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心の時空

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a day in my life

風の季節  シネマの世界<第732話>

その昔、旧福岡スポーツセンター横にあったセンターシネマ(現在のソラリア)で私は、多くの外国映画の名作をa0212807_13264689.jpg見て人生勉強をしていました。
この1971年公開のフランス映画「風の季節」も時おり、ふと懐い出すロマンス(悲恋)映画の佳作です。
映画のプロット自体は、母親の年齢に近い年上の女性(地質学者の妻)とその地質学者である夫の助手として働く若いドイツ人地質学者との、淡く切ない恋物語ながら、サウンドトラックが、全編モーツァルトの楽曲で、映画の主題である悲恋物語と映画音楽との見事な融合(シンクロナイズド)に感動しました。
フランスの映画評論誌‘カイエ・デ・シネマ’の創立者にして映画評論家のジャック・ドニオル=バルクローズ監督(1920~1989)の演出は、年上の女性a0212807_13302030.jpgが、自分に激しい恋心をもつ まだ少年の面影を残した青年に、初めは、躊躇(ためら)いつつも 自分が、まだ女であることを知り 女の情念に目覚めていくさまをストイックに表現、撮影監督のギスラン・クロケ(1924~1981)のカメラは、それを静かに追い、フランス、プロバンス地方の田舎を舞台にした地質学者の妻 イザベル(マリー・デュボワ 1937~2014、出演時 33才)と、彼女よりずっと年長の地質学者で夫のジュリアン(モーリス・ガレル 1923~2011、出演時47才)、この中a0212807_13442065.jpg年の夫婦に、地質学者 ジュリアンの論文を翻訳する助手として雇われた若いドイツ人青年 カール(マチュー・カリエール 1950~、出演時20才)を絡ませ成熟した男女の愛の姿を描いていきます。
イザベルは、子供 2人にやさしく、彼らもまたカールになつき、楽しそうな様子を見てカールに好感を持ち、単調で平凡だった毎日の暮らしに自分の心が、弾むようになりました。
a0212807_13444556.jpgある日 夫から「少しカールと親しすぎるのでは」と言われイザベルの秘めた心が、動揺しました。
そんなとき市場へ買い物に出かけたイザベルは、街でカールに会いました。
その帰り道、カールは、必死の想いでイザベルに「結婚して欲しい」と求愛(プロポーズ)しました。
夫のジュリアンが、地質学の仕事で数日パリに出かけた夜、二人は、月明かりの野原を散歩、明け方までずっa0212807_13481827.jpgと一緒にいましたが、イザベルは、何か言いたそうなカールの心を制し、そして揺れる自分の気持ちも諌(いさ)め、何事も何もなく、それぞれ自室に戻りました。
この後のシーンが、悩ましく エロチック ‥ 二人は、自分のベッドで相手とのセックスを想像し自慰しますが、このシーンは、見ている方が、切なくて やるせなくなります。
イザベルは、翌日カールを呼び「私は、あなたが、好きです。 だが、あなたの若さは、危険すぎるのです。」と別a0212807_1349868.jpgれを告げました。
カールは、黙って雨の中を去って行きました。
パリから帰ったジュリアンは、カールの姿が、ないことに気づいたもののイザベルに何も訊ねませんでした。
夫のジュリアンは、妻イザベルにひと言「君は、正しい。 私の愛は、ジェラシーだけだ。」伝え、家族で、パリに移り住むことを告げました。
a0212807_13493918.jpgフランスでロマンス映画は、“悲恋”でなければ、恋愛映画ではない、という毅然としたポリシー(ロマンス映画の哲学)のような美意識があり、私は、そんなフランス映画のエスプリが、とても好きです。
「私も!」という方は、‥パトリス・ルコント監督の‘ファム・ファタル’三部作とその続編や「灯台守の恋」などご覧いただくとフランスのロマンス(悲恋)映画が、さらに好きになること請け合います。
by blues_rock | 2017-08-04 00:04 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)