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心の時空

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a day in my life

カテゴリ:映画(シネマの世界)( 762 )

正にフランス映画の名匠と呼ぶにふさわしい異才ジャック・オーディアール監督(1952~)の映画を私が、初めて見たのは、2009年作品「預言者」(原題 Un prophète)でした。
a0212807_2353842.jpgこの映画「預言者」が、醸し出す特異なテンション(主人公のアナーキーな雰囲気、)に惹き込まれ、2005年の「真夜中のピアニスト」(原題 De battre mon coeur s'est arête)以降の作品 ~ 2012年の「君と歩く世界」(原題 De rouille et d'os)、2015年の「ディーパンの闘い」(原題 Dheepan)とオーディアール監督作品を見ましたが、いずれもお勧めしたい秀作映画です。
オーディアール監督演出の特長である‘精神の表情’を撮るカメラも抜群で、名撮影監督ステファーヌ・フォンテーヌ(「ディーパンの闘い」は、女性撮影監督エポニーヌ・モマンソー 1985~)は、オーディアール監督の演出を‘どう撮れば良いのか’先刻承知といった感a0212807_20574279.jpg性で演じる俳優(女優)たちの感情の機微(表情のニュアンス)を秀逸な映像で撮影しています。
併せて、どの映画の出演者たちも個性豊かで抜群の演技力をもつ俳優(女優)ばかり‥「映画の質は、監督、脚本、出演者で決まる」は、私の持論ながらカメラもふくめオーディアール監督の作品が、すべて秀作なのは、うなずけます。
a0212807_20582435.jpg2009年作品の「預言者」は、カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞、人種対立の激しい刑務所に入所した新入り受刑者で無学な19歳のアラブ系フランス人青年マリクが、命の危険にさらされながら獄中を生き延び、次第に権力を握っていく過程を描いています。
主人公のアラブ系青年マリクを熱演したのは、当時無名の若手俳優タハール・ラヒム(1981~)で、この映画で一躍有名になりました。
コルシカ系ギャングのボスを演じたのが、オーディアール監督作品に無くてはならないベテラン俳優ニエル・アレストリュプ(1949~)でいつもながらの風格ある渋い演技で存在感を出していました。
a0212807_20585318.jpg「預言者」の前作が、2005年作品の「真夜中のピアニスト」で、この映画(こちらが先ながら)にもニエル・アレストリュプは、出演し怪しげな不動産ブローカー業を営む主人公トム(ロマン・デュリス 1974~ 1997年映画「ドーベルマン」に出演)の父親役で出演、フランスに暗躍するロシア人悪徳資産家の債務に苦しむ父のロベールを好演しています。
a0212807_20593177.jpgトムは、子供のころに挫折したピアニストへの夢が、ふとしたきっかけで目覚め、仕事もそっちのけでのめり込み、狂気と紙一重への精神状態に陥っていく青年トムをロマン・デュリスが、熱演しています。
2012年作品「君と歩く世界」(原題の De rouille et d'os は「錆と骨」という意味)の見どころは、今やフランスを代表する名女優になったマリオン・コティヤール(1975~)と同様にベルギーを代表する名優であるマティアス・スーナールツ(1977~ 「闇を生きる男」主演、「クライム・ヒート」主演、「リリーのすべて」出演)二人の秀逸な演技です。
マリオン・コティヤール演じるシャチの花形調教師であったステファニーは、ショーの最中に事故に遭い両足膝a0212807_212152.jpgから下を切断、精神的な喪失感から生きる気力を失くしていました。
マティアス・スーナールツ演じる失業中のシングルファーザーアリは、人間的な欲望を一切隠さずそして何も考えない粗野な行動が、親戚縁者たちから疎まれていました。
a0212807_2133153.jpgそんな二人が、出遭い、殺伐とした社会と人間関係の中でステファニーとアリは、剥き出しの感情をぶつけ合い、そんな二人を包み込む陽の光の美しい映像が、瑞々しい生命の躍動感を際立たせています。
まわりの人びとは、両足に義足を着け松葉杖が、ないと歩けない失意のステファニーを憐れむような目で見ますが、アリは、彼女に同情することも哀れむこともせず、「両脚がない? それがどうした!?」 とばかりステファニーを口説き、外に連れ出し、セックスし終わると「セックスしたくなったらa0212807_21184657.jpgオレを呼んでくれ」とさっさと帰ります。
ステファニーは、そんなアリに愛想尽かしますが、粗野ながら孤独なアリは、号泣しながら自分の気持ちを剥き出しにして「見捨てないでくれ」とステファニーにすがりつきます。
オーディアール監督の最新作2015年作品「ディーパンの闘い」については、こちら をご覧いただけると光栄です。
