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心の時空

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a day in my life

カテゴリ:映画(シネマの世界)( 848 )

名匠ジョン・マッデン監督(1949~、2005年「プルーフ・オブ・マイ・ライフ」、2011年「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」ほか名作多数)の最新作サスペンス政治劇映画「女神の見えざる手」(原題「Miss Sloane」)は、名女優
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ジェシカ・チャステイン(1977~、2013年「ゼロ・ダーク・サーティ」ほか多数出演)が、アメリカ政界(議会)に暗躍する辣腕女性ロビースト(政策立案陳情者)を熱演しています。
a0212807_2125737.jpg先日ご紹介した「アトミック・ブロンド」でシャーリーズ・セロンが、演じた女スパイのロレーン・ブロートンと同様、この「女神の見えざる手」でジェシカ・チャステイン演じる一匹狼の女ロビーストのエリザベス・シャローンもヒラメ社会(上目使い)に棲むヤワな男たちには、到底太刀打ちできないアラフォー女性の典型です。
a0212807_21433.png実際のエピソードをもとに初めて脚本を書いたイギリスの弁護士ジョナサン・ペレラの才能といい、デンマーク出身の撮影監督セバスチャン・ブレンコー(1972~)の秀逸な映像といい秀作映画の基本条件が、揃った映画です。
アメリカ議会(議員たち)への裏工作(ロビー活動)は、熾烈を極めており、各業界(利益団体)から高額で雇われa0212807_2143790.jpgたロヒーストたちにとり法案の実現(または廃案)だけが、‘勝敗’のすべてでした。
映画は、アメリカ政界に蠢(うごめ)く老獪にして海千山千の男性ロビーストたちを相手にエリザベスが、依頼を受けた仕事の達成(法案を通すこと=勝つこと)のためには、微塵の私情も入れず、常に計算し駆け引きしながら冷徹に利用できるものすべてを利用していく颯爽(さっそう)とした姿を描いています。
a0212807_2155913.jpg仕事だけの人生であるエリザベスに恋人は、なく一夜の男が、欲しくなるとエスコート(高級男娼)をホテルの一室に呼びセックスを済ませると仕事の邪魔とばかりにさっさと追い返すクールな女性でした。
大手コンサルタント(ロビー活動請負業)会社に勤め業界から畏敬の念で見られるロビーストであったエリザペスは、ある日、ライフル協会から依頼のあった銃規制の法案反対の仕事を巡a0212807_21133919.jpgり会社と意見が対立、彼女は、会社から解雇(クビ)を宣告されました。
銃規制の法案賛成の小さなロビー団体の代表シュミット(マーク・ストロング 1965~)は、ここぞとばかりエリザベスを引き抜き、彼女にこれまでと真逆の銃規制法案賛成の世論形成と議会(賛成派議員)の多数派工作を依頼しました。
a0212807_2114203.jpgマッデン監督は、演出にミステリーとサスペンスの要素をふんだんに取り入れ、登場する人物たちとエリザベスとの関わりやエリザベスが、触れられたくない過去のスキャンダルなども絡めながら映画は、二転三転どころか最後の最後までスクリーンから目が、離せない緊張感をもって展開していきます。
a0212807_21144970.jpgエリザベスに憧れるも過去に銃に対してトラウマを持つ研修生エヌメを演じるイギリスの女優ググ・バサ=ロー(1983~)と、エリザベスから共に移籍する誘いを断り会社に残り銃規制法案反対のロビー活動を続けるエリザベスの忠実な部下であったジェーンを演じるデンマークの女優アリソン・ピル(1985~)が、ジェシカ・チャステインと絡むシーンで見せる演技も秀逸でした。
by blues_rock | 2017-11-19 00:09 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
イギリスの巨匠リドリー・スコット監督(1937~)が、1982年に撮ったSF映画の傑作「ブレードランナー」は、スコット監督お気に入りの新宿歌舞伎町のイメージを膨らませて日本語の看板や風俗、日本語会話の飛び交う風情
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を撮り入れた日本情緒(ジャポニズム)たっぷりのSF映画でラストシーンも「床に置かれた小さな折り紙」を映して終わるという念の入れようでした。
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それから35年、続編の新作「ブレードランナー2049」は、独自のSF映像感性をもカナダの俊英ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督(1967~)が、演出を担いリドリー・スコット監督は、製作総指揮に回りました。
