ガール・オン・ザ・トレイン シネマの世界<第728話>
映画に登場する男たちの役割は、さして重要ではなく、刺身の端(つま)のようなものながら3人の女性それぞれに関わる女癖の悪い男(レイチェルの元夫=アナの現在の夫=メガンの愛人)だけが、ワサビの役割をします。
サスペンスを絡ませたスリラー映画なのでストーリーを述べると安易にネタバレするのでコアとなる3人の女性についてだけ簡単に説明したいと思います。
我が身を守るためなら平然と嘘をつき愛する人を深く傷つけても平気な女や男ばかりが、登場する(もちろん善人もいます)ので見る者の心中は、次第に不穏になるものの、そんなジコチューで嘘つきたちの内面と過去が、少しずつサスペンス&スリラー仕立てで、剥ぎ取られていきますので、推理ドラマが、好きな人には、たまらない映画と思います。
まず、主人公のレイチェル(エミリー・ブラント)ですが、元夫の子供を欲しかったのに妊娠せず人工授精するもいつも失敗、いつしか精神のバランスを壊しアルコール中毒になり泥酔しては、いつも問題を起こすも一切記憶していない(ブラックアウトしている)自分を自己嫌悪、そして忘れるためにさらに飲むという悪循環を繰り返していました。
レイチェルと離婚した夫は、愛人であったアナ(レベッカ・ファーガソン)とさっさと再婚し二人の間には、子供が、生まれていました。
アナは、ボランティアで留守中、近所に住むメガン(ヘイリー・ベネット)にベビーシッターを依頼していました。
レイチェルは、通勤電車の窓からアナたちが、暮らす家(かって自分の家)とその二軒隣に住まうメガン夫婦の幸せそうな暮らしぶりを眺めながら自分とメガンを重ね合わせ理想の夫婦を妄想していました。
ある日 レイチェルは、メガンが 自宅二階のポーチで他の男と抱き合いキスしている光景を車窓から見て憤怒し電車を降りました。
一方、アナは、愛人から妻になり母になったものの元夫へのストーカー行為と泥酔して自宅に現われるレイチェルに怯えていましたが、夫の携帯に頻繁に届くメールや夫の様子から自分に代わる愛人が、いることに気づきました。
さらに、メガンもまた過去に決して忘れることのできないトラウマを抱えており、精神分析医のカウンセリング(心のケア)を受けていました。
そんなある日、メガンの夫から「金曜日の夜から妻が家に帰らない」と警察にメガン失踪を告げる連絡と捜索依頼が、出されました。
警察は、泥酔したレイチェルが、金曜日の夜、メガンと言い争っているところを近所の住人から目撃されていることを告げ、やがて現場近くの森でメガンは、撲殺された遺体で発見されました。
殺人容疑をかけられたレイチェルですが、その時も泥酔しており翌朝、レイチェルは、顔に大ケガをして血まみれのわが姿に驚くものの何一つ記憶していませんでした。
アルコール依存症のレイチェルを演じたエミリー・ブラントの大きな目は、劇中どんよりしていて生気なく、さらに鼻先と頬が、いつも赤く、エミリー・ブラントのアルコール中毒症状の女性は、秀逸でした。
(右写真:撮影中のエミリー・ブラント)