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by blues_rock | 2017-04-04 04:04 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
「レザボア・ドッグス」は、奇才映画監督にして怪優のクエンティン・タランティーノ(1963~)が、1991年に監督デビュー(監督・脚本・出演、1993年監督2作目作品「パルプ・フィクション」でカンヌ国際映画祭パルム・ドール受
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賞)した新感覚のバイオレンス・クライム映画です。
カンヌで公開されたとき「心臓の弱い方は、観賞を控えてください」と告知されるくらい 過激な暴力描写の多い
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犯罪映画ながら丁寧な人間描写と時間軸の入り組んだプロットは、うるさ方の多いカンヌ国際映画祭に集まった世界中の映画人を唸らせました。
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この映画「レザボア・ドッグス」を撮った時、タランティーノ監督は、まだ28歳でした。
この映画の主人公となる6人の凶悪な宝石強盗たちの中でも、中心人物となるミスター・ホワイトを演じた名優a0212807_1318015.jpgハーヴェイ・カイテル(1939~、1993年の傑作映画「ピアノ・レッスン」が、とくに印象に残る)は、当時まだ無名であったクエンティン・タランティーノの脚本を気に入り出演を快諾しています。
タランティーノ監督は、映画マニアであった看護師の母親コニーが、16歳のときの子供で、親子いつも一緒に映画を見ていたことからその影響大きa0212807_13185073.jpgく、クエンティン少年は、14歳のとき脚本を書き、16歳になると劇団に入り演技を学びました。
‘三つ子の魂百まで’の例え通り、大監督になった今でもタランティーノ監督は、超多忙な映画生活にあっても熱狂的な シネフィル(映画マニア)で、日本映画への造詣も深く、また「クエンティン・タランティーノの映画ランキング」を見ると(私から見れば)信じられないような平凡な映画(玉石混交)もあり‥それにしてもこれだけの量の映画をよく見ることができるものだと感心します。
「レザボア・ドッグス」のストーリーは、銀行強盗のために集められたお互いに仲間の素性を知らない6人が、カラー(色)の名前で呼び合い、大手宝石店強盗を実行するも警察は、この宝石強a0212807_1319384.jpg盗計画をすでに知っていました。
激しい銃撃戦のすえ重傷を負って彼らは、アジトに逃げ帰って来ると一人が、「この中に密告者(警察の先入捜査官)がいる!」と叫びました。
そして、疑心暗鬼になった彼らは、お互い仲間すべてを疑いました。
前述のとおりタランティーノ監督自ら出演、ハーヴェイ・カイテル、ティム・ロス(1961)ほか、マイケル・マドセンa0212807_1320488.jpg(1958~)、クリス・ペン(1965~2006)、スティーヴ・ブシェミ(1957~)など名優・怪優が、出演しています。
「レザボア・ドッグス」は、斬新な感覚(ニュー・ウェィブ)のバイオレンス・クライム映画として次世代の若い監督たちに影響を与えた映画です。
by blues_rock | 2017-03-31 00:01 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
a0212807_1821075.jpg不治の病に侵された高齢の母親が、自分の強い意思で安楽死(尊厳死)を願い、それに狼狽(うろた)える息子の姿を描いたフランス映画「母の身終い」の監督ステファヌ・ブリゼ(1966~)が、再び名優ヴァンサン・ランドン(1965~)と組み、今度は、フランスの深刻な社会問題となっている高齢者の失業をプロットにした最新作「ティエリー・トグルドーの憂鬱」(原題「La Loi du marché」市場の法則)を撮りました。
哀愁を漂わせ鬱屈した雰囲気のある渋い中年男(高齢男性)を演じさせたら世界中見渡しても、フランスの名優ヴァンサン・ランドンに敵う俳優は、そういないと思います。
a0212807_18103016.jpg「ティエリー・トグルドーの憂鬱」の主人公ティエリー・トグルドーを演じられるのは、ヴァンサン・ランドンを於いてないというくらい実在感のある適役でした。
その証左にティエリー・トグルドーを演じたヴァンサン・ランドンは、カンヌ国際映画祭とセザール賞で主演男優賞をダブル受賞しています。
a0212807_18125391.jpg映画は、51歳にして長年働いていた会社から長引く不況のため解雇されたエンジニアのティエリー・トグルドーが、障害者の息子を抱えローンの返済もままならない厳しい現実に直面しているところから始まります。
彼は、お役所仕事の雇用促進センター(=職安)で、理不尽なたらい回しをされながら、ようやくスーパーの警備a0212807_1821877.jpg業務の仕事に就きました。
警備員の仕事は、監視カメラを常にチェックし買い物客の万引だけでなく同僚のスーパー従業員たちの不正も監視する業務でした。
