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心の時空

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a day in my life

カテゴリ:映画(シネマの世界)( 762 )

a0212807_111037.jpgどうでも良いことながら、邦題の「オーケストラ!」というタイトルはつまらなく、映画配給元のセンスを感じません。
原題の「ル・コンチェルト(コンサート)」のほうがずっと良かったと思います。
あえて(フランス語の原題を変え)邦題にこだわるのなら、映画のテーマから「シンフォニー(交響楽)」のほうがピッタリと思いました。
交響楽団を意味する「オーケストラ!」の邦題では、映画が表現したい“人間の魂”というテーゼは伝わらないように思いました。
音楽という道具でつながる人間の魂‥映画の最後12分、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を聴きながらメラニー・ロラン(1983~28才)演じるヴァイオリニスト、アンヌ=マリーの美しさを見ているだけで瞬時(ひととき)の幸せを感じます。
映画の中でのクラシック音楽がすばらしく、バッハ・モーツァルト・マーラー・パガニーニ・メンデルスゾーン・ハチャトリアンなど12人の作曲家の作品が使われています。
ストーリーには、フランス映画らしいエスプリが効いて、登場人物公たちの人生の哀歓を感じます。
ロシアのボリショイ劇場で掃除夫として働く中年男アンドレイは30年前ボリショイ交響楽団の主席指揮者でした。
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独裁国家ソ連による「ユダヤ民族弾圧」により指揮者アンドレイのユダヤ人演奏家を擁護する自由な音楽芸術に対し、ソ連政府(クレムリン)は彼を人民の敵としてコンサート途中にボリショイ交響楽団から彼とユダヤ人音楽家たちを追放しました。
彼は、30年掃除夫として働きながら空想の交響楽団を指揮し“人間の魂”の音楽を密かに奏でていました。
ある日彼は、掃除中に偶然パリからボリショイ交響楽団への出演依頼FAXを見ます。
それを読んだ彼は突拍子もないことを思いつきました。
彼と同じように追放され、落ちぶれた昔の音楽仲間を集めてニセのボリショイ交響楽団になりすまし、彼らの夢であったパリ公演を実現しようと思いました。
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彼の呼びかけに、下積み仕事をしながら暮らしていた昔のボリショイ交響楽団員が30年ぶりに集まりました。
彼はパリ公演のメイン演奏曲目をチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲と決めていましたが、ヴァリオリンのソリストはいませんでした。
指揮者アンドレイがソリストに指名したのは、パリで活躍する若い女性ヴァイオリニストのアンヌ=マリーでした。
ニセのボリショイ交響楽団員たちは、あこがれのパリに着くなり自分勝手に遊びに出かけ約束のリハーサルを無視してしまいました。
そして公演当日‥本物のボリショイ交響楽団と信じている人たちの前で「彼らのコンサート」は始まりました。
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映画「オーケストラ!」は、ヒューマンドラマ仕立ての地味な映画ですが、突拍子もない楽天的な映画のストーリー展開と相俟って福岡のKBCシネマでは、昨年4月の連休前に封切られ秋まで上映していましたので異例のロングラン映画となりました。
by blues_rock | 2011-09-12 01:17 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
a0212807_10312016.jpg2009年にジム・シェリダン監督(アイルランド1949~62才)が、スサンネ・ビア監督(デンマーク)の2004年作品「ある愛の風景(原題:兄弟)」をリメイクした映画です。
スサンネ・ビア監督については8月27日の「シネマの世界‥未来を生きる君たちへ(原題:復讐 こちら)」で書きましたので参考にしていただけると幸いです。
ジム・シェリダン監督は、「マイ・レフトフット」(1989)や「父の祈りを」(1993)など感動的な映画を発表している名監督です。
