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心の時空

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籠の中の乙女(前)  シネマの世界<第665話>

a0212807_21312986.jpg先日ご紹介した「ロブスター」を撮ったギリシャの異才(奇才)監督ヨルゴス・ランティモス(1973~)が、2009年に発表した切っ先に毒を塗ったシュールでブラックなコメディ映画「籠の中の乙女」を今夜は、マニヤックな映画が、好きな‘カルト映画ファン’に限定して紹介したいと思います。
‘笑えない’コメディ映画をコメディと呼ぶかどうか分かりませんが、「籠の中の乙女」は、上映時間1時間半の冒頭からギリシャのある裕福で幸せそうな家庭(家族5人)の‘でもどこか何かヘンだよね’という不穏な雰囲気(映像から伝わる空気感)を漂わせながら次第に普通じゃない‘おぞましく異様な家族の姿’を浮かびあがらせていきます。
2009年ギリシャ映画「籠の中の乙女」(原題「Dogtooth 犬歯」)は、映画ポスターの中央にある「健全な家庭に狂気は宿る」そのままに現代の人間社会(いや過去も含めて)を痛烈に批判し嗤い飛ばしています。
a0212807_23404189.pngたとえば、ヒトラーとナチスを選挙で選んだ旧ドイツ市民、言論や思想の自由を弾圧する中国や北朝鮮の不条理かつ理不尽な圧政に奴隷のごとき人民、宗教(教団や組織)に盲従し愚劣な指導者の非科学的な命令に唯々諾々と従い死んでいく信者たち(信仰は、「生者の特権」なのa0212807_2341482.pngに)、さらにアメリカやヨーロッパ諸国の国民に、これから起きるであろう不幸な事件と、この映画を重ね合わせるとアイロニーとブラックな笑い(引き攣った嗤い)に満ちたおぞましいコメディ映画であることが、お分かりいただけると思います。 (参考 : ランティモス監督インタヴュー
a0212807_2147634.jpgデンマークの名匠にして奇才ランス・フォン・トーリア監督の名言「映画は、靴の中の小石でなければならない」を彷彿とさせる映画です。
ヌードやセックスシーンもやたら多い(R18+)のですが、これまた何とも笑えるセックスばかりでエロテックでもなく官能的でもイヤらしくもありません。
a0212807_21521530.jpgどのシーンも固定カメラで撮影しているので見ている者は、ただじっとその光景を眺めているような感覚です。
「籠の中の乙女」は、カンヌ国際映画祭で新進気鋭の監督作品を対象にした‘ある視点’部門でグランプリを受賞しています。
この映画の好さや見どころは、なかなか言葉では説明し切れないところも多く、映画を見ていただくのが、一番ながら粗筋のポインa0212807_11554594.jpgトだけ述べれば、ギリシャの富裕な家庭の一見やさしく愛情溢れる両親と子供三人が、主人公でプールのある邸宅は、高い外壁で囲まれ、家族にそれぞれの名前がなく、お互いを父・母・長女・次女・長男と呼んでいました。(後編に続く)
by blues_rock | 2017-01-11 00:11 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)