携帯の充電器を万引きしたアフリカ系の若者、肉を盗んだ初老の男など貧困社会の底辺で暮らす人たちの惨めで小さな悪の描写は、あまりにも切なa0212807_18262440.jpgく、現在のフランス社会の不穏さを良く表わしています。
警備員のティエリー・トグルドーは、人を監視するという業務に就き、短い間に不毛で屈辱的な現実にぶつかりながらも人生の辛苦に不平不満を言わない妻とともに障害者の息子の自立に希望を託して不条理な現実に耐えていました。
a0212807_1827982.jpgある日、監視カメラによりレジ係のベテラン女性が、お客の不要な買い物ポイントを出来心で自分のカードに打ち込み、永年勤続による会社への貢献も考慮されず解雇されたことに抗議し社内で自殺しました。
この映画「ティエリー・トグルドーの憂鬱」の出演者たちは、演技経験のない素人たちで、映画のシーンに登場すa0212807_18375064.jpgる職安、スーパー、銀行などで実際に働いている人たちなのですこぶるリアリティが、あります。
ブリゼ監督は、イギリスのローチ監督作品やベルギーのダルデンヌ兄弟監督作品に見られる長回しカメラによるドキュメンタリーのような撮影で往年の‘イタリア・ネオリアリズモ’を彷彿とさせる秀作を撮りました。
a0212807_18382947.jpgとくに、トラッキングとフォローのカメラが、ティエリー・トグルドーを追っかけ、多様なクローズアップで彼の悲哀を見事に捉えています。
「ティエリー・トグルドーの憂鬱」は、名優ヴァンサン・ランドンの表情が、最大の見どころと云ってよい映画です。

              (上写真 : ステファヌ・ブリゼ監督とティエリー・トグルドー役の名優ヴァンサン・ランドン)
by blues_rock | 2017-03-27 00:07 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
イタリアの脚本家 エドアルド・ファルコーネ(1968~)が、47歳にして監督デビューした2015年のイタリア映画「神様の思し召し」(監督・脚本)は、2012年のフランス映画「最強のふたり」とどことなくプロットの似ているコミカルな
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人間ドラマの佳作です。
映画のイントロで、いきなりキレの好いハードロック・ギターが、流れ(劇中シーンの随所に流れドラマを盛り上げ
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る)、そしてテンポの良いカットの連続、さらに見ている者を煙にまくエンディングと、私は、ファルコーネ監督の初演出に ‘お主できるな’ と感心しました。
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名心臓外科医ながら傲慢な性格で徹底した無神論者さらに歯に衣着せぬ毒舌家のトンマーゾ(マルコ・ジャリーニ 1963~)は、医者になるとばかり思っていた大学生の息子の「神父になりたい」の一言で、彼の人生の歯車
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が、突然狂い始めました。
寝耳に水の、信仰心ゼロの医師トンマーゾは、父親のプライドから何とか平静を装いながらも卒倒せんばかりa0212807_14215634.jpgのショックを受け、長年連れ添った妻のカルラ(ラウラ・モランテ 1956~)に相談しますが、昔学生運動の過激派であったカルラは、更年期の自己喪失感からアルコール依存症で、心ここに在らず状態でした。
トンマーゾが、私立探偵を使って調べると息子は、刑務所帰りのカリスマ神父ピエトロ(アレッサンドロ・ガスマン 1965~)に心酔しa0212807_14223696.jpgていることが、分かりました。
心臓外科医として自信満々のトンマーゾは、日ごろから「人びとを救っているのは、医者の自分で神ではない」と公言しており、ピエトロ神父に「息子は洗脳されている」と思いこみました。
それからトンマーゾは、ピエトロ神父の正体を明かすため密かに近づき、手練手管でその正体を探ろうとしますが、そのことは、やがて自分自身と向きあうことになりました。
a0212807_14232797.jpg神と人生、家族愛というシリアスなテーマをコミカルな演出に徹して描く抜群の物語センスは、脚本執筆で培ったファルコーネ監督の優れた才能でしょう。
フランス映画「最強のふたり」が、おもしろかった方にお勧めするイタリア映画の新作です。
by blues_rock | 2017-03-23 00:03 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
質の良いドギュメンタリーをこれまで数多く発表し、昨今のテレビ局にあってメディアとして ‘レゾン・デートル(存在理由)’ の機能を発揮している東海テレビが、製作したドギュメンタリー映画の最新作「人生フルーツ」を福岡