スサンネ・ビア監督の「ある愛の風景」のシナリオを変えずジム・シェリダン監督は‘コピー’ではない彼自身のオリジナル映画「Brothers(マイ・ブラザー)」にしていました。
シェリダン監督の映画「マイ・ブラザー」は、シリアスなストーリーを冷んやりした空気感のある映像にして今の疲弊したアメリカ社会をリアルに映し出した見ごたえある秀作に撮り上げ、2009年のアカデミー作品賞は、「ハートロッカー」(この作品も秀作)より、テーマに普遍性のある「マイ・ブラザー」のほうだろうにと、私は思いました。
兄弟を演じる兄役のトビー・マグワイアと弟役ジェイク・ギレンホールの“目”が似ており、本当の兄弟のようで驚きました。
映画の中で二人の“目”による感情表現がすばらしく、映画の重要な見どころとなっています。
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二人の「目の演技力」である「切なさ・哀しさ・戸惑い」の表情に胸が締めつけられ、心が痛みました。
夫(兄)が戦死したと知らされた妻役ナタリー・ポートマンが、暖炉の前で‥絶望と寂しさとで義弟を見つめキスをするシーンがあります。
演技とはいえ彼女の色香(フェロモン)には思わず息を呑み、映画「レオン」(1994)に出演していた時の少女(下の写真)から名女優に成長していました。
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幼い娘を演じた二人の女の子たち、とくにおませでヒガミっぽい長女役を演じた女の子の演技も秀悦です。
登場する出演者たち皆な自然でリアルな存在感がありました。
アフガニスタン戦争で捕虜になった兵士が解放され家庭に戻ったとき、捕虜のときの悲痛な記憶は、次第に彼の神経を狂わせ、自分が愛した家族を巻き込んでいきました。
1970年代にはベトナム戦争で疲弊したアメリカ人の心の痛みを表現した名作映画が数多く生まれました。
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エンドロールに流れるU2の「Winter」にも、聴き惚れました。
「クレイジーハート」(こちら)に出演しているマギー・ギレンホールは、ジェイク・ギレンホールのお姉さんです。
好きな監督の次の作品、贔屓(ひいき)の俳優が出演する新しい映画の封切りを待つのも映画好きの楽しみの一つです。
by blues_rock | 2011-09-11 10:37 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
a0212807_17435876.jpg福岡市天神の映画館が「午前十時の名画館」と銘打って、10時から1日1回(1週間)往年の名画を上映しています。
1987年の映画「薔薇の名前」が、上映されたので改めて見に行きました。
映画は、1327年の北イタリア寒村の山間にある修道院を舞台に、そこで起きた不可解な連続殺人事件を修道士(ショーン・コネリー)と弟子の修道士見習い(クリスチャン・スレーター)が、事件の謎解きと犯人探しをするという物語です。
ショーン・コネリー=ジェームス・ボンド(007)という強烈な個性のイメージをこの映画で見事に払拭し、ショーン・コネリーが名俳優ということを実証してみせました。
当時15才のクリスチャン・スレーターの初々しい演技も見ものでした。
この二人と絡んでいく修道士・村人を演じる俳優たちも全員個性的でリアリティがあり強く印象に残りました。
映画の印象も以前見たときとは、ずいぶん違いました。
タイトル「薔薇の名前」の華やかなイメージが、私の印象に残っていてもっとカラフルな映像と思っていました。
14世紀初頭ヨーロッパの人々が、貧困に苦しむ中で、キリスト教会は堕落し、各宗派とも偏狭な教義をめぐり陰惨な宗教戦争をしていました。
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その暗い世相と雰囲気を表現するため映像は暗く、ストーリーの主要な場面に現れる「火」と「雪明り」を色の象徴にするためか、ダークなモノトーンであったことが今回分かりました。
映画の舞台となった北イタリア寒村の古い修道院は、アッシジをイメージしたのではないかと想像しながら見ていました。
by blues_rock | 2011-09-01 21:27 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
現在博多のKBCシネマで上映中のデンマーク映画です。
