ブログトップ | ログイン

心の時空

yansue.exblog.jp

a day in my life

ダンケルク [IMAX] (後編)  シネマの世界<第748話>

ドーソン船長は、ダンケルクに向かう途中、Uボートに撃沈された船の上でうずくまるキリアン・マーフィー(1976~)演じるイギリス兵を救出しますが、死の恐怖に怯える彼は、命を救ってもらったにも関わらずダンケルクへ行a0212807_1615098.jpgくことに暴れて抵抗します。
海の上空から敵の戦闘機が、突如攻撃して来る中、義侠心からダンケルクを目指すドーソン船長と次男(トム・グリン=カーニー 1995~)、同行した17歳の少年(バリー・コーガン 1992~)の一日を同時進行で描いていきます。
さらに、ダンケルクの上空を縦横無尽に飛び交う敵の戦闘機メッサー・シュミットと空中戦(ドクファィト)するトム・a0212807_1632154.jpgハーディー(1977~)演じるイギリス空軍パイロットの戦闘機スピットファイアは、隊長から帰還燃料を残すよう命令されていたものの隊長機の撃墜により自らの判断で、ダンケルク海岸で救援を待つ40万将兵を救うために、メッサー・シュミットと戦い続け、燃料切れにより海岸に不時着し敵の捕虜となるまでの1時間を描き、このa0212807_164713.jpg三つの出来事を軸にして、さらに細やかなエピソードが、重なりドラマは、展開していきます。
ノーラン監督の戦争のレアリズムのこだわりは、半端でなく、78年前の1940年5月、戦場であったダンケルクの海岸(陸)に、6千人余のエキストラを集め、海には、当時の軍艦や古い船を浮かべ、空では、当時最新鋭であった戦闘機イギリス空軍a0212807_1643430.jpg自慢のスピットファイアと日本のゼロ戦と並び称された高性能を誇るナチスドイツのメッサー・シュミットの実物を飛ばし、激しい銃撃戦(ドクファイト)を繰り広げるというダンケルクの陸海空が、戦場であった一部始終をIMAXカメラの70㍉フィルム(通常70㍉スクリーンより上下各2割計4割ワイド)で実写しているので、その緊張感と超弩級の迫力は、並大抵ではa0212807_1684867.jpgありません。
映画職人気質の(映像作家のような)ノーラン監督の斬新な演出が、今までの戦争映画にはない(月並みな戦争スペクタクル映画ではない)、史実のリアリティにサスペンスとスリラーの緊張と恐怖を重ね合わせ、当時のダンケルクに居なかった観客にも「戦争の不条理な状況と戦場の理不尽さ」を疑似体験してもらいたいというのが、ノーラa0212807_1610148.jpgン監督のコンセプトだろうと私は、思います。
映画の終盤、救援を待つ間、桟橋で疲労し眠っていた二等兵が、目覚めて起き上がるとケネス・ブラナー(1960~)演じる撤退作戦の責任者であるイギリス海軍中佐は、「イギリスに向かう最後の船だ。何をしている、早く乗れ。」と命じ「まだフランス軍の救援がある。」と敵が、目前に迫る中、桟橋から救助船を見送るシーンは、そんな品格ある指導者が、絶滅した現在a0212807_16104454.jpg(いま)にあって、ノーラン監督「男の美学」であろうと推察します。
映画の冒頭に登場し「生き残るため」に右往左往しながら逃げ回り生き残った二等兵と最後まで何もしないで生き残った二等兵 ‥ クリストファー・ノーラン監督のメッセージは、「戦争で結局生き残るのは、運次第、助かる奴は、助かる、どうあがこうと戦場の命に特別な意味はない。自分a0212807_1611203.jpgは、そこにいたくない。」と言っているように思います。
ダイナモ作戦(ダンケルク大撤退)を命じた当時のイギリス首相チャーチルは、ダンケルクで救援を待つ連合軍40万将兵のうちイギリス将校ほか兵も合わせ3万人の救出を当初計画していたようですが、挙国一致の救援で33万5千人を救出しました。a0212807_1612514.jpg
‘IMAX’による音響を担当したドイツの名作曲家ハンス・ジマー(1957~)の思わず身を伏せ、息を凝らしてしまうド迫力の音の臨場感ならびにオランダの名撮影監督 ホイテ・ヴァン・ホイテマ(1971~)が、撮ったあまりにリアルな実写映像は、‘IMAX’初見参の私にとってただもう驚愕するばかりでした。
これから‘IMAX’の映画は、IMAXで見ようと思います。
(下の方から5枚の写真 : クリストファー・ノーラン監督と撮影現場の様子)
by blues_rock | 2017-09-24 00:24 | 映画(シネマの世界) | Comments(2)
Commented by j-machj at 2017-09-25 10:42
おはようございます。

クリストファー・ノーラン監督は、大好きな監督です。
彼の作品は、これまでSFが多かったようですが、スピルバーグが「シンドラーのリスト」を、ジャンピエール・ジェネが「ロング・エンゲージメント」を撮ったように、こういうシリアスな戦争映画を撮ったので観るのを楽しみにしています。

フランス人の父を持つ滝川クリステルさんが、この映画を観て涙が止まらなかったそうですよ。
Commented by blues_rock at 2017-09-26 10:29
クリストファー・ノーラン監督は、ワン&オンリーの ‘強い作家性’ を表現する名匠監督で、2000年「メメント」以来、とくに2002年の「イムソムニア」から ずっと心酔している監督です。
今回の IMAX「ダンケルク」など戦争映画の異端 ‥ ハリウッドの大映画会社には、できない芸当です。
観客の評価は、極端に分かれていますが、大ヒット、ノーラン監督の願いであった できるだけ多くの人たちに「ダンケルク戦場に来てもらう」というネライは、当たりました。
映画への賛否両論(まあ生理的な好き嫌い)は、あっても映画館に設えた戦場で戦争を疑似体験してもらうのは、大変良いことだと私は、思います。