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市天神のKBCシネマで見てきました。
監督は、ドギュメンタリー映画の名監督 伏原健之(1968~、東海テレビ・ディレクター)で、ナレーションが、名女
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優 樹木希林(1943~)、彼女の穏やかな淡々とした語りは、見る者の耳に心地よく入り心を和ませます。
主人公は、名古屋市郊外の高蔵寺ニュータウンに住まう、元日本住宅公団の建築家 津端修一氏90歳と妻のa0212807_19581726.jpg英子さん87歳の老夫婦です。
津端氏は、日本住宅公団のエース建築家として1945年の敗戦で焼け野原となり、住むところ(自宅)を失った日本国民に生きるため最低限必要な「衣・食・住」のうち ‘住’ を働く都市の郊外に住居(団地)として提供する役割を担い、多摩平団地、高根台団地ほか数多くの団地を設計施工してきました。
a0212807_2032934.jpgしかし、設計施工した建築家のほとんどが、そこに住まわず都心に住んでいることに疑問を感じ、津端氏は、自分の設計施工した名古屋市郊外の高蔵寺ニュータウン(丘陵を開発し宅地化したベッドタウン)に住まい50年、老夫婦が、「2人で1つの生き物」と笑顔で話し、90歳の修一氏は、87歳の妻英子さんを「人生最高のガールフレンド」と語り、これが、「人生フルーツ」のプロットa0212807_2073063.jpgである「この世は生きるに値する」を良く象徴しています。
淡々と老夫婦お二人の日常生活を映しただけの地味なドキュメンタリーながら伏原監督(と撮影スタッフ)との信頼関係は、深く相当なもので当初、津端修一氏にテレビ(取材と撮影)への嫌悪感も少しあったようで、頑なに拒否されたようですが、伏原監督と長い時間かけて語り合い、a0212807_209879.jpg次第に胸襟を開かれ撮影を許されたとのこと、映画は、静謐そのもので終始、そこには、穏やかで和やかな 空気と寛いだ時間が、流れています。
修一氏は、高蔵寺ニュータウンの基本設計に地形の面影を留め、風の通る雑木林の広い公園を入れましたが、高度成長期の経済(コスト)合理主義によって否定され、高蔵寺ニュータウンa0212807_2010193.jpgの宅地造成のために山は、削られ谷が埋められました。
そのとき、修一氏と英子さんのお二人は、高蔵寺ニュータウン造成地の一区画に土地300坪を購入、ワンルーム30畳の木造平屋を建て、自ら里山再生のロールモデル(行動の実践)を人生の後半生50年の暮らしで実践しました。
a0212807_2012324.jpg今では、雑木林に囲まれた木造平屋と果樹林に囲まれた畑は、野菜 70種と果実 50種が、育つキッチンガーデンになっています。
最近流行りのスローライフやロハスを声高に唱えるエセ自然派や環境保護家とは、異質の人生美学 < できるものから小さくコツコツと実践する哲学、いつも笑顔で時をためてゆっくり取り組んでいくa0212807_20131664.jpg信念 > が、あります。
長年連れ添った老夫婦にあっても、それぞれ‘個の意思の尊重’は、人生に貫かれ、毎日の朝食にしても修一氏が、ご飯と味噌汁なのに対して妻の英子さんは、自家製のジャムにトースト、ジャガイモ料理大好きな修一氏のためジャガイモ嫌いの英子さんが、畑でせっせとジャガイモを育てジャガイモ料理を作る、テーブルのa0212807_20332091.jpg置き方についても意見は、対立しますが、動かすうちに治まるところに収まります。
年金で自立し、畑で採れる野菜と果物で自活するお二人の食卓は、いつも豊かでお二人の暮らしに、四季折々の季節の風が、いつも吹いており、映画を見る私たちに爽やかな感動を与えてくれます。
a0212807_2034373.gif映画のラスト、佐賀県伊万里市にある心療内科精神科病院 山のサナーレクリニックから90歳の修一氏に届いたラブレターのような病棟設計依頼を受け、修一氏は、一切の謝礼なしを条件に引き受けられ設計の構想図面を描いている日の午後、普段の昼寝から目覚めず亡くなられました。
a0212807_10282890.jpgエンディング・クレジットでスペインの天才建築家 アントニオ・ガウディ、アメリカ最高の建築家 フランク・ロイド・ライト、フランスの鬼才建築家 ル・コルビュジエの建築理念が、紹介されます。
ガウディ、ライト、コルビュジエ、偉大な建築家の哲学は、いずれも ‘自然の中の建築’ でした。

(左写真 : 伏原健之監督と阿武野勝彦プロデューサー)
by blues_rock | 2017-03-21 00:01 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
ポーランドの鬼才イエジー・スコリモフスキ監督(1938~)が、撮った2011年作品「エッセンシャル・キリング」(監督・製作・脚本、ヴェネツィア国際映画祭審査員特別賞受賞)は、個性的な俳優(同時に音楽家・画家でもある)
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ヴィンセント・ギャロ(1962~)の秀逸な演技もあって見ごたえのある秀作映画でした。
