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心の時空

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a day in my life

カテゴリ:詩/短歌/俳句/小説( 34 )

室町~戦国時代から安土桃山時代の乱世を得意とする歴史小説家山本兼一(1956~2014没、享年54歳)が、月刊誌「歴史街道」に連載した‘茶の湯’(侘び茶、草庵の茶)の完成者千利休の生涯を描いた小説です。
a0212807_17261328.jpgストーリーも1951年に利休が、天下人太閤秀吉の命で自刃(切腹)するまでの時代背景と利休に関わった歴史上の人びとと利休とのエピソードを交え、自刃するその日から時間を遡りながら利休像を描いていきます。
利休が、独自の美意識で‘茶の湯’(侘び茶、草庵の茶)を確立したのは、織田信長に茶頭として仕えていたころです。
本能寺の変で信長が、暗殺されると天下人となった豊臣秀吉の茶頭となり利休もまた天下の茶人になりました。
天下人となった秀吉は、茶の湯の弟子に名立たる諸大名、豪商を抱える茶頭の利休を自分の意のままにしようとしますが、利休の美意識と精神は、a0212807_17273513.jpg揺るぎありませんでした。
筆頭奉行の石田三成は、質素な草庵の茶(侘び茶)を否定、その茶頭として天下に多大な影響力を持つ利休の存在が、政治(まつりごと)に邪魔で、三成から入れ知恵された秀吉の逆鱗に触れ(秀吉の利休に対する劣等感と嫉妬心から)切腹を命じられました。  (上写真 : 利休のファム・ファタル‘高麗の娘’を演じた韓国女優のクララ)
a0212807_17522625.jpg利休が、死ぬまで肌身離さず持っていた‘高麗の緑釉小壺’のエピソードは、作家 山本兼一氏の創作だろうと推察、作者の美意識が、‘侘びの美’様式を確立した類稀な天才アート・プロデューサーとしての利休像に投影され強調されているように思います。
2013年映画「利休にたずねよ」は、原作のエピソードに副って割合忠実に撮られてはいるもののさほどのこともありません。
利休を描いた映画としては、勅使河原宏監督の脚本・演出で撮った「利休」が、格段に良く、三國連太郎演じるa0212807_17525997.jpg茶の湯を極めようとする利休の矜持あふれるふてぶてしさと山﨑努演じる天下人太閤秀吉のこざかしさ、いやらしさは、希代の名優二人の「静と動」が、すばらしく秀逸の極みです。

(写真上: 利休が長次郎に創らせた黒楽茶碗 銘「大黒」
同左: 李氏朝鮮時代の大井戸茶碗)
by blues_rock | 2016-07-01 00:01 | 詩/短歌/俳句/小説 | Comments(0)
       世の中に 絶えて桜の なかりせば   春の心は のどけからまし         在原 業平
花畑園芸公園2015年4月2日の桜です。
園芸公園の桜並木は、いま満開となり、大勢の人出で賑わっていました。
春の風に吹かれてハラハラ舞う桜の花びらの美しさは、私の心を妙に切なくセンチメンタルにさせます。
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       春風の 花を散らすと 見る夢は   覚めても胸の さわぐなりけり           西 行
福岡市南区郊外の山裾に並ぶ私の住まうマンション団地内の桜もいま満開で絶好の見ごろ、春爛漫の昼下がりに、私のほか花見の人影もなく、ひっそりとしていました。
大勢の花見客でごった返す桜並木も敬遠しますが、花見する人のいない‘桜の園’も不気味です。
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       世の中は  桜の花に  なりにけり              良 寛
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         さまざまの  こと思ひ出す  桜かな            芭 蕉
by blues_rock | 2015-04-03 00:03 | 詩/短歌/俳句/小説 | Comments(0)
a0212807_1474996.jpg日本経済新聞に「歌人中城ふみ子 恋と死」の記事が、シリーズで先々週から掲載されています。
中城ふみ子(1922~1954)は、戦後、彗星のごとく歌壇に顕われて31才でスゥーと逝った夭折の歌人です。
歌人中城ふみ子は、二十歳で結婚し子供4人を生み離婚、大病(乳癌)による死を前に妖変、旧弊な倫理観を一切排斥し、自らの内の声(恋と死)を絶叫する歌を詠みました。
病院に見舞いに来た男たちを病室のベッドで添い寝させたそうです。
病院からの非常識という忠告に「死を待つ者の最期のやすらぎを私から奪うのか」と抗議したと言います。
短歌編集者の中井英夫(1922~1993)は、全国誌「短歌研究」編集長時代、同じ年齢の無名歌人中城ふみ子の才能を高く評価、「短歌研究」に採り上げ、中城ふみ子短歌集「乳房喪失」(1954)を刊行しました。
「乳房喪失」のゲラ版が、中城ふみ子の元に届いたのは亡くなる1カ月前でした。
a0212807_17304012.jpg歌人中城ふみ子が、同志中井英夫に宛てた最期の手紙に「中井さん、来てください。きっといらしてください。その外のことなど歌だって何だってふみ子には必要でありません。お会いしたいのです。」と書かれていました。
中井英夫からの返事は、中城ふみ子が、亡くなる前の日に投かんされていました。
中城ふみ子臨終の言葉は、「死にたくない」だったそうです。