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新作も続編なので前回同様、当然人類の行く末を描いたデストピアSFながらスコット監督の「ブレードランナー」が、外連味(けれんみ)さえある煌びやかな“動”の演出であったのに対し、ヴィルヌーヴ監督の「ブレードラン
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ナー2049」は、侘しい風情の漂うストイックな“静”の演出でした。
昔より主な(見るに耐える)新作映画のほとんどを見る映画好きの友人は、‘前作が、良過ぎた。新作は、あまりa0212807_312555.jpg面白くなかった。’と感想を述べていましたが、私は、ヴィルヌーヴ監督が、自身の前作であるSF映画「メッセージ」で表現した静寂感を新作の「ブレードランナー2049」と同期させ、あえて“静”の「ブレードランナー2049」にしたのだろうと思いました。
2049年、デストピアとなった地球(カリフォルニア)を舞台に、ロサンゼルス市警察所属のブレードランナーで新型レプリンント(人造a0212807_3125349.jpg人間)の捜査官 K(ライアン・ゴズリング 1980~)は、社会を支配する企業組織ウォレス社(CEO役をジャレッド・レト 1971~、2013年映画「ダラス・バイヤーズクラブ」でゲイのジャンキーを演じアカデミー賞助演男優賞受賞)に反逆した旧型レプリカントを発見すると抹殺していました。
a0212807_3141719.jpgある日、抵抗組織のレプリカント(ロビン・ライト 1966~)が、営む農場で彼を抹殺したKは、木の根元に刻まれた文字とその地中に埋葬された人間の棺(ひつぎ)を発見しました。
棺に入っていた白骨化した死骸は、科学的法医学分析で帝王切開により死亡した女のレプリカントであることが、判明しました。
a0212807_3144490.jpgレプリカントの生殖(妊娠・出産)は、当時不可能とされウォレス社の人造人間(レプリカント)だけが、代用人間の生体創造と考えられていましたのでウォレスCEO始めブレードランナーのKは、動揺しました。
棺の中の死骸が、旧型レプリカントのレイチェル(ショーン・ヤング 1959~)で、彼女は、35年前ロス市警引退後、姿を消した元ブレードランナーのデッa0212807_316157.jpgカード(ハリソン・フォード 1942~)と密かに愛し合っていたことが、デッカードにより暗号化された記録の解析で分かりました。
ウォレスCEOは、ボディガード秘書の新型レプリカント ラヴ(シルヴィア・フークス 1983~)に子供の捕獲を命じ、レプリカント(人造人間)であるレイチェルと人間のデッカードとの間に生まれた子供の生体を分析し、さらに人間に近い最新型レプリカントa0212807_3192061.jpgを大量生産しようと考えました。
Kは、やがて子供の頃の断片的な記憶からその子供が、自分ではないかと思うようになりデッカードに真相を訊ねようと彼を捜しラスベガスの廃墟ビルで発見しました。
Kは、子供が、女の子でアナ・ステリン(カーラ・ジュリ 1985~)という名前と知り、自分に残る断片的な過去の記憶は、そう思い込ま
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せるために刷り込まれていたことに気が、付きました。
ウォレス社のラヴら追手もデッカードを見つけKとの激しい戦闘の末、デッカードを拉致し連れ去りました。
a0212807_3215667.jpgウォレスCEOは、デッカードに子供の居場所を教えれば、愛するレイチェルを再生すると約束しますが、デッカードは、拒否しました。
Kは、デッカードを救出し彼の娘マリエットが、保護されている建物まで送り届け、戦闘で負った瀕死の体を階段に横たえ灰色の空から降り続く雪を眺めました。
by blues_rock | 2017-11-17 00:07 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
この秋は、新作映画の佳作や秀作、良質な作品が、立て続けに公開されているので他のことは、放りだして映画館にかけつける毎日です。
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若き名優 ライアン・ゴズリング主演の話題作「ブレードランナー2049」と時に天与のエレガントな美貌を壊して熱演する名女優 シャーリーズ・セロン主演のスパイ・アクション映画「アトミック・ブロンド」のどちらを先に紹介しよ
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うかと迷いましたが、MI(エムアイ)6の凄腕女スパイ‘ ロレーン・ブロートン’を、同じイギリス諜報機関 MI(エムアイ)6の先輩007ジェームス・ボンド顔負けのクールにして過激なアクションを演じ見る者の度胆を抜いたシャーリーa0212807_2051248.jpgズ・セロン(1975~)の新作「アトミック・ブロンド」を今夜は、掲載することにしました。