スコリモフスキ監督(右下写真)は、カンヌ、ベルリンも入れ世界三大映画祭で各賞を受賞しているポーランドをa0212807_10293897.jpg代表する名監督です。
カナダの名匠デヴィッド・クローネンバーグ監督の2008年作品「イースタン・プロミス」には、俳優として出演しています。
さて、イエジー・スコリモフスキ監督の最新作(監督・製作・脚本)「イレブン・ミニッツ」もスコリモフスキ監督の面目躍如、映画は、ポーランドの首都ワルシャワで、ある日の午後5時から5時11分までの11分間に、お互い見知らぬ縁も所a0212807_10301933.jpg縁(ゆかり)もない老若男女14人の人生が、映画のラスト、偶発的に起きた出来事を発端に一つの大事件として連なり重なっていく群像劇を描いています。
スコリモフスキ監督の上手さは、映画を見ている者が、冒頭から「何か恐ろしいことが起こるよ、きっと」と予兆を感じるような不穏な空気を漂わせながら、主要な人物14人を登場させ、やがて彼らの身に起きる運命的な出来事を少しa0212807_10313329.jpgずつモザイク状に交錯させ、テンポ良く重ねて(クロスカッティングしながら)展開していくところにあります。
そして、14人全員が、彼ら各人の意思を超越した(自分ではどうにもならない)不条理な現実=カタストロフィ(悲劇的な結末)に向かって行動していく緊張感に見ている者の胸もまたシンクロして緊張していきます。
a0212807_10322356.jpg映画に登場するのは、女好きの映画監督、野心家の女優、嫉妬深い女優の夫、ホッドドッグ屋の主人、バイク便の男、登山家の女と男、救急車の女医、風景画を描く画家、強盗に失敗した少年、犬を連れた女と元ボーイフレンド、産気づいた妊婦で彼らの悲哀に満ちた一人ひとりの人生をカメラが、大事件の起きたある日常の午後5時から5時11分までを追います。
a0212807_10334717.jpg「イレブン・ミニッツ」は、いま世界のどこで、いつ、誰の身に起きても不思議ではない驚愕の運命に呑みこまれていく人びとを描いたリアルタイムサスペンス映画の秀作です。
鬼才スコリモフスキ監督独特の演出スタイルである限られた抽象的な空間、特殊な時間の設定などを見事な技術で映像化していく撮影監督ミコワイ・ウェブコウスキのカメラワークが、これまた秀逸です。
a0212807_10361690.jpgウェブコウスキ撮影監督が、多種多様なカメラアングルや撮影技術(ギミックなショット、スローモーションなど)で撮ったスコリモフスキ監督演出の映像(ショット)を音楽監督の現代音楽作曲家パヴェウ・ムィキェティンは、二人が、コラボレーションした映像に不穏かつ不吉なノイズ音や都市空間にあふれる街の音をシンクロさせ、見ている者にホラー感すら醸し出す効果を生a0212807_10364397.jpgんでいます。
時おり映る低空飛行する大型旅客機、空に浮かぶ黒い点のナゾ、ヒビの入った腕時計、壁の割れ目を這い上がっていく水、大きなシャボン玉、風に揺れるカーテンなど‥意味もなく現われる映像も名匠スコリモフスキ監督の‘鬼才’たる所以でしょう。
a0212807_10371047.jpg見る人によっては、退屈で難解な映画なのでしょう、「イレブン・ミニッツ」のレビューにこの映画を酷評した人のコメントが、散見されるも「この快感が、分からない人は、気の毒だ」と感想を述べている方もあり、私と同意見でうれしく思いました。
野心家の女優を演じたポーランドの女優 パウリナ・チャプコ(1985~)の美しさが、私の印象に残っています。
by blues_rock | 2017-03-19 00:09 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
フランス30代半ばの新鋭女性監督(と脚本)モナ・アタッシェ(1981~)が、撮った長編2作目の新作コメディ映画「レ・ガゼル」(Les gazelles)をアンスティチュ・フランセ・シネマで見ました。
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IF(アンスティチュ・フランセ)九州では、毎月1回、フランス若手の映画監督作品や作家性の強い(話題性はありながら商業的でない)未公開映画を上映しています。
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音響が、少し悪い(映画館ではないので仕方ない)のを除けば、800円(1グラス赤ワイン付き)でゆっくり新作を鑑賞できるのでフランス映画好きの私には、ありがたいことです。
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さて、アタッシェ監督の「レ・ガゼル」は、同じ若い女性の立場で、妙齢女性( アラサー < アラフォー )の「愛と孤独」をテンポの良いショットで描いていきます。 (映画冒頭のクレジットの見せ方が上手い!とまず感心。)
