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心の時空

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a day in my life

カテゴリ:映画(シネマの世界)( 781 )

a0212807_2583511.jpgジェフ・ブリッジス(1949~)が、2010年度アカデミー主演男優賞を受賞した作品です。
映画のストーリーは、アメリカ南西部の田舎を舞台に、落ちぶれて酒と女とその日の暮らしのために、町から町へのドサ回りを続ける初老のカントリー歌手と子連れの地方紙ジャーナリスト(マギー・ギレンホール)との出会いと別れ‥と、まるでアメリカ版演歌のような陳腐な内容ですが、夏の終わりの夕やけ空を眺めているようなメランコリックな雰囲気のある映画でした。
ジェフ・ブリッジスは、初老の男をボサボサの髪と無精ヒゲ面に、太り弛んだ体と合わせ自然な演技で熱演しています。
監督・脚本のスコット・クーパー(1970~)は「クレイジー・ハート」が初作品だとか、それにしては長編映画初監督らしからぬ冴えた演出で還暦過ぎの俳優ジェフ・ブリッジスを主人公のその日暮らしの老カントリー歌手にし‥ジェフ・ブリッジスは、才能ありながらも過去にすがり、破滅的に暮らす老カントリー歌手を地味で渋く見事に演じています。
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映画の中でカントリー歌手役のジェフ・ブリッジス本人が、カントリーを数曲哀感たっぷりに歌い、渋い声(ノド)を聴かせてくれました。
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マギー・ギレンホール(ジェイク・ギレンホールの姉)、ロバート・デュバル(古い友人役、制作も担当)もジェフ・ブリッジスの熱演に応える名演技を見せてくれました。
by blues_rock | 2011-11-18 20:45 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
アクロス・ザ・ユニバース」に続いて2010年秋に公開されたビートルズ(1962~1970)の映画をもうひとつ‥ジョン・レノンが、アマチュアバンド「クォーリーメン」のリーダーであった1950年代後半、ティーンエイジャーのジョンを主人公にした青春グラフティ映画です。
映画としては、青春もので普通の作品ですが、ビートルズ・ファンには楽しい映画でした。
a0212807_1718597.jpg高校生のジョンが、エルヴィス・プレスリーに憧れ、楽器もろくできない遊び仲間を説得しスキッフルのアマチュアバンド「クォーリーメン」を結成しました。
すぐポール(マッカートニー)がバンドに参加しジョンにギターコードを教えました。
やがてジョージ(ハリスン)がバンドに加わりバンド名も「シルバー・ビートルズ」に変わりました。
映画は、シルバー・ビートルズの5人(スチュアート・サトクリフ、ピート・ベスト)が、西ドイツの都市ハンブルグへ興行に旅立つところで終わります。
ジョンは、5才から厳格なミミ伯母さんに育てられますが、10代半ばに実母ジュリア(ミミ伯母さんの妹)に会いに行きます。
姉妹でも実直なミミ伯母さんとは反対に、母ジュリアは感情の起伏が激しく、自由奔放な女性でした。
ジョンには、異父の妹がいましたが、救世軍施設に引き取られたまま行方知れず‥母は、再婚し別の家庭をもち小さな娘(つまりジョンの妹)が、すでに二人いました。
厳格なミミ伯母さんと自由奔放な実母ジュリア二人の母親から愛されたジョンは、二人の愛情の間で苦悩する反抗的な「Nowhere Boy(孤独な少年)」でした。
ある日、音楽好きの母ジュリアからバンジョーの弾き方を教えてもらい、音楽に目覚めたジョンは、ミミ伯母さんからギターを買ってもらいました。
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ジョンの終生続くマザコン性向は、子供時代のトラウマ(母親に棄てられたという潜在意識)にありました。
ビートルズには、当時5人のメンバーがいました。
ドラムのピート・ベストは、ビートルズ・デビュー前にリンゴ・スターと交代、ベース担当のスチュワート・サトクリフは21才の時、脳出血で亡くなりました。
1994年の映画「バックビート」で、ジョンの親友にして初期ビートルズ音楽の前衛であったスチュワート・サトクリフの21年の生涯を瑞々しい映像で表現していました。
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この「Nowhere Boy ひとりぼっちのあいつ」の続編として、17年前の映画「バックビート」(1994)を見ていただくとハンブルグ(西ドイツ)の「シルバー・ビートルズ」が、1992年「ザ・ビートルズ」として世界へメジャー・デビューするまでが良く分かりますので、「バックビート」もビートルズ・ファンにぜひお薦めしたい映画です。