シャーリーズ・セロンを一躍有名にしたのは、彼女の美貌とスレンダーな長身(177㌢)目当てにオッアァされるのが、セクシーなブロンドの役ばかりであることにうんざりしていた頃、パティ・ジェンキンス監督(脚本・監督)の2003年映画「モンスター」に出演(こちら参照) ‥ この映画a0212807_2063276.jpgに‘シャーリーズ・セロン’の美しい姿は、どこにもなく、醜く太った(役作りで14㌔肥満)殺人鬼を怪演し、アカデミー賞主演女優賞ほか、多数の映画祭で主演女優賞を受賞、私は、そのシャーリーズ・セロンの姿に、女優としてのプロ魂を強く感じそれ以来の大ファンになりました。
a0212807_2072880.jpg2012年のSF映画「プロメテウス」では、痩身の謎の女(ウェスト50㌢の衣装を装着)を演じ、2015年デストピアSF映画「マッドマックス 怒りのデス・ロード」で登場したシャーリーズ・セロンは、スキンヘッドにノーメークという出で立ち ‥ マッチョで勇敢なウーマン戦士ながら、なかなかセクシィで魅力的でした。
2017年の「ワイルド・スピード ICE BREAK」では、世界を容赦なく破壊していく極悪非道なサイバーテロリストをa0212807_2075862.jpgシャーリーズ・セロンが、顔色一つ変えず冷酷に演じ、そして新作の「アトミック・ブロンド」(製作・主演)は、そのクールさに加え‘長回し(ノーカット撮影)’による過酷な格闘シーンを披露、この凄腕女スパイ‘ロレーン・ブロートン’の役づくりにトレーニング・ジムに通い筋肉を鍛えながら格闘技も習得、男性相手のスパークリングを行ない、撮影では、歯を折りながらもスタンa0212807_201044100.jpgトを使わず自ら激しい格闘シーンを演じています。
シャーリーズ・セロンは、プロデューサーとして監督に、長編初監督ながら、これまでアクション映画のスタントマンや助監督キャリアのあるデヴィッド・リーチ(プロファィル不詳)を抜擢し自分の演じる女スパイ‘ロレーン・ブロートン’を近年の‘ジェームス・ボンド’をしのぐ‘ジェイソン・ボーン’並みのスパイ映画の主人公にしました。
a0212807_20115975.jpg映画の舞台は、1989年東西ドイツの国境であったベルリンの壁が、崩落するその頃、世界情勢に致命的な危機をもたらす工作員の極秘リストを何ものかに奪われ、イギリス諜報機関MI(エムアイ)6の凄腕工作員ローレン・ブロートン(シャーリーズ・セロン)は、リスト奪回の指令を受けました。
a0212807_20125693.jpgCIAの要人にアメリカの名優 ジョン・グッドマン(1952~)、ベルリンで時計職人を装うMI(エムアイ)6の連絡員をドイツの名優 ティル・シュヴァイガー(1963~、1997年製作・脚本・主演の西ドイツ映画「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」は秀逸)などが、アトミック・ブロンドと呼ばれるロレーン・ブロートンと絡み、極秘リスト奪回のためにソ連のKGB、東ドイツの諜報機関と丁々発a0212807_201359100.jpg止の策略により陰謀と裏切り(内部通報者の存在)の応酬を繰り広げ、映画は、なるほど‘そう来るか’のエンディングになります。
ローレン・ブロートン(シャーリーズ・セロン)の魅力は、危機察知能力と危険回避のための判断力に優れ、同時に身の回りにある物を瞬時に使って脱出する応用力の高さなどジェイソン・ボーンのような能力にあります。
a0212807_20143315.jpg格闘にしても女である弱点をロレーン・ブロートンは、肘で顔面を攻撃したり膝を狙って動けなくするなど、相手の急所を狙い、また相手の力を利用して投げ飛ばしたりと攻撃に無駄がなく、戦闘に慣れたプロの特殊工作員である動きを見せてくれます。
その壮絶にしてリアルなアクションシーンをデヴィッド・リーチ監督は、1シーン1カットの長回しで撮影、それに応えたシャーリーズ・セロンの女優魂に敬服いたします。
(右上写真 : 撮影の合間に談笑するデヴィッド・リーチ監督とシャーリーズ・セロン)
by blues_rock | 2017-11-13 00:03 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
アメリカの俳優 ジェイク・ギレンホール(1980~)は、まだ30代半ばながら‘性格俳優’(とくに‘壊れかけた精神状態’の演技力は抜群)として、希代の名優のひとりと言って良いでしょう。
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私が、ジェイク・ギレンホールを注目したのは、サム・メンデス監督(1965~、1999年アカデミー賞作品賞受賞 作品「アメリカン・ビューティー」は秀逸)が、2005年に撮った湾岸戦争を主題にした映画「ジャーヘッド」で演じた坊主a0212807_1283644.jpg頭でギョロ目の海兵隊兵士役でした。
以来、ジェイク・ギレンホールが、主演した映画は、2001年SFスリラー映画「ドニー・ダーコ」から現在公開中の映画「ノクターナル・アニマルズ」(Nocturnal Animals 夜行動物)まで10数本見たように憶います。
新作「ノクターナル・アニマルズ」(トム・フォード監督・脚本)は、ジェイク・ギレンホールが、主人公の小説家志望の青年と劇中劇のa0212807_1305730.jpg主人公として登場、小説「ノクターナル・アニマルズ」の二人の主人公(二役)を演じていて、共演は、エイミー・アダムス(1974~)、マイケル・シャノン(1974~)、アーロン・テイラー=ジョンソン(1990~)と個性派の名優が、出演しています。
