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心の時空

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獣は月夜に夢を見る  シネマの世界<第643話>

デンマーク出身のヨナス・アレクサンダー・アーンビー監督(1974~)による初長編監督(ならびに原案・脚本)作品「獣は月夜に夢を見る」は、狼男ならぬ狼女(と云っても思春期の若い娘ですが)を主人公にした寓話(ダーク・
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ファンタジー)のような、そしてミステリアスなノルディック・ホラー(ゴシック・ホラー)の耽美的な映画です。
カンヌ国際映画祭の新世代作品コンペでは、「ザ・トライブ」とともに称賛された作品でした。
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この「獣は月夜に夢を見る」は、ホラー映画の秀作2作、スペインの名匠アレハンドロ・アメナーバル監督の2001年作品「アザーズ」やスウェーデンの名監督トーマス・アルフレッドソン(「裏切りのサーカス」の監督)の2010年a0212807_1359782.jpg「ぼくのエリ 200歳の少女」とは、少し趣きが、違い北欧の静謐な風景(北欧の陰鬱な風景と云ったほうが正確かもしれない)を背景に ‘狼女の血をひく家族’ の哀しい物語を美しい映像で描いています。
アーンビー監督は、デンマークの鬼才ラース・フォン・トリアー監督(1956~) のもとで1996年の秀作「奇跡の海」と2000年の傑作「ダンサー・イン・ザ・ダーク」のプロダクション・デザイン助手(美術アシスタント)を担っていましたので演出(映像へのこだわり)にそれを感じました。
a0212807_13595760.jpg映画は、デンマーク海沿いの小さな寒村が、舞台です。
成人すると狼女に憑依変身する病気を母親から遺伝した若い娘マリー(デンマークの新人女優ソニア・ズー 1994~ 若い娘の性徴を顕す存在感が秀逸)は、全身マヒの廃人同然の姿で車イス生活するマリーの母親(ソニア・リクター 1974~ 遺伝的病気の発症を抑圧された無表情がミステリアス 「特捜部Q 檻の中の女」にa0212807_140497.jpg出演)と付きっきりで妻(マリーの母)の介護をする父親(ラース・ミケルセン 1964~ 妻と娘の遺伝病を受け入れ全身全霊で愛する父親を好演、マッツ・ミケルセンの実兄)の三人で慎ましくひっそりと暮らしていました。
マリーの母親は、寒村の住人から恐れられ忌み嫌われ、父親は、マリーに母親の食事介助以外の介護をさせませんでした。
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海辺の小さな鮮魚処理工場で働く若い娘マリーの体にもわずかながら変異が、顕われ始め、母親の主治医は、マリーにも母親と同じ抗病投薬を薦めますが、マリーは、拒絶しました
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因習的な村の閉塞感は、工場にも充満し人間関係も冷ややかでイジメや差別が横行、マリーは、職場の男たちから性的虐待(いやがらせ)を受けていました。
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そんな毎日の暮らしの中でマリーは、鮮魚運搬係の青年ダニエル(ヤーコブ・オフテブロ 1986~)に恋し愛し合うようになりました。
a0212807_1445078.jpgそして、大人の女性へと変貌していくマリーに母親から遺伝した狼女の兆候が、顕われるようになりました。
劇中に流れるマリーの生(性)と宿命を暗示するようなバッハの「マタイ受難曲」は、映画の美しい映像と併せ、狼女のホラー物語を哀しい寓話にする効果的な音楽にしていました。
by blues_rock | 2016-10-28 00:08 | 映画(シネマの世界) | Comments(0)