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心の時空

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毛皮:ダイアン・アーバス 幻想のポートレイト  シネマの世界<第655話>

奇才スティーブン・シャインバーク監督(1963~)によるアメリカの伝説的女流写真家ダイアン・アーバス(1923~1971没、神経衰弱の向精神薬自殺)に対するオマージュ伝記映画ながらシャインバーク監督は、映画の冒頭
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「史実に忠実な伝記映画ではなく、独自の解釈をして描いている」とクレジットしています。
2006年日本の公開時タイトルを原題の「Fur:An Imaginary Portrait of DIANE ARBUS」のFur(毛皮)にわざわ
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ざ‘毛皮のエロス’などと愚にも付かないタイトルに変えていますが、私は、あえて今夜ご紹介する映画のタイトルを直訳の「毛皮:ダイアン・アーバス 幻想のポートレイト」に戻したいと思います。
a0212807_8541526.jpgこれをお読みの皆さまの中には、‘何でそんなことにこだわるの? 大したことじゃないよ。’と思われる方もおられるでしょうが、シャインバーク監督は、天才写真家ダイアン・アーバスが、‘毛皮’にこだわったのは、毛皮つまり表皮(外見)の奥(内側)にある精神のリアリティ(アイデンティティ=個の存在)にあったと描いています。
映画は、ニコール・キッドマン(1967~ 出演時39歳、目の演技が抜群)演じる駆け出し女性写真家ダイアン・アーバスが、ヌーディスト・ヴィレッジを訪ねヴィレッジにいる全裸の老若男女(さすがに少年・少女はいない)に写真を撮らせて欲しいと依頼すると彼らは、「あなたも全裸になり、心(欲情)を解放してください。そうすれば、私たちの写真を撮ってもいいですa0212807_9254073.jpgよ。」とダイアンに答え、彼女が、躊躇し「少し時間をください。」と返事するところから始まります。
ダイアンは、裕福な家庭に育ち十代で売れっ子ファッション・フォトグラファーの夫と結婚、夫の経営するスタジオで助手しながら娘二人の母、貞淑な妻として順風満帆な人生を送っていると傍目(両親・夫・友人たち)の誰もが、見ていました。
しかし、ダイアンは、少女の頃から心の奥深く(潜在意識)にある異形なものへの関心(趣味)を払拭できないでa0212807_930712.jpgいる自分の内なる異質に気が付いていました。
ある日、自宅アパートの2階に引っ越して来た奇妙なマスクで頭部を覆い、常に手袋とコートで全身を隠している多毛症(異形)の男ライオネル(ロバート・ダウニー・Jr 1965~)を窓越しに見てから‘写真を撮りたい’という意識と衝動が、顕在化しました。
カメラを首から下げたダイアンと被写体ライオネルの妖しげな雰囲気、ライオネル持病の重度の呼吸困難によa0212807_9313774.jpgる死の予感、自死を願う全身毛だらけライオネルの毛をダイアンが、最期に剃ってあげるシーンなど官能的な映像は、必見です。
アメリカを代表する女性写真家ダイアン・アーバスの被写体となったのが、性倒錯者・小人症・巨人症・結合双生児などフリークスと呼ばれる人々や精神障害者、ヌーディストたちで、ダイアン・アーバスは、日常生活を営む彼らのポートレイト(肖像写真)を撮影しました。
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映画のラスト、首からカメラを下げた全裸のニコール・キッドマンを見ることができます。
by blues_rock | 2016-12-04 00:00 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)