スサンネ・ビア監督(1960~51才)の最新作(制作デンマーク=スウェーデン)で、スサンネ・ビア監督作品を見るのは、これが初めてですが、相当の才能と思いました。
スサンネ・ビア監督といい「海洋天堂」のシュエ・シャオルー監督といい、このところ映画の世界に女性のすぐれた才能を発見します。
デンマーク上映の映画ポスターには「復讐」というタイトルになっています。
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英語のポスターでは「In a Better World(より良い世界の中で)」とあり、日本語のタイトル(邦題)では「未来を生きる君たちへ」と訳されています。
それぞれの言語圏におけるこの映画のタイトルにも社会性、文化レベルが表れていて興味深いと思いました。
この映画は、原題のとおり怒りや憎しみから来る「復讐」がメインテーマながら同時にその対極にある怒りや憎しみを「赦(ゆる)す勇気」もメッセージとして送られています。
人間本来のダークサイドである暴力や憎しみが、無知・貧困・偏狂・傲慢・臆病に満ちた社会や世界で集団の間で疫病のように伝染していくと憎悪からくる暴力という負のエネルギーが暴走していきます。
映画「未来を生きる君たちへ」は、デンマークの地域社会とアフリカの紛争地帯(難民キャンプ)が、物語の舞台となります。
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母を病気で亡くした転校生の少年クリスチャン(写真右)と学校でイジメに遭っている少年エリアス(写真中央右)の出会いが、次第に事件を誘発し、彼らを「復讐」の深淵に追いやっていきます。
人間が予測できない事態・事件に直面した時、映画の登場人物たち‥子供も大人も個々の本性を露わにしていきました。
スサンネ・ビア監督は、それをリアルに撮ることで、この映画を見る側の本性にも迫っていきます。
今年のアカデミー賞とゴールデン・グローブ賞で「最優秀外国語映画賞」を受賞したのが納得できる秀作でした。
私は、この映画「復讐(原題)」を見て「人の弱さを克服できるのは、希望を信じることのできる人の心だけだ」というスサンネ・ビア監督のメッセージを確かに受け取りました。
by blues_rock | 2011-08-27 00:47 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
この夏上映の映画「一枚のハガキ」は、新藤兼人監督(1912~、99才)の渾身の作品と思います。
出演した名優陣の中でも、二人の夫(兄弟)に戦死された寡婦を大竹しのぶが名演しています。
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私が、最後に新藤兼人監督作品を見たのは1992年の「濹東綺譚(ぼくとうきたん)」だったように記憶‥この映画で永井荷風を演じた津川雅彦を相手に、私娼屈の芸者を演じた墨田ユキの姿態が美しく、今でもきれいな体の印象が残っています。
a0212807_17431736.jpgさて、新藤監督の新作映画「一枚のハガキ」のストーリーは、運の悪い不幸な寡婦(大竹しのぶ)の人生を中心に、最初の夫(兄)から彼女に宛てた「一枚のハガキ」通して、戦争の不条理と国家の理不尽さに巻き込まれた不運で不幸な人々を描いていきます。
戦争末期、敗戦の決断しかない戦況を大本営帝国陸軍本部は、壊滅していく前線から届く状況をひた隠し、ウソの情報を国民に流し騙(だま)し続けました。
それを信じた国民は、赤紙(召集令状)で次々に召集され‥勝ってくるぞと勇ましく、誓って國を出たからにゃ、手柄立てずに死なりょうかと行進し、天皇陛下、バンザイ、バンザイと叫び、老いた親や妻子に見送られながら御國のためにと戦地に向かいました。
どこの戦地へ行くかは、上官の引くクジで決まり、夫(兄)は運悪く、水・食料・武器もない悲惨なフィリピン戦線へ出征しますが、戦地へ向かう途中敵の攻撃を受け船もろ共にあえなく海に沈み戦死しました。
夫が戦死したため(白木の箱に遺骨はなく、英霊と書いた紙があるだけですが)老いた舅・姑のたっての願いで義弟と夫婦(めおと)となりますが、継夫となった義弟もすぐに召集され戦死しました。
届けられた継夫の白木の箱にも英霊と書いた紙が入っているだけでした。
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老いた舅は、怨念と憎悪を心中にしまい心臓発作で死亡、老いた姑は、自分たち家族を不幸のどん底に追い込んだ怨み・呪い・憎む相手も分からないまま嫁の足手まといになるまいと「運が悪い家ですまない」と書き残し首つり自殺をしました。