「ノクターナル・アニマルズ」は、ヴェネチア国際映画祭審査員特別賞を受賞した作品ですが、今夜のシネマは、a0212807_1325026.jpgジェイク・ギレンホールが、2014年映画「ナイトクローラー」で見せた‘壊れてしまった心の狂気(サイコパス)’を彼は、「ノクターナル・アニマルズ」よりその前の心理劇映画「雨の日は会えない、晴れの日は君を想う」(原題「Demolition」 破壊)でのほうが、その狂気により近く、しかも‘壊れていく’心の内側(心因的精神障害の症状)を繊細な演技で見せてくれます。a0212807_1331767.jpg
というわけで今夜は、「雨の日は会えない、晴れの日は君を想う」を採り上げたいと思います
私は、「ノクターナル・アニマルズ」も面白いと思いましたが、フォード監督は、ファッションデザイナーでもあるので‘エイミー・アダムス’を着せ替え人形(モデル)のように見立てた演出が、強調され過ぎ、静と動の主人公二役にジェイク・ギレンホール持ち味の‘壊れかけた精神’の演
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技は、あまり必要とされていませんでした。
プロット(構成と脚本)も本筋の主人公と劇中劇の主人公との違和感が、最後まで払拭できず、もう少しミステa0212807_1344265.jpgリー脚色されたスリラー映画にして欲しかったと私は、思います。
その点「雨の日は会えない、晴れの日は君を想う」のほうが、原題「Demolition」 (破壊)のとおりジェイク・ギレンホールは、次第に‘壊れていく’主人公の精神の変化を見事に演じていました。
監督は、カナダの名匠 ジャン=マルク・ヴァレ(1963~、2013年「ダラス・バイヤーズクラブ」、2014年「わたしにa0212807_135121.jpg 会うまでの1600キロ」)で、ヴァレ監督の演出をヴァレ監督作品の常連である撮影監督のイブ・ベランジェが、ある日突然の交通事故で運転していた妻を亡くし、後遺症の心因的精神(ストレス性パニック)障害により感情を制御できない夫 デイヴィス(ジェイク・ギレンホール)の空虚な心情を包み込むようにやさしく美しい映像で描いていきます。
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救急病院に搬送され妻の死亡を知らされたデイヴィスは、妻の死よりも病院待合室に置かれた自動販売機の不具合のほうが、気になり小さな自動販売機会社でクレーム受付係をしているシングルマザーのカレン(ナオミ・a0212807_1365254.jpgワッツ 1968~)と関わっていく二人のデリケートな演技、さらに義理の息子デイヴィスを心配する亡き妻の父親フィル(クリス・クーパー 1951~)との悲しみに対する確執など見応えのある心理劇映画です。
若き名優ジェイク・ギレンホールへの名監督からのオッファ(出演依頼)は、絶えず現在でも、ポスト・プロダンションの(公開準備をしている)映画が、スウェーデンの名a0212807_1381031.jpg監督 ダニエル・エスピノーサ(1977~)のSF映画「ライフ」、アメリカの鬼才監督 デヴィッド・ゴードン・グリーン(1975~)によるボストン・マラソンのテロ事件で下半身を失くした男性が、モデルの伝記映画「ストロンガー」と私は、一刻も早い公開を心待ちにしています。 
(上写真 : 撮影の打合せをするジャン=マルク・ヴァレ監督とジェイク・ギレンホール)
by blues_rock | 2017-11-11 01:11 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
a0212807_214491.jpg第一部と第二部は、主人公梶が、満州の鉱山に着任するや非人道的な扱いを受け奴隷のように酷使されている特殊工人(拉致された中国人)に同情したため、憲兵(軍)に睨まれ、会社からも徴兵免除約束を反故にされ梶に赤紙(召集令状)が、届くところで終わります。
第三部と第四部は、敗戦濃厚な中、ソ連との国境の最前線に設営された駐屯地で古参兵による新兵への理不尽かつ執拗な虐(いじ)めが、繰り返されていました。
一等兵になっても兵舎の中で貫く梶の人間性(是を是、非を非とする正義感)を小林監督は、徹底したリアルな演出で描いていきます。
昭和20年8月15日連合国に無条件降伏した日本にソ連は、日ソ中立条約を廃棄して襲いかかり、圧倒的な軍事力で満州に侵攻、銃弾も食糧も尽きた日本軍兵士たちは、多数のソ連軍戦車の前にバタバタと倒れ死んでいきました。
瀕死の中どうにか生き残った梶は、妻 美千子に再会するまで何としても生き残り犬死しないと決意、戦死したa0212807_2174866.jpg同朋兵士の屍体が、累々と横たわる中を鬼面のような表情で歩く梶の姿を映して終わります。
