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心の時空

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淵に立つ  シネマの世界<第649話>

深田晃司監督(1980~)の2016年最新作(監督・脚本・編集)「淵に立つ」は、作家性の強いヒンヤリとした空気感が、すばらしい映画でした。
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これは、深田監督の演出を最大限に引き出した撮影監督根岸謙一(1957~)のカメラ・ワークも大いに貢献していると思います。
a0212807_11284269.jpg若手映画監督の登竜門であるカンヌ映画祭‘ある視点審査員賞’を受賞しています。
深田監督作品は、2014年映画「ほとりの朔子」とこの「淵に立つ」の2作しか見ていませんが、「ほとりの朔子」(撮影監督根岸謙一、朔子役の二階堂ふみが秀逸でした)のホンノリ感とは、真逆にある映画でした。
a0212807_11335195.jpg深田晃司監督は、日本映画の新時代を担う逸材であるがゆえに些細なことにケチをつけるようで憚(はばか)られますが、深田監督ファンとして2、3のシーンに画竜点睛を欠く演出、たとえば、金属加工工場主(古舘寛治 1968~)が、食事しながら新聞を読むシーンのリアリティ、工場主の旧い友人(浅野忠信 1973~)が、白いツナギ作業服の下に着た赤いTシャツでの欲情表現a0212807_1135295.jpg(どうやら浅野忠信の提案らしい)は、安易、公園で乱暴され血を流して倒れている娘(少女)についての説明不足など、ほんの少し気になりました。
映画のストーリーを簡単に述べると、小さな金属加工工場を営む夫婦(古舘寛治、筒井真理子 1962~)家族のところに突然、夫の旧い友人で前科持ちの男(浅野忠信)が、現れました。
a0212807_11353362.jpg男は、礼儀正しく丁寧で夫婦の一人娘が、ピアノの発表会で演奏する曲の練習も手伝ってくれました。
男と夫は、昔何かあったらしく妻が、訝(いぶか)るのも構わず、夫婦家族との奇妙な共同生活を始めました。
男は、やさしい笑顔を見せるかと思えば、突然凄みのある凶暴な顔を見せ、少しずつ不穏な雰囲気を醸し出していきます。
a0212807_11361682.jpgやがて、夫婦と男の深層心理や感情、さらに潜在していた本能(欲望)が、剥き出しになり顕在化していきます。
そして、男は、夫婦と少女の家族に残酷な試練を残して忽然と消えました。
名優 浅野忠信が、静かに露出させていく徒(ただ)ならない狂気は、リアリティがあり、不穏な精神を内在しているワケあり男を演じさせたら上手いなあと感心する俳優です。
a0212807_1140220.jpg工場主の妻を演じた筒井真理子が、クリスチャンにして良妻賢母ながら同居する男に女の色気(淫靡さ)を漂わせる雰囲気は、艶めかしく秀逸です。
男が、失踪して8年経ったころ若い青年(太賀 1993~)が、工員として雇われました。
青年は、男が、工場で働いていたころに家族と一緒に撮った写真を持っていました。 (下写真 : 深田晃司監督と主演の浅野忠信)
a0212807_1155588.jpg深田監督作品の常連で若手俳優の有望株 太賀は、存在感のある演技と個性で将来が、楽しみな俳優の一人です。
深田晃司監督は、「人間を描くということは、崖の淵に立ち、暗闇を覗き込むような行為である」と述べています。
若手監督ながら次回作が、今から待たれる日本映画の逸材です。
by blues_rock | 2016-11-15 00:05 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)