議員は100人(142減)、参議院には都道府県知事など地方を代
  表する議席枠を創設する
 ・国会議員給与3割・ボーナス5割カットを即時実施する
 ・議員特権を廃止する
2.国と地方の公務員人件費削減を実現する(公務員の数を削減・給与をカットする)
 ・国家公務員を10万人削減する(道州制導入と地方出先機関の廃止など、現在31万人)
 ・公務員に労働基本権を与え代わりに身分保障をはずし民間並みのリストラを実施、公務員給与を2割カッ
  ト、ボーナスを3割カット、幹部職員は即時実施する
a0212807_0544780.jpg
3.外国人参政権に反対
 ・地域主権型道州制により飛躍的に地方自治体の位置づけが高まるという観点からも外国人参政権の付与
  には反対、参政権を行使するためには国籍を取得すべき
4.死刑制度の存続
5.TPP参加
6.憲法の存続(ただし第9条の1と2を修正する)
 ・(私案ながら)第9条の1と2に「新たに3と4の修正条項を加える」ことで、他国との軍事同盟を解消し国民
  主権の憲法のもと真の独立国家になる。
  「3.国土を侵略し、国民の生命と財産を脅かす国ならびに勢力に対しては、正当な自己防衛のための自
   衛権を行使する。」・「4.自衛権の行使には自衛隊を以ってこれに当たる。」と条文に加え国会の審議と
   2/3の賛成で決定すれば良いことで、他の条項は変える必要がありません。
 ・参考‥核爆弾を投下された日本人永遠の記憶(後編)