完結編の第五部と第六部は、撮影監督 宮島義勇のカメラが、さらに冴えすばらしく固定カメラの映像からクローズアップへ、カメラは、さらに寄ってビッグ・クローズアップ、また横から顔の半分、体の半分を光のコントラストにより映し背景のない顔だけをローアングル・ショットで撮り、さらに斜めから撮るa0212807_21115620.jpgダッチアングル・ショットなど今では、多くの撮影監督が、見せる高度な撮影テクニック(=斬新なカメラワーク)を宮島撮影監督は、半世紀あまり前に駆使して見せてくれました。
そういう意味からも「人間の條件」完結編の第五部と第六部は、イタリアレアリズモの名作や傑作映画と比較しても引けを取らない映像で表現され非常に完成度の高い作品であることを見るa0212807_21124121.jpg者に教えてくれます。
戦場で追いつめられた梶は、理性を捨てました。
理不尽な残虐行為に対しては、復讐し生き残るために人の物を盗み、さらに成り行きで人を殺すようになりますが、梶は、常に自らの行い悔い苦悩します。
映画のラストシーンは、心の中の愛しい妻 美千子に語りかけ妻 美千子の面影を追いながらシベリア雪原を歩き、理想の人間になれなかった自分を悔やみ遂に力尽きて死んでいきました。
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「人間の條件」は、9時間半にも及ぶ超大作ながら小林監督の演出に手抜きが、まるでなく、映画の緊張感(テンション)と迫力(インパクト)は、最後まで見る者の心をスクリーンに惹きつけて終わります。
a0212807_21141872.jpg娯楽といえば、映画が、一般的であった時代、普通の映画館で公開された「人間の條件」は、大ヒットしていますので、映画としての質の高さが、うかがい知れると思います。
by blues_rock | 2017-11-08 00:08 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
a0212807_20124484.jpg福岡市総合図書館 映像ホール(シネラ)の11月は、日本レアリズモの巨匠小林正樹監督(1916~1996)特集で中でも私が、どうしてももう一度見たいと長年思い続けていた小林正樹監督の代表的な作品で日本レアリズモの最高傑作にして日本映画史不朽の名作「人間の條件」(全上映時間 9時間31分の6部作)も一挙二日連続で上映されるので駆け付けました。
原作は、1956年(昭和31年)から1958年(昭和33年)に発表された作家 五味川純平(1916~1995)の自伝的小説「人間の條件」(全6部作)です。
小林正樹監督自身も満州引揚者であることから先の戦争(注:第2次世界大戦、日本でいう太平洋戦争が、間違いで、太平洋海戦は、主にアメリカを敵国にした第2次世界大戦の一部)で、何百万人と云う日本国民が、満州やシベリアあるいは、a0212807_2013471.jpg東南アジア各地で艱難辛苦の末に死んでいった(戦死したり餓死したり軍に虐殺されたりした)事実を小林監督は、自ら製作・脚本(松山善三、稲垣公一と共同執筆)・監督して自分の信念を貫き徹底したリアリズムにより映画を撮り、3篇(トリコロジー)6部構成の全9時間31分という超長編映画として発表(1959~1961)しました。
映画は、全編モノクロ(白黒)映像ながら見事なまでにリアル、光のコントラストが、美しい映像(撮影監督 宮島
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義勇 1909~1998)です。
軍国主義の凄まじい暗黒の時代(映画の舞台は、昭和18年満州の過酷な鉄鉱石採掘現場から昭和20年冬の
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悲惨なシベリア捕虜収容所まで)にあって“必死に正気の人間であり続けようとする” 主人公の梶(仲代達矢 1932~、撮影当時27歳ながら小林監督を唸らせたほど完璧な演技は必見)の人生を「第1部 純愛編」と「第2部 a0212807_20173047.jpg激怒編」(207分)、「第3部 望郷編」と「第4部 戦雲編」(176分)、「第5部 死の脱出」と「第6部 曠野の彷徨」(188分)の3篇構成で描いています。
6部すべてに出演するのは、主人公の梶を演じた仲代達矢だけですが、梶をこれでもかと襲う地獄のような劣悪な環境と艱難辛苦の中で彼に‘必死に生きようとする力’を与えるのは、妻の美千子を演じる新珠美千代(1930~ 出演時29歳、清楚な姿が美しい)、その他にも当時の錚々たる名優・名女優たち(映画の詳細と出演者は、こちら)が、それぞれ善役・悪役として出演し秀逸な演技で脇をしっかり固め見応え十分、反戦映画どころか娯楽映画としても一級品です。
a0212807_20201127.jpg私は、1979年(昭和54年)にテレビ東京開局15周年記念の特別番組として映画「人間の條件」6部全編上映(CMや休憩入れて12時間の放送)を見ましたが、記憶に残るのは、シベリアの捕虜収容所で日本の敗戦を知った梶が、自分を慕う新兵の「国が滅びますね」と云うセリフに「国って何だね?」と問い返した言葉だけ記憶していました。
真に自由主義者であろうとする梶にとっては、理不尽にして愚劣極まりない「軍」という暴力組織こそが、極悪非a0212807_20205148.jpg道にして諸悪の根源でした。
