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心の時空

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a day in my life

カテゴリ:金継ぎ/古美術/漆芸( 154 )

a0212807_354836.jpg沈金(ちんきん)と読みます。(右写真 : 松葉文様の沈金)
沈金(ちんきん)は、漆器の装飾(加飾)技法のひとつで、蒔絵(まきえ)、螺鈿(らでん)、髹漆(きゅゆしつ、塗り立てのこと)と並ぶ代表的な漆工芸の加飾技法のこと、ほかにも卵殻(らんかく)、彫漆(ちょうしつ)、蒟醤(きんま) など概ね10の装飾技法が、あります。
5月14日 日曜日の午後、アクロス福岡で開催された沈金師 水尻清甫氏による「輪島塗(わじまぬり)沈金教室」を受講しました。
沈金は、塗面にノミ(刀)で意匠の文様を彫り、刻線(点・面)の凹に漆を摺り込み、そこに金箔や金粉を埋めてa0212807_3172181.jpg模様とする輪島塗の技法です。
① 置目(おきめ): 美濃紙に描いた下絵を漆面に写す
② 文様彫り(もようほり): ノミで文様の輪郭線を彫る(ノミ先の角度45度)
③ 仕上げ彫り(しあげぼり): 花心や葉脈などの細かな線を彫る
④ 漆引き(うるしひき): 彫刻した漆面に漆を塗り拭く
⑤ 金箔・金粉入れ(きんぷんいれ): 拭き上げた漆面に金箔あるいは金粉を入れる
a0212807_320294.jpg当日、設えられた実習(ワークショップ)コーナーで、沈金(①~⑤)を行ない、一応修了証をいただきましたが、出来上がった初めての沈金作品は、ノミ先の暴れあまりにひどく、ここで披露するには、とても恥ずかしいので下を向き沈黙することにしました。
沈金を体験して痛感したことは、展覧会場で目の前にある漆工芸の数々の名品を見て、そして指に触れ精緻極まる工(たくみ)の技術(わざ)とその才能に只々脱帽するばかり‥漆工芸は、ジャパンクールの極みと思います。
a0212807_3204369.jpg漆や漆器を英語で Japan(Japanese lacquer)と云うくらいですから古代より日本の漆工芸は、世界に知られていたという何よりの証と思います。
会場におられた蒔絵師の水尻里見さん(沈金師 水尻清甫氏夫人)に「どうしてこんなすばらしい沈金が、できるのですか?」との私の不躾な質問にもイヤな顔されず「ノミが、自分の体と一体になるまで毎日修業するのです。」と微笑みながらクールに答えられました。  (下写真 : 木スプーンの拭き漆 23工程)
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ひとつ漆塗りのスプーンを完成させるためには、最低でも2か月、概ね3か月くらいの時間が、必要です。 
なぜ、そんなに時間が、かかるのかは、 ‘漆の特性’ を理解しなければなりません。
こちらの「漆の話」を参考にしてくださり、一人でも多くの漆器ファンが、増えれば、私は、うれしく思います。
by blues_rock | 2017-05-21 00:01 | 金継ぎ/古美術/漆芸 | Comments(0)
a0212807_104472.jpg1180年の平安時代末期、歴代朝廷にあって稀代の政治家にして最高権力者であった後白河法皇は、当時の流行り歌であった今様(いまよう、現代の歌謡曲)の大ファンで 「梁塵秘抄」(りょうじんひしょう)という歌謡集を編纂しています。
その代表的な歌の一つで最も有名なのが、「遊びをせんとや生れけむ 戯れせんとや生れけん 遊ぶ子供の声きけば 我が身さえこそ動がるれ」です。
私の場合、「遊びせんとや生れけむ」のところが、‘漆’と「遊びせんとや 生れけむ」になります。
さらに、これも「梁塵秘抄」にある有名な歌で「仏は 常にいませども 現(うつつ)ならぬぞあわれなる 人の音せぬ暁に ほのかに夢に見え給ふ」の‘夢’の部分が、私の場合‘刻苧(こくそ)’に変わります。
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私の戯言をこれ以上書くと友人のケアマネージャーから「介護申請してください」とまた言われそうなので ここまでにします。
by blues_rock | 2017-05-15 00:05 | 金継ぎ/古美術/漆芸 | Comments(0)
20年余り前、当時住んでいた船橋の骨董店で、2箇所に燻(いぶし)銀色した銀直し痕のある得体の知れない熊川茶碗(こもがいちゃわん、朝鮮から渡来した高麗茶碗のひとつ)を衝動買いしました。
その時、どことなく薄汚なく見えたのは、焼成不足(生焼け)による出来損ないのだからだろうとと勝手に考えて
