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沈黙 サイレンス(前編)  シネマの世界<第690話>

沈黙 サイレンス(前編)  シネマの世界<第690話>_a0212807_4463364.jpg
1974年映画「アリスの恋」、1976年映画「タクシー・ドライバー」(カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作品)からマーティン・スコセッシ監督(1942~)の主要な作品は、見て来ましたが、最新作「沈黙 サイレンス」は、スコセッ沈黙 サイレンス(前編)  シネマの世界<第690話>_a0212807_4515854.jpgシ監督が、遠藤周作(1923~1996)の歴史小説「沈黙」を読んで以来28年間ずっと映画化を夢見て来たというだけにキリスト教(カトリック)徒スコセッシ監督渾身の傑作映画です。
2017年1月21日の封切り初日、さつそく見て来ましたが、「すばらしい!」の一言、これからも時おり見ようと思っています。
沈黙 サイレンス(前編)  シネマの世界<第690話>_a0212807_4581735.jpg映画は、暗闇の静寂の中で鳴く虫の音から始まり 2時間39分の歴史ドラマが、終わると同じ暗闇の静寂の中でまだ鳴き続ける虫の音を聴きながら終わります。
スコセッシ監督の演出は、遠藤周作小説「沈黙」に忠実に‘神の沈黙’を描いていきます。
徳川幕府(長崎奉行所)の厳しいキリスト教弾圧の中、息を潜め極貧と過酷な環境に耐えながら‘信仰により神沈黙 サイレンス(前編)  シネマの世界<第690話>_a0212807_53587.jpgの国(天国)に行ける’と信じ‘神の救いとキリストの声’にすがる隠れキリシタンと日本最後のキリスト教司祭(二人のパードレ)に長崎奉行井上筑後守は、容赦なく棄教(踏み絵)を迫ります。
1633年、徳川幕府の鎖国令(キリスト教禁止令の徹底)による長崎のキリスト教信徒への弾圧は、容赦のないもので残酷な拷問により棄教させて(転ばせて)いました。
沈黙 サイレンス(前編)  シネマの世界<第690話>_a0212807_534299.jpg1637年、キリシタンの天草四郎時貞を農民一揆の指導者とした島原の乱も圧倒的な幕府軍の武力で鎮圧(原城篭城の女子供などの非戦闘員1万3千人も入れ死者3万7千人)されました。
「沈黙 サイレンス」は、その直後の長崎が、舞台です。
沈黙 サイレンス(前編)  シネマの世界<第690話>_a0212807_5133499.jpg主人公の司祭ロドリゴ(アンドリュー・ガーフィルド 1983~)は、司祭ガルペ (アダム・ドライバー 1983~)と共にマカオで知り合ったキリシタンの日本人キチジロー(窪塚 洋介 1979~)に案内されて日本(長崎)に密入国しました。
ポルトガルの教会で教えを受けたフェレイラ神父(リーアム・ニーソン 1952~)の消息が、途絶え生死不明ながらフェレイラ神父は、日本で棄教し生きて沈黙 サイレンス(前編)  シネマの世界<第690話>_a0212807_519172.jpgいるという噂を信じない司祭ロドリゴとガルペの二人は、志願して日本行きを強行しました。
そして二人の若い司祭が、日本の長崎の島々で見たものは、長崎奉行井上筑後守(イッセー尾形 1952~)によるキリスト教信徒(キリシタン)へ強く棄教を迫る(イエス像を彫った銅板の踏み絵を踏ませる)拷問でした。
沈黙 サイレンス(前編)  シネマの世界<第690話>_a0212807_5194330.jpg鬼と恐れられている長崎奉行井上筑後守を演じるイッセー尾形が、正に井上筑後守その人のようにすばらしく、奉行井上筑後守は、柔和な笑顔で棄教をやさしく諭すかと思えば、冷酷な態度で残酷な拷問を行ない、信仰心厚く棄教しない(転ばない)キリシタンと分かれば容赦なく処刑しました。
沈黙 サイレンス(前編)  シネマの世界<第690話>_a0212807_5235878.jpg元キリシタンで棄教した井上筑後守は、棄教させる(転ばせる)ためなら清濁併せた手練手管の狡猾さと人間の真実を見抜く慧眼をもって司祭ロドリゴに「そなたが、転べは、あの者たちは、助かるのだぞ。」とロドリゴを拷問せず時間を与え目の前で信徒のキリシタンが、拷問され処刑されるさまを見せ続けます。(後編へ続く)
by blues_rock | 2017-01-27 00:07 | 映画(シネマの世界) | Comments(2)
Commented by desire_san at 2017-02-13 09:32
こんにちは、
私も映画『沈黙-サイエンス』を見てきましたので、画像と鑑賞レポートを読ませていただき、映画『沈黙-サイエンス』の感動が甦ってきました。この映画ではポルトガル人宣教師の目を通し、信ずること、疑うこと、葛藤、懐疑心と、人間の弱さ、信ずることの意味、人間撮って大切なものは何か、生きることの意味は何かについてじっくりと描いて、色々考えさせられました。この映画の配役は絶妙で、特に弾圧される農民を演じた笈田ヨシと塚本晋也は、堂々とした風格のある演技で、気高く感動的なほど魅力があり、映画に深みを持たせていました。窪塚洋介が演じたキチジローも説得力のある熱演でした。

私も『沈黙-サイエンス』を観て、この映画の魅力と現代人はこの映画から何を学べるのかを整理してみました。読んでいただけると嬉しいです。ご意見・ご感想などコメントをいただけると感謝いたします。






Commented by blues_rock at 2017-02-13 13:47
desire_san さま
丁寧なコメント、ありがとうございます。
貴ブログの「遠藤周作の最高傑作の完全映画化と窪塚洋介の完全復活/沈黙 サイレンス」も拝見いたしました。
本当に原作を読みこまれ、映画を丁寧にご覧になっている感想と批評に敬意を表します。
desire_san さまの慧眼と博識、恐れ入りました。
貴ブログの芸術(美術と音楽)についての記事も興味深く、これからも楽しみにしています。
併せて貴ブログを拙ブログの外部リンクに貼付させていただくことお許しください。
お礼まで。
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