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心の時空

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皆さま、ごきげんよう  シネマの世界<第750話>

ジョージアの奇才映画監督 オタール・イオセリアーニ(1934~)の最新作(2015)「皆さま、ごきげんよう(原題「冬の歌(CHANTD’HIVER)」は、御歳81才の時の作品で自ら監督・脚本・編集さらに出演と見事な活躍ぶりです。
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映画のプロットたるやフランス革命期の血なまぐさいパリから戦争の惨禍が、生々しいコーカサスへ移り、そしてまた現代のパリへ戻ってくるという不条理劇です。
a0212807_23404987.jpg映像から迸(ほとばし)る陽気でシュールレアリスムあふれる感性は、イオセリアーニ監督の自由自在な精神の証(あかし)です。
映画は、現代の治安の悪いパリから始まります。
アパルトマンの管理人ながら武器商人の男と骸骨集めが、趣味の人類学者は、腐れ縁で結ばれた悪友同士でした。
a0212807_2343322.jpg二人の回りには、覗き趣味の警察署長、ローラースケートの強盗団、黙々と家を建てる男、気ままに暮らすホームレスなどヘンテコな人たちが、集まっていました。
ある日、警察の取り締まりによって公園のホームレスたちが、追い出されるという緊急事態に彼らは、一致団結して立ち上がりました。
a0212807_23435421.jpg映画の物語は、フランス革命時代、コーカサスのどこかの戦場、現代のパリへと変転しながら展開していきます。
たとえ時代や場所が、違っても人と人は、必ず繋がっているよ、と言っているオセリアーニ監督の声が、映画を見る者の耳に聴こえて来るようです。
時代が、移ろっても変わることのない繰り返される人の日々の営み、場所は、変わっても争いや略奪、犯罪が、a0212807_2345533.jpg決してなくなることはなく、それでもあふれんばかりの愛や友情、希望もあり、寒い冬の後には、必ず花の咲き乱れる春が、やって来る、明けない夜はないよとばかり、混沌(こんとん)とする人間社会の不条理をオセリアーニ監督は、反骨精神たっぷりにセンスの良いユーモア(風刺の効いたエスプリ)で軽やかに笑い飛ばしていa0212807_23455750.jpgます。
映画は、シリアスにしてブラックな人間喜劇(バーレスク=風刺喜劇)ながら人間社会が、矛盾に満ちてロクでもなくても生きる値打ちは、あるよ、生きていれば、友だちと酒が、飲めるし、音楽も聴けるじゃないか ‥ とアイロニーたっぷりの甘美なスペクタクルが、展開していきます。
a0212807_23475186.jpg映画に出演している俳優で私が、知っているのは、黙々と家を建てる男を演じるマチュー・アマルリック(1965~)くらい、この映画の主人公でアパルトマン管理人の武器商人、ギロチンで首をはねられる中世の男爵、体中に刺青を入れた従軍司祭など、いくつもの印象的なキャラクターを変幻自在に演じているリュファス(1942~)ならびに骸骨コレクションが、趣味の人類学者を演じるアミラン・アミラナシュヴィリ(1955~)このお二人の出ている映画は、初めて見ましa0212807_2348375.jpgたが、旧き良き時代の喜劇(笑い)を体現、私は、上手いなあ ‥ と感心しながら映画を見ていました。

(右写真 : カメラ・スタッフと打合せる撮影中のオタール・イオセリアーニ監督)
by blues_rock | 2017-09-29 00:09 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)