by blues_rock | 2011-08-28 21:54 | 経済/政治/世界 | Comments(0)
現在博多のKBCシネマで上映中のデンマーク映画です。
スサンネ・ビア監督(1960~51才)の最新作(制作デンマーク=スウェーデン)で、スサンネ・ビア監督作品を見るのは、これが初めてですが、相当の才能と思いました。
スサンネ・ビア監督といい「海洋天堂」のシュエ・シャオルー監督といい、このところ映画の世界に女性のすぐれた才能を発見します。
デンマーク上映の映画ポスターには「復讐」というタイトルになっています。
a0212807_10595211.jpg
英語のポスターでは「In a Better World(より良い世界の中で)」とあり、日本語のタイトル(邦題)では「未来を生きる君たちへ」と訳されています。
それぞれの言語圏におけるこの映画のタイトルにも社会性、文化レベルが表れていて興味深いと思いました。
この映画は、原題のとおり怒りや憎しみから来る「復讐」がメインテーマながら同時にその対極にある怒りや憎しみを「赦(ゆる)す勇気」もメッセージとして送られています。
人間本来のダークサイドである暴力や憎しみが、無知・貧困・偏狂・傲慢・臆病に満ちた社会や世界で集団の間で疫病のように伝染していくと憎悪からくる暴力という負のエネルギーが暴走していきます。
映画「未来を生きる君たちへ」は、デンマークの地域社会とアフリカの紛争地帯(難民キャンプ)が、物語の舞台となります。
a0212807_1104549.jpg
母を病気で亡くした転校生の少年クリスチャン(写真右)と学校でイジメに遭っている少年エリアス(写真中央右)の出会いが、次第に事件を誘発し、彼らを「復讐」の深淵に追いやっていきます。
人間が予測できない事態・事件に直面した時、映画の登場人物たち‥子供も大人も個々の本性を露わにしていきました。
スサンネ・ビア監督は、それをリアルに撮ることで、この映画を見る側の本性にも迫っていきます。
今年のアカデミー賞とゴールデン・グローブ賞で「最優秀外国語映画賞」を受賞したのが納得できる秀作でした。
私は、この映画「復讐(原題)」を見て「人の弱さを克服できるのは、希望を信じることのできる人の心だけだ」というスサンネ・ビア監督のメッセージを確かに受け取りました。
by blues_rock | 2011-08-27 00:47 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
a0212807_238548.jpgアメリカのどこかのヘンなキリスト教会が、イスラム教の聖典であるコーランを焼き捨てると予告したらアラブのどこかのヘンな国の大勢のイスラム教徒たちが、ハザード(聖戦)と叫びながらアメリカへのテロ攻撃を訴えていました。
これにはオバマ大統領も大慌てで、宗教の自由を保障するアメリカ政府の立場を世界に向けアピールしました。
わが国では、昔から信仰は「イワシの頭も信心」と教えてきました。
イワシの頭であろうと、石の塊であろうと信じる者が安堵し救われるのなら、それはそれで崇(あが)めれば良いと思います。
宗教は人間の魂に解放と自由を与え、心に愛を慈しむ救済行為であると私は考えています。
いかなる宗教集団であれ、その教団の教義や布教の行為に「排他・排斥」、「偏狭・偏見」、「愚劣・欺瞞」、「束縛・収奪」、「強制・暴力」などがあれば、私はその宗教と教団を断固否定します。
「神・仏」を信仰する人ならなおのこと、いかなる宗教・宗派の人であっても他者に対して慈愛に満ちた心を持っているのが当然と考えます。
ワシントン発ニュースとしてCNNが、イギリスの有名な宇宙物理学者スティーヴン.ホーキング博士へのインタヴューで、博士は「宇宙は科学で説明できる。宇宙を読み解くのに神は必要ない。」と自論を主張したと記事にしていました。
a0212807_2384086.jpg
これに対しヨーロッパやアメリカのキリスト教指導者たちが「神がすべての創造主である。」と反発しているとか‥ホーキング博士は、アメリカの物理学者との共著「ザ・グランド・デザイン」でも、宇宙誕生の起源と言われる大爆発「ビックバン」についても述べ‥「神に点火してもらう必要はない。」と明晰に説明しています。
a0212807_2392942.jpg
ガリレオを弾圧し、彼の地動説を400年も経ってしぶしぶ認めたカトリック教会、ダーウィンの生物進化論を認めないキリスト教原理教団、若者の自爆テロを煽る宗教などこの世の非科学的宗教戦争は果てしなく続きます。
「信じる者は救われん」と言いますが、あなたは科学と非科学のどちらを信じますか?
a0212807_2401164.jpg
宇宙は森羅万象‥自然界には、八百万(やおよろず)の神々が宿る倭(やまと)の片田舎で暮らす衆生の私ですが、宇宙の真理を科学的に、そして凡人に分かりやすく語ってくれるS.ホーキング博士を信じます。
「人生は、できることに集中することであり、 できないことを悔やむことではない。」(スティーヴン・ホーキング)
by blues_rock | 2011-08-26 22:52 | 社会/歴史/思想 | Comments(0)
この夏上映の映画「一枚のハガキ」は、新藤兼人監督(1912~、99才)の渾身の作品と思います。
出演した名優陣の中でも、二人の夫(兄弟)に戦死された寡婦を大竹しのぶが名演しています。
a0212807_17422350.jpg
私が、最後に新藤兼人監督作品を見たのは1992年の「濹東綺譚(ぼくとうきたん)」だったように記憶‥この映画で永井荷風を演じた津川雅彦を相手に、私娼屈の芸者を演じた墨田ユキの姿態が美しく、今でもきれいな体の印象が残っています。
a0212807_17431736.jpgさて、新藤監督の新作映画「一枚のハガキ」のストーリーは、運の悪い不幸な寡婦(大竹しのぶ)の人生を中心に、最初の夫(兄)から彼女に宛てた「一枚のハガキ」通して、戦争の不条理と国家の理不尽さに巻き込まれた不運で不幸な人々を描いていきます。
戦争末期、敗戦の決断しかない戦況を大本営帝国陸軍本部は、壊滅していく前線から届く状況をひた隠し、ウソの情報を国民に流し騙(だま)し続けました。
それを信じた国民は、赤紙(召集令状)で次々に召集され‥勝ってくるぞと勇ましく、誓って國を出たからにゃ、手柄立てずに死なりょうかと行進し、天皇陛下、バンザイ、バンザイと叫び、老いた親や妻子に見送られながら御國のためにと戦地に向かいました。
どこの戦地へ行くかは、上官の引くクジで決まり、夫(兄)は運悪く、水・食料・武器もない悲惨なフィリピン戦線へ出征しますが、戦地へ向かう途中敵の攻撃を受け船もろ共にあえなく海に沈み戦死しました。
夫が戦死したため(白木の箱に遺骨はなく、英霊と書いた紙があるだけですが)老いた舅・姑のたっての願いで義弟と夫婦(めおと)となりますが、継夫となった義弟もすぐに召集され戦死しました。
届けられた継夫の白木の箱にも英霊と書いた紙が入っているだけでした。
a0212807_17442845.jpg
老いた舅は、怨念と憎悪を心中にしまい心臓発作で死亡、老いた姑は、自分たち家族を不幸のどん底に追い込んだ怨み・呪い・憎む相手も分からないまま嫁の足手まといになるまいと「運が悪い家ですまない」と書き残し首つり自殺をしました。
兄弟二人の夫に嫁ぎ、貧農で老いた夫の両親の暮らしを支え、理不尽な不幸の続く寡婦役の大竹しのぶが、実にすばらしいと思いました。
a0212807_17452252.jpg
この映画の脚本を書き、監督した99才の新藤兼人監督は、戦争への憎悪、怨念、拒否、戦争をする愚劣な国家権力への嫌悪と否定を自分の代わりに、映画に登場する主演者たちに、声を大にして叫ばしていました。
主演者たち共演者たち、いずれも名優ぞろいで映画を質の高いレアリズム溢れる反戦映画にしています。
by blues_rock | 2011-08-25 21:07 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
a0212807_0183930.jpgデイサービス施設に通所されている男性高齢者の方(86)とお話をする機会がありました。
昭和20年、鹿児島県知覧の特攻隊基地から特攻隊一員として出撃したものの足に銃弾を受け、特攻ならず生き残られたのだそうです。
「アタシゃ、そん時二十歳(はたち)ばい。今じゃけん、ほんなこつ言うばってん、アタシゃ、死にとうなかったばい。まだヨメサンももらわん若さで、死にとうなかったばい。飛行機に爆弾積んで、出撃したばってん銃撃され、足にタマ食らい生き残った。」と私に話されました。
7年前亡くなった私の父も、特攻隊予科練生として知覧にいましたので、そのことをお話しすると軽い認知症せいか、また同じことを繰り返し言われます。
知覧での体験を私の父は、終生話そうとしませんでした。
十代の終わりに味わったつらく苦しい体験を思い出したくなかったのだと思います。
この方も特攻基地「知覧」のことだけは、今でも決して忘れることのできない心の傷なのだろうと思います。a0212807_0191336.jpg
「そうですか‥、ご苦労なさったんですね。」と話を続けると「アタシゃ、86才になったばい、もうよか、はよ死にたか、トモダチゃも、みんな死んでしもうた、もう死んでもよか。」と言われます。
私は話を伺いながら「○○さん、そげなこつ言わんと。そげん急がんでもよかじゃなかですか、まだお元気です、もう少し先まで行きましょう、イヤでもお迎えが来っとですから‥今生きている皆に、お迎えが来っとですから、お迎えが来るまでゆっくりしましょう、楽しく生きていきましょう‥お迎えが来ても、外で待っとれと言いましょうよ。」と息子のような年齢の私が、人生の大先輩に小生意気なことを申しあげたら、ウンウンと頷きながら笑顔で応えてくださいました。
私は知覧の特攻平和会館を2度訪ねました
a0212807_0205856.jpg
「祖国のため」と二十歳(はたち)前後の優秀な若者たちが、飛行機に爆弾と片道分の燃料を積んで沖縄の海を目指して飛び立ちました。
決死の特別攻撃つまり今の自爆テロを、カミカゼと当時の日本国民は讃えました。
知覧の特攻平和会館に残された千数十名の若者たちの写真や手紙、遺品を見ていると涙が溢れてきます。
「私くしは、死にたくありませんでした。」の御魂の叫びが、心に響いてきます。
by blues_rock | 2011-08-24 20:21 | 高齢者介護(認知症) | Comments(0)
a0212807_1611078.jpg「本能」