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主人公となる5人の妙齢の‘ガゼル’(アフリカのサバンナに棲む草食系の牛と鹿のハーフのような動物)たちは、全員ワケありで、現実と云うサバンナ(砂漠)で人生(自分と愛)を見失い、喪失感を抱いて暮し孤独感に苛a0212807_10212728.jpgまれていました。
マリー(カミーユ・シャモー 1977~)、サンドラ(オードレー・フルロ 1977~)、グウェン(アンヌ・ブロシェ 1966~)、ジュンヌ(ジョゼフィーヌ・ド・モー 1977~)、ミリアム(ネドラ・アヤディ)の5人は、それぞれが、抱える問題(ジコチューによるストレス)に抗う(争う、諍う)ため、弱いガゼルが、サバンナで群れるように夜a0212807_10214919.jpgな夜な集まり、タバコをふかし、酒をあおり、男漁り(ワンナイト・セックス)の乱痴気騒ぎをしていました。
映画の主題そのものは、在り来たりながらアタッシェ監督の演出が、テンポ好く洒脱で、とくに若い女性監督ならではのアッケラカンとした乾いたセックス描写は、ぷっと吹きだすくらい可笑しく、99分最後まで退屈しませんでした。
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モナ・アタッシェ監督(上写真)は、まだ30代半ば、少し意気込み過ぎて(肩に力が入り過ぎて)2、3箇所余計なショットもあったように思いますが、次の新作を楽しみにしています。
by blues_rock | 2017-03-17 00:07 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
韓国の鬼才(名監督)パク・チャヌク(1963~)が、監督・脚本・製作した最新作「お嬢さん」(The Handmaiden 侍女)は、エロティック(R18+)でミステリアスさらにサイコスリラーな映画でした。
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チャヌク監督は、イギリスの推理小説家 サラ・ウォーターズ(1966~)の歴史ミステリー「荊の城(Fingersmith)」をヴィクトリア朝のイギリスから1939年(昭和14年)の日本帝国統治下の朝鮮に舞台を移し、映画冒頭から旧い
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日本の封建的な陰鬱で不穏な空気を醸し出しながら、抑圧された社会の裏に蠢(うごめ)く、淫靡(いんび)で妖しい、猟奇的(変態的)にして官能的(猥褻)な韓国製日本映画(出演者は全員韓国人俳優でセリフも日本語7:a0212807_22525038.jpg韓国語3)の怪作を撮りました。
パク・チャヌク監督は、アメリカ(ハリウッド)でも高く評価され、2013年映画「イノセント・カーデン」でその才能を遺憾なく発揮、韓国の映画監督パク・チャヌクの名を広く世界に知らしめました。
いま、韓国映画の製作パワーは、全開でキム・ギドク監督(1960~)、キム・ソンス監督(1961~)、キム・ジウン監督(1964~)、ナ・ホンジン監督(1974~)、パク・フンジョン監督など映画に向かう彼らのエネルギー(情熱・技a0212807_22543284.jpg術・製作等)の奔流が、一見‘やりたい放題’のように見えながらも、韓国映画の製作者たちは、チンケな日本映画の製作陣のように‘内向き’で自己満足せず、人口5千万人の韓国(国内)から飛び出して世界を相手に ‘外向き’ に映画製作しているところが、すばらしい映画を生む原動力になっていると思います。
a0212807_22561880.jpgさて、チャヌク監督の最新作「お嬢さん」に戻して、映画のプロットは、三話構成で、黒澤明監督作品「羅生門」の原作である芥川龍之介の小説 ‘藪の中’ を想像させます。
チャヌク監督の演出は、俳優とくに女優に容赦なく、その凄さまじい演出を監督の盟友で名撮影監督チョン・ジョンフンのカメラが、淫靡(いんび)妖しく、輻湊(ふくそう)するそう猟奇的(変態的)で、猥褻な男女関係を官能あふれる耽美的な映像で撮っています。
美術監督(プロダクションデザイン)のリュ・ソンヒ(「国際市場で会いましょう」の美術監督)が、‘昭和余年の華族’の暮らしを再現した旧い邸宅の設えや室内外の調度品への時代考証もすばらしく見事なセットでした。
a0212807_2259447.jpg「お嬢さん」は、映画を見た人の感性で楽しむ典型的な作品なので前述した私の拙文を始めサイトに数多溢れる映画解説や感想の類など一切参考にしないほうが、自分の性的感受性(エロティシズム)の鮮度を守れると思います。
チャヌク監督の厳しい演出に応えたキャストは、主人公である深窓の華族令嬢 秀子にキム・ミニ(1982~)、その令嬢 秀子に仕える侍女 珠子(=a0212807_2322991.jpg詐欺師手下の娘スッキ)を新人女優のキム・テリ(1990~)が、全裸を厭わぬ ‘体当たり’ で演じています。
この令嬢 秀子と侍女 珠子の同性愛女性の復讐に対峙するのが、秀子の相続資産を狙って近づく藤原伯爵(ハ・ジョンウ 1979~ 「ベルリン・ファイル」主演)と秀子の後見人で猟奇的変態趣味をもつ叔父の上月(チョ・ジヌン 1976~)です。