日ごろあまり映画を見ない方からもし私に‘生涯うち何か映画を一つ見るとして何を薦めますか?’と尋ねられたら「人間の條件」と答えるでしょう。
映画を要約すると昭和18年(終戦の2年前)、主人公の梶は、徴兵免除を条件に満州の鉱山に新妻の美千子と赴任するも中国で強制連行された特殊工人と呼ばれる中国人たちを奴隷のように扱う満州の鉄鉱石採掘現場の憲兵や日本人親方に反発したことで会社から徴兵免除を反故にされ召集a0212807_20213561.jpgされるとソ連との国境最前線に送られました。
梶は、満州陸軍(通称関東軍)の二等兵新兵として古参兵たちの残虐な暴力(シゴキという暴行)に耐え、ソ連軍との戦闘で‘犬死’しない(生き残る)ために降伏、ソ連赤軍に拉致されシベリアの捕虜収容所に連行されました。
捕虜収容所でも梶は、共産主義国家ソ連へ、同胞のシベリア捕虜収容所兵士へ人道的な扱いを求めますが、a0212807_20241888.jpg独裁者スターリンの肖像のかかるシベリアの捕虜収容所もまた極悪非道な「軍」組織で非人道的な扱いでした。
絶望した梶は、極寒のシベリア捕虜収容所から逃亡、妻美千子のところへ帰るため荒涼たるシベリアの雪原を歩き続け妻美千子を想いながら力尽きて倒れ死んでいきます。 (後編に続く)
by blues_rock | 2017-11-07 00:07 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
シリアル・キラー(連続殺人犯)が、出没するスコットランドのグラスゴーで、とある理髪店で起きた店主殺しと従業員ふたりの連続失踪事件に絡んだシリアスにして人を喰ったような超辛口の2015年製作(2017年日本公開)
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のブラック・コメディ映画「バーニー・トムソンの殺人日記」(原題「The Legend of Barney Thomson」バーニー・トムソンの伝説)は、コメディ映画好きの方にお薦めしたい映画です。
a0212807_17525260.jpg長編映画初監督と主演をイギリス(グラスゴー出身)の舞台監督で俳優のロバート・カーライル(1961~ 1997年コメディ映画「フル・モンティ(素っ裸)」主演)が、この理髪店で働くベテランながらへそ曲がりで冴えない中年男バーニー・トムソンを軽妙に演じています。
未解決のシリアル・キラー(連続殺人犯)事件の容疑者としてバーニー・トムソンを執拗に追う刑事にレイ・ウィンa0212807_17554721.jpgストン(1957~)、容疑者である息子バーニーを助けるどころか事あるごとに足を引っ張る母親にエマ・トンプソン(1959~)、刑事のライバルとして手柄を奪おうとする女刑事にアシュレー・ジェンセン(1969~)など、いずれ劣らぬ芸達者な個性派ぞろいの名優・名女優たちの演技バトルは、必見です。
a0212807_17565939.jpg緻密な脚本とテンポの好い演出でバーニー・トムソンが、予期しない事故で理髪店主を殺してしまい、死体の処置に困り果てたバーニー・トムソンは、母親に相談、彼女の指示通りに死体を自宅の冷凍庫に運ぶと、他にも別の死体が、ありました。
バーニー・トムソン自身は、悪意も殺意もないものの結果的に次々と殺人を引き起こしていく負(死)のスパイラa0212807_17572893.jpgルに巻き込まれていく笑えない姿を描いています。
この映画の詳細をあまり書き過ぎるとこの映画のブラックでシニカル(冷笑的)なコメディの面白さ(見どころたくさんのコメディアスなシーン)を半減させてしまいますのでここらで今夜のシネマの世界は、お終いにします。
by blues_rock | 2017-11-05 00:05 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
a0212807_281183.jpgニュー・ジャーマン・シネマの代表的な監督ヴェルナー・ヘルツォーク(1942~、1972年「アギーレ/神の怒り」)が、2009年に撮った(監督と脚本の)サイコスリラー映画「狂気の行方」(原題「My Son, My son, What Have Ye Done」 息子よ、おまえは、何てことをしたの?)は、1979年アメリカで実際に起きた母親殺害事件からヒントを得て製作されました。
製作総指揮に‘カルトの帝王’の異名をとるデヴィッド・リンチ監督(1946~)、主演が、精神疾患者や不気味なサイコパス男を演じたら今やこの俳優以上の俳優は、見つかるまいと云えるマイケル・シャノン(1974~、2011年「テイク・シェルター」、2016年「ミッドナイト・スペシャル」など)と役者が、揃えば、どんなサイコスリラーかと期待で映画を見る前からぞくぞくします。
「狂気の行方」は、同年のヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞(グランプリ)を受賞しています。
映画は、1979年のカリフォルニア州サンディエゴの閑静な住宅地が、舞台です。
a0212807_291222.jpgパトロール中の刑事ハンク(ウィレム・デフォー 1955~)は、殺人事件が、発生し犯人は、人質を取って自宅に立てこもっているという緊急発動の指令を受けました。
