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心の時空

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呼吸 ~ 友情と破壊  シネマの世界<第726話>

フランスの名女優メラニー・ロラン(1983~ 「イングロリアス・バスターズ」・「オーケストラ!」・「複製された男」・「ミモザの島に消えた母」ほか)の監督 第2作目となる2014年作品「呼吸 ~ 友情と破壊」をアンスティチュ・フラ呼吸 ~ 友情と破壊  シネマの世界<第726話>_a0212807_1052099.jpg ンセ九州で見ました。
アンスティチュ・フランセ(本部 パリ)は、世界中の支部(日本に5都市、九州は福岡にある)と一般劇場で上映しないような作家性の強い個性的な映画や若手で才能ある新進気鋭の監督作品をインターネットで繋ぎ上映しています。
5月の作品は、フランスを代表する美しき名女優メラニー・ロランが、監督した新作「呼吸 ~ 友情と破壊」でした。
ロラン監督は、「自己愛の強い倒錯者(精神疾患のひとつ「自己愛性人格障害」)のことを描きたかった」という映画のプロットを見事に表現したすばらしい作品でした。
メラニー・ロランは、まだ34歳、女優として今までに20作品以上の映画に出演しており早やベテラン女優の風格すらあります。
呼吸 ~ 友情と破壊  シネマの世界<第726話>_a0212807_11145138.jpg
監督メラニー・ロランは、この新作「呼吸 ~ 友情と破壊」が、長編映画2作目ながら映画センス抜群の演出を披露しています。
呼吸 ~ 友情と破壊  シネマの世界<第726話>_a0212807_1116812.jpg映画づくりのキーとなる演出は、メラニー・ロランが、これまで出演した数多くの作品の名立たる名監督から学んだのか、女優としての演技センスと相俟って映画監督としての才能を一気に開花させました。
メラニー・ロラン監督の演出が、実に冴えています。
映画は、主人公の高校生の少女二人が、青春を謳歌しながらお互い友情を感じていくところから始まりホラーの呼吸 ~ 友情と破壊  シネマの世界<第726話>_a0212807_11192851.jpgような不気味な雰囲気を次第に漂わせていきます。
才気あふれるロラン監督の演出とそれを追うハンディ・カメラで撮影した映像が、秀逸です。
主人公は、控えめでおとなしいどこにでもいるような女子高生のシャルリ(ジョゼフィーヌ・ジャピ 1994~ 2011年映画「マンク~破戒僧」の少女役で出演)と美しく個性的な転校生サラ(ルー・ド・呼吸 ~ 友情と破壊  シネマの世界<第726話>_a0212807_11285961.jpgラージュ 1990~)の二人です。
シャルリは、サラと友情を深めるうち、彼女の自由奔放な言動と謎めいた生活に興味を覚えて行きました。
サラは、シャルリのそんな心の内を見透かすようにシャルリの家を頻繁に訪ね、控えめなおとなしいシャルリの生活にあれこれ指図し、やがてサラが、内向的なシャルリの悩みである彼女呼吸 ~ 友情と破壊  シネマの世界<第726話>_a0212807_11301191.jpgの家庭内問題(両親の諍い)にも口出しするようになるとシャルリは、サラの存在が、疎ましくなりました。
次第にサラの潜在的な精神疾患「自己愛性人格障害」である虚言と妄想、暴力的な加虐性癖(サディズム)が、シャルリを翻弄、彼女の内向的な性格ゆえの被虐性向(マゾヒズム)に容赦なく向けられて行きます
呼吸 ~ 友情と破壊  シネマの世界<第726話>_a0212807_1133519.jpg
映画に次第に広がっていく不安や不穏をロラン監督は、ハンディ・カメラを駆使し、動揺を抑え切れなくなっていくシャルリの感情(内に秘めた怒りの感情)ならびにサラの無神経で不躾(ぶしつけ)な態度をハンディ・カメラな呼吸 ~ 友情と破壊  シネマの世界<第726話>_a0212807_11335281.jpgらではの トラッキング(追いかけまわし撮影)、フォロー(ぴったり密着し撮影)、時にスピンアラウンド(人物の周りを回りながら撮影)するカメラワークは、見る者の背筋が、寒くなっていくサイコな雰囲気をよく醸し出しており秀逸です。
ロラン監督の演出に応えた若い女優の二人、とくにサラを演じたルー・ド・ラージュの華やかでやさしげな表情からサディスティック呼吸 ~ 友情と破壊  シネマの世界<第726話>_a0212807_11344077.jpgな顔に一瞬(ワンカット)にして切り替える演技力、ならびにシャルリを演じたジョゼフィーヌ・ジャピの抑え切れなくなった表情(とくに内に秘めた怒りの表情)と抑圧した感情の衝動が、一瞬にして狂気と化す演技は、ともにすばらしく今後の活躍が、大いに期待されます。
呼吸 ~ 友情と破壊  シネマの世界<第726話>_a0212807_11351840.jpgシャルリの母親を演じたイザベル・カレ(1971~ 1999年「クリクリのいた夏」に出演)も地味ながら自己愛の強い倒錯者(自己愛性人格障害)の夫に泣きながら従う被虐性(マゾヒズム)の妻ぶりも見事でした。 (上写真 : 撮影中のメラニー・ロラン監督)
by blues_rock | 2017-05-19 00:19 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
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