ロスト・エモーション シネマの世界<第749話>
そこに暮らすすべての人間は、国家に徹底的に管理され、保健安全局から監視され愛情や欲望など少しでも感情の発症兆候が、見られたものは、「欠陥人間」として強制隔離され収容施設で安楽死させられていました。
SFデストピア映画は、ざっと指を折るだけでも1971年「時計じかけのオレンジ」、1982年「ブレードランナー」、1985年「未来世紀ブラジル」、1995年「12モンキーズ」、1997年「ガダカ」、1999年「マトリックス」、2006年「トゥモロー・ワールド」、2015年「ロブスター」と傑作・秀作が、発表され「ロスト・エモーション」もその伝統的な名作SFデストピア映画の系譜に含まれると思います。
主演は、若き名女優 クリステン・スチュワート(1990~ 後日、名女優 クリステン・スチュワートの特集をします)と新鋭気鋭の俳優 ニコラス・ホルト(1989~、2016年「アウトバーン」主演)で、これにイギリスの名優ガイ・ピアース(1967~)とオーストラリアの名舞台女優 ジャッキー・ウィーヴァー(1947~)が、外の世界へ脱走する二人を助ける反体制秘密組織の一員を演じています。
ニアを愛するも感情に表わさなかったサイラス(ニコラス・ホルト)でしたが、検診結果に感情発症の予兆は、顕われ始めていました。
「イコールズ」で服従を装い暮らしていたサイラスは、ニアを強制収容所から脱走させ外の世界へ逃亡することを決意しました。
近未来の共同体「イコールズ」は、SFながら思想統制、情報支配、自由抑圧、強制執行など72年前のナチスドイツ、28年前のソヴィエト連邦、現在の中国、北朝鮮、イスラム原理主義諸国を想定させ、世界にいま誕生しつつある軍靴の足音高いポヒュリズム国家と併せリアリティが、あり、正しく明日のデストピア世界を予感させます。
ほとんどのシーンが、日本で撮影され、劇中のシーンに登場する近未来都市「イコールズ」の建物は、日本全国にある世界的な建築家 安藤忠雄氏の建築物が、使用され各地でロケーション撮影されました。
安藤忠雄氏設計のシャープで、機能的な建築物は、どれも正に近未来都市の壮観です。 (下写真 : 新潟県 長岡造形大学キャンパスでの ロケーション撮影風景)