      陽にすきて 流ろふ雲は 春近し 噂の我は 「やすやすと堕つ」    

      音たかく 夜空に花火 うち開き われは隈なく 奪われてゐる

      枇杷の実を いくつか食べて かへりゆく きみもわが死の 外側にゐる
by blues_rock | 2014-07-21 00:06 | 詩/短歌/俳句/小説 | Comments(0)
a0212807_21355059.jpg2014年6月最後の夜です。
一会一期‥袖擦り合うも他生の縁、今夜拙ブログにお立ち寄りいただいた皆様方に小椋佳の「六月の雨」(こちら)を捧げます。
by blues_rock | 2014-06-30 00:01 | 詩/短歌/俳句/小説 | Comments(0)
          菜の花畠に、入日薄れ、
          見わたす山の端(は)、霞ふかし
          春風そよふく、空を見れば、
          夕月かかりて、にほひ淡し

          里わの火影(ほかげ)も、森の色も、
          田中の小路をたどる人も、
          蛙(かはづ)のなくねも、かねの音も、
          さながら霞める朧月夜
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九州ロマンチック街道(こちら)の‘菜の花畠’の写真を拝見したら「朧月夜」の歌が、私の全身を包み、菜の花の蜜を含んだ甘い香りが、春の風にのって辺りに漂い、忘れかけていた古里の遠い記憶が、私の心に鮮やかに蘇えりました。
by blues_rock | 2014-03-28 00:08 | 詩/短歌/俳句/小説 | Comments(1)
       それぞれに
           日々の暮らしや
                春はいく
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この句を詠んだ方は、88才の女性で要介護度3、認知症を患っておられます。
日常生活では、記憶障害が見られるだけで、感性も人柄も魅力的な方です。
ユーモアのセンスがあり、ときに辛口ジョーク(毒舌)も飛び出します。
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私の若い同僚スタッフ3人が、居宅支援専門員(ケア・マネージャー)試験にトライするも結果は全滅、それを聞いた件(くだん)の女性、励まし慰めるどころか「あんたら、ボンクラ3人組やね」とスタッフ3人に言われました。
彼ら3人は、顔を見合わせ苦笑い‥その1時間くらいあとスタッフの一人が「○○さん、ヒド~イ!私キズついた」とご本人に言うと「えーっ!? 私そんな失礼なこと言った?ごめん、ごめん」と笑顔で謝っておられました。
by blues_rock | 2014-03-18 00:18 | 詩/短歌/俳句/小説 | Comments(0)
a0212807_22221718.jpg私は、5年前に生まれて初めて人(高齢者介護施設のお客様)の前で詩の朗読をしました。
その詩が「手紙~親愛なる子供たちへ」というポルドガルの詩で詩人の名前は分かりません。
詩を朗読していると慈愛に満ちた言葉が、私の心を溶かしていきました。

   
         手紙~親愛なる子供たちへ
  年老いた私が ある日 今までの私と違っていたとしても
  どうかそのまま私のことを理解して欲しい
  私が服の上に食べ物をこぼしても 靴紐を結び忘れても
  あなたに色んな事を教えたように 見守って欲しい
  あなたと話す時 同じ話を何度も何度も 繰り返しても
  その結末をどうかさえぎらずに 聞いて欲しい
a0212807_22372727.jpg  あなたにせがまれて繰り返し読んだ絵本の暖かな結末は
  いつも同じでも私の心を平和にしてくれた
  悲しい事ではないんだ 消え去っていくように見える
  私の心へと 励ましのまなざしを向けて欲しい
  楽しいひとときに 私が思わず下着を濡らしてしまったり
  お風呂に入るのをいやがるときには思い出して欲しい
  あなたを追い回し 何度も着替えさせたり 様々な理由を
  つけていやがるあなたとお風呂に入った懐かしい日のことを
  悲しいことではないんだ 旅立ちの前の準備をしている私に
  祝福の祈りを捧げて欲しい
  いずれ足も弱り 飲み込むことさえ出来なるかも知れない
  足も衰えて立ち上がることすら出来なくなったなら
  あなたがか弱い足で立ち上がろうと私に助けを求めたように
  よろめく私に どうかあなたの手を握らせて欲しい
  私の姿を見て悲しんだり 自分が無力だと思わないで欲しい
  あなたを抱きしめる力がないのを知るのはつらい事だけど
  私を理解して支えてくれる心だけを持っていて欲しい
  きっとそれだけでそれだけで 私には勇気がわいてくるのです
  あなたの人生の始まりに私がしっかりと付き添ったように
  私の人生の終わりに少しだけ付き添って欲しい
  あなたが生まれてくれたことで私が受けた多くの喜びと
  あなたに対する変わらぬ愛を持って笑顔で答えたい
  私の子供たちへ
  愛する子供たちへ
by blues_rock | 2014-03-07 22:22 | 詩/短歌/俳句/小説 | Comments(0)
詩人小椋佳(1944~)が、1981年に発表したLPアルバム「いたずらに」に収録されていたB面2曲目の「恋、してしまうもの」くらい、‘恋というもの’の本質を表現しているこれ以上の詩を私は、他に知りません。
‥恋はするもの、されるもの、ながら、自分では、どうしようもなく「恋、してしまうもの」(こちら)です。
     