どうして 歴史の上に 言葉が生まれたのか
太陽 酸素 海 風
もう充分だった筈でしょう

淋しいのはお互い様で
正しく舐め合う傷は誰も何も 咎められない
紐 解いて 生命に 擬う

気紛れを 許して
今更なんて思わずに急かしてよ
もっと中迄入って
あたしの衝動を 突き動かしてよ

全部どうでもいいと云っていたい様な月の灯
劣等感 カテゴライズ
そういうの 忘れてみましょう

終わりにはどうせ独りだし
此の際虚の真実を押し通して絶えてゆくのが良い
鋭い其の目線が 好き

約束は 要らないわ
果たされないことなど 大嫌いなの
ずっと繋がれて 居たいわ
朝が来ない窓辺を 求めているの
a0212807_1105180.jpgこれは二枚目のアルバム「勝訴ストリップ」(2000)に収録されている12曲目の「本能」で、椎名林檎の個性が良く表現されていると思います。
すばらしい歌詞で、心ウキウキする詩と思います。
椎名林檎を初めて聴いたのは13年前「歌舞伎町の女王」(1998)で、そのヴォーカルと歌詞が鮮烈(耳がビックリ)でした。
彼女のエロティシズムには、卑猥さや下品さがなく、性の表現に凛とした品性が感じられます。
新旧日本語の漢字・カタカナ・ひらがなの言語を縦横無尽に駆使し、詩人としての才能もあると思います。
ギターが上手く、ヴォーカルも際どいフレーズを巻き舌で歌われるとグッと官能的に聴こえます。
椎名林檎は、中学生の頃から福岡のライブハウスでバンド活動をしていました。
自分のバンドの他にも20以上のバンドに参加し、どの楽器パートもできていたそうです。
a0212807_16143562.jpg
玉石混合(ほとんどジャリ石ですが)のJポップシーンにあって、本物のロックの才媛と思います。
by blues_rock | 2011-08-24 00:46 | 音楽(Blues/Rock) | Comments(0)
夏の終わり頃、夕暮れ時に辺りの景色が、少し赤みを帯びて、まるで茜色のフィルターを通して見ているような時間があります。
a0212807_2271323.jpg
そんな時、森から聴こえるヒグラシの「カナカナカナ‥」と鳴く声には、どこか移ろう季節の哀感があります。a0212807_2274411.jpg
6、7年前の冬、カナカナの鳴き声が無性に聴きたくなり、ネット通販でカナカナの鳴き声CDを手に入れました。
いろいろな場所で採録したカナカナの鳴き声アルバムで、中には人の暮しの生活音が入っているものもあり、聴いていると真冬でも、夏が終わる季節の茜色に染まった夕暮れ時のせつない雰囲気が心の中に広がります。
無心になりたい時に取り出して聴くと、しばらく我を忘れさせてくれる貴重なCDの中の1枚です。
by blues_rock | 2011-08-23 22:07 | 柏原生活/博多叙景 | Comments(0)