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心の時空

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a day in my life

フランス映画短編特集の 3作品  シネマの世界<第729話>

a0212807_0133067.jpg7月の IF九州シネマクラブは、短編特集で ‘暴力’ をテーマに製作された 3作品が、上映されました。
この短編3作品の上映を企画したのが、IF九州映画担当の、フランスから 6か月研修で派遣された政治学を専攻する青年でした。
7月の映画を最後に、フランスに帰国するそうですが、博多山笠の追い山に閉め込み姿で参加したことをたいへん喜んでいました。
さて、世界は、いま‘暴力’に満ち溢れ、悲しく哀れな事件が、絶えません。
私は、ヴァイオレンス映画の秀作を好んで見ますが、私の見るヴァイオレンス映画のほとんどは、“勧善懲悪”をプロットにしており、卑怯卑劣な巨悪や権力が、跋扈(ばっこ)し、勝利して終わる映画(プロバガンダ映画)を見ることは、ありません。
1作目の「ぼくたちのジュネーブ条約」は、ブノワ・マルタン監督による2016年の短編映画(15分)です。
放課後バスで帰宅しようとしていた少年が、彼ら少年グループの争いに巻き込まれます。
争いの原因は、同級生に20ユーロ(2、500円くらい)を貸したと云う生徒が、借金を返さない生徒に暴力で返済を
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迫り 決着つけるという話を聞いた少年少女たちは、森に集まり当事者の少年二人をはさみ、それぞれのグループに分かれ対立しました
a0212807_0182244.jpg暴力沙汰のケンカは、避けたいが、借金をした少年にお金は、ありませんでした。
移民の子供も入れた多民族の、多種多様な意見をもつ少年少女が、対立しながらケンカになる前に何とか解決しようとする姿を映したこの短編映画は、世界の好戦的で愚かな大統領や首相たちに見せたい作品です。
2作目の「グループ・ヴァイオレンス」は、2015年にカリム・プケルシャー監督が、発表した15分の短編映画です。
15分の短編映画に 何とフランスの名優ヴァンサン・カッセル(1966~)が、主演、自分の精神疾患である暴力依存症の衝動に必死で打ち克とうとする男の姿をリアリティ溢れる演技で表現しています。
黒いブルカ(イスラム女性の着衣)をまとったナゾの女たちの出現に、取り締まりを強化した警察に対し若者たちは、怒りを爆発させ暴力事件を起こしていました。
若いころ暴力の絶えなかった元チンピラのヴィンス(ヴァンサン・カッセル)は、日々の生活に疲れ果て、昔のよう
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に、憂さをヴァイオレンスで発散する自分に引き戻されそうになる誘惑と戦っていました。
苦悩し葛藤するヴァンサン・カッセルの表情が、秀逸です。
a0212807_020617.png3作目の「すべてを失う前に」が、一番長く(それでも30分)グザヴィエ・ルグラン監督2012年発表の短編映画です。
グザヴィエ・ルグラン監督は、「すべてを失う前に」を 30分という尺(上映時間)の中で家庭内暴力という主題をあからさまに見せる演出ではなく、フランスにとどまらず世界中どこにでもある社会問題としてスリa0212807_0214048.jpgラー仕立てで撮っています。
映画は、暴力夫(父親)から逃げる妻(母親)と子供(思春期の娘と幼い息子)の3人中心にスリラーのようなタッチでテンポよく描いています。
学校に行かず橋の下に隠れている少年、居場所を先刻承知で迎えに来る母親、恋人との別れが、切なく涙にくれている少年の姉、そんな子供たちを順番に車に乗せながら3人は、急いで母の務めるスーパーマーケットに行きました。
夫の暴力から逃れるため子供たちと遠くに移住することを決めた彼女は、会社に給料の精算を頼みに行ったのでした。
事情を知る上司や同僚(中にはトンチンカンな同僚もいてハラハラさせます)の応援を得て、どうにか給料未払い分の一部を手に外に出ようとしますが、後を追ってきた夫は、すでにスーパーの店内に入り、家族を捜し出てくるのを待っていました。
この家庭内暴力の短編プロットを起承転結のある長編映画として撮れば、かなりおもしろいサイコサスペンス
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タッチのスリラー映画になるでしょう。
今回、フランスの短編映画特集を見てフランス映画界の懐の深さを感じました。
by blues_rock | 2017-07-27 00:07 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)