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     今年始めた 鉢植えの        出窓近くの 夕顔の
     一輪ごとの 白い花          閉じる季節の もの足りなさを
     逢ったばかりの あの人に       預けるだけで いいものを
     恋はするもの されるもの        いえいえ 恋はしてしまうもの
     何もしてない 時がふえたり     電車ひと駅 乗り過したり
     
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     もう何年も ひき出しの         奥に寝ていた ノートなの
     半分以上 白いまま          次の事件を 待っていたよう
     あなたのことを 書き始め       あなたのことが 書き切れず
     恋はするもの されるもの       いえいえ 恋はしてしまうもの
     壁の暦に しるしつけたり       電話鳴るたび鏡を見たり
     
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     なぜかあなたの ことだけは      のどにつかえて 石のよう
     とくに親しい 友だちに         華やぐ声で 話したいのに
     季節待ち切れず 咲くキンセンカ
     恋はするもの されるもの       いいえ してしまうもの
by blues_rock | 2013-11-07 23:44 | 詩/短歌/俳句/小説 | Comments(0)
詩人「石垣りん」の詩二編を9月13日の拙ブログ(こちら)に掲載しましたところ、先日から集中的に多くの反響をいただきました。
石垣りんは、ポピュラーな詩人とは思えないので、ネット上かドラマか何かで突然話題となったのかな、と頭を捻(ひね)っているところです。
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生涯、生活のための仕事をもちながら、詩を編み続けた詩人の詩は、何物にも媚びない毅然とした、つまらない社会の常識におもねない凛とした、品格が漂います。
             地方    詩 : 石垣 りん
          私のふるさとは
          地方、という所にあった。
          私の暮らしは
          首都の片隅にある。
          ふるさとの人は山に木を植えた。
          木は四十年も五十年もかかって
          やっと用材になった。
          成人してから自分で植えたのでは
          一生の間に合わない
          そういうものを植えて置いた。
          いつも次の世代のために
          短い命の申し送りのように。
          もし現在の私のちからの中に
          少しでも周囲の役に立つものがあるとすれば
          それは私の植えた苗ではない。
          ちいさな杉林
          ちいさな檜林。
          地方には
          自然と共に成り立つ生業があったけれど
          首都には売り買いの市場(いちば)があるばかり。
          市場(しじょう)ばかりが繁栄する。
          人間のふるさとは
          地方、という美しい所にあった。
昔、私がまだ農協(JAなどという欺瞞的な名前が私は嫌いです)に勤めている頃、全国の中山間地域で農業を営む農林業の方々(林業との兼業農家)に原木椎茸栽培の生産振興を促進する仕事をしていました。
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ある日、山裾で椎茸の榾木(ほだぎ)の伏せ込み作業をされている70代の椎茸生産者を訪ねた時、植林されたばかり杉の若木林が、私の目に入りました。
私が、林業家でもある年配のその方に「この杉は、何年くらいしたら伐採されるのですか?」と質問したら「そうだな‥100年後かな?」とアッサリ答えられました。
a0212807_12372389.jpg続けて私に「林業やっとるモンは、自分の代、子供の代ために仕事しとらん。皆な曾孫(ひまご)の代か、その次の代のためだ。アッハッハ」と豪快に笑われました。
う~ん、昨今の四半期(3か月)毎の業績(増収増益がノルマ)次第で投資家(株主)からクビを挿げ替えられる大企業の経営者たちに100年後50年後の会社の行く末を想定して働けと期待してもせんないことながら、3年5年先を見通して仕事するくらいの情熱と能力は、最低限必要と思います。
1,000兆円もの借金(国庫財政累損赤字)を100年後、200年後のこの国の子孫に残す私たちは、天下の罪人かもしれません。(私の懺悔 こちら
by blues_rock | 2013-11-05 20:02 | 詩/短歌/俳句/小説 | Comments(0)
先週金曜日の句会から3句を選びご紹介します。
私たちの高齢者在宅介護施設では、毎週金曜日の午後、俳句会を行なっています。
                                  ◇
         雲よりも  高いところで  夢を見て   (女性 78才 要支援Ⅱ)
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金曜日の朝、通所された方々に、その日の‘季語’をお知らせします。
予め‘季語’を教えていても、ほとんどの方が、程度の差はあれ認知症高齢者なので憶えておられません。
                                  ◇
         おだやかに  流れる日々や  稲実る   (女性 79才 要介護Ⅰ)
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俳句の時間に、五七五と指を折りながら詠まれます。
どの句も瑞々しく感性(感受性)と高齢・認知症とは、無関係であることが分かります。
                                  ◇
         放生会  今年もニュースで  新しょうが   (男性 87才 要介護Ⅳ)
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by blues_rock | 2013-09-16 00:02 | 詩/短歌/俳句/小説 | Comments(0)