by blues_rock | 2011-11-10 20:20 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
日本映画の「冷たい熱帯魚」も強烈な映画でしたが、同じころに見たラース・フォン・トリアー監督(1956~デンマーク)の新作「ANTICHRIS♀(アンチ・クライスト)」も見終わって胸にズシリと重い映画でした。
a0212807_10283764.jpgANTICHRISTのスペル最後の「T」を敢えて「♀(女の性記号)」としているのは、トリアー監督によるメッセージと言えます。
「映画は、靴の中の小石でなければならない」が、トリアー監督の映画に対するポリシーだとか‥実際この映画を見終わった後、映画館を出てもずっと靴の中の足裏に小石を踏んでいるような心地悪い感触がありました。
映画のストーリーは、愛し合っている夫婦(‥お互い相手は自分を愛していると思っている)の葛藤と同時に異性としての諍(いさか)い、さらに性愛の虚無と疑念、セラピスト(夫:ウィレム・デフォー)と患者(妻:シャーロット・ゲンズブール)の関係と二人の間は複雑で、これが次第に折り重なっていきますから、この映画を見る人は、精神をニュートラルにして覚悟して映画館に行くべきでしょう。
妻役のシャルロット・ゲンズブールのキツネが憑(つ)いたような演技は恐ろしいくらいで「カンヌ映画祭主演女優賞」受賞も頷(うなづ)けます。
彼女の演じる鬱病の妻は‥恐怖(怯え)・狂気・性愛(セックス)・母性・激情・暴力・自虐・不信・苦悩・悲嘆・殺戮
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とネガティブ(陰)な行為を繰り返し、セラピストである夫の懸命の努力も虚しく、患者である妻の症状は、次第に悪化していきます。
a0212807_1033521.jpgたとえば妻は、セックスの最中に突然暴力をふるい、夫が逃げないよう彼の左足首にドリルで穴を開け大きな砥石の鉄棒を通し工具を投げ捨ててしまいます。
また苦悩と悲嘆で自虐し、ハサミで自分の女性器を切り落としたりもします。
シャーロット・ゲンズブールの真迫の演技は、彼女自身が本当に精神を病んでいるかのようでした。
トリアー監督も鬱病の持病があるそうで、ハンディカメラを使った暗いトーンの映像は、監督自身の心象風景を映しているようでした。
映画冒頭シーンのスローモーションによるモノクロ映像が美しく、見入ってしまいました。
a0212807_10365217.jpg映画「ANTICHRIS♀(アンチ・クライスト)」は、ニーチェのアンチ・キリスト「神は死んだ」を映像で表現しているようにも思えました。
それにしても、映画館で公開される映画の裸体シーンに、陰毛や性器のボカシを強制する“映倫”の愚劣(ナンセンス)な時代錯誤は、どうにかならないものでしょうか?
映画のシーンに映る陰毛や性器をボカすようせまる“映倫”の卑猥(ひわい)さこそ、私はワイセツな人たちの思想だと思います。
大島渚監督の映画「愛のコリーダ」(1976、フランス制作)の日本版は、“映倫”のカットとボカシでズタズタにされ、映画が台無しにされたので、仕方なく旅行先のパリで完全ノーカット版「愛のコリーダ」(フランス語タイトル「官能の帝国」)を見て感動しました。
いつの世も女と男の性愛が奏でる刹那(せつな)の狂想曲の終わりは、死か倦怠あるいは頽廃か‥日本版タイトルの「愛のコリーダ(闘牛)」だけが、フランス版のタイトルより洒落ていると思いました。
by blues_rock | 2011-11-05 11:20 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
今年始めに見たトニー・スコット監督とデンゼル・ワシントンによる新作「アンストッパブル」(2010)を紹介します。
このコンビによる2004年の映画「マイ・ボディガード」のキレの良い構成とスピード感溢れる映像カットに惹かれ「マイ・ボディガード」は、何度も見ました。
映画「アンストッパブル」のストーリーは、人為的なミスで機関車が突然動き出し、全長800mの貨物列車を引きながら暴走始めたところからスタートします。
その暴走列車を止めるため危険を顧みずに暴走列車に乗り移ろうとするベテラン機関士と若い車掌の手に汗握るスリル満点のクライム・アクション映画でした。
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映画が始まると機関車が不気味に動き始め暴走、機関士と車掌それぞれの人間模様がからみながら映画は展開していきます。