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長い間放置していました。
福岡に移り住み、金継ぎで出会った目利きの方々に、正体不明の茶碗を見ていただき、焼成窯元を尋ねてみましたが、どなたも一様に「分からない」のとのことでした。
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玄洋窯(こちら)陶工の冨永さんにお願いして生焼け茶碗を再度焼成してもらったところ、薄汚れた灰被り茶碗の生焼け釉が、白く発色しました。
2箇所のキズ痕のうち、口縁の外にあるキズに金箔粉(消粉)を、口縁内側のキズは、白い雲の間に現われた
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月に見立て、銀を蒔き「銀の月」と風流に洒落てみました。
by blues_rock | 2017-05-09 00:09 | 金継ぎ/古美術/漆芸 | Comments(0)
自己流で‘金継ぎ’をしている方、これから‘金継ぎ’を始める方にお薦めしたい本(ハンドブック 15㌢正方形)が、「金継ぎをする(うめる、まく、みがく、つける)」です。
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書かれたのは、蒔絵の専門家にして金継ぎ師の小松知子さん(なおす、つくる。Kiatsugi & Maki-e)です。
4、5年前、「骨董じじばば」で小松さんが、金直しされた古唐津茶碗の金継ぎを拝見しその仕上がりの見事さに
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私は、一目ぼれ、それ以来、私の金継ぎのお手本として密かに私淑して来ました。
その小松さんが、ご自分の教室の方々のために(初めての人にも)分かりやすく金継ぎのノウハウとマニュアル
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を「金継ぎをする(うめる、まく、みがく、つける)」として本にまとめられました。
この金継ぎマニュアル書「金継ぎをする(うめる、まく、みがく、つける)」(全48ページ/@1、200) を拙ブログに
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(帯封のようなものとして)勝手に紹介いたしました。 (詳細は、こちらをご覧ください。)
金継ぎの手順書(入門書)として無駄がなく、見開きの写真付きで誰にでも分かりやすく、良くここまでa0212807_1134585.jpgコンパクトにまとめられたものと感心しています。
私は、いま金継ぎを学んでいるまわりの人たち、これから始められる方たちに、<この本のとおりを実践し、より数多く取り組めば上達する> と教えてあげたいと思います。
(左写真は、「漆器の直し方」 です。 )
by blues_rock | 2017-05-04 00:04 | 金継ぎ/古美術/漆芸 | Comments(2)
高台の残る古絵唐津の向付か 何かの陶片を梨子地銀直しの香立にしました。
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刻苧(こくそ)で整形し向付に復元しようとも思いましたが、このところ刻苧(こくそ)ばかりしているので少し遊び心も入れて、梨子地銀直しの香皿にしました。
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縁の割れた凸凹を峰に見立て、錆漆で成形し梨子地銀を蒔き梨子地漆で拭きあげました。
普段、私が、部屋で焚いている京都 松榮堂の‘堀川’(スティックタイプ)の香立(香皿)にぴったりでした。
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お茶の時間に茶菓子をのせて愉しんでも風情が、あるかもしれません。
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by blues_rock | 2017-04-30 00:03 | 金継ぎ/古美術/漆芸 | Comments(0)
長年、私淑していた玄洋窯主人の冨永さんに、この春から押しかけ入門し、陶芸を学んでいます。
初日、工房に入るなり陶土(つち)の塊をどんと目の前に置かれ「ロクロ?手びねり?」と冨永さんから訊ねられ
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ましたので「手びねりで‥」と神妙にお願いしました。