兄弟二人の夫に嫁ぎ、貧農で老いた夫の両親の暮らしを支え、理不尽な不幸の続く寡婦役の大竹しのぶが、実にすばらしいと思いました。
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この映画の脚本を書き、監督した99才の新藤兼人監督は、戦争への憎悪、怨念、拒否、戦争をする愚劣な国家権力への嫌悪と否定を自分の代わりに、映画に登場する主演者たちに、声を大にして叫ばしていました。
主演者たち共演者たち、いずれも名優ぞろいで映画を質の高いレアリズム溢れる反戦映画にしています。
by blues_rock | 2011-08-25 21:07 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
1999年の中国映画で、チャン・イーモウ監督、ベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞しています。
主人公の恋する少女を映画初出演のチャン・ツィイーが実に瑞々しく、魅力的に演じていて感動しました。
チャン・イーモウ監督の映画演出が見事で、現実をモノクロで過去(の懐い出)をカラーで映像表現し、主題の初恋の美しさが、見る人の心に深く印象に残ります。
<ストーリー>a0212807_1421545.jpg
中国の辺境な小さな極寒の村に、突然の事故で亡くなった父の訃報を聞いて都会に住む一人息子の青年が帰って来ました。
嘆き悲しみ泣き続ける母は、町の病院にある父の遺体を、中国の昔の風習どおり村人に背負ってもらい、町から村へ続く長い一本の道を一緒に連れて帰るのだと困惑する息子に強く懇願しました。
真冬なのでムリだとの息子の説得にも‥母は、父が自分と知り合う前に歩いて来た道を一緒に帰るのだと頑として耳を貸しません。
父を終生慕い続けた母には、強い初恋の記憶(懐い出)がありました。
(ここまでモノクロ、ここから一転カラー映像に‥)
純粋な初恋の物語、中国辺境の地の美しい風景とチャン・ツィイー演じる18才の少女の表情豊かな演技が、すばらしいと思いました。
純粋でまっすぐな恋心をもつ少女、走るたびに揺れる三つ編みや厚地の綿入れ上着とモンペ姿がたまらなくキュートなツィイーの姿と、はにかんだ笑顔が可愛くて忘れられません。
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都会から来た青年(父)に一目惚れした少女(母)の初恋、彼の姿を見たい一心で待ち伏せしたり、手作りの弁当を食べてもらうため毎回一生懸命料理を作り(料理で恋を告白する少女に胸キュン)、赤が似合うと褒められると、赤い服ばかり着てみたり‥健気な少女の恋する想いがスクリーンから伝わってきて、無垢な気持ちの強さを感じさせた映画でした。
a0212807_1492062.jpg映画の中で少女が、取り落として壊した磁器碗(大ぶりな茶碗)を巡回の修理屋に修繕してもらうシーンも印象に残りました。
映画のストーリーにあまり関係ないシーンでしたが、割れた磁器の破片を鎹(かすがい)で丁寧に継いでいく職人技をチャン・イーモウ監督は、ゆっくり見せてくれました。
チャン・イーモウ監督は、このシーンを中国の近代化で失われた伝統工芸の職人技(匠)へのオマジュにしたのだろうと思いました。
by blues_rock | 2011-08-21 14:14 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
a0212807_23304072.jpgいま日本で上映中の2010年中国映画「海洋天堂」を見ました。
私のお薦めする中国の名作映画は「山の郵便配達」(1998)・「初恋のきた道」(1999)・「故郷の香り(暖:ヌアン)」(2003)などですが、「海洋天堂」(2010)もこれから加えたいと思います。
監督のシュエ・シャオルー(女性)は、この映画が監督デビュー作品だとか、地味な演出ながら映画センスを感じました。
<ストーリー>
ジェット・リー(1963~)演じる父親は、水族館で働いていますが、ガンで余命あと3か月と宣告されました。
21才の一人息子大福(ターフー)は、自閉症で父親がいないと何一つできません。
自閉症の青年という難しい役どころをウェン・ジャン(1984~)は、見事に演じています。
映画「ギルバート・グレイプ」(1993)でレオナルド・デカプリオが、演じた重度の知的障害をもつ弟アニー役の名演技に匹敵すると思います。
