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心の時空

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サーテン・ウーメン(ある女性たち)  シネマの世界<第744話>

私は、‘映画ならでは’ の傑作というのは、こういう作品のことを言うのだと思います。
2016年アメリカ映画「サーテン・ウーメン(ある女性たち)」は、何とも侘しい寂寥感を漂わせながら、4人の女性
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それぞれ(Certain Women)の普段の生活 ‥ 彼女たちの人生が、同時進行の群像劇として描かれ 人間なら誰にでもある根源的な孤独感は、映画を見ている者の心にもひしひしと伝わってくる心理ドラマの傑作です。
a0212807_11422074.jpg監督(・脚本・編集)は、インディペンデント系映画の才媛ケリー・ライヒャルト監督(1964~ 左写真中央の女性)で、彼女の秀逸な演出を16mmカメラで撮ったクリストファー・ブロベルト撮影監督(1970~、2014年秀作「ロウダウン」の撮影監督、ライヒャルト監督の左横でカメラ・フレームの確認している男性)映像(カメラワーク)が、実にすばらしくお見事です。
a0212807_11524680.jpg主人公4人の女性を演じる何れも名女優たち、ベテランのローラ・ダーン(1967~)、ライヒャルト監督お気に入りのミシェル・ウィリアムズ(1980~)、キャリア実力ともに演技派のクリステン・スチュワート(1990~)、無名ながら優れた存在感をもつリリー・グラッドストーン(1986~)の卓越した演技は、ライヒャルト監督の繊細な演a0212807_1155506.jpg出を見事に表現、彼女たち4人それぞれの孤独な心情が、自然でリアリティに溢れ見る者の心にじわじわと切なく迫ってきます。
この映画の製作総指揮を名匠トッド・ヘインズ監督(1961~)が、担っていることも見逃せないと思います。
a0212807_1156459.jpg日本語版のタイトルは、原題の「サーテン・ウーメン(Certain Women ある女性たち)」が、「ライフ・ゴーズ・オン 彼女たちの選択」に変えられプロットの説明になっているのは、いただけません。
主人公の女性たちは、自ら自分の人生を選択しているわけではなく、今在るその時どきの現実を受け入れ今日をただ黙々と生きている( ライフ・a0212807_1159241.jpgゴーズ・オン している)だけなのです。
映画は、アメリカ北西部モンタナ州の静かな田舎町を舞台に、ストーカーのように付きまとう厄介な依頼人に振り回されている弁護士のローラ(ローラ・ダーン)、家族と暮らす新居の建設で頭がいっぱいながら同時に夫と離婚することも考えている主婦のジーナ(ミシェル・ウィリアムズ)、数人かつ高齢のa0212807_1212622.jpg受講生しかいない夜間学校で労働法を教える若い弁護士のエリザベス(クリステン・スチュワート、小さな牧場で数頭の馬と暮らしエリザベス会いたさに夜間学校に通うネイティブアメリカンのジェイミー(リリー・グラッドストーン)‥この4人の女性たちの懸命に生きる今の姿を丁寧に描いています。
a0212807_1222085.jpgライヒャルト監督の静謐ながら暗くならない(希望のある)緻密な心情描写は、この映画の見どころで、映画が、好きな女性にお薦めしたい名作です。
「サーテン・ウーメン(ある女性たち)」は、脚本(=構成)、監督(=演出)、配役(=出演女優)と‘優れた映画の基本3原則’をすべてクリアする新作映画なのに映画会社が、わが国の観客a0212807_124154.jpgに人気ないと思ったのか 劇場未公開、これではあまりに情けなくジャンクな映画の氾濫する映画貧国ニッポンの現況を憂いています。
旧日本映画の熱烈ファンとして敢えて苦言を呈するのは、過って世界の映画界をリードした日本映画の復興を切に願うからです。
by blues_rock | 2017-09-09 00:09 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)