東京から福岡に帰り、念願の金継ぎをするようになると ‘呼継ぎ’や‘共継ぎ’ はおろか、高台のある古陶片に
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は、刻苧(こくそ)で成形して金継ぎするようになり、やがて自分の好き勝手に作陶した茶碗や器にも金継ぎ(陶漆)したくなりました。
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安土桃山時代から江戸初期の博多の豪商にして有名な茶人であった神谷宗湛(1551~1635)は、利休の後継者であった茶人古田織部(1543~1615)好みの茶碗を「ヘウゲモノ也」と呼び宗湛日記に書き残していますが、
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そんな織部風の沓(くつ)茶碗や畏敬する本阿弥光悦川喜多半泥子の作陶した茶碗の写真を持参し、私は、とにかく「歪(いびつ)な形の茶碗」や「窯疵(かまきず)のある器」を焼成したいとロクロ名人の陶工 冨永さんにa0212807_7274657.jpg無礼な戯言(たわごと)と承知のうえでご指導をお願いしたところ、快く引き受けていただきました。
陶土(つち)を練り、塊を叩き、成形したかたちを歪ませ、削り、引っ掻き、釉を生がけし‥と、まだ窯に入れて焼成は、していないものの、少しずつ棚にならんでいく未完の傑作を眺めていると次第に妄想だけが、ビックバンのようにとめどなく広がっていきます。
そんなことを私が、働く高齢者介護施設で同僚の皆なに話していていると私の話を聞いていたケアマネージャーから「介護認定を申請したらどうですか? 介護度2は、いくと思いますよ。」と、真顔でアドバイスされました。
by blues_rock | 2017-04-20 00:02 | 金継ぎ/古美術/漆芸 | Comments(0)
私は、今年の 金継ぎ工芸会作品展 に古唐津「山盃」(梨子地銀青貝蒔絵こちら下段の浅葱梨子地銀 ならびに共継ぎと呼継ぎの山盃) 4点を根来塗の敷板(こちら の下段参照)に置いて出品することにいたしました。
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大木を輪切りにした素朴な木目のある置き台にも置き、どちらにしようかと迷いましたが、艶やかな梨子地銀拭漆(浅葱梨子地と青貝蒔絵)との相性を比べてみて根来塗の敷板にしました。
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拙ブログにお立ち寄りいただいた皆様方には、両方ご覧いただきたいと思います。
山盃は、安土桃山から江戸初期にかけて焼成された酒杯(盃・ぐい呑み)のルーツです。
a0212807_135579.jpg当時、肥前(佐賀・長崎)に数多あった古唐津窯の陶工たちが、山盃を普段使う自家用の酒杯として焼成しました。
その素朴な作為のない味わいが、今でも山盃ファンの心を惹きつけています。
この初期伊万里の猪口は、ピルケース代わりに私が、食前食後、服薬しなければならない薬をまとめて入れて、愛用しているお気に入りの逸品です。

「金継ぎ工芸会作品展2017」の会期・会場などの詳細につきましては、こちら をご覧ください。
by blues_rock | 2017-04-14 00:14 | 金継ぎ/古美術/漆芸 | Comments(0)
a0212807_19353133.jpg鎹(かすがい、右写真)とは、今のような強力な接着剤のない時代に、木材や石材を繋ぐために利用された金属の接着材です。
陶磁器の食器が、昔まだ庶民にとって貴重な生活用品であった時代、中国(清朝~現代、1999年中国映画「初恋のきた道」の劇中に茶碗を鎹修理するシーンがあります)や日本(江戸時代~昭和初期)では、大事な陶磁器が、割れると ‘鎹(かすがい)直し’で修理し再使用していました。
鎹(かすがい)修理で特に有名なのが、国立東京博物館にある国宝「青磁茶碗 馬蝗絆(ばこうはん)」にまつわる逸話(こちら 記事半ばから終わりまで)です。
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日本では、室町時代に茶の湯が、生まれると陶の茶碗は、茶人に大切に扱われ‘金継ぎ’が、誕生しました。
江戸時代には、生活用の磁器(茶碗・皿・鉢、湯呑や猪口)が、普及し始めるもまだまだ庶民には、高根の花で、a0212807_19501744.jpg大名や武士階級、裕福な商人たちが、日常生活に磁器を使用し始めました。