シュエ・シャオルー監督は、若い頃から中国の自閉症問題へ関わっていて、そのキャリアがウェン・ジャン演じる大福(ターフー)の一挙手一投足の演技指導に生かされているのではないかと思いました。
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大福(ターフー)の歩き方と手の動きが、秀悦でした。
映画の冒頭に、大海原に小舟を浮かべ息子大福(ターフー)と一緒に身投げして死のうとするシーンがあります。
父親役のジェット・リーに、ハリウッドの俊敏なカンフースターの面影はまったくなく、俳優ジェット・リーが、感情を抑えて苦悩する父親役を名演していました。
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この映画「海洋天堂」の出演者で有名なのは、ジェット・リーだけです。
シュエ・シャオルー監督は、映画に出演した女優たち‥隣りの食料品店の女店主・サーカスの女性ピエロ・養護施設の女性たちの自然な演技を見て、女優への演出の気配りにも感心しました。
by blues_rock | 2011-08-16 19:06 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
アル・パチーノ(1940~現在71才)は、言わずと知れたアメリカを代表する映画俳優・舞台役者で、私が最も敬愛する俳優(役者)です。
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1972年の映画「ゴッドファーザー」でアル・パチーノは、マーロン・ブラント演じるドン・コルレオーネの三男マイケル役(後のコッドファーザー)を演じ、舞台で鍛えた演技力で高く評価されました。a0212807_1331339.jpg
この三男マイケルの役を当時まだ無名の俳優アル・パチーノにこだわったのが、コッポラ監督自身でした。
「ゴッドファーザー・パート2」(1974)のゴッドファーザー役には、ロバート・デ・ニーロ、パート3(1990)のゴッドファーザー役は、アル・パチーノ」と、すでに連作の制作イメージがあったのかもしれません。
映画俳優としては比較的小柄(167cm)ながら、彼の演じる役の存在感はいつも大きく、そのパワフルで強烈な演技と併せ、時に眼の表情に悲壮感や哀愁を漂わせる名演技は、アル・パチーノのアクの強い個性になっています。
アル・パチーノは、数少ない眼の表情と声帯の情感で表現できる演技者の一人です。

彼は時々ホテルのロビーやカフェの隅で、独り長時間じっと往来する人間の観察をしているともあるそうです。
a0212807_13313722.jpgアル・パチーノの出演する映画でよく共演している旧友ジョン・カザール(1935~1978享年42才)の脇役としての存在も忘れられないものがあり、アル・パチーノとの役柄といつも見事な調和を見せていました。

アル・パチーノ主演映画の中で、とくに私の好きな10本を紹介します。
○セルピコ(1973)
○狼たちの午後(1975)
○シー・オブ・ラブ(1989 参考:「トム・ウェイツ‥ シー・オブ・ラブ」)
a0212807_13315221.jpg○恋のためらい/フランキーとジョニー
  (1991)
○セント・オブ・ウーマン(1992)
○天国の約束(1995)
○ヒート(1995)
○インサイダー(1999)
○インソムニア(2002)
○ヴェニスの商人(2004)
by blues_rock | 2011-08-02 20:31 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
4か月前、3月11日午後に発生した東日本大地震による大津波をTVニュースの映像で見て驚愕しました。
大津波が、東北各地の港・市街地を一気に破壊していく様は、現実のものとは思えないまるで映画の大津波シーンのCG映像を見るような思いでした。
16年前、私も尼崎市で被災しましたが、阪神淡路大震災よりはるかに大きい被害を東日本地域の人たちは被災しました。
東日本大地震で被災された人たちの悲しみ苦しみを思い、不運不幸にも亡くなられた方々のご冥福を心からお祈りいたします。
東日本大地震から3日後のレイトショウでマット・ディモン主演の新作映画「ヒアアフター(来世)」を見ました。
観客は、私一人だけでした。
暗く広い映画館の真ん中に座り、マット・ディモン演じる霊能力に苦悩する霊媒師の表情をじっと見ていました。
マット・ディモンの抑制のきいた自然な演技も名演でした。
