モーガン プロトタイプ L-9 シネマの世界<第721話>
プロトタイプL-9の研究施設でモーガンは、人工生命体L-9開発チームの科学者たちに愛され丁寧に扱われて
ある日、モーガンは、彼女を誰より愛し、モーガンもまた信頼する女性科学者に、突然襲いかかり重傷を負わせました。
映画は、監視カメラに映るこの襲撃シーンから始まります。
先日、ご紹介した「エクスマキナ」は、AIの知能進化と反乱を描いたSFミステリー・サスペンス映画でしたが、この「モーガン プロトタイプ L-9」では、原因不明で突然制御不能になった(暴走した)人工生命体の脅威を描いたデストピアSFスリラー映画です。
監督は、巨匠リドリー・スコット監督の息子(次男)ルーク・スコットで長編初監督作品です。
リドリー・スコット監督は、製作に回り、息子の監督デビューをサポートしています。
主人公の危機管理アナリスト(リスクマネージメント分析専門家)リー・ウェザーズを演じるのが、ケイト・マーラ(1983~ 名女優ルーニー・マーラの姉)
人工生命体L-9モーガンを演じた若手女優アニヤ・テイラー=ジョイ(1996~)も熱演していますが、「エクスマキナ」で、AIのエヴァを演じたアリシア・ヴィキャンデル(1988~)に比べると深層心理の表現にまだ迫力不足の感が、ありました。
ラストのシークエンスも暴力事件を起こした人工生命体プロトタイプ L-9 モーガンと危機管理アナリスト リーの二人が、最初に出会うシーンで、隔離室のガラスに映る二人の影を見て‘そういうことか’と予感させるショットは、私の深読みし過ぎかもしれませんが、もしルーク・スコット監督の見る者に対する暗示(演出)ならば、私は、ミステイクと思います。
劇中で、モーガンを創造した科学者の一人が、「最も残酷な行為は、自分の意思で外に出られない者に、窓の外を見せることだ」とリーにプロトタイプ(試作品)モーガンの混乱による偶発的な事件だと語り、投資ファンド本社が、製造しようとした人工生命体の真の開発目的(軍事用兵士の製造)とプロトタイプ L-9モーガンのもつ‘遺伝的アルゴリズムの歪み(進化の中で発生する不具合)’を指摘していました。
地味な映画ながら、なかなかおもしろい映画でした。
(左写真 : ケイト&ルーニーのマーラ姉妹)