a0212807_233395.jpgこの四人の騙(だま)し合いが、三話構成で変調しながらエロティシズムたっぷり(R18+)に妖しくダークな世界を描いていきます。
深窓の令嬢 秀子が、相続した莫大な資産を狙う藤原伯爵(韓国人詐欺師で孤児スッキのボス)を演じるハ・ジョンウ、幼い時に親を亡くした秀子を引き取り軟禁し、その時から露骨で卑猥な文言(性a0212807_2355064.jpgの俗語)のならぶ猥褻本を変態趣味の(性的倒錯した)男たちの前で朗読をさせるという性的虐待を強要する叔父を演じるチョ・ジヌン(サディスティックで卑猥な叔父を熱演)の二人は、若い女性二人の復讐と同性愛の官能(エロティシズム)を引き立てる役割を演じています。
若手女優キム・ミニの秀子と新人女優キム・テリの珠子(スッキ)が、演じるデープなセックス・シーンの撮影でa0212807_2364579.jpgは、二人をレスビアンのセックス演技に集中させるため部屋に照明スタッフの女性一人だけを残し、室外からチャヌク監督が、演出(演技指導)し、その映像をジョンフン撮影監督ほか製作スタッフたち全員は、室内のリモートコントロール・カメラが、映すモニターで確認するという気の使いようでした。
「お嬢さん」は、チャヌク監督の独特な美意識とフェティシズム(性的倒錯=「ジョルジュ・バタイユ著「眼球譚、マダム・エドワルダ」へのa0212807_2382229.jpgオマージュと推察)の情感が、溢れる佳作映画でした。 
出演した韓国の俳優(女優)たちは、映画の3分の2を占める日本語のセリフを相当苦労して憶えたに違いなく、彼らの努力が、報いられる流暢さだったにもかかわらず、やはり違和感は、歪めず、チャヌク監督作品「イノセント・カーデン」のように、日本人の名女優と名優をキャストして撮っていたなら、もっと妖しく淫靡な(猥褻a0212807_2395272.jpgな)生々しい韓国製の日本映画になったのではないかと私は、個人的に思っています。

(左写真 : 世界的な映画監督となった韓国映画のカリスマ パク・チャヌク監督)
by blues_rock | 2017-03-15 00:15 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
a0212807_21564345.jpg監督は、フランスの(オランダ出身の映像作家)ヤン・クーネン監督(1964~)で、20年前の1997年当時、ハイパーバイオレンスとスタイリッシュな(というよりコミック的な)アクション映画として話題になった怪作「ドーベルマン」を撮った監督と言ったら「ウソだろ!?」と思う方もおられるかもしれませんね。
それくらい当時33歳のヤン・クーネン監督が、長編映画にデビューした作品「ドーベルマン」は、過激な暴力、パンクな映像(斬新なカメラワーク)、ビジュアル・テクノサウンド音楽とどれも前衛的でインパクトが、ありました。
「ドーベルマン」を撮ってから12年後の2009年、クーネン監督は、その秀でた映像ならびに音楽センスの良さを発揮、秀作「シャネルとストラヴィンスキー」を発表しました。
「シャネルとストラヴィンスキー」の主演は、デンマークの名優マッツ・ミケルセン(1965~)です。
a0212807_215998.jpgマッツ・ミケルセンが、主演(または出演)した映画を私は、いままで12作品見ていますが、2009年に出演した「シャネルとストラヴィンスキー」と「ヴァルハラ・ライジング」をまだ紹介していませんでした。
「ヴァルハラ・ライジング」は、デンマークの鬼才ニコラス・ウィンディング・レフン監督の作品ですが、肉おどり血しぶき舞う壮絶なシーンも多く万人向けとは、言い難いので、それもあってマッツ・ミケルセンの「シャネルとストラヴィンスキー」をa0212807_2212497.jpg取りあげました。
「ヴァルハラ・ライジング」について簡単に述べるなら北欧神話(ヴァイキング時代のヴァルハラ信仰)をレフン監督ならではの赤い色調映像も交えたケレン味あふれる演出でマッツ・ミケルセン演じる片目の奴隷戦士ワンアイを‘雄々しく’描いたダーク・ファンタジー映画です。
一方、「シャネルとストラヴィンスキー」の監督クーネン監督は、マッツ・ミケルセンに主人公であるロシア出身のa0212807_2233363.jpg有名な作曲家イーゴリ・ストラヴィンスキー(1882~1971 フランスを経てアメリカに亡命、バレエ音楽「火の鳥」や「春の祭典」が有名)を‘女々しく’演じるよう演出、図らずも2009年の同じ年、二人の名監督が、逸材俳優マッツ・ミケルセンに真逆の主人公を演じさせているので見比べてみるのも映画の楽しみ方の一つです。
a0212807_2253886.jpg「シャネルとストラヴィンスキー」を紹介します。
クーネン監督は、「ココ・シャネルとイゴール・ストラヴィンスキー」の実話(ロマンス)を丁寧に演出、スタイリッシュなシャネル・モードを背景にしてクラシカルな映像で描いています。
ココ・シャネル(1883~1971)を演じたフランスのモデルで女優アナ・ムグラリス(1978~)が、実に素晴らしく全身a0212807_22252023.jpgから‘ベル・エポック(旧き良き時代)’を体現していました。
