メッセージ シネマの世界<第733話>
ヴィルヌーヴ監督独特の演出のすばらしさは、言うまでもありませんが、特筆すべきは、ハイクオリティな映像と
音楽(サウンドトラック)を担当したアイスランドの現代音楽作曲家 ヨハン・ヨハンソン(1969~)が、作曲した電子弦楽器を弓でこするような、時に指で弾いたような重低音の主旋律(緊張感のある同じメロディの繰り返し)は、得体の知れない 地球外生命体(ヘプタポッド、ラテン語で7本足の意)の摩訶不思議な存在感を 音で象徴的に表現する才能に驚きました。
私が、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の作品を最初に見たのは、2010年作品の傑作「灼熱の魂」ながら、その後2000年作品の「渦」から「灼熱の魂」、「プリズナーズ」、「複製された男」、「ボーダーライン」、現在公開中の新作「メッセージ」、そして最新作となるこの秋公開(2017年10月27日封切、初日に見る予定)の「ブレードランナー 2049」とすべて見ましたが、どれも上質な作品(秀作・傑作)ばかりです。
SF映画「メッセージ」のプロット自体は、SFの定番‘未知との遭遇’ものですが、ヴィルヌーヴ監督のSF‘未知との遭遇’映画「メッセージ」は、ひとひねりした発想で製作されています。
ある日突然、地球上の12か所に、宙に浮く巨大な人類未知の物体が、出現しました。
この巨大な浮遊物体は、18時間毎に112分だけ地面に近いところが、開くのでアメリカ軍ウェバー大佐(フォレスト・ウィテカー 1961~)指揮のもとルイーズとイアンは、浮遊物体の中に入り、地球外生命体ヘプタポッド2体とのコミュニケーションを試みました。
ルイーズは、ヘプタポッドが、空中に流す墨のような円形の図像は、彼らの言語ではないかと推察、表意を分析し交信を始めました。
ヘプタポッドの言語体系を解読したルイーズが、ヘプタポッドとコミュニケーションし始めるとルイーズは、意識に異変を感じ、母親の自分が、愛娘の不治の病に悲嘆するフラッシュバック現象に悩まされるようになりました。
ルイーズは、地球外生命体 ヘプタポッドとコミュニケーションするうちに彼らが、人類のような時間の概念(時の流れ)を持たないことに気が、付きました。
ヘプタポッドは、地球時間の3000年後に、人類が、自分たちを助けてくれるので、そのお礼のために来たのだとルイーズに伝え、地球から忽然と消えました。
イアンは、ルイーズを愛するようになり撤退するベースキャンプの前でルイーズに結婚を申し込みました。
ルイーズは、イアンとの結婚が、不治の病で死ぬ娘の誕生につながることを予知しなかせらもイアンのプロポーズを受けるのでした。