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心の時空

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みかんの丘  シネマの世界<第723話>

2013年のジョージア(旧グルジア)・エストニア合作映画「みかんの丘」は、ジョージアの映画監督ザザ・ウルシャゼ(1965~)が、脚本・監督・製作して撮った傑作映画です。
a0212807_2156166.jpgその翌年2014年に、同じジョージアの映画監督ギオルギ・オバシュビリ(1963~)が、撮った「とうもろこしの島」と2作品併せて見ると私たち日本人にジョージア(旧グルジア)の深刻な “民族・宗教・文化(言語)・思想” の対立を教えてくれます。
映画のプロットは、オバシュビリ監督作品「とうもろこしの島」と同じジョージアの内戦(ジョージアからのアブハジア民族独立戦争)を描いていますが、「みかんの丘」の主人公は、旧ソ連邦(15共和国ソビエト連邦)の中で人気のあった‘温州みかん’(マンダリンオレンジ)が、唯一栽培できる旧グルジア共和国(ソ連崩壊後ジョージア)に移民したエストニア人の悲しい運命を描いています。 (下地図 : 白=ジョージア、緑=分離独立したアブハジア、赤=ロシアが実効支配する南オセチア)
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主人公は、ジョージアから分離独立したアブハジア自治共和国のエストニア人集落でくらすみかん木箱職人の老人とみかん生産者の二人です。
a0212807_2214056.jpgジョージア内戦(ジョージアとアブハジア自治共和国の紛争)でみかん作りをしていたエストニア人は、ほとんど祖国に帰りましたが、みかん木箱職人 イヴォ(レンビット・ウルフサック 1947~、エストニアの俳優)とマルゴス(エルモ・ヌガネン1962~、エストニアの俳優)の二人だけは、集落に残っていました。
a0212807_222993.jpg二人の暮らすエストニア人集落のまわりでも戦闘が、激化、ある日イヴォは、重傷の兵士二人を発見し自宅に連れ帰り介抱しました。
一人は、アブハジアの分離独立を支援するチェチェン兵アハメド(ギオルギ・ナカシゼ)、もう一人が、ジョージア兵ニカ(ミヘイル・メスヒ)で二人は、お互い敵同士でした。
同じ家の中に敵が、いることを知った二人の兵士は、お互い殺意を剥き出しにしますが、イヴォは、自分の家でa0212807_2264944.jpgの殺し合いを許さず、兵士二人もイヴォに助けてもらった恩義で戦わないことを約束しました。
その数日後、アブハジアを実効支配し逃亡ジョージア兵を捜索するロシア軍の小隊が、イヴォの家に傍若無人に侵入して来ました。
この2013年映画「みかんの丘」と2014年映画「とうもろこしの島」のリアリズムは、帝政ロシア、ソ連邦を経て、現在もなお続くa0212807_2253475.jpgロシアとジョージア、ジョージアとアブハジア、ロシアとチェチェン、その “民族・宗教・文化(言語)・政治”の歴史的な背景を理解しないと分からないと思います。
ザザ・ウルシャゼ監督の傑作映画「みかんの丘」は、映像も美しく(撮影 レイン・コトブ)と音楽(ニアズ・ディアサミゼ)と相俟って映画を見る者の心に不条理な戦争の愚劣さと虚無を強く印象付けてくれます。
by blues_rock | 2017-07-09 00:09 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)