二人とも命の危険を顧みないで暴走列車に挑み、機関車を住宅密集地の寸前で止めると映画も終わるという単純な映画です。
トニー・スコット監督の個性的な映像センスとテンポの良い音楽により、映画の展開にキレとスピードがあり、迫力溢れる映画でした。
才能ある俳優は、名監督の演出に出会うことで見事な演技を見せてくれます。
トニー・スコット監督とデンゼル・ワシントンのコンビは、その良い例です。
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「クラディエーター(2000)」・「ロビンフッド(2010)」のリドリー・スコット監督(トニー・スコット監督の実兄)とラッセル・クロウも同じことが言えます。
ルキノ・ヴィスコンティ監督(1906~1976没、享年70才)の映画に続けて主演し、演技指導を受けたヘルムート・バーガー(「地獄に落ちた勇者ども」・「家族の肖像」・「ルードリッヒ」など)は、ヴィスコンティ監督が亡くなると、いつの間にかスクリーンから消えてしまいました。
余談ながら、いま私が注目している俳優は、「ハートロッカー」(2010)に主演したジェレミー・レナー(1971~40才)で、目の表情がすばらしいと思います。
by blues_rock | 2011-10-29 21:23 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
カナダ人女優サラ・ポーリー(1979~32才)の初監督作品映画「アウェイ・フロム・ハー 君を想う」が、2006年に公開されたとき彼女は、若干27才でした。
シリアスなテーマですが、秀作でとても初メガホンとは思えないサラ・ポーリー監督の演出の冴えに、彼女の才能を感じました。
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映画は、認知症(アルツハイマー病)を発症した老妻と彼女を介護する夫の老夫婦の物語です。
きっとこれから、私たちの身近でどの家族(家庭)にでも起きるだろう現実を、認知症の老妻と介護する夫この老夫婦二人の現在(いま)と過去を見つめ、予想される近未来を冷静に淡々と映します。
結婚45年になる老夫婦は、これまでお互い愛し合い、満ち足りた生活を送っていました。
だがある日突然、老妻にアルツハイマー病の症状が表われました。
物忘れが多くなり、日常生活にも支障が出てきた妻を、夫は、じっと辛抱強く見守りますが…自分に起きていることが分からない不安な妻は、自らの意思で認知症介護施設に入り、面会に行った夫も分からなくなりました。
a0212807_1339411.jpgやがて妻は、同じ施設にいるアルツハイマーの初老の男を好きになります。
どんなに仲の良い夫婦でも、お互い相手に少し不満はあるもの、その不満を押さえているのが、一緒に暮した歳月と共通の記憶(思い出)でした。
もしある日突然、その記憶(思い出)が失われた夫婦の間と絆(きずな)は、どうなるのか‥この映画を見ている人に問いかけていました。 
病気(認知症)の妻は、やさしく介護し身の回りの世話をする夫をだんだん忘れていき、夫は、もしかしたら妻は、自分の過去の浮気をいま罰しているのではと嫉妬心から疑いました。
45年間の夫婦生活と言う長い人間関係が、壊れて始めていく時、その悲しみの中にそれまで見えなかったお互い人間本来のエゴイズムや相手を深く慈しみ、そして思いやる愛情が分かってくるものかもしれないとメッセージするサラ・ポーリー監督の眼差しがリアルでした。
カナダの美しい冬景色とその冷たい空気が感じられるような透明感溢れる映像と俳優たちの自然で静かな演技、感情移入しないクールな演出は、この才媛監督の次回作を楽しみにしています。
2009年映画「スプライス(結合)」では、女優サラ・ポーリーとして主演し、生体間遺伝子組換え学者を名演していました。
by blues_rock | 2011-10-28 20:41 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
a0212807_11243679.jpg2007年カンヌ映画祭で最高賞パルムドールを受賞した映画ですが、日本で上映された映画館は、全国で14館でした。
文化都市を自称自賛する首都東京ですら2館だけ‥文化都市って一体何なのでしょうか。
映画は、アイルランド民謡「麦の穂をゆらす風」にのって展開されます。
1920年代のアイルランドが舞台‥イギリスの圧政下で自由と独立のために抵抗運動に身を投じ、多くの仲間と友達を失う兄弟の物語です。
抵抗運動に興味のなかった医者の弟も抵抗運動のリーダーで尊敬する兄の影響を受けレジスタンスに参加します。
イギリスの手先である地主に脅迫されて、仲間を裏切り密告した幼馴染みを自ら処刑し号泣する弟の切なさが、胸を打ちます。
