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狂気の行方  シネマの世界<第779話>

狂気の行方  シネマの世界<第779話>_a0212807_281183.jpgニュー・ジャーマン・シネマの代表的な監督ヴェルナー・ヘルツォーク(1942~、1972年「アギーレ/神の怒り」)が、2009年に撮った(監督と脚本の)サイコスリラー映画「狂気の行方」(原題「My Son, My son, What Have Ye Done」 息子よ、おまえは、何てことをしたの?)は、1979年アメリカで実際に起きた母親殺害事件からヒントを得て製作されました。
製作総指揮に‘カルトの帝王’の異名をとるデヴィッド・リンチ監督(1946~)、主演が、精神疾患者や不気味なサイコパス男を演じたら今やこの俳優以上の俳優は、見つかるまいと云えるマイケル・シャノン(1974~、2011年「テイク・シェルター」、2016年「ミッドナイト・スペシャル」など)と役者が、揃えば、どんなサイコスリラーかと期待で映画を見る前からぞくぞくします。
「狂気の行方」は、同年のヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞(グランプリ)を受賞しています。
映画は、1979年のカリフォルニア州サンディエゴの閑静な住宅地が、舞台です。
狂気の行方  シネマの世界<第779話>_a0212807_291222.jpgパトロール中の刑事ハンク(ウィレム・デフォー 1955~)は、殺人事件が、発生し犯人は、人質を取って自宅に立てこもっているという緊急発動の指令を受けました。
ハンクが、現場に着くとフラミンゴのいる奇妙な家に母親を殺した舞台俳優のブラッド(マイケル・シャノン 奇怪なマザコン男が秀逸)が、人質を取り立てこもっていました。
殺された母親(グレイス・ザブリスキー 1941~ 変質的な過保護ママぶりが、不気味)は、一人息子のブラッドを
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溺愛し大人になっても過保護で口うるさく接し隣近所からも変わり者という評判でした。
SWATも到着し物々しくなる中、ハンクと彼の相棒ヴァーガス刑事(マイケル・ペーニャ 1976~)は、奇怪な行動をするブラッド狂気の行方  シネマの世界<第779話>_a0212807_2122981.jpgを説得します。
事件を聞きブラッドの婚約者で舞台女優のイングリッド(クロエ・セヴィニー1974)と彼の所属する劇団の演出家リー(ウド・キアー1944)が、現場に駆け付けました。
ハンクは、ブラッドを良く知る二人から彼が、犯行に至るまでの犯人像を事情聴取します。
狂気の行方  シネマの世界<第779話>_a0212807_213828.jpg映画を見る者は、刑事のハンクと一緒にイングリッドとリーの二人から語られるハンクと彼の母親にまつわる話(いろいろなエピソードのフラッシュバック)を聞くうちに次第に彼らの異様な関係とハンクの精神疾患に気づきます。
映画は、冒頭ウィレム・デフォーとマイケル・ペーニャ演じる二人の刑事が、登場するシーンから胡散臭く、殺人狂気の行方  シネマの世界<第779話>_a0212807_2134222.jpg事件発生の無線連絡を受け現場に急行、犯人特定から過去をフラッシュバックさせていくうちに顕われていく異様な空気感は、ヘルツォーク監督の演出であっても製作総指揮を担うデヴィッド・リンチ監督の雰囲気が、色濃く滲んでいると思いました。
発狂した精神疾患者でも自由に銃を持ちいつでも乱射できる(無差別大量殺人できる)アメリカ銃社会の悪しき狂気の行方  シネマの世界<第779話>_a0212807_4163745.jpg病巣は、深く暗澹たるもの、一番深刻なのは、アメリカ国民の多数に問題を解決しようとする強い意思が、ないことでしょう。

(左写真 : 左ヴェルナー・ヘルツォーク監督 と右製作総指揮デヴィッド・リンチ監督)
by blues_rock | 2017-10-30 01:30 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
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