そして磁器が、割れると「鎹(かすがい)直し」や「焼き継ぎ」で修理し、子から孫へと大事に伝承されてきました。
さて、私の手元にある「古伊万里 花鳥文色絵 八角鉢(径14㌢、高8㌢)」には、4つの鎹が、施されています。
左写真の「古伊万里 胡蝶文 色絵猪口(径6.5、高5.5)」は、小さいながら10の鎹修理が、施されていました。
残念なことに胴が、少し欠けていて、私は、色合いから金継ぎではなく、「銀継ぎ(本銀直し)」にしました。
a0212807_19533333.jpg根来塗敷板(横28㌢、縦20㌢)は、4月17日(~4月23日)から始まる金継ぎ工芸会作品展に私が、出品する ‘山盃’ を並べるために制作しました。
材料は、揖保の糸 素麺の蓋板を布(ガーゼ)と錆漆さらに下地漆で整え、本消呂漆と赤漆を交互に塗り(拭いて)仕上げました。
私たちの周囲には、ポイ捨てするに惜しい道具類や生活財が、結構あり、ホームセンターに行けば、木目の美しい板が、安価な値段(百均ショップなら桐材を推奨)で並んでいます。
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お気に入りの板を買い、Tシャツなど古着の布切れに生漆をつけて拭いて乾かす作業を繰り返すだけ、極薄の使い捨てゴム手袋をつければ、漆かぶれもなく、あなたもまわりを唸らす漆芸家になれること請け合います。
by blues_rock | 2017-04-06 00:06 | 金継ぎ/古美術/漆芸 | Comments(0)
中古ショップを時おり覘くと私の拙い漆芸の技でも何とか再生できそうな道具類に運よく出遭うことがあります。
この木製の練り鉢(径25㌢)とサラダ椀(径13㌢)もふと立ち寄った中古ショップで手に入れたものです。
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胴に布地を張ったウレタン塗の練り鉢は、見込み中央にありきたりな祝い文様を描いたギフト製品でした。
水性サンドペーパー(粗目⇒中目⇒細目)で底中央部分の文様を剥がし次にウレタン塗料も砥ぎ落しました。
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そして、本消赤漆(練朱赤口レーキ合漆)を何度も刷り込み拭き漆にしました。
練り鉢として使い込んでいけば、赤も馴染み好い色合いに成長すると思います。
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サラダ椀もまた輸入材にウレタン塗料を塗った製品で百均のカゴにあったものを二つ買いしました。
中・細目の水性サンドペーパーでウレタンを砥ぎ落し、二つ共に根来塗の椀にしようと下地塗りを始めたもの
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の木目が、そろったほうの椀は、刷り漆(拭き漆)にしました。
もう一つの根来塗にしようと思っている椀の方は、もう少し手をかけて納得できるような根来椀になりましたら、
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拙ブログに掲載したいと思います。
by blues_rock | 2017-04-02 00:02 | 金継ぎ/古美術/漆芸 | Comments(0)
a0212807_1812916.jpgアクロス福岡の匠ギャラリー(福岡市 中央区天神1-1-1)で4月17日(月)から4月23日(日)まで私たち金継ぎ工芸会会員の作品展2017を開催(10時~18時、初日12時から、最終日16時まで)いたします。
開催期間中、14時から15時まで、会場内にて講師による「金継ぎ」の実演を行ないますのでぜひこの機会にご自分の目(百聞は一見に如かず)で「金継ぎ」をご覧いただきたいと思います。
作品展2017の展示数は、120作品を予定しています。
いま拙ブログをご覧になっている方で金継ぎ作品を見たことがないという方は、「金継ぎ工芸会(HP)⇒ ギャラリー」 にお立ち寄りくださり作品(過去のa0212807_182240100.gif作品)をご覧いただけると光栄です。
皆様方のご来場をお待ちしています。
     *
過去の作品展は、次のとおりです。
2016 韓国作品展
2016 唐津作品展
2015 福岡作品展

※ 私は、根来敷板(仕上中)とその上に山盃4口を並べ出品予定です。
 拙ブログにお立ち寄りいただいている方には、作品展の前にご覧いただけるよう準備しています。
by blues_rock | 2017-03-18 00:08 | 金継ぎ/古美術/漆芸 | Comments(0)