ハンクが、現場に着くとフラミンゴのいる奇妙な家に母親を殺した舞台俳優のブラッド(マイケル・シャノン 奇怪なマザコン男が秀逸)が、人質を取り立てこもっていました。
殺された母親(グレイス・ザブリスキー 1941~ 変質的な過保護ママぶりが、不気味)は、一人息子のブラッドを
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溺愛し大人になっても過保護で口うるさく接し隣近所からも変わり者という評判でした。
SWATも到着し物々しくなる中、ハンクと彼の相棒ヴァーガス刑事(マイケル・ペーニャ 1976~)は、奇怪な行動をするブラッドa0212807_2122981.jpgを説得します。
事件を聞きブラッドの婚約者で舞台女優のイングリッド(クロエ・セヴィニー1974)と彼の所属する劇団の演出家リー(ウド・キアー1944)が、現場に駆け付けました。
ハンクは、ブラッドを良く知る二人から彼が、犯行に至るまでの犯人像を事情聴取します。
a0212807_213828.jpg映画を見る者は、刑事のハンクと一緒にイングリッドとリーの二人から語られるハンクと彼の母親にまつわる話(いろいろなエピソードのフラッシュバック)を聞くうちに次第に彼らの異様な関係とハンクの精神疾患に気づきます。
映画は、冒頭ウィレム・デフォーとマイケル・ペーニャ演じる二人の刑事が、登場するシーンから胡散臭く、殺人a0212807_2134222.jpg事件発生の無線連絡を受け現場に急行、犯人特定から過去をフラッシュバックさせていくうちに顕われていく異様な空気感は、ヘルツォーク監督の演出であっても製作総指揮を担うデヴィッド・リンチ監督の雰囲気が、色濃く滲んでいると思いました。
発狂した精神疾患者でも自由に銃を持ちいつでも乱射できる(無差別大量殺人できる)アメリカ銃社会の悪しきa0212807_4163745.jpg病巣は、深く暗澹たるもの、一番深刻なのは、アメリカ国民の多数に問題を解決しようとする強い意思が、ないことでしょう。

(左写真 : 左ヴェルナー・ヘルツォーク監督 と右製作総指揮デヴィッド・リンチ監督)
by blues_rock | 2017-10-30 01:30 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
今や世界映画界の巨匠の一人となったイギリス出身の映画監督クリストファー・ノーラン(1970~)の長編2作目となるのが、2000年のサスペンス・スリラー映画「メメント」(原題「Memento」)で、今や独自のノーラン・ワールド
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を築くノーラン監督の出発点といえるメモリアル作品と云って良いでしょう。
原作は、ノーラン監督の弟にして脚本家ジョナサン・ノーラン(1976~)の短編小説「Memento Mori」(ラテン語で
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「死を忘れるな」)をノーラン監督が、一人で脚本を書き(大抵弟ジョナサンと兄クリストファーとのノーラン兄弟共同脚本)、監督した映画です。
a0212807_20393157.jpg撮影監督は、ノーラン監督の盟友にしてノーラン作品の常連カメラマン ウォーリー・フィスター(1961~)です。
原作と脚本そして演出が、すばらしく、映画の物語は、終わりから始まりへと時系列(時間経過)を逆行して構成して行くのでしっかり見ていないと置いて行かれます。
映画のプロットは、自宅に押し入った暴漢が、妻をレイプし殺害、主人公のレナード(ガイ・ピアース 1967~)は、犯人の一人をa0212807_2040549.jpg射殺しますが、もう一人の犯人に突き飛ばされ頭を強打、レナードは、その後遺症で事件当日以降の記憶が、抜け落ち、新しい記憶も10分くらいしか維持できない記憶障害に苦しみます。
犯人を捜し出し復讐しようとするレナードは、記憶すべきことをメモし出会った人物の顔や行った場所をポラロイド写真で記録、余白に自分にとり必要なことをメモにして書きa0212807_20404129.png残していました。
さらに決め手となる重要な名前や場所、番号などは、自分の身体のいたるところに喪失しないよう刺青にして保存していました。
それでも自分の身の回りで目まぐるしく変化する環境に順応していくのは、難しく、時に混乱して自分に近づく人物や一切の出来事に対し疑心暗鬼を募らせていきます。
a0212807_2041848.png本当に信用できる人物は、一体誰なのか‥、真実は、一体何なのか‥、エンディングが、映画の冒頭シーンに還り映画は、終わります。
共演者として「マトリックス」シリーズのトリニティー役で有名なキャリー=アン・モス(1967~)、地味ながら多くの映画に出演している名脇役のジョー・パントリアーノ(1951~)などが、しっかり脇を固め見応えのある一級のサスペンス・スリラー映画にしています。
by blues_rock | 2017-10-28 00:08 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
