ベイビー・ドライバー シネマの世界<第759話>
監督・脚本ともにイギリスの鬼才エドガー・ライト(1974~ 2007年コメディ映画「ホット・ファズ」)で、「ベイビー・ドライバー」は、ライト監督のオリジナル脚本ながら‘カーチェイス’の名画である1968年「ブリット」(ピーター・イェーツ監督、スティーブ・マックイーン主演)、1978年「ザ・ドライバー」(ウォルター・ヒル監督、ライアン・オニール主演)、2011年「ドライヴ」(ニコラス・ウィンディング・レフン監督、ライアン・ゴズリング主演)へのオマージュであることも感じました。
この映画については、ウォルター・ヒル監督を始めウィリアム・フリードキン監督、ギレルモ・デル・トロ監督など巨匠たちが、絶賛、日ごろ何かと辛辣な映画評論家も高く評価しています。
映画は、子供の時の自動車事故による後遺症で聴覚障害(慢性耳鳴り)に苦しむ天才ドライバーの青年ベイビー(アンセル・エルゴート 1994~)が、窃盗団の元締め ドク(ケヴィン・スペイシー 1959~、非情な悪役が秀逸)の車と知らず盗んだために彼の差配する現金強奪グループや銀行強盗団を犯行現場から逃走(ゲッタウェイ)させるドライバー(逃がし屋)の役割を強いられ苦悩するも一旦ハンドルを握ると耳鳴り防止のためiPODから流れるノリノリの音楽(ロック・ジャズ・ラテンなど30曲)を聴きながらドライブテクニックの天才ぶりを発揮します。
ベイビーは、里親である聾唖(ろうあ)の老人ジョセフ(CJ・ジョーンズ、聾唖の俳優で長編映画初出演ながらベイビーの里親を好演)と一目惚れしたウェートレスの恋人デボラ(リリー・ジェームズ 1989~)を一途に想い二人を心配させまいと苦悩 ‥ 映画のラストは、映画館で‘とにかく見て’のお楽しみながら「ヒロイックでロマンティックなエンディングにしたかった」というライト監督が、切なくも粋な演出でエンディングシーンを締めています。
映画の冒頭、銀行の前に赤いスバルのインプレッサWRXが、到着するシーンから始まり、それから6分間、音楽(ロック)を聴きながらビートに同期したベイビーの運転するスバルインプレッサは、追跡する10数台のパトカーとヘリコプターを振り切りながらアトランタの街を時速100マイル(160キロ)で疾走します。
主人公の天才ドライバー ベイビーが、運転する縦横無尽なドリフト(アクセル、ブレーキ、サイドブレーキ、クラッチ操作)のかっこいいこと、アドレナリンいっぱいのスカッとしたおもしろい映画です。
強盗団の一味役でジェイミー・フォックス(1967~)とジョン・バーンサル(1977~)が、なかなかサイコな極悪ぶりを好演しています。
映画のタイトル「ベイビー・ドライバー」は、サイモン&ガーファンクルのホットロッド・ロック「ベイビー・ドライバー」(1969)に由来、エンド・クレジットで流れます。
この映画で使用された2006年型スバル赤のインプレッサWRX(右上写真)は、走行25万5千㌔で、4回の事故修理車ながら、現在オークションで550万円だとか ‥ 冒頭あのクールなかっこいいカーチェイスを見せられたカーマニアには、堪らない車でしょうねえ。
(左写真 : モニターの前で撮影の打合せをするエドガー・ライト監督とベイビー役のアンセル・エルゴート)
ちょうど、DVDでライアン・ゴズリングの「ドライヴ」を観たところでした。
僕は、重度難聴(聴覚障がい者手帳2級)で、耳鳴りも四六時中しています。
実際、耳鳴りの治療に別の音を聞かせて耳鳴りを忘れさせる方法があります。
僕は、その音さえ聞こえないので、この治療方法は効き目がありませんが・・・
でも、運転に集中していると耳鳴りを忘れています。
聴覚障がい者の友達には、車好きが多いです。
カーチェイスといえば、リュック・ベッソンの「TAXI」シリーズも撮影が上手かったですね。
「ワイルドスピード」シリーズのようにお金がかかっていなくても、小技が効いていました。
j-machjさんが、車好きというのは、察していましたが、‥。
この映画は、Tジョイ博多 単館上映なのが、もったいなく、かつ残念です。
私は、劇場公開中に、あと1、2度見たいと思っています。
この手のプロットが、シンプルな映画は、初回が、一番新鮮(ダイ・ハードしかり、ターミネーターしかり‥etc.)ですね。
カーチェイス映画が、好きな私は、近日公開のスコット・イーストウッド(C.イーストウッドの二男)主演映画「スクランブル」を(「ワイルド・スピート」の続編みたいなプロットが、気に入らないものの、ともあれ)楽しみにしています。