アイルランド独立運動に多くの同朋同志が犠牲となり、自治政府は樹立されました。a0212807_11261931.jpg
自治と自由独立のためにアイルランド自治政府は、支配者であったイギリスから多くの苦渋に満ちた妥協を迫られます。
老練狡猾なイギリス(大英帝国)と不平等な平和条を締結せざるをえなくなり、祖国アイルランドは北と南に分割統治され、独立した途端に内戦に向かうアイルランド共和国‥レジスタンスの仲間や友達の苦悩と悲しみ‥そしてアイルランド共和国自治政府に抵抗し反乱する弟、自由と独立のためにイギリスと妥協し反対派を弾圧する兄、弟にレジスタンスのアジトを教えよと拷問し、そして処刑する兄、拷問され処刑される弟‥現在まで続くアイルランド内戦の80年前の現実がありました。
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自由も平和は、与えられたものではなく愛する家族・信頼する友達や仲間たちの骨砕かれ、肉斬られ、血を流してできているアイルランドの歴史が、良く分かる映画でした。
U2(ボーノ)の北アイルランドへの強い愛国心は、そんな歴史にあると思います。
DVDがありますのでぜひ一度ご覧ください、推薦いたします。
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現代日本の繁栄も66年前、国家に騙された多くの家族と同朋たちの犠牲・悲劇の上に成り立っているのですが‥平和ボケして弛緩(しかん)した頭には、犠牲になった人たちの怨念にも、いま身の回りに蔓延している愚劣なものにも気が付かないのかもしれません。
by blues_rock | 2011-10-27 20:15 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
いまニューヨークのウォール街で、金融富裕層への市民抗議デモが、続いています。
不景気で失業率が高く、仕事がないこと(無収入)にイラ立つ市民の怒りは、ウォール街に向けられています。
そんな光景を見て、マイケル・ムーア監督(1954~)の2009年映画「キャピタリズム~マネーは踊る」を思い出しました。
ムーア監督は、2002年の映画「ボウリンク゜・フォー・コロンバイン」でアメリカの銃社会を皮肉たっぷりに告発し2004年の映画「華氏911」では、当時の天敵であったアメリカ合衆国大統領ブッシュをネタに、彼の偏狭な傲慢さと単細胞の能無しぶりを映像演出で徹底的にからかい痛烈に政治批判しました。
ムーア監督の理不尽な社会と不正な権力に対する反骨・反戦の精神には、心底性根が座っています。
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今回の敵(標的)は、イカサマな市場原理主義を‘錦の御旗’のごとく振りかざし、サギ金融でアメリカ経済と世界経済を不況のどん底に陥れた‥強欲なキャピタリズム(資本主義)の象徴ウォール街でした。
サブプライム問題で金融パニックを引き起こし、未曾有の世界経済恐慌(世界同時不況)の発端となったルールとモラルのないニセの自由主義経済を辛辣に糾弾しています。
2008年夏、アメリカでサブプライム・ローンが崩壊、住宅市場価格の大暴落により9月15日リーマン・ブラザーズ投資銀行が倒産、他のメガバンクも青息吐息の倒産寸前となりました。
マイケル・ムーア監督は、ウォール街のメガバンクや証券会社へアポなし突撃取材を行いその突入の様子を撮影し映画にしました。
映画は、冒頭からアメリカ市場原理主義経済の実態である社会的弱者搾取の現実を映し出しています。
a0212807_0253743.jpg映画全体から溢れ出るマイケル・ムーア監督の怒りのホコ先は、世界同時不況の元凶で巨額の公的資金(税金)を使いながら納税者である大量の労働者を失業に追い込んだ投資銀行・生命保険会社・証券会社に向けられウォール街へ「金返せ!」とデモ行進を行います。
カトリック教徒でもある彼は、大衆に影響力をもつ神父たちに「資本主義(キャピタリズム)は邪悪であり、神の教えに反している」と映画カメラの前で公言させます。
2時間にも及ぶ超辛口のアメリカ社会批判のドキュメンタリー映画から、アメリカ建国の基本精神である「自由・平等・博愛」の国家原則は、断固守るという彼の気概(価値観)が映画からヒシヒシと伝わってきました。
サウンドトラックの音楽センスも良くイギー・ポップのパンクロック「ルイ・ルイ」で始まりウッディ・ガスリーのフォークソング「ジーザス・クライスト」で終わります。
中でも50年代から70年代にかけて世界万国労働者の国際連帯のシンボル・ソング(プロレタリアートの聖歌)であった「ザ・インターナショナル」をジャズヴォーカルで聴かせてくれたセンスに、感激しました。
