われらが背(そむ)しき者 シネマの世界<第731話>
原作者のジョン・ル・カレ自ら製作総指揮、脚本をホセイン・アミニ(1966~ 「ドライブ」の脚本)、監督のスザンナ・ホワイト(1960~)は、クライム・サスペンス映画では、珍しく女性監督というところも、いつものスパイが、暗躍するハードボイルドなジョン・ル・カレ原作映画とは、違います。
映画の舞台となるモロッコ、フランス、スイスの映像を撮影監督アンソニー・ドッド・マントルのカメラが、シャープに捉え劇中のクライムとサスペンスを煽るマーセロ・ザーヴォス(1969~)の音楽と併せ、秀逸です。
映画のストーリーは、モロッコを旅行中のイギリス人大学教授ペリー(ユアン・マクレガー 1971~)と妻ゲイル(ナオミ・ハリス 1976~)が、レストランで食事しているとき、ロシア犯罪組織の金庫番 ディマ(ステラン・スカルスガルド 1951~)から言葉巧みに近づかれ自分は、命を狙われており、家族だけでもイギリスへ亡命させたいので助けて欲しいと懇願されました。
MI6(エムアイシックス)のロシア犯罪捜査官ヘクター(ダミアン・ルイス 1971~)と部下のルーク(カリッド・アブダラ 1981~)は、ロシアの犯罪組織が、巨額のマネーロンダリングをロンドンに新設されたキプロス銀行で行ない、その後ロシアの犯罪組織からロシアに友好的でイギリス政府の要職に就く有力な下院議員や複数の国会議員たちに多額の裏金(ワイロ)が、振り込まれることを察知していました。
そのマネーロンダリングとイギリスの国会議員たちの名前と口座を知っているのは、唯一ディマだけでした。
ドラマは、最後まで二転三転しながら展開していきますのでクライム・サスペンス映画が、お好きな方にお薦めしたい映画です。