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「ヒアアフター」とは日本語で「来世(あの世)」という意味‥この映画の冒頭にある大津波シーンのリアリティある映像画が、地震の被災に遭われ家族を亡くされた方々にショックを与え、辛く悲しい思いをさせるであろうと映画館側が、その後すぐ上映を自粛し中止いたしました。
映画の冒頭に、ヴァーチャル映像ながらもリアリティ溢れる大津波のシーンがあります。
突然大津波が、街を襲い人々をさらい、何もかも破壊していきます。
映画の映像ながら、これを見て津波への恐怖を共有し、現実に起きた悲劇を擬似体現することのほうが、私は不本意に亡くなられた多くの人たちへの弔いと併せご冥福を祈ることになるのではないかと思いました。
映画「ヒアアフター」の上映自粛は、愚かな行為であると思い、私個人は残念でなりませんでした。
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このシリアスなテーマで、監督C.イーストウッドと制作総指揮S.スピルバーグは、主演のM.ディモンに死者と話す霊媒師どう演じさせるのだろうと興味がありました。
霊媒師が依頼者の両手をとり死者と出あう前の効果音に、遠雷のような微かな重低音が聴こえます。
C.イーストウッド監督は、自分の映画では音楽も担当しますが、映画の音響センスもなかなかもの、上手いなと思いました。
映画「ヒアアフター」のストーリーは、南太平洋のリゾート地を大津波が、突然襲うシーンから始まります。
大津波は、多くの人たちを一瞬のうちにのみこみ、街を破壊します。
そしてストーリーは、M.ディモン演じる霊媒師が、自分の能力(死者と話す霊能力)に苦悩する姿をタテ糸に‥最愛の人(死者)を亡くした人たちの苦悩をヨコ糸に展開いたします。
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臨死体験者の見た「ヒアアフター」は、死者のいる「ヒアアフター」だったのか‥「ヒアアフター」の存在を信じるのか‥魂があるとすればどこにあるのか、などいろいろ考えさせられるシリアスな映画でした。
真摯な良い映画ですので、大切な人とDVDでご覧ください。
by blues_rock | 2011-07-29 19:03 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
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ルキノ・ヴィスコンティ(1906~1976享年70才)は、私の好きな映画監督の一人です。
1943年に映画監督としてデビューし生涯で17本の映画(オムニバスも含む)を撮りました。
映画人生の前半は、イタリアのネオリアリズムの旗手として名作を残しています。
私は晩年の5本の作品を見ただけですが、1969年の「地獄に堕ちた勇者ども」を見て以来 、ルキノ・ヴィスコンティ映画の大ファンになりました。
ヴィスコンティ監督の品格ある滅びの美学(頽廃と耽美)が、格調高い美意識を生み、老と死を自覚した刹那の表現は、万(よろず)の言葉で説明するより映画を見ていただくが一番です。
私の見た5本の映画を見ていただくだけでも、ヴィスコンティ監督映画は映像芸術であることが良く分かっていただけると思います。
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「地獄に堕ちた勇者ども(1969)」 ・「ベニスに死す(1971)」・「ルードリッヒ(1972)」・「家族の肖像(1974)」・「イノセント(1975)」‥どれも映画のテーマに哲学的なところはあるものの、どれも映像オペラのようで見ごたえのある不朽の名画です。
ヴィスコンティ映画は、多くの名優も輩出しました。
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マルチェロ・マストロヤンニ、アラン・ドロン、ソフィア・ローレン、シルバーナ・マンガーノ、ロミー・シュナイダー、クラウディア・カルディナーレ、ヘルムート・バーガーなど名だたる男優・女優が、ルキノ・ヴィスコンティ監督の演出に個性ある最高の演技で応え映画の役柄を見事に演じています。
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by blues_rock | 2011-07-12 21:25 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)