アナ・ムグラリスは、「ゲンスブールと女たち」で見事にジュリエット・グレコを演じていました。
現在シャネルのミューズ(専属モデル)でもあるアナ・ムグラリスは、時おりケイト・ブランシェットに似ていると感じるときもありましたが、「シャネルとストラヴィンスキー」のもう一人の主人公ココ・シャネルの凛とした演技も秀悦a0212807_22262561.jpgでした。
1920年パリでバレエ「春の祭典」再演の準備で神経質な38歳の作曲家ストラヴィンスキーを愛したシャネルは、女盛りの37歳でした。
当時すでに有名な服飾事業家として成功していたシャネルは、常に黒を基調にした知的にして艶やかなファッションでパリ社交界の花形でした。
1913年、ロシア革命でフランスに亡命したばかりのストラヴィンスキーが、初演した「春の祭典」は、音楽やバa0212807_2228538.jpgレエの振付が、前衛過ぎて不評だったにもかかわらずシャネルは、彼の才能を高く評価しました。
ストラヴィンスキーを音楽に専念させるためシャネルは、別荘(豪邸)を提供、ストラヴィンスキー一家の経済支援をして面倒を見ました。
ストラヴィンスキーは、妻を愛しながらもシャネルの女性らしからぬ堂々とした振舞いと彼女の色香(フェロモン)に惹かれ二人は、邸宅の中でも愛し合うようになりました。
ストラヴィンスキーは、妻とシャネルとの板挟みで苦悶しますが、夫とシャネルの関係を察知した妻は、子供を連a0212807_2234339.jpgれて別荘を出て行きました。
それを知ったシャネルは、ストラヴィンスキーと別れ、匿名で彼のスポンサーとなり支援を続けます。
映画は、二人の女を愛し苦悩する作曲家ストラヴィンスキーとシャネルへの愛に嫉妬する妻、ストラヴィンスキーの才能を愛したシャネル、この三人の織りなす心理劇です。
いまでは、あまりにも有名な香水「シャネルNO.5」の誕生エピソードも交え、シャネルモード(ファッション)満載の1900年代初頭のクラシカルな背景と併せた映像も見どころです。
by blues_rock | 2017-03-11 00:11 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
フランスの女性小説家タチアナ・ド・ロネ(1961~ 2010年フランスのミステリー映画「サラの鍵」の原作者)のミステリーロマンス小説「ブーメラン」を2015年にフランス監督フランソワ・ファヴラ(1967~)が、脚本を書き監督した
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新作映画「ミモザの島に消えた母」(原題 ブーメラン)を紹介します。
映画の舞台は、西フランス(ナント市)の北大西洋に面したノワールムーティエ島で‘ミモザの島’ と呼ばれてい
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ます。
本土とミモザの島をつなぐ長さ4.5㎞の砂州道路(海の中道)は、潮の干満により現われたり、消えたり(1日2回a0212807_8393637.jpg海に沈む)します。
30年前、ミモザの島に住む一人の女性が、海の中道で溺死しました。
彼女には、10歳の息子アントワーヌと幼い娘アガットが、いました。
アントワーヌは、40歳になった現在も母の死のトラウマを抱えていました。
祖母と父親は、二人の子供(兄妹)に母親の死(海での溺死)を封印し、当時の母ことについての一切を秘密にしていました。
a0212807_8431975.jpg成人してもなお精神分析医に通い払拭できない疑念(母親の死因を未だ知らないトラウマ)を父親にぶつける兄アントワーヌをローラン・ラフィット(1973~「悲哀クラブ」主演)が、秀逸な演技力でアントワーヌの鬱屈した心理を表現しています。
そんな兄を諌めながらも心配し行動を供にする気丈な妹アガット役をメラニー・ロラン(1983~ 2009年映画「オーケストラ!」のヴァa0212807_843496.jpgイオリニスト役は、美しく印象的 )が、好演しています。
「母は、なぜ満潮になろうとする砂州の道を渡ろうとしたのか?」アントワーヌは、病院で偶然知り合った遺体修復師の女性アンジェル(オドレイ・ダナ 1977~ 監督・脚本家・女優)が、教えてくれた溺死した遺体についての医学的な話から母親の死因を知りました。
a0212807_8443746.jpg映画は、30年前の過去と現在をフラッシュバックしながらファヴラ監督の緊張感あふれる見事な演出で家族の不毛を描いていきます。
「ミモザの島に消えた母」の真実は、先夜ご紹介しました「ダーク・プレイス」と同様、ミステリーなので映画をご覧になってのお楽しみにいたします。
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「ミモザの島に消えた母」の真相の方が、「ダーク・プレイス」より少しドラマティックかもしれません。
 (上写真 : 主演のローラン・ラフィットとフランソワ・ファヴラ監督)
by blues_rock | 2017-03-09 00:09 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)