エクス・マキナ(後編) シネマの世界<第683話>
初回は、SF映画「エクス・マキナ」を楽しみながら、2回目が、ガイノイド キョウコを演じる映画初出演の日系イギ
映画のラスト、意思をもったガイノイド2体(AIのエヴァとキョウコ)が、自分たちの創造主ネイサンへ反抗するシークエンス、さらにエンディングで、カメラは、舗道に映るエヴァの影を映し、次のショットで、ショーウインドゥに映る雑踏の中のエヴァの姿を捉えますが、このシーン(ショット)の演出とカメラワークは、見事です。
ガーランド監督は、ガイノイド エヴァのイメージをブランクーシの彫刻(「眠れるミューズ」と推察)から得たそうで美しく、さらにエヴァの繊細な動作(動きに合わせた微かなロボット音も効果的)と映画のプロダクション・デザインも秀悦、映画全体の視覚芸術的な映像にも感動しました。
「エクス・マキナ」は、芸術的・哲学的なばかりではなく、前述しましたとおり、サスペンス・スリラーSF映画としての娯楽性も高く、何度見てもおもしろい傑作映画です。
少し長くなりますが、ネタバレしないように見どころを述べると研究施設内の徹底した監視カメラ網の中でときどき起きるなぞの停電(ネイサンは自家発電システムの不具合 と説明)、エヴァは、ケイレブに「ネイサンは、嘘つきなので、彼の言うことを信じてはいけない。」と停電でカメラが、止まっているときに耳打ちします。
停電は、電力を管理している自分が、仕組んだものでネイサンの監視を逃れ、二人で話をしたいからとエヴァは、ケイレブを誘惑するような態度を見せ始め、二人で外の世界に行きたいと言いました。
ケイレブは、エヴァの言動が、ネイサンによる自分を試すプログラムではないのかと疑いました。
ネイサンは、これを一蹴しガイノイドのエヴァに誘惑されそうになったケイレブの精神の弱さを痛烈に批判しました。
さらに、ネイサンは、停電の影響を受けない監視カメラで撮影していたことも告げました。
エヴァの優秀なAI能力を確信したネイサンは、エヴァが、集積した能力を次のガイノイドに書き換え(移し)、より革新的な究極のガイノイドを完成させたらエヴァを初期化する(廃棄する)とケイレブに伝えました。
ここから映画は、佳境に入り、美しい映像にシンクロした不穏を煽るような電子音楽もすばらしく、 7つの構成にした映画が、ゾクゾクさせる緊張感を維持しエンディングに至ります。 (上写真 : アレックス・ガーランド監督と演技を確認するエヴァ役のアリシア・ヴィキャンデル)