映画の全編に挿入される古き良き時代の映像もユーモアに溢れており、堅っ苦しい金融・経済のテーマながら私たち民衆に身近な社会問題としてスムーズに受け入れられるよう創意工夫されていました。
by blues_rock | 2011-10-22 20:30 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
2010年度アカデミー賞9部門にノミネートされ、作品賞・監督賞・脚本賞・編集賞・録音賞・音響効果賞の6部門を受賞した映画です。
アカデミー賞82年の歴史の中で、初めて女性であるキャスリン・ビグロー監督(1951~)の監督賞受賞も話題となりました。
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一方過去にアカデミー賞を受賞した作品の中で、最低の興行成績とか‥各国の映画祭で受賞し世界の映画関係者の評価は高いのですが、大衆の評判は今ひとつのようです。
空前の興行成績で、次世代映画技術を担う3D映像で注目された「アバター」が、下馬評では今年度アカデミー賞を独占するだろうと予想されていました。
しかし視覚効果賞・美術賞・撮影賞の3部門での受賞でした。
この二つの作品の評価の差は、映画を見ると良く判ります。
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「ハート・ロッカー」とは「棺おけ」を意味する俗語とか‥映画は、冒頭「War is drug」(戦争は麻薬)の字幕が出てそれから始まります。
2004年夏イラクの首都バクダッド市街の瓦礫の中で、イラク駐留アメリカ軍爆弾処理班は、命がけで街中に仕掛けられた爆弾処理に追われています。
爆弾処理班の兵士たちには、いつも死の恐怖があり、極度の緊張を強いられ除隊するまで精神が、安らぐことはありません。
爆弾処理に失敗すると一瞬のうちに多くの死者が出ます‥果てることのない死の恐怖と緊張の連続です。
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キャスリン・ビグロー監督は、一人の若い兵士(軍曹)を通し極限の恐怖を感じながらガジェット(爆発護身装備)を脱ぎ、素手で複雑な爆弾処理に立ち向かう彼の狂気と正気を表現したかったのだろうと思います。
ハンディカメラを駆使し、主人公に接近し彼と同じ視線で撮影していますので、映像はリアリティに溢れ、緊迫した前線の臨場感が伝わってきます。
a0212807_11484420.jpgアメリカ軍の爆弾処理を眺めるバクダッド市民は、皆な他人事で見物者です。
敵は、市民に紛れいつどこから兵士たちを狙撃してくるか分かりません。
爆弾を処理する兵士たちに、死は常態であり、息もできない緊迫の中で生きていることが不思議な感覚なのかもしれません。
冒頭の「War is drug」(戦争は麻薬)というメッセージの答えは、ラスト5分間のシーンにありました。
キャスリン・ビグロー監督のキレの良い演出(とカット)に、女性のイメージがありません。
ベトナム戦争の「フルメタル・ジャケット」(1987)・湾岸戦争の「ジャーヘッド」(2006)・アフガニスタン戦争の「ある愛の風景」(2004)、そして今回イラク戦争の「ハート・ロッカー」(2009)は、戦争の不条理に翻弄され戦場の理不尽さに、疲弊していく兵士(人間)たちをリアルに画いた反戦映画の四部作と私は思います
(付録)9月11日に紹介しました「Brothers(マイ・ブラザー)」(2009 こちら)は、「ある愛の風景」(2004)のリメイク版ですが、「ハート・ロッカー」に引けをとらない秀作なので映画に興味のある方にお薦めいたします。
by blues_rock | 2011-10-21 06:42 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
日本人は、時代劇「忠臣蔵」(四十七士の討ち入り物語)が好きで、年の暮れともなるとウンザリするくらい映画やTV時代劇ドラマで再演されてきました。
私は、陳腐な「忠臣蔵」に興味ありませんが「最後の忠臣蔵」は、二人の主役「役所広司と佐藤浩市」の演技を見たくて映画館に行きました。a0212807_21351744.jpg
二人の演技は予想に違わずすばらしく、役所広司の目や顔の表情による心理描写の演技は後世に残る名演技と言ってよいでしょう。
「忠臣蔵」の名の由来は、人形浄瑠璃「仮名手本忠臣蔵」からで、映画の中のカットで要所に挿入された近松心中恋物語の人形浄瑠璃の場面が、この映画の主題である「生きること・死ぬこと・愛しぬくこと」の効果をうまく引き出していました。
映画は、赤穂浪士四十七士が、主君の仇(あだ)を討つため吉良邸に討ち入り、本懐を遂げたあと全員切腹して果てた事件から16年後の京都が、舞台です。
世は、まさに元禄時代‥町人庶民の芸能文化が、成熟していました。
主君の仇(あだ)を討つため忠義に生き、本懐を遂げたら潔く死んでいった四十七士は、町人庶民にとって武士の誉れ高い英雄たちでした。
そんな時代に、本来なら四十七士と運命をともにするはずであった元赤穂浪士二人が、京都に生きていました。
16年前、主君である大石内蔵助から二人それぞれに直々の密命を受け、武士として自分の意思で名誉の死を許してもらえなかった厳しい理由がありました。
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一人は、討ち入り後「真実を後世に伝え、武士として死ぬ浪士たちの遺族を援助せよ。」の特命を受けた足軽侍の寺坂吉右衛門(佐藤浩市)であり、主じの命である「生きよ、生きて伝えよ」という過酷な使命を背負い、死ぬことを許してもらえない武士でした。
もう一人は、討ち入りの前夜、大石内蔵助の密かな使命を受け、屋敷から忽然(こつぜん)と姿を消した大石家用人の瀬尾孫左衛門(役所広司)で、同志から命惜しさに逃亡した裏切り者と思われていました。
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彼は、武士を棄て町人に名も変え、人里はなれたところで何かを隠すようにひっそりと暮らしていました。
映画のストーリーは、この二人が偶然出会うことで展開していきますが、映画の主題である「生きること・死ぬこと・愛しぬくこと」に興味ある方は、DVDでご覧いただきたいと思います。
「武士道というは、死ぬことと見つけたり(葉隠)」
この映画のもう一つの見どころは、映像美です。
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日本の四季折々の美しい自然の風景や良く時代考証された江戸時代の暮らしの道具類・土間囲炉裏・畳なども必見です。
製作総指揮のワーナーブラザーズ(ハリウッド)が、世界配給しますので海外の映画ファンの反応が楽しみです。
by blues_rock | 2011-10-08 07:39 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
a0212807_21374366.jpg私の好きな女優の一人にケイト・ブランシェット(1969~オーストラリア)がいます。
彼女が、新作「ハンナ」(CIA陰謀もののアクション映画)に主演級の悪役で出演していたので期待して見に行きました。
結果は、映画のストーリー(シナリオ)は陳腐で、アクションに迫力なく、映像のカットにも切れ味なく、出演者はミスキャスト‥楽しみにしていた極悪非道の悪役ケイト・ブランシェットではありませんでした。
2007年の映画「アイム・ノット・ゼア」でケイト・ブランシェットが演じた‘ボブ・ディラン’のすばらしかったこと‥ボブ・ディランそっくりのリアリティがありました。
最近見たCIA陰謀もののアクション映画で、おもしろかったのは「ソルト」でした。
アンジェリーナ・ジョリー(1975~)が、アメリカとロシアの二重スパイ役を演じ、ロシアから送り込まれた女性スパイでCIAエージェントの「イヴリン・ソルト」を演じています。
昨年夏、アメリカで実際にロシアのスパイ10名が逮捕されたニュース‥彼らが10年前ロシアからアメリカに送り込まれ、そのうちの一人が若くて美人の女性スパイでしたから映画「ソルト」への効果は大きく、女性スパイ活劇という荒唐無稽なアクション映画ながらも真に迫り大いに楽しめました。
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女性スパイ、イヴリン・ソルト役アンジェリーナ・ジョリーのアクション演技は、「トゥームレイダー」(2001・2003)でナナ・クロフトを演じた時より、スパイ活劇の虚構ながらアクション演技は、「ソルト」のほうがしっくりしているように思えました。
フィリップ・ノイス監督(1950~)は、サスペンス映画「ボーン・コレクター」(1999)では、アンジェリーナ・ジョリーにシリアスな演技をさせていましたが、「ソルト」では、彼女を自由奔放に演じさせたようです。
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スパイアクション映画なのでストーリーにあまり意味はなく‥私の見た映画の中では、「ニキータ」(1990)×「ミッションインポッシブル」(1996)÷2=「ソルト」(2010)が映画を見ての感想です。
フィリップ・ノイス監督の作品では、「パトリオット・ゲーム」(1992)・「今そこにある危機」(1994)も楽しめる映画でした。
「ソルト」は、映画のエンディングから見て続編制作が予想されます。
by blues_rock | 2011-10-01 13:27 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)