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心の時空

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オン・ザ・ミルキー・ロード  シネマの世界<第758話>

a0212807_22223461.jpgボスニア・ヘルツェゴビナ(サラエボ出身)の鬼才映画監督にして名優でもありミュージシャン(自分のバンドをもつ)の顔も持つ才人エミール・クストリッツァ監督(1954~)の情熱あふれる奇想天外な最新作「オン・ザ・ミルキー・ロード」(原題:On the Milky Road、脚本・監督・主演)を公開初日に見ました。
エミール・クストリッツァ監督は、カンヌ国際映画祭最高賞の‘パルムドール’を2回、ベルリン国際映画祭‘銀熊賞’、ベネチア国際映画祭‘銀獅子賞’と世界三大映画祭での受賞キャリアが、あり「オン・ザ・ミルキー・ロード」は、9年ぶりの新作で、この作品も才人監督(もしかしたら天才)の面目躍如です。
2017年映画を代表する名作として映画史に残るのは、間違いありません。
a0212807_22265439.gif映画のプロットは、シリアスにしてコメディ、リアルにしてシュール、ファンタジーにして悲劇ながら、何種類もの動物たち(実写だから凄い!)が、次々に登場するおとぎ話のようで大人の寓話‥そう「オン・ザ・ミルキー・ロード」は、詩人にして哲学者エミール・クストリッツが、‘映画を道具’にして人間の善と悪、愛と人生、絶望と希望を描く大人の寓話(メルヘン)なのです。
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詳しくは、映画の公式サイトをご覧いただくとして映画の見どころを述べますと、ボスニア・ヘルツェゴビナと思しき‘ある国’の不条理な内戦(44%のイスラム教ボシュニャク民族、33%のギリシャ正教セルビア民族、17%のカa0212807_223036100.jpgトリック教クロアチア民族、6%のその他民族の宗教的民族対立)下、ノバに乗り肩にハヤブサを留まらせ戦場の兵士らにミルク運搬の仕事をしているコスタ(エミール・クストリッツァ 1954~)には、自分の雇い主である若く美しい村娘ミレナ(スロボダ・ミチャロヴィッチ1981~)という恋人‥と云うよりミレナは、彼女に言い寄る他a0212807_22325259.jpgの男たちに見向きもせず、ノバに乗り肩にハヤブサを留まらせ飄々とミルクを運ぶ寡黙なコスタが、好きで戦争に行った兄の帰りを待って兄と一緒に結婚すると決めていました。
ある日、怪しげな男たちが、難民キャンプからミレナの兄の花嫁という美貌の女(モニカ・ベルッチ 1964~、30代半ばの「マレーナ」、50代の「サイの季節」の美しいこと!)を村に連れて来ました。
a0212807_2238153.jpgコスタは、その花嫁と出遭った瞬間、運命的なものを感じ、彼女もまた自分の境遇と似たものをコスタに感じました。
やがて二人は、静かに愛し合うようになりました。
そんな折、内戦の和平協定締結により戦士として英雄視されているミレナの兄ジャガ(プレドラグ・マノイロヴィッチ 1950~)が、戦場から帰って来ました。
ミレナは、さっそく自分とコスタ、兄ジャガと花嫁の結婚式に執りかかりました。
a0212807_2243691.jpg一方、兄の花嫁を難民キャンプで見染め自分の女にしようとする多国籍軍のイギリス軍司令官は、彼女を拉致してイギリスに連れ去ろうと村に特殊部隊を送り込みました。
和平協定が、あるにも関わらず村は、多国籍軍(イギリス軍)の激しい攻撃を受け、ミレナとジャガが、虐殺されa0212807_22442649.jpgました。
生き延びたコスタと花嫁は、生きるために特殊部隊の追跡から逃れ必死の逃避行を続けました。
クストリッツァ監督は、1929年ユーゴスラビア王国となった祖国(1946年ユーゴスラビア連邦共和国)が、わずか20年前の2006年、7共和国に分離し独立(ボスニア・ヘルa0212807_22471042.jpgツェゴビナも今やその1国、5つの民族が、暮らし4つの言語と3つの宗教、2つの文字をもつ複合国家)、さらにあろうことか、昨日まで異民族も異宗教ながら隣人友人であった者同士が、お互いを排除し民族浄化しようと戦争をする愚劣な国家になったことを嘆き悲観するもかっての同胞a0212807_22474323.jpgたちに「暴虐に屈するな! しなやかに生きろ!」と支配者と被支配者を戯画し現実を痛烈に風刺しています。
無国籍ミュージックバンド「エミール・クストリッツァ&ノー・スモーキング・オーケストラ」(クストリッツァ監督も一員でギター担当)の“ウンザ・ウンザ・ミュージック”が、ブラッa0212807_22482231.jpgクにしてセンチメンタルな大人の寓話に深い滋味を与えています。
音楽監督は、クストリッツァ監督の息子ストリボル・クストリッツァ(バンドのドラム担当)で、バルカンの民族音楽、パンクロック、ジプシージャズ、スカなどが、混在したエスニックな音楽(サウンドトラック)を作曲しています。
a0212807_225324100.jpg撮影監督のゴラン・ボラレビッチとマルタン・セクの二人、クストリッツァ監督作品の編集・音響を担うスヴェトリク・ミカザイッチなど鬼才
エミール・クストリッツァ監督(右写真)のまわりには、「類が類を呼ぶ異色の才能」が、集まっています。
by blues_rock | 2017-10-24 00:24 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)