画家モリゾ マネの描いた美女 シネマの世界<第800話>
さて、今夜は、印象派の画家マネについての映画ですが、主人公は、印象派の画家マネのモデルでミューズであった画家ベルト・モリゾ(1841~1895 マネの弟ウジェーヌと結婚)です。
モリゾもまた印象派の画家ですが、タイトルのとおり映画は、マネの創作にインスピレーションを与えたモデル‘画家モリゾ’の目を通して画家マネが、描かれています。
「画家とモデル」の関係は、必ず官能に導かれた性の琴線に触れ(つまり美の源泉に到り)、やがて両者が、行き着くのは、‘男と女’の性的関係です。
しかし、マネは、自分のミューズ(美の女神)であったモリゾを愛するも彼女と性的関係を結びませんでした。
マネは、若く美しいモデルのモリゾが、自分を愛していることに気付いていたものの当時ヨーロッパに蔓延し不治の病であった梅毒にマネは、感染していましたので愛するモリゾと一線を越えることなくモリゾも自分に恋するマネの実直な弟ウジェーヌの妻になりました。
当時、ヨーロッパの芸術家たち(文学者・音楽家・画家など)の多くが、梅毒に感染ており、たとえば、ボードレール46歳没、モーパッサン43歳没、フローベール59歳没、ハイネ58歳没、ドーデ57歳没、ドストエフスキー60歳没、ニーチェ56歳没、ゴーギャン54歳没、マネ51歳没、シューマン46歳没、スメタナ60歳没、ロートレック36歳没など自由な生活で、その天賦の才能を開花させたものの皆な早死にしています。
閑話休題、映画「画家モリゾ マネの描いた美女」は、2010年の名作「神々と男たち」、2012年秀作「ハンナ・アーレント」などの撮影監督を務めたカロリーヌ・シャンプティエ(1954~)が、撮影と演出併せ長編映画を初監督した作品です。
映画のストーリーは、パリ16区の裕福な家庭の令嬢であったベルト・モリゾ(マリーヌ・デルテルメ)と姉のエドマ(アリス・ビュト)は、結婚に目もくれず絵を描くことに没頭していました。
1865年、ベルトと姉のエルマは、ルーヴル美術館で模写をしているとき、ワイセツな絵としてサロンを騒がせていた「オランピア」の作者マネ(マリック・ジディ)と出遭い、数日経ったある日、マネからベルトに絵のモデルになって欲しいという依頼の手紙が、届きました。
画家としてのベルトは、アトリエで制作する旧態依然な絵に閉塞感を覚えていましたので、その頃台頭しつつあった‘光あふれる戸外で色彩豊かな自然を感じたままに描く’というマネたち印象派グループの絵画運動に共感、マネのアトリエでモデルになりながら先輩画家のマネから絵の指導を受けるようになりました。
拙ブログのシネマの世界では、先日からゴッホ、ルノワール、セザンヌ、そしてマネと同じ時代の空気を吸いながら生涯を新しい絵画の制作に捧げた画家たちを主人公にした映画をご紹介、年明け早々にゴーギャンの映画が、公開されますのでシネマの世界で取り上げたいと思います。