ダーク・ブレイス シネマの世界<第702話>
事件当時、リビーは、8歳の少女ながら彼女の証言で犯人として逮捕されたのが、中学生の長男ベンでした。
当時、15歳のリビーの兄ベンをタイ・シェリダン(1996~)、28年後の現在、獄中にいる成人したベンをコリー・ストール(1976~)が、内に秘めた心の闇を秀逸に演じています。
事件のあの夜、8歳の少女リビーは、何を目にしたのか? 15歳の少年、長男のベンは、本当に家族を殺したのか? 28年前の過去と現在が、絶妙にシンクロされながらそれぞれの「ダーク・プレイス(心の闇)」と事件の真相に迫っていきます。
謎の多い殺人事件の真相解明を趣味とする‘殺人クラブ’会員の青年ライルをイギリスの俳優ニコラス・ホルト(1989~ 2016年新作映画「アウトバーン」主演)が、好演、この28年前の一家惨殺事件に執着しリビーのダーク・プレイス(心の闇)に入っていきます。
映画のサスペンスとミステリーが、醸し出す緊張感は、少しずつ明かされていく事件の真相により張り詰めたままラストまで続きます。
悪魔崇拝のヘヴィメタル少年である15歳のベン、ベンの恋人ディオンドラを演じたクロエ・グレース・モレッツ(1997~)のふしだらな少女ぶりもなかなか似合っていました。
金をたかり来るアルコール依存症の暴力男(元夫)から必死で家族を守る薄幸な母親パティ役のクリスティーナ・ヘンドリックス(1975~)の演技も秀逸です。
映画のダークな雰囲気を醸し出すため映像のトーンを落とし登場人物たちそれぞれの心の闇を上手く表現(撮影)したのが、イギリスの名撮影監督バリー・アクロイド(1954~、ケン・ローチ監督作品の多くを撮影)です。