コンビニ・ウォーズ シネマの世界<第789話>
ジョニー・デップの愛娘 リリー=ローズは、眼がジョニー・デップに少し似ているものの母親のヴァネッサ・パラディの若いころにそっくりです。
両親のジョニーとヴァネッサは、10数年一緒に暮らしたオシドリ夫婦(事実婚)でしたが、今は離婚(事実婚だから別居かな)するも二人にとって愛娘リリーの存在は、極めて大きく、今も良い家族(リリーと弟ジャックの4人家族)のようです。
監督・脚本・編集は、カルト系の異才監督ケビン・スミス(1970~)で映画にもカメオ出演しています。
主演が、リリー=ローズ・デップとスミス監督の娘ハーレイ・クイン・スミス(1999~)の二人、リリーとハーレイは、幼稚園のころからの幼馴染なんだとか、この映画の役柄であるヨガ以外にやる気のないゆるい女子高生でサボることばかり考えているコンビニのバイト店員ぶりもおかしくスベリ気味のギャグやお馬鹿なボケとツッコミぶり(ドタバタ喜劇のよう)も上手いものでした。
映画の原題「Yoga Hosers」の意味は、‘おバカなヨガ師’とか、同時にカナダ人をおちょくるダブルミーニングもあるのだとか、日本公開時のタイトルが、どうしてダサくくだらない「コンビニ・ウォーズ ~ バイトJK vs ミニナチ軍団」というタイトルに変わるのか? 配給会社ハピネットの社長に訊ねたいものです。
映画の後半、ヒトラー似のソーセージ・ミニナチ軍団が、登場しコンビニ店内でアルバイトの女子高生とハチャメチャで奇想天外なドタバタ戦争(コンビニ・ウォーズ)を引き起こす元ネタは、遡ること70余年前の1942年、この映画の舞台であるウィニペグ市で実際にあったナチスドイツのカナダ侵攻防衛訓練 「もしもの日」(If Day)にスミス監督が、引っかけてギャグのネタにしたのかもしれません。
あるいは、昨今世界に広がる排他的なナチズムまがいのポピュリズム(衆愚)に対してスミス監督流のナンセンスホラー仕掛けで辛口のブラックコメディとして嗤い飛ばしたのかもしれません。
スミス監督と旧くからの友人であるジョニー・デップもスミス監督作品であり愛娘リリーの初主演と相俟って怪しい探偵役で出演、ヴァネッサ・パラディもカナディアン・ナチズムについて教える歴史教師役で登場、二人は、娘を前に脱力した軽妙な演技を見せ、怪しい探偵役のジョニー・デップとの絡みのシーンでリリーが、吹き出しそうになるのを一生懸命堪(こら)えいる場面もお見逃しのないように、リリーの弟でジョニー・デップとヴァネッサ・パラディの息子ジャック・ディプ(2002~)も悪ガキのコンビニ客としてカメオ出演、ジョニー・デップ一家総出演の映画です。
1999年の「シックス・センス」、2001年の「A.I.」で、天才子役として名を馳せたハーレイ・ジョエル・オスメント(1988~)も今や小太りの28歳、ナチズムの演説をするカナディアンナチス党のリーダー役で出演しています。
マーベル・コミックの元発行責任者でマーベル・コミックの実写映画で製作総指揮を執る著名なスタン・リー(1922~)もカメオ出演 ‥ スミス監督以下どんな頭の構造をしていたらこんにふっ切れたアホウな怪作映画が、できるのかと私は、いたく感心しました。
とにかく映画製作者と出演者全員、無礼講パーティを楽しんでいるようなノリノリの表情なのが、印象的でした。
映画のエンディングでリリーとハーレイ二人の歌うカナダ国歌を昔ロックバンドのギタリストであったジョニー・デップが、ギターでサポートするという親バカのサービスぶり、海賊のジャック・スパロウ船長も人の親でした。