a0212807_22223461.jpgボスニア・ヘルツェゴビナ(サラエボ出身)の鬼才映画監督にして名優でもありミュージシャン(自分のバンドをもつ)の顔も持つ才人エミール・クストリッツァ監督(1954~)の情熱あふれる奇想天外な最新作「オン・ザ・ミルキー・ロード」(原題:On the Milky Road、脚本・監督・主演)を公開初日に見ました。
エミール・クストリッツァ監督は、カンヌ国際映画祭最高賞の‘パルムドール’を2回、ベルリン国際映画祭‘銀熊賞’、ベネチア国際映画祭‘銀獅子賞’と世界三大映画祭での受賞キャリアが、あり「オン・ザ・ミルキー・ロード」は、9年ぶりの新作で、この作品も才人監督(もしかしたら天才)の面目躍如です。
2017年映画を代表する名作として映画史に残るのは、間違いありません。
a0212807_22265439.gif映画のプロットは、シリアスにしてコメディ、リアルにしてシュール、ファンタジーにして悲劇ながら、何種類もの動物たち(実写だから凄い!)が、次々に登場するおとぎ話のようで大人の寓話‥そう「オン・ザ・ミルキー・ロード」は、詩人にして哲学者エミール・クストリッツが、‘映画を道具’にして人間の善と悪、愛と人生、絶望と希望を描く大人の寓話(メルヘン)なのです。
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詳しくは、映画の公式サイトをご覧いただくとして映画の見どころを述べますと、ボスニア・ヘルツェゴビナと思しき‘ある国’の不条理な内戦(44%のイスラム教ボシュニャク民族、33%のギリシャ正教セルビア民族、17%のカa0212807_223036100.jpgトリック教クロアチア民族、6%のその他民族の宗教的民族対立)下、ノバに乗り肩にハヤブサを留まらせ戦場の兵士らにミルク運搬の仕事をしているコスタ(エミール・クストリッツァ 1954~)には、自分の雇い主である若く美しい村娘ミレナ(スロボダ・ミチャロヴィッチ1981~)という恋人‥と云うよりミレナは、彼女に言い寄る他a0212807_22325259.jpgの男たちに見向きもせず、ノバに乗り肩にハヤブサを留まらせ飄々とミルクを運ぶ寡黙なコスタが、好きで戦争に行った兄の帰りを待って兄と一緒に結婚すると決めていました。
ある日、怪しげな男たちが、難民キャンプからミレナの兄の花嫁という美貌の女(モニカ・ベルッチ 1964~、30代半ばの「マレーナ」、50代の「サイの季節」の美しいこと!)を村に連れて来ました。
a0212807_2238153.jpgコスタは、その花嫁と出遭った瞬間、運命的なものを感じ、彼女もまた自分の境遇と似たものをコスタに感じました。
やがて二人は、静かに愛し合うようになりました。
そんな折、内戦の和平協定締結により戦士として英雄視されているミレナの兄ジャガ(プレドラグ・マノイロヴィッチ 1950~)が、戦場から帰って来ました。
ミレナは、さっそく自分とコスタ、兄ジャガと花嫁の結婚式に執りかかりました。
a0212807_2243691.jpg一方、兄の花嫁を難民キャンプで見染め自分の女にしようとする多国籍軍のイギリス軍司令官は、彼女を拉致してイギリスに連れ去ろうと村に特殊部隊を送り込みました。
和平協定が、あるにも関わらず村は、多国籍軍(イギリス軍)の激しい攻撃を受け、ミレナとジャガが、虐殺されa0212807_22442649.jpgました。
生き延びたコスタと花嫁は、生きるために特殊部隊の追跡から逃れ必死の逃避行を続けました。
クストリッツァ監督は、1929年ユーゴスラビア王国となった祖国(1946年ユーゴスラビア連邦共和国)が、わずか20年前の2006年、7共和国に分離し独立(ボスニア・ヘルa0212807_22471042.jpgツェゴビナも今やその1国、5つの民族が、暮らし4つの言語と3つの宗教、2つの文字をもつ複合国家)、さらにあろうことか、昨日まで異民族も異宗教ながら隣人友人であった者同士が、お互いを排除し民族浄化しようと戦争をする愚劣な国家になったことを嘆き悲観するもかっての同胞a0212807_22474323.jpgたちに「暴虐に屈するな! しなやかに生きろ!」と支配者と被支配者を戯画し現実を痛烈に風刺しています。
無国籍ミュージックバンド「エミール・クストリッツァ&ノー・スモーキング・オーケストラ」(クストリッツァ監督も一員でギター担当)の“ウンザ・ウンザ・ミュージック”が、ブラッa0212807_22482231.jpgクにしてセンチメンタルな大人の寓話に深い滋味を与えています。
音楽監督は、クストリッツァ監督の息子ストリボル・クストリッツァ(バンドのドラム担当)で、バルカンの民族音楽、パンクロック、ジプシージャズ、スカなどが、混在したエスニックな音楽(サウンドトラック)を作曲しています。
a0212807_225324100.jpg撮影監督のゴラン・ボラレビッチとマルタン・セクの二人、クストリッツァ監督作品の編集・音響を担うスヴェトリク・ミカザイッチなど鬼才
エミール・クストリッツァ監督(右写真)のまわりには、「類が類を呼ぶ異色の才能」が、集まっています。
by blues_rock | 2017-10-24 00:24 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)