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心の時空

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つぐない  シネマの世界<第647話>

シリアル・キラー(連続殺人犯)をプロットにしたブラック・ジョーク映画が、続きましたので今夜は、お口直しに「つぐない」という一見センチメンタルなタイトルのイギリス映画をご紹介します。
a0212807_21131328.jpgイギリスの中堅監督ながら名監督の域にあるジョー・ライト(1972~)が、2007年に撮った映画「つぐない」は、テレサ・テンの歌を連想させるセンチメンタルなタイトルながら、させあらず「少女の嘘」が、少女の愛する姉の人生を狂わせ不幸にし、同時に愛する姉の恋人の運命を破壊する(死に追い込む)ことになるシリアスな人間ドラマです。
デンマークの名監督トマス・ヴィンターベア(1969~ 2010年作品「光のほうへ」監督)の2012年傑作「偽りなき者」も‘幼い少女の嘘’で人格を深く傷つa0212807_21155348.jpgけられ、築きあげた人生を破壊された保育園職員(マッツ・ミケルセン)の悲劇を秀逸に描いていました。
「つぐない」は、性に目覚めた思春期の13歳の少女ブライオニー(シアーシャ・ローナン 1994~ 映画初出演、同じライト監督の2011年サスペンス・アクション映画「ハンナ」で有名になる)が、後年著名な作家(老いたブライオニーa0212807_2118933.jpg= ヴァネッサ・レッドグレイヴ 1937~)となり少女のころに犯した大罪(愛する者二人の人生を破滅させた嘘)を悔い悩み苦しんだことを遺作として書いた小説「贖罪」について、13歳の少女である自分、18歳の大人になった自分(看護婦となったブライオニー = ロモーラ・ガライ 1982~)を述懐する形で描かれ物語は、展開していきます。
a0212807_21191665.jpg1935年イングランドの高名な資産家の家に生まれ育ったロマンティックな少女ブライオニーには、愛する聡明な大学生の姉セシーリア(キーラ・ナイトレイ 1985~)と家政婦の息子ながら姉セシーリアと同じ大学に通う知的な青年ロビー(ジェームズ・マカヴォイ 1979~)と云う二人の尊敬する‘憧れ’の大人が、身近にいました。
いろいろなことを夢想し自分の中で物語(寓話)を創造するロマンティストな乙女ブライオニーは、ある時、憧れの男性ロビーから姉セシーリアに渡して欲しいと依頼された手紙(ロビーは、ラブレターを入れたつもりだったが、セシーリアを夢想して作ったエロティックな詩を間違って入れていた)を盗み見し、二人が、密会しているところに出遭ったブライオニーは、観念a0212807_21303777.jpg(ロマンティックな世界)の中で性に目覚めた処女的潔癖さと残酷な嫉妬心で、この後に近くの森で発生した従妹の少女レイプ事件の目撃者としてロビーをレイプ犯として嘘の証言をしました。
第二次世界大戦前夜という時代背景もあって少女ブライオニーは、自分の敬愛する二人、姉セシーリアと姉の恋人ロビーを不幸のa0212807_21311791.jpgどん底に陥れ死に追いやりました。
戦火の中、18歳の女性になったブライオニーは、看護婦となり姉セシーリアとロビーに謝罪しようと必死で二人を探しました。
映画「つぐない」は、作家となったブライオニーの‘贖罪(しょくざい)’の物語です。
a0212807_2133314.jpg長編映画デビューの新人女優シアーシャ・ローナンの熱演もさることながら2005年のライト監督デビュー作品「プライドと偏見」で見事な演技を披露したキーラ・ナイトレイは、この映画でも名女優ぶりを発揮しています。
「つぐない」は、音楽監督ダリオ・マリアネッリ(1963~ ライト監督作品の常連音楽担当)が、アカデミー賞作曲賞を受賞、ライト組の撮影監督シェイマa0212807_21344862.jpgス・マクガーヴェイ(1967~)との息もピッタリの良質な映画でした。

(右写真) 撮影中のジョー・ライト監督
by blues_rock | 2016-11-09 00:09 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)