マングルホーン シネマの世界<第746話>
2014年の製作から3年経ちDVDスルーされた日本版のタイトルが、これまたダサく、原題の「マングルホーン」
私専用の‘お一人様シネマ劇場’勧進元のTSUTAYAからさっそく借りて来て見たら前述したとおり希代の名優 アル・パチーノ“燻銀の名演技”を心行くまで堪能することが、できました。
俊英デビッド・ゴードン・グリーン監督(1975~、2013年「グランド・ジョー」、2015年「選挙の勝ち方教えます」)は、「マングルホーン」(主人公である偏屈で孤独な老人の名前)その人であるかのような圧倒的存在感のあるアル・パチーノに最大の敬意をもって演出しているのが、映画を見ているとよく分かります。
鍵の修理屋を営みながら孤独に暮らす老人マングルホーンは、若いころ愛した女性クララ(色褪せた若い女性の写真だけで映画には登場しない)へ今でもラブレターを書いていました。
そんな彼の心を癒やすのは、ペットの猫と毎週行く銀行の窓口係ドーン(ホリー・ハンター 1958~、1993年「ピアノ・レッスン」でアカデミー賞主演女優賞、1996年「コピー・キャット」、同年「クラッシュ」)との他愛ない会話でした。
そんなある日、マングルホーンは、よく行くカフェでドーンの姿を見つけました。
ドーンに好意をもつマングルホーンは、彼女に声をかけドーンもまた偏屈ながらユーモアのあるマングルホーンに好意をもち始め二人の仲が、急接近するかと思われました。
しかし、マングルホーンは、昔愛した女性クララへの未練を今も引きずっていました。
撮影監督ティム・オアー(1968~、2013年「グランド・ジョー」、2015年「選挙の勝ち方教えます」など デビッド・ゴードン・グリーン監督作品の常連撮影監督)の、「アル・パチーノ = マングルホーン」 の姿を奇を衒わずゆっくりと追うカメラワークも秀逸です。
(右写真 : アル・パチーノと演技の確認をするデビッド・ゴードン・グリーン監督)