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心の時空

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アスファルト  シネマの世界<第750話>

フランス映画の鬼才サミュエル・ベンシェトリ監督(1973~)の最新作「アスファルト」(2016年、監督・脚本)は、フィンランドの名匠アキ・カウリスマキ監督(1957~)の作風(セリフが、少なくペーソスとユーモアの融合したコメディ映画)を感じさせる作品でした。
アスファルト  シネマの世界<第750話>_a0212807_12473494.jpg
作家でもあるベンシェトリ監督は、子供時代、パリ郊外の団地で暮らした自伝小説から脚本を書き、‘長回しのワンテイク’という演出でフランスの寂れた団地が、舞台の孤独な男女6人のコミカルながらもペーソスに満ちた群像劇として映画を撮りました。
アスファルト  シネマの世界<第750話>_a0212807_1248269.jpgこの映画の良さも 面白さも 文字では、説明できない、映像を見ないと分からない 映画ならでは、の作品です。
映画は、冒頭、団地の老朽化したエレベーター取り換えを討議する住民集会から始まります。
2階に住まうサエない中年独身男(ギュウタヴ・ケルヴァン 1962~)は、相応の経費負担が、イヤでただ1人反対しました。
経費負担しない住民は、新エレベーターの使用を禁止するというルールで取り換えが、決まりました。
アスファルト  シネマの世界<第750話>_a0212807_12493156.jpg数日後、男は、大ケガをして車イス生活となりエレベーターが、要るようになりました。
それからの彼の姑息なエレベーター使用が、笑えます。
ある夜、彼は、団地を抜け出し近くの病院で夜勤中の孤独な看護婦(バレリア・ブルーニ・テデスキ 1964~)と知り合いになりました。
団地に1人の落ちぶれた女優(イザベル・ユペール 1953~)が、引っ越して来ました。
同じ階に住む、いつも母親不在の孤独な少年(ジュール・ベンシェトリ 1998~)は、引っ越してきたばかりの女優アスファルト  シネマの世界<第750話>_a0212807_12553525.jpgを何かと手助けしながら部屋に入り彼女が、出演した映画のビデオを見せて欲しいと強請(ねだ)りました。
そんなある日、団地の屋上にNASAの宇宙飛行士(マイケル・ピット 1981~)が、トラブルで不時着、服役中の息子をもつアルジェリア移民の老女(タサディット・マンディ)に助けられました。
宇宙飛行士は、フランス語が、話せず、アルジェリア移民の老女は、まったく英語を理解できませんでした。
アスファルト  シネマの世界<第750話>_a0212807_1256332.jpg映画は、3組6人の男女が、織りなすコミカルにしてシリアスそしてペーソスに満ちた人生模様をセリフの少ないワンカットワンシーンの長回しで描いていきます。
ベンシェトリ監督が、演出するユニークなキャラクター6人の登場人物を配役の俳優と女優たちは、味わい深く演じています。
とくにフランスの名女優 イザベル・ユペールを相手に演じたベンシェトリ監督の息子で名優 ジャン=ルイ・トランアスファルト  シネマの世界<第750話>_a0212807_12563526.jpgティニャン(1930~、1966年「男と女」、2012年「愛、アムール」は名作)の孫にして当年まだ十代の新人俳優 ジュール・ベンシェトリが、存在感のある見事な演技を見せ、今後どんなに映画に出演するのか、楽しみです。
by blues_rock | 2017-08-02 00:02 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)
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