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心の時空

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国際市場(いちば)で会いましょう  シネマの世界<第668話>

1994年のアメリカ映画「フォレスト・ガンプ/一期一会」(ロバート・ゼメキス監督、トム・ハンクス主演)で、主人公のフォレストが、「人生は、チョコレートの箱、開けてみるまで分からない。」と言いました。
a0212807_9471474.jpg歩行補助器を付けた少年だったフォレストが、ガンプ(ウスノロやマヌケを意味するアラバマ地方の方言)と呼ばれ、イジメに遭いながらも艱難辛苦の人生を走り続け幼馴染の女性ジェニーを生涯愛し、その波乱万丈の人生をバス停で見知らぬ人に話す‘邯鄲夢の枕’のような物語でした。
韓国の名監督ユン・ジェギュン(1969~)の作品「国際市場(いちば)で会いましょう」は、ゼメキス監督が、「フォレスト・ガンプ/一期一会」で描いた寓話的な演出手法をとらずドグスという一人の男の人生を1950年の朝鮮戦争時代から現代までのリアルな韓国現代史として描きました。
ジェギュン監督は、丁寧な歴史考証をふまえ、今まで韓国映画が、描かなかった1950年の朝鮮戦争による民族a0212807_948331.jpg分断の悲劇と数多の一家離散家族の現実に向い合いました。
ユン・ジェギュン監督の演出のもと製作スタッフ陣とくに撮影のチェ・ヨンファン、プロダクション・デザイン(美術)のリュ・ソンヒ、コスチューム・デザイン(衣装)のクォン・ユジンなど優秀なスタッフの手抜きのない徹底した歴史考証(仕事ぶり)は、秀逸です。
a0212807_9494722.jpgそれでも主人公ドグス(ファン・ジョンミン 1970~「新しき世界」主演)の波乱万丈の人生は、フォレスト・ガンプに重なり、ドグスの妻ヨンジャ(キム・ユンジン 1973~、2000年映画「シュリ」主演)が、フォレストの永遠の女性ジェニーに、ドグス生涯の友人ダルグ(オ・ダルス 1968~)は、さしずめフォレストの人生にとってのバッバとダン中尉かもしれません。
a0212807_951162.jpg朝鮮戦争からの韓国50年史の大河ドラマ「国際市場で会いましょう」は、韓国の老若男女の琴線に触れ大ヒット、韓国映画史上第2位の観客動員数を記録しました。
映画は、ドグス少年の家族が、北朝鮮軍支援のために参戦した中国軍の攻撃で朝鮮半島 興南港(現在北朝鮮)から脱出するところから始まります。
a0212807_9553828.jpgドグス少年は、港に押し寄せた難民の大混乱で父と妹と離ればなれになり父が、ドグス少年に再会する場所として伝えた釜山の国際市場(いちば)に母と弟もう一人の妹4人で向かいました。
1950年~2000年代の韓国社会が、激動する中でドグスは、父から厳命されたされたとおり一家の長として家族を最優先して生きてきました。
a0212807_9571112.jpg歳月を経て老人となったドグスは、艱難辛苦の末、手に入れた釜山の国際市場(いちば)にある小さな店が、韓国近代化開発の波で強制立ち退きを迫られても頑固に立ち退こうとしませんでした。
離散した父には、再会できなかったものの戦災孤児としてアメリカ人の養女となってロスアンゼルスで暮らしていた妹に再会、ヨンジャとの間にできた子供たちも皆な成人しa0212807_9574828.jpg孫たちにも恵まれましたが、ドグスの居場所は、父の写真が、置かれた狭い自分の部屋でした。
2017年現在、いまだに韓国の政情不安収まらず大統領は、国民から弾劾され罷免、韓国を代表する世界的大企業の経営者が、背任(横領・収賄容疑)で告発されるなど騒乱は、収まりそうもありません。
韓国に潜在する内なる分断国家の不穏な影(対立の社会背景)と映画「国際市場(いちば)で会いましょう」に大a0212807_9583612.jpg涙する韓国国民の深層心理を理解しない限り、戦後72年曲がりなりにも統一国家として平和に暮らしてきた私たち日本人にとって韓国は、いましばらく理解できない近くて遠い国のままかもしれません。
韓国の国民的映画「国際市場(いちば)で会いましょう」は、日本人が、韓国国民の屈折した深層心理を理解する一助になる映画ではないかと私は、思いました。
by blues_rock | 2017-01-21 00:01 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)