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心の時空

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お嬢さん(아가씨 アガシ)  シネマの世界<第685話>

韓国の鬼才(名監督)パク・チャヌク(1963~)が、監督・脚本・製作した最新作「お嬢さん」(The Handmaiden 侍女)は、エロティック(R18+)でミステリアスさらにサイコスリラーな映画でした。
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チャヌク監督は、イギリスの推理小説家 サラ・ウォーターズ(1966~)の歴史ミステリー「荊の城(Fingersmith)」をヴィクトリア朝のイギリスから1939年(昭和14年)の日本帝国統治下の朝鮮に舞台を移し、映画冒頭から旧い
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日本の封建的な陰鬱で不穏な空気を醸し出しながら、抑圧された社会の裏に蠢(うごめ)く、淫靡(いんび)で妖しい、猟奇的(変態的)にして官能的(猥褻)な韓国製日本映画(出演者は全員韓国人俳優でセリフも日本語7:a0212807_22525038.jpg韓国語3)の怪作を撮りました。
パク・チャヌク監督は、アメリカ(ハリウッド)でも高く評価され、2013年映画「イノセント・カーデン」でその才能を遺憾なく発揮、韓国の映画監督パク・チャヌクの名を広く世界に知らしめました。
いま、韓国映画の製作パワーは、全開でキム・ギドク監督(1960~)、キム・ソンス監督(1961~)、キム・ジウン監督(1964~)、ナ・ホンジン監督(1974~)、パク・フンジョン監督など映画に向かう彼らのエネルギー(情熱・技a0212807_22543284.jpg術・製作等)の奔流が、一見‘やりたい放題’のように見えながらも、韓国映画の製作者たちは、チンケな日本映画の製作陣のように‘内向き’で自己満足せず、人口5千万人の韓国(国内)から飛び出して世界を相手に ‘外向き’ に映画製作しているところが、すばらしい映画を生む原動力になっていると思います。
a0212807_22561880.jpgさて、チャヌク監督の最新作「お嬢さん」に戻して、映画のプロットは、三話構成で、黒澤明監督作品「羅生門」の原作である芥川龍之介の小説 ‘藪の中’ を想像させます。
チャヌク監督の演出は、俳優とくに女優に容赦なく、その凄さまじい演出を監督の盟友で名撮影監督チョン・ジョンフンのカメラが、淫靡(いんび)妖しく、輻湊(ふくそう)するそう猟奇的(変態的)で、猥褻な男女関係を官能あふれる耽美的な映像で撮っています。
美術監督(プロダクションデザイン)のリュ・ソンヒ(「国際市場で会いましょう」の美術監督)が、‘昭和余年の華族’の暮らしを再現した旧い邸宅の設えや室内外の調度品への時代考証もすばらしく見事なセットでした。
a0212807_2259447.jpg「お嬢さん」は、映画を見た人の感性で楽しむ典型的な作品なので前述した私の拙文を始めサイトに数多溢れる映画解説や感想の類など一切参考にしないほうが、自分の性的感受性(エロティシズム)の鮮度を守れると思います。
チャヌク監督の厳しい演出に応えたキャストは、主人公である深窓の華族令嬢 秀子にキム・ミニ(1982~)、その令嬢 秀子に仕える侍女 珠子(=a0212807_2322991.jpg詐欺師手下の娘スッキ)を新人女優のキム・テリ(1990~)が、全裸を厭わぬ ‘体当たり’ で演じています。
この令嬢 秀子と侍女 珠子の同性愛女性の復讐に対峙するのが、秀子の相続資産を狙って近づく藤原伯爵(ハ・ジョンウ 1979~ 「ベルリン・ファイル」主演)と秀子の後見人で猟奇的変態趣味をもつ叔父の上月(チョ・ジヌン 1976~)です。
a0212807_233395.jpgこの四人の騙(だま)し合いが、三話構成で変調しながらエロティシズムたっぷり(R18+)に妖しくダークな世界を描いていきます。
深窓の令嬢 秀子が、相続した莫大な資産を狙う藤原伯爵(韓国人詐欺師で孤児スッキのボス)を演じるハ・ジョンウ、幼い時に親を亡くした秀子を引き取り軟禁し、その時から露骨で卑猥な文言(性a0212807_2355064.jpgの俗語)のならぶ猥褻本を変態趣味の(性的倒錯した)男たちの前で朗読をさせるという性的虐待を強要する叔父を演じるチョ・ジヌン(サディスティックで卑猥な叔父を熱演)の二人は、若い女性二人の復讐と同性愛の官能(エロティシズム)を引き立てる役割を演じています。
若手女優キム・ミニの秀子と新人女優キム・テリの珠子(スッキ)が、演じるデープなセックス・シーンの撮影でa0212807_2364579.jpgは、二人をレスビアンのセックス演技に集中させるため部屋に照明スタッフの女性一人だけを残し、室外からチャヌク監督が、演出(演技指導)し、その映像をジョンフン撮影監督ほか製作スタッフたち全員は、室内のリモートコントロール・カメラが、映すモニターで確認するという気の使いようでした。
「お嬢さん」は、チャヌク監督の独特な美意識とフェティシズム(性的倒錯=「ジョルジュ・バタイユ著「眼球譚、マダム・エドワルダ」へのa0212807_2382229.jpgオマージュと推察)の情感が、溢れる佳作映画でした。 
出演した韓国の俳優(女優)たちは、映画の3分の2を占める日本語のセリフを相当苦労して憶えたに違いなく、彼らの努力が、報いられる流暢さだったにもかかわらず、やはり違和感は、歪めず、チャヌク監督作品「イノセント・カーデン」のように、日本人の名女優と名優をキャストして撮っていたなら、もっと妖しく淫靡な(猥褻a0212807_2395272.jpgな)生々しい韓国製の日本映画になったのではないかと私は、個人的に思っています。

(左写真 : 世界的な映画監督となった韓国映画のカリスマ パク・チャヌク監督)
by blues